2017年12月31日

報告:【新潟ロービジョン研究会2017】 参加者の感想 その2
 日時:2017年09月02日(土)
 会場:新潟大学医学部 有壬記念館 2階会議室 

中村透(研究会;コメンテータ、川崎市視覚障害者情報文化センタ 歩行訓練士)
研究会に特別コメンテーターとして参加した。コメンテーターとしての役割はさておき、今更ながら人との繋がりというのは、「本当に重要だな」ということを再確認した。視覚リハ(LVケアを含む)の世界でもネットワークとか連携が大切とは言われるが、なかなか有効に機能させるまでには至らないことが多い。わかってはいるが日々の仕事に追われ、つい自己完結的に仕事を終えさせてしまうことが多いような気がする。しかし、当事者の方はそれで社会の中でQOLを向上させながら生きていくことができるのか?もっと個々の方が可能性を広げるための重要なアドバイスができるのではないか?など、悶々とすることもしばしばある。そんな時に、私に気づきや新たな視点をもたらしてくれるものが、新潟ロービジョン研究会のような存在だ。演者の先生方の話は、それぞれすばらしいに決まっている。大切なことは参加者が、折角集った場から何を得て、今後にどう繋げるか?であると思う。今後も新潟で情報発信の場として、形を変えてでも継続していただければありがたいと改めて感じた。 

石川県 看護師
とても、どの先生の内容も、共感できることが多く、うんうんと頷きながら聞いていました。でも、1番の注目は、演者として初登場の安藤先生。何を語るんだろう。初めて聞く、自信満々のサージャンだった頃の話。術後の患者さんに起こったルベオーシスからの急激な眼圧上昇による失明と自殺。 そこから、ずっと貪欲にロービジョンケアを学び続けている先生。今の先生だったら退院に向けてOさんに何と声を掛けたんだろう。と思いながら最後の質疑応答応答で、聞けずに終わってしまいました。これは、演者の先生皆さんに、問い掛けてみたかった事でした。見えなくなったら、どうしようの問いに、今のあなたなら、何と答えますか?と。そして、完全に、引き込まれて聞いてしまった清水先生のこれからは、クイックロービジョンケアが必要なのではないかと言う話。マインドがあれば、時間も人材もなくても出来ることがある。本当にそう思います。これから、どう拡散され浸透していくのか、清水先生の野望すら感じワクワクしました。山田先生には、本当に脱帽します。その継続する力と疾患のコントロール、自立支援、転倒予防とこんなに、生活に密着したトータルケアができるドクターは、2人といないじゃないでしょうか。どれだけのニーズに耳を傾けてきたんだろうと、山田先生には、本当に敬意を評します。そして、正しい事は恐れずに言い放つ高橋政代先生。これからのロービジョンケアに明るい未来を感じずには、いられないものでした。福祉難民になる前に、出口で捕まえる、、、。患者を『捕まえる。』こんな積極的な表現を聞いたことが、かつてあったでしょうか(笑)。ハンターのような高橋先生に、この人に ついていこうと思いました。愛すべきリーダーですね。最後に、これほど学べる貴重な機会を、自腹を切って提供し続けて下さった安藤先生と、それを理解し支えて下さった奥様に、心から感謝致します。本当にありがとうございました。 

千葉県 女性
清水朋美先生のお話を聞いていて、障害の有無にかかわらず人を愛するということはその人自身を大きくするものだなと思いました。「見返りを求めない愛」とか「かけがえのない存在」などと言葉にするとしらじらしいのですが、清水先生と視覚障害者のお父さんのエピソードを聞けば聞くほどそんな言葉が浮かびました。守りたい人ができると見栄も恥もなく、自分でなんとかしたいと思う心に共感します。障害のために孤立したり人間関係を広げられないということがあれば、それは人として成長の機会を失うということではないかと考えます。良い人間関係が築ける力をリハビリテーション活動の中でつけられるよう、私自身も努力を続けます。 

新潟市 女性
私の偏見だったかも知れませんが、医師を初め専門職の人は、素人の意見をイヤがるものだと思っていました。患者に医療の裏側など知られたくないだろうし、ましてや本音など隠しておきたいものだと思っていました。でも安藤先生を初め、講師の方々はとても謙虚で研究熱心、そして患者さん想いでいらっしゃいます。だれしも病気になり、それが治らないものと宣告されたままだったら、その先は真っ暗闇です。ようやく眼科にもリハビリという概念が浸透してきて、福祉や教育、仕事につながるサポート体制が充実してきたことを嬉しく思います。難しいこととは思いますが、病気を患者から切り離して診るのではなく、一人の人間としてよく見ていただきたいものです。専門家だけではなく患者、その家族、関係者だれもが参加できる安藤先生のこのような取り組みに、心から感謝しています。これからも、このような研究会、勉強会を続けてくださることを願っています。 

神奈川県 眼科医
山田先生の自殺をされた視覚障害の若者の話はいままでも何度か伺ったことはありました。(眼科医ではなく)内科の先生がアクションを起こされたことはもちろん衝撃です。その道が長く険しかったことも今回改めて思い知らされました。が、それよりも、その後にまだ自ら命を断たれる視覚障害者が何人も出ていたとは…言葉も出ませんでした。これが日本全国となったらどれだけの方が亡くなっているのか、またその氷山の水面下でどれだけの方が同じくらいの絶望を味わっているのかと考えたら、今までとてもそこまで考えの及ばなかった自分を本当に恥ずかしく思いました。私が他科の研修を1年半やったあとで眼科医になったばかりの頃、眼科は人が死ぬことはない「気楽な科」と考えていました。本当に恥ずかしいことです。私は今まで、ロービジョンは地域で誰か1人の眼科医がやっていればじゅうぶんだろう(地域の眼科医同士が風通しよく連携できていれば)と考えていましたが、どうやら考えを変えねばならないようです。困ったらロービジョンやってる先生に紹介しようでは遅いかもしれません。治療とロービジョンケア、失明宣告とロービジョンケアは常に同時進行でないといけない、そうでないと患者さんの命を守れないからです。 

新潟市 男性
当日は東京出張のため最初の安藤先生の講演のみ拝聴させていただきました。安藤先生の個人史を初めて聞き、現在の先生の眼科医療への情熱の源泉が分かった気がしました。長年の「新潟ロービジョン研究会」の開催お疲れ様でした。 

新潟市 男性
安藤先生、長い間大変お疲れ様でした。又、私にとっても約20年間お世話になりました。毎年の楽しみな行事が1つなくなるのが残念です。本研究会に参加することで私の病気の治療方法の現状を知り、まだ私の状態は悲観すすべき状態ではないということを知り、これから生活していくうえで何をしていくべきかを教えていただきました。願わくは、このような研究会が何らかの形で継続していくことを期待しております。私はよく他の人に「人は死ぬまで生きるのだから生きている間は悔いのない生活をおくろう」と言っています。これからも強く生きていきたいと思っています。 

新潟市 眼科医
この度は、新潟ロービジョン研究会に参加させて頂きありがとうございました。少し遅れて行ったら、席が満員で後ろの椅子の席で拝聴いたしました。毎回素晴らしい演者の方たちで、ロービジョンの勉強させて頂きました。自分の外来でもクイックロービジョンを検討します。フロアの方達の熱気も凄く、視覚障害の方などの色々な方の意見が聞けて、とても勉強になる会でした。今回が最後でとても残念です。 

福井県 男性
今年の新潟ロービジョン研究会は最後にふさわしい思い出深い会となりました。安藤先生の眼科医としての歴史やロービジョンケアとの深いつながり、またそのきっかけを作られた山田先生の内科医としての視覚リハへの地道な取り組み、お父様のベーチェット病をきっかけに眼科医になることを決意し、その目的を達し最前線でご活躍の清水先生、最後に最先端の医療に取り組みながらも視覚リハの重要性を常に訴え続け、実際にその拠点施設までも作られた高橋先生。そして夜の懇親会では各地でロービジョンケアに携わり、活躍する方々と親しくお話しする時間をいただけました。このような場をさらに増やしていくことこそ、安藤先生へのご恩返しと感じています。微力ではありますが、地方におけるロービジョンケアに今後とも携わっていきたいと、誓いを新たにいたしました。 

新潟市 眼科医
この度も、演者の先生方のお話はとても興味深いものでした。大変有難うございました。そして、この会を通じてすっかりファンになってしまった高橋先生のお話もまた印象的なものでした。記憶違いでしたら申し訳ございませんが、以前のご講演では、「健全なあきらめ」という言葉をご紹介頂き、時折しみじみとかみしめております。そしてこの度、写真撮影後に戻る際、先生が迷われる事なく違う部屋のドアを開けられたのを目撃致しました。行き当たりばったりで開くドアの先には、いつも新しい世界が待っているのでしょう。先生の歩かれた後にはばっちり道できるのです。これからも遠くから憧れさせて頂きたいと思います。これだけの会を長い間続けてこられたことはどれだけ大変でいらっしゃったことでしょう。名残りを惜しみつつ、関係してこられた皆様、安藤先生のファンの皆様、そして安藤先生に敬意を表したと思います。 

名古屋市 女性
私は、緑内障で治療を統けています。幸いにも、中心視野は残っているので、視力は出ますが、視野が狭くなり、人に接触したりすることも。緑内障は、治らない病気。一生病気とつき合っていかなければなりません。自分の病気についていろいろ知りたいと思うようになりました。「緑内障」を通じて多くの方との出合いもありました。この研究会も、同じ患者仲間さんに誘われて参加しました。講演会で先生方のお話を伺い、また懇親会では、多くの方々とお話する機会に恵まれました。皆様の治療やロービジョンに対する熱い思いを感じました。このような方々がいらっしゃることは、患者にとって大変有り難く、希望を持って治療を続けていけます。ロービジョン研究会に参加出来て、とても有意義でした。安藤先生有り難うございました。多くの患者は、自分の病気に不安を感じながら、同じ病気を持っている人の力になりたいと思っています。私にも出来ることがあればしていこうと思います。 

千葉県 男性
「新潟ロービジョン研究会2017」の案内を拝見し、まず、登壇される先生方のその豪華さに驚きました。これは絶対に行かねばと、今回、初めて参加させていただいたのですが、先生方お一人お一人の思いがストレートに伝わる感動的な内容で、中途視覚障害者の雇用問題等について、深く認識することができました。とても貴重なご講演を拝聴させていただき、あらためて御礼申し上げます。「勉強会」にも参加させていただきたく、今後ともご指導のほどよろしくお願い申し上げます。 

香川県 眼科医
とても有意義で素晴らしい研究会でした。安藤先生の行動力、山田先生の誠実さ、清水先生の情熱、高橋先生の未来視力・・・大変勉強になりました。「この会に来たら、元気をもらえる!」と皆さんも口々に言っておられました。懇親会では、高橋政代先生と話す機会を作っていただき、ありがとうございました。「2050年には、ほとんどの病気が治るようになると仰っていましたが、それで本当に人は幸せになるのでしょうか。」と質問いたしました。高橋先生は「そんな風に考えたことがなかった。今後、考えていきたい。少なくとも 目については見えるようになれば、みんな幸せになると思う。」と仰いました。 高橋先生のお話しを伺って感じたのは、研究者は自分の研究に確かなビジョンと信念をもって進んでいかなければ事を成し遂げるのは難しいという事です。 研究分野がもたらす未来について疑念を持つようでは、研究を継続することはできないのだろうと思いました。 

大阪府 眼科医
安藤先生が主催される新潟ロービジョン研究会が最後と聞いて何が何でもと参加いたしました。安藤先生、山田先生は視力を失い自ら命を絶ってしまった1人の患者さんとの出会いから患者さんが参加できる勉強会やサロンを病院に作られました。病院でこのような体制を作り、継続・発展させていくことには大変なことです。30年以上の永きに渡り目の前の患者に寄り添われてきたお話を拝聴し、自分を省みて、覚悟を持ってこれからも患者さんに向き合っていきたいと改めて強く感じました。清水先生、高橋先生からはこれからのロービジョンケアについて情熱のこもったご講演があり、大きな期待を感じました。同時に大学に在籍するものとして若い医師がロービジョンマインドを持つように指導したいと思います。本当にすばらしい研究会であり、今後も続いていくことを切にお願い申し上げます。 

京都府 視能訓練士
初めて参加させていただきました。参加させていただき医師や視能訓練士だけでなく、当事者の方、サポートされている方、歩行訓練士他沢山の職種の方がおみえになっているのがすごいと思いました。また 安藤先生や山田先生のような先生がおられたのは 本当に感動です。いろんな方々にお話をおききする機会をえられた事はとてもよかったです。私は視能訓練士です。視能訓練士は眼科にいて患者さんの視力や視野を測定します。見えにくいと悩んでおられる方を一番最初に見つけられる所にいるという事です。患者さんは通常の外来では何もおっしゃいません。悩んでいる方、不自由を感じておられる方をみつけられるよう アンテナを張り巡らす事の必要性を再認識いたしました。参加させて頂いた事本当に感謝しています。 

熊本市 視能訓練士
まず、会場に入ってびっくりしました。まだ始まってもいないのに会場全体に活気があり温かい雰囲気を感じたことです。次に目に入ってきたのは、満席の会場の中を安藤先生ご自身から参加者に声をかけたり、会場設営の為に動いたりという光景です。先生の人柄が会場の雰囲気を作っているのだとわかりました。最終回になる今回のテーマは『私と視覚リハビリテーション』で様々な経緯と立場から4名のパネリストの大変興味深い過去から現在に至るまでの話が聴けました。また、先生方に共通することとして、ロービジョンケアの精神を当事者から学んできていることと、将来のビジョンを持って根気強く他にないことを創造し行っていること、がありました。『行き当たりばったり』になったとき、『行き当たりばっちり』になれるように、日々の知識と技術の研鑽と、目の前の患者さんからロービジョンケアマインドを学ぶ姿勢が大切だと、改めて感じさせられた一日でした。 

新潟県 視能訓練士
研究会に参加して、まず、私は外来で手作りサインガードと読書用タイポスコープを作製しました。以前から、ロービジョン者、晴眼者にかかわらず、金融機関などの振込・振替用紙に上手く記入できない!という声を聞きます。私も同じくその用紙にはとても見づらさを感じています。ましてや、ロービジョン患者様にとって枠の中に文字をおさめることは難しく、訂正印を押し書き直したりでストレスを感じている患者様は多い事と思います。そこで、講師の先生がお話くださったように私にもできるクイックロービジョンケアを始めることにしました。患者様に資料だけではなく手作りサインガードなどをその場でお渡しすることで、すぐにでも使ってもらえることから、ロービジョングッズに興味をもっていただければ・・・少しでも患者様の『生活の質の向上』のお手伝いになれるORTを目指していこうと思います。 

東京都 女性
初めて参加させていただき、安藤先生の長年の取り組みに大変感動いたしました。安藤先生をはじめとする同志の先生方のプレゼンテーションを拝聴し、福祉施設に働くものとして、多くの刺激をいただきました。当事者のみなさんの言葉に耳をかたむけ、その背景を学び共有することは福祉施設で働く者にも当然必要なことと感じておりました。しかしながら、日々の仕事を理由になかなかアクションを起こすことができず今日に至っておりました。今年度、当館でスタートした相談支援事業では、近隣の医療機関に赴き相談会を開催したり、日常生活用具を持参し実際に手に取っていただき説明をするなど、細々とした繋がりができ始めています。館として動き出した新しい事業を、よりよい形で広げるために職員の意識もそれに伴うよう、できることから形にしていく意義を感じた次第です。新潟ロービジョン研究会のパッションを肌で感じ、目から鱗が落ちた感覚でした。懇親会では美味しいお食事をいただき、お腹も心もいっぱいになり、幸せな気持ちで帰京いたしました。 

仙台市 女性
あしかけ17年(全18回)の継続と、毎回の興味深いテーマ設定、そして、このような貴重な研究会を聴講料無料で開催しておられることに今年も感謝申し上げます。今回の研究会のテーマは「私と視覚リハビリテーション」でした。4人の演者の方が、偶然のめぐりあわせや、あるいは「受け入れがたい苦い経験」を糧にしながら、それぞれの立場から視覚リハビリテーションに関わり、続けてこられている姿勢が、聞いていてとても励みになりました。「○○地域は△△さんたちがいるから視覚リハが進んでいていいよねぇ」とうらやましく思っていても何も始まりません。地域ごとに制約(=障害)があることを踏まえた上で、それでもその地域の「現場」に携わる人が「今・ここで」できることを探っていくことの重要性を改めて感じました。日本は広いので、各地に浸透するには長い年月を必要とするかと思いますが、粘り強く楽観的にやっていきたいものです 

東京都 眼科医
午前中の仕事を終え、急いで新幹線に飛び乗り会場に到着した時には、既に山田先生の講演は終了しており清水先生がご講演中でした。ご自分の体験をお話しくださり、眼科医というよりも一人の人間としての当事者への関わり方の考え方を教えていただきました。高橋先生からは視力が弱くなってしまった方々が、社会との繋がりを続けていくために、私たちが何を考えて行動をしていくべきかを教えていただきました。後半の討論の場で当事者である大島さんから“以前に主治医に診断書のお願いをした時に、先生から「診断書は、患者さんのために書くものなんですよ。」という言葉を聞いて以来、自分の話や自分の気持ちをドクターに話す様になった“というお話を聞きました。改めて自分が患者さんにどのような態度や気持ちで接しているかなぁ・・・と自分を振り返る良い機会となりました。いつかこのような会がまたありましたら、是非また参加したいです。 

愛媛県 男性
演者の皆様は我が国を代表するロービジョンケアの第一人者ばかりです。このような素晴らしい研究会を毎年無料で主催されてこられた安藤先生には心より感謝しております。安藤先生と山田先生がこれまで新潟で継続して実践されている取り組みは、医師と患者の深いつながりを大切にされ、生き生きと共に歩む姿勢が何より素晴らしいと感じます。視覚リハのお手本として多くの人々に知っていただきたいと思います。清水先生のお父様が失明されたときに、お父様の母親から、失明は誰にでも経験できるものではない。この貴重な体験を生かして、小さなことでも人に役立つようにと、我が子に対して、自信と希望を持たせたことに感動しました。身近にいる大切な人がしっかりと受け止め一緒に歩むことが大切であると改めて感じました。これは視覚リハに関わる者も同じように大切にしたい気持ちだと思います。高橋先生が目指しているユートピアは、ロービジョンであることを隠さずカミングアウトのできる障害者の生きる理想の社会であり、この実現のため神戸アイセンターの2階にビジョンパークという障害のあるなしにかかわらず皆が楽しく集い活動する場を設けるとのことで、網膜再生医療と合わせて、新たな医療と福祉の取り組みが始まっています。この事業を推進するためのネクストビジョンのメンバーである仲泊先生と高橋先生との出会いが、新潟ロービジョン研究会だったとのことで、未来へつなぐ人たちとの出会いの場ともなっていた素晴らしい会を催していただいた安藤先生に心より感謝いたします。 

加藤 聡 (研究会;司会、東京大学眼科) 
第18回新潟ロービジョン研究会に司会役として、参加できとても充実した時間を過ごせましたことを主催者の安藤先生に心から感謝いたします。安藤先生も研究会中に言われました通り、今回の演者は今まで以上に選りすぐりの演者で、私だけでなく会場の方々も大満足だったと思えます。どの演者も本音で語っていただいたことが印象的です。この研究会が今回で終わってしまうことを残念に思いつつ、来年以降も何らかの形でこの続きがあることを期待しています。私は研究会の締めのあいさつの時にも申し上げましたが、仮にこの研究会が今回で終わってしまったとしても、新潟ロービジョン研究会で知り合った方たちとの絆は、私の今後の人生の上で大きな財産になることは間違いないと考えています。 

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【新潟ロービジョン研究会2017】
 日 時:2017年09月02日(土)14時~17時50分
  会 場:新潟大学医学部 有壬記念館 2階会議室
     住所:〒951-8510 新潟市旭町通1-757
 主 催:済生会新潟第二病院眼科
 テーマ:「私と視覚リハビリテーション」
 1)司会進行
   加藤 聡(東京大学眼科)、仲泊 聡(理化学研究所)
   安藤伸朗(済生会新潟第二病院)
  特別コメンテーター
   中村 透(川崎市視覚障害者情報文化センター)、大島光芳(新潟県上越市)
2)プログラム
 14時00分~
   開会のあいさつ  安藤伸朗(済生会新潟第二病院眼科)
 14時05分~
  「新潟ロービジョン研究会を立ち上げて16年」
    安藤 伸朗
    (済生会新潟第二病院眼科)
  http://andonoburo.net/on/6256
  14時40分~
  「眼科医と生活訓練士を中心に多職種が集まった、なんでもありの私たちの視覚障害リハビリテーション」
    山田 幸男
  (新潟県視覚障害者のリハビリを推進する会、
   NPO障害者自立支援センター「オアシス」、信楽園病院内科)
  http://andonoburo.net/on/6250
休憩(10分)
 15時25分~
  「眼科医オールジャパンでできるロービジョンケアを考える」
    清水 朋美
    (国立障害者リハビリテーションセンター病院眼科)
  http://andonoburo.net/on/6229
  16時00分~
  「ロービジョンケアとの出会い」 
    高橋 政代
    (理化学研究所CDB 網膜再生医療研究開発プロジェクト)
  http://andonoburo.net/on/6221
休憩(10分)
 16時45分~全体討論
 17時40分~討論総括   仲泊聡(理化学研究所)
 17時45分~閉会の挨拶  加藤聡(東京大学眼科)
 17時50分 終了

 

2017年12月30日

報告:【新潟ロービジョン研究会2017】  参加者からの感想 その1
  日時:2017年09月02日(土)
  会場:新潟大学医学部 有壬記念館 2階会議室

新潟県上越市 大島光芳 (研究会;コメンテーター)
冒頭に参加者の内訳が紹介されました。医者とか視能訓練士、看護師あるいは病院に務めている方は50人くらい。ご自身が目が不自由だとか家族だとかが50人くらい。あと40人くらいは盲学校に務めている方とか福祉関係の方とか特に興味のある方々が集まっています。私はこの参加者の多様性への寛大さ、それと当事者に対する対等な目線を強く感じました。それは講演にも引き継がれ「百の患者さんには百の人生がある。一生その患者さんと付き合う覚悟が大事だ。医師が変われば患者も変わる。」「もう1つの道、見えないけどできるという道がある。」「友達づくり、情報交換、ボランテアがやれる場」「患者さんの暮らしのためにやっている研究」「医療者からでもない福祉からでもないロービジョンケア」「途中の方が辛い。」「症状は連続的であって、連続的な人で構成されたピア」と嬉しい言葉が聞けました。お話された4人の先生はとにかく動き出すが特徴のように思えました。例えば「とにかくやるんだよ。法律とか規則を変えるまでやるんだよ。」「どんなに多職種が頑張っても、眼科医が突破口になり旗振っていかないと進まない。」「箱もの作って中を一生懸命に埋めるというのが大嫌いで、10年間中身を作っていよいよ外身を作る時期だと思ってお願いしたところです」「未来のあるべき姿から遡って今どうするかです」「守るだけでなく変えるものです」「社会が変わります。医療が変わります。人工知能で変わります」「アイデアを募集するには上下関係が邪魔になる」など気分を活性化する言葉を、どの先生からも聞けました。私は未診断疾患により見えなくなった67歳ですが、出来る限り勉強し、しっかり人生を歩みたいと、この研究会に参加して思いました。 

兵庫県 眼科医
この度は、9月2日の『新潟ロービジョン研究会2017』に参加させて頂きありがとうございました。日帰りのため、ご講演だけになってしましましたが、それでも、指定討論あり、全体でのフリー討論ありで、うまく計画された研究会でしたね。驚いたのは参加者が満席で、全国各地から顔見知りの方も参加されていたことです。私は、いつもMLで研究会や勉強会の案内と、その後の安藤先生の詳細な事後報告(講演抄録など)を見せてもらっているだけでした。しかし、今回はひょっとして安藤先生ご自身のご講演が最後になるかもしれないと考えて、新潟へ出かけた次第です。先ず安藤先生のお話しでは、ご自身の詳しい経歴を始めて聞かせてもらいましたが、LVケアへの思いは共感できました。次に、先生も尊敬され、私も同様に尊敬している山田幸男先生の控え目でいて実効性のあるLVケアの活動は素晴らしく、私としてはDM関連内科医にもこの活動を広めて戴きたいと思いました。清水朋子先生はよく透るお声で分かりやすい、説得性のあるお話しでした。視覚障害の父に育てられた先生の幼少時の考え方は本当に参考になりました。「クイックLVケア」はいい言葉で、私も使わしてもらおうと思っています。高橋政代先生も夢のあるしかし20年先には実現するだろう、多くの研究と社会改革を自信をもって話されました。「行き当たりバッチリ」の言葉も使おうと思っています。加藤聡日本ロービジョン学会理事長、仲泊聡(理研)先生、中村様その他の進行係の運営も素晴らしく、また、会場のお世話係りの方々も行き届いた対応で、素晴らしい会だったと思います。懇親会に参加できなかったのが心残りです。 

神奈川県 女性
今回は安藤先生の生い立ちからのお話が聞けたファン垂涎もの。また山田先生の語る、失明患者の自死から学び悩み切り開いた自立支援施設のお話は、決して始まりは明るくないが、今を、障害者たちを、絶望ではない未来へ導く、希望の光が射している。御講演者のお話はどれも温かく胸に沁み力強い励みになり、自立の大切さを強く感じた。懇親会では、障害者から障害者へ教わり伝えるリレー料理教室やブラインドメイクの経験者ともお会いし「ガスの火も使える。晴眼の頃に失敗した料理も、今の方が上手に作れる。」そう話す笑顔はとても綺麗で、清潔に感じる丁寧なメイクにも、見惚れる。そして患者自身や大きな施設だけでなく、クリニック勤務の医療者の方々やチェーン店の薬剤師さん。皆それぞれに手探りし工夫をしながら頑張っている。患者の身として有難く嬉しい。そして思う。「もし見えなくなっても、出来ることは、きっといっぱいある。」 

東京都 眼科医
山田幸男先生~地道な活動を長年継続していらっしゃいますことを、以前から尊敬申し上げております。生徒が次々に先生になって伝えていくリレー式の料理教室など、すばらしい方式だと思いました。先生はもうデジタルな時代だからとおっしゃいますが、アナログなアプローチこそ人間にしかできないことで、実はこれからAIが進めば進むほど大切になってくると思います。清水朋美先生~何と言っても、視覚障害のある方々の日常を家族の体感で知っていらっしゃることが強みだと思いました。すぐ使えるクイックロービジョンについても、どんどん具体的に発信して頂ければ幸いです。高橋政代先生~ワープする思考の快感、とでもいうべきものを久しぶりに感じさせて頂きました。境界領域を鳥の眼で見渡すと、随分と面白いものが沢山、案外手つかずのまま落ちているように思います。安藤伸郎先生~先生ご自身ももちろんなのですが、僭越ながら、先生の人と人とを結びつけて新しい化学反応を起こさせるというご才能が全く他の追随を許さず群を抜いていて、本当に素晴らしいことだと思います。これからもどうぞ、いろいろと興味深いものをみせて頂けるようお願い申し上げます。 

東京都 男性
思えば第1回の開催に際し、当時の私の勤務先に講師依頼をいただいたことがきっかけの初参加で、何と光栄なことかと感謝申し上げています。さて、デジタルビジョンケア華やかな現在、アナログ的ビジョンケアの重要性を、山田幸男先生の講演から改めて痛感しました。視覚支援機器は、ICTの発展に加え、AIが絡み、いずれメガネのように難しい操作もなく、誰でも読み書きに不自由がなくなることは、20年後を見据えた高橋政代先生の話から想像できます。しかし、歩行(移動、転倒防止)や人との関わり(コミュニケーションの喜び、自殺防止)は、ICT、IOT、AIの技術がいかに発展しても解決できないこともまた再認識させていただきました。ある看護師さんは、下の世話のできる我々こそ、高齢ロービジョン者へのケアの担い手と仰っています。人が人に関わるアナログ的ロービジョンケアがあってこそ、求める人にはデジタルビジョンケアを、という流れが理想のよに思えました。

埼玉県 眼科医
今回の演者は4名ともに視覚リハとの接点を持ち、長くこの領域に関わっている医師である。各々、メインでやっている仕事は異なるが、共通して言えるのは「半端ないロービジョンケアマインド」だと感じた。日本のロービジョンケアをもっと発展させるには、特に次世代の若手眼科医にロービジョンケアマインドをいかに根付かせていけるのかがキーになると思う。各地にきっといる「半端ないロービジョンケアマインド」を持つ医師が集結すれば不可能ではない気がしてきた。日本のロービジョンケアの先行きが楽しみになるような研究会だったと思う。長年、本研究会を主催してこられた安藤先生、本当にありがとうございました!そして、お疲れさまでした!本研究会は、The endではなく、きっとTo be continuedになることでしょう。 

千葉市 男性
安藤先生をはじめ、ご講演いただいた先生方からは、今回も多くの「気づき」をいただきました。また、親睦会では医療機関、福祉機関、教育機関、そして視覚障害当事者と、多岐にわたる方々と旧交を温めたり、新たなつながりができたりと、大変充実した時間を過ごさせていただきました。これも安藤先生の長年のご尽力のおかげと感謝は尽きません。新潟ロービジョン研究会は今回が一つの区切りを迎えるようですが、安藤先生を中心としたこのすばらしいネットワークは永久に不滅であると確信しております。今後ともよろしくお願いいたします。

新潟市 男性
安藤先生が「患者さんの治療後、退院後の生活」に心を向けてロービジョンに取り組まれ、現在の大きな成果につながっていることに改めて感銘を受けました。40年の多様な体験から出た「受容」と「共感」という言葉は特に響きました。山田先生の誠実で優しいお人柄と、地道ながら着実に重ねてこられた取組に頭が下がります。清水先生の当たり前に備わるべき「ケアマインド」のお話、高橋先生の最先端技術の根っこにある「人間性」と「創造性」というお話からは、日本の眼科医療をけん引する先生を少し身近に感じられ、近未来に明るい希望が見える気がしました。それにしてもすごい先生方の貴重なお話をお聞きすることができて、本当に勉強になりました。安藤先生ありがとうございました。 

神奈川県 男性
今回、初めて「新潟ロービジョン研究会」に参加させていただいたのですが、各演者さんの示唆に富んだお話を聞け、非常に刺激になりました。私は普段は訓練士としてリハビリ業務に従事しており、眼科医がメインの集まりには余り参加する機会はないのですが、知り合いの視能訓練士からは「ロービジョンケアはなかなか採算が取れないので、広がりという意味では難しい面がある」と聞いたりします。その中で、安藤先生をはじめ、山田先生などがロービジョンケアに尽力され、また、視覚障害の方のカウンセリングや訓練、レクの場を作っておられることにとても感銘を受けました。仲泊先生もおっしゃってましたが、「この患者は退院したらどうなるんだろう?」と普通は考えるが、安藤先生の場合「この患者をどういう風に退院させたらよいのだろう?」と考えれらる点が素晴らしいです。と同時に、眼科医個人の資質に余りにも頼りすぎている現状に危機感もあります。視覚リハは万能ではありませんが、それでも早期の段階で患者さんが視覚リハと結びつく仕組みを作らなければいけません。理学療法士や作業療法士のように、医療現場により近い場所で歩行訓練士が活動することが大切で、高橋先生や仲泊先生のいらっしゃる神戸アイセンターがそのモデルケースになってくれたらと思います。清水先生の提唱された「クイックロービジョンケア」も大変興味深いものでした。ちょっとしたことで、見えにくさの改善が図れたりしますので、全国の眼科医でこのような工夫が取り入れられるとよいと思います。 

名古屋市 眼科医
まず、参加者の数に驚かされました。それと、医師、医療関係者、患者関係者とそれぞれに多数の参加者があり、他に例を見ないユニークな勉強会であったと思います。講演内容に関しては、今回は総括のような意味もあり、それぞれの講演者の先生自身のロービジョンとの関わりから始まり、先生それぞれのロービジョンに対する考え方や立ち位置をお話しいただいたものと思いますが、どれも非常に興味深く拝聴しました。私はロービジョン初心者ですが、大いに共感し、勇気をいただいた気がします。討論もしっかり時間をとってあり、しゃべりっぱなしではなく、わからないところはとことん議論しようという姿勢はさすがと感じました。最近の学会ではあまりみられなくなった光景ですが、反省すべきかと思います。討論では、人により、また職種間により意見が割れる場面も多かったと思います。これも決して悪いことではなく、お互いの考え方を知る良い機会でしたし、今回のご講演と討論をお聞きして、私はやはり私たち一般の眼科医がもっとロービジョンケアに取り組み、その中で声を上げていくことが、このような溝をなくし、患者さんにもよりよいケアを提供できる道ではないかと考えるに至りました。微力ながら精進したいと思います。以上、本当に楽しく、勉強になりました。ありがとうございました。 

新潟県 男性
新潟ロービジョン研究会は医療関係者を対象にした研究会の印象が強く障害者にとっては敷居の高い講演会と思われましたが今年が最後になるとの事なので思い切って参加させて頂きました。安藤先生と山田先生にはそれぞれ主催されている「眼科勉強会」・「視覚障害者支援センタ」でお世話になっております。両先生が眼科医に従事されていた昔、患者さんが自らの命を絶つ・治療の甲斐なく失明した等の厳しい経験を経てロービジョンケアの重要性を周囲に説きLVCに尽力されている様子が講演を通じ良く理解出来ました。今後共両先生のご指導を頂き夫婦協力し歩んで行きたいとの気持ちを強く致しました。清水先生は御父上が全盲で有ったとの稀有な経験から又高橋先生は再生医療の経験を通し、両先生が高度のLVCの必要性を感じ取られ活動されている事が良く判りました。清水先生の「全ての眼科医がLVCを」高橋先生の「アイセンタ」の達成と成功をお祈り致しました。   

神奈川県 眼科医
昨年に続き、素晴らしい講演会、ありがとうございました。安藤先生:100人の患者さまには100の人生、受容と共感、患者を見捨てない、cureとcare(見えなくてもできる、サポーターとして一緒に岩を支えようとする)など先生の哲学に加え、病気の人を治す、ニーバーの祈り、等珠玉のお言葉の数々をいただき、心に刻みたいと思いました。山田先生:O君の自殺から学ばれて、内科医であられながらこれだけのお働きにつなげられたことに感銘を受けました。患者様にききフィードバックする姿勢、気付きそして学ぶこと、の大切さを、教えられました。清水先生:何度おききしても、涙がでます。失明を貴重な体験としてそれを生かした仕事をすれば、それがたとえ小さくても社会貢献につながれば生きがいになるのでは?という発想の転換、素晴らしいと思います。清水先生の原動力、モチベーションの真摯さを前に、自分のモチベーションを改めて問われる思いです。高橋先生:未来視力と仲泊先生が形容しておられたように、何十年先のビジョンから逆算しやるべきことを割り出されるとのこと。高みから俯瞰する力、次々に湧いてくるビジョンの豊かさには世界のトップリーダーとしての資質を垣間見させていただきました。到底真似できないけれど、せめて目の前のことに追われるばかりの毎日から抜け出しビジョンや夢に向かい必要なことに向き合う努力をせねば、と思いました。先生方からいただいたメッセージを大切にしていきたいです。安藤先生の素晴らしい会やお働きに深く感謝しつつ、これからもお続けいただけたらと心から願っております。 

新潟県 女性
安藤先生 過去 何回か研究会に参加させて、いただき とっても毎回感動と感謝を書き込みと御礼を、考えてと思いつつ 時間に流されてしまい、先生の勉強会研究会 学会 診療 本当に多忙な 活動には頭がさがります。私は まだ若く元気な 十代で 視神経炎と診断され、再発を繰り返すため神経内科の病気といわれ 早 半世紀になり、中途視覚障害となり オアシスと出会い このような、会を知り 多くの出会いと たくさんのかたの支えがあり、生かされていることに感謝しています。また健康でいたなら決してかかわれないであろう世界、清水先生のおばあ様の言葉 [人としてあまり経験できないことを できる事として生きる}やがて失明するかもしれない子供に諭されたように、ポジティブな生き方を諭され、そのような考え方もある事 こんなにもロービジョンについて研究してただく方々 私が 発病したころは全く このような所もなく ただ不安な気持ちをかかえていました。 近年の医学の発展はめまぐるしいものがあり、す応用できるかは、これからおおいに期待したいものです。私たち 当事者も、住みよい社会になにができるか解りませんが、声をだすがも必要といおもいます。 

新潟市 男性
職種を問わず、職務の実践とそれに関わる研修や研究は、携わる者にとって大切なことであると言われています。なかでも医療・福祉・教育などの従事者は、当事者の裁量に任せられている内容が多く、研修や研究は不可欠です。安藤先生が二十数年にわたり開催された勉強会や研究会を通して、私はその度ごとに、自らの課題に気付くことができました。また、眼科をはじめ、すばらしい講師先生方から、各分野の現状と課題などについてお話をうかがうことができました。日々の仕事を振り返り、明日への希望が湧く貴重な機会を頂戴しました。安藤先生の長年にわたる御尽力に感謝申し上げます。ありがとうございました。 

新潟市 視能訓練士
ロービジョンケアの知識がなかった頃、教えて下さる先生を探して関東の講習会に参加させていただいてました。あれから20数年が経過し、この会は新潟で毎回素晴らしい先生方のご講演を聞くことが出来る、贅沢で夢のような時間でした。高橋先生の20年後の壮大なビジョンのお話。山田先生の当時の院長先生にライフワークにしなさいと言われ、20年以上継続されていらしゃるお話。20年後を楽しみにしたいと思いました。 

新潟県 男性
第18回新潟ロービジョン研究会は、どの演題も成書にはない、ロービジョンケアの実践から生まれてくる言葉で語られて胸を打たれた。その中でもっともシンパシーを感じたのは高橋政代先生の「ロービジョンケアとの出会い」だった。高橋先生は視覚障害があることをカミングアウトできない人もいるということを指摘されたが、この一言が心からうれしかった。研究会後半の総合討論でも高橋先生に「なぜ、カミングアウトできないと思うか?」という質問があった。これに当事者として答えるなら、第一に視覚障害に対して自分自身が否定的な感情を持っているために、他人に知られることが恥ずかしいと思っているので隠したい。第二に仕事上、あるいは就職に不利になるなど、実質的な必要性があるために隠したい、といったところだろうか。視力0.08の軽度視覚障害者は、白い杖は持っていないが、メガネやコンタクトを使っても十分には見えるようにならないために、時に大変な困難を感じている。しかし、多くの市民、医療者にはこのことがあまり知られていない。そこにカミングアウトできないということが加わるから、やっかいである。障害が軽度である人の困難は、重度の人と比べて小さいと理解されていて、重度、軽度というのは単に目の見え方の程度を示すだけではなく、辛さの程度や困難さを表すものと理解されているが、本当にそれは正しいか、もう一度考えてみてほしい。Scienceの最前線にいる高橋先生が、もっともHumanな問題も考えて下さっていたことに感謝したい。 

長野県 女性
毎回演者の方々が第一線でご活躍の先生方ばかりでしたので、私にとってこの研究会はとても貴重な機会でした。今回で終わるのはとても残念で、淋しいです。でもパワフルな安藤先生のこと、これは単なる一区切り、新境地を開かれるものと確信しております。 今回の研究会は最後ということで、いつもと少し異なり、研究面より、個人的背景やロービジョンに関わったきっかけを詳しくお話し下さり、それぞれの先生の人間性が垣間見えて私にはとても興味深かったです。ロービジョンにお世話になっている者としては、先生方のロービジョンに対する熱い思いも伝わってきて、大変心強く感じました。 安藤先生に心からねぎらいの言葉と賛辞を捧げたいと思います。 

岐阜県 視能訓練士
まずもって新潟大学有壬記念館にご参集の皆様に心から拍手を贈らせて頂きます。発展的最終回に相応しい講師の先生方に感謝です。いつも思うのですが日本中から一流の素晴らしい先生をお招き下さる安藤先生の凄さに感銘しておりました。今回は超厳選されこれ以上無い皆様方でした。私はスライドに食い入り、お話ぶりに納得し体中で感動し言葉がありませんでした。当事者様、ご家族のために夫々の立ち位置で手を携え未来は捨てたものではないと実感しました。先生にはロービジョンリハへ背中を押して頂いたり、応援やご指導を賜り有難うございました。もう少しお役に立てるよう気張ります。 

宮城県 男性
新潟ロービジョン研究会では、貴重な経験をすることが出来ました。私自身が初めて参加した2014年頃から、この研究会では様々なエッセンスを頂きました。特に印象的だったものは、信楽園病院山田先生の「ケアのリレー」です。講演を聞いていく中で「ケアのリレー」は、視覚リハの人員が足りない地域でも、有効活用ができると確信しました。実際に私自身がお会いする方々、地域で同じような流れを作ることが出来ないかと考え、福島県のいわき市にある木村眼科クリニックの多大なる協力のおかげで「ケアのリレー」を参考にした「音声パソコンの使い方リレー」を実践しています。感謝と共に今後の継続的な研究会も希望しています。 

新潟市 女性
「ロービジョン研究会」となっていると、ロービジョンについて目のことや支援のしかたなどを学ぶ会という印象があります。今回は、少し視点が違うというか、いろいろな方々の「ロービジョン」(視覚障害)との出会いやかかわり方、これからのことを聞くことができました。このような話からは、支援や配慮、かかわりのポイントが自然に出てきていて、とても聞きやすい・分かりやすいと思いました。そして、いろいろなかかわり方があると思いました。そのいろいろが重なったり交わったりして、社会全体がロービジョンを知っていく、かかわっていくといいなぁと思っています。

理化学研究所 仲泊 聡 (研究会;司会)
安藤先生には、2003年に第9回神奈川ロービジョンネットワーク研修会でお会いしてから、すでに14年もご指導頂いております。前の職場に移るときに相談に乗ってくださったのも、そして、今の職場を得るチャンスを与えてくださったのも安藤先生です。この業界に足を踏み入れたのは私が数年早かったようですが、常に安藤先生に導かれてここまできたように思っています。本研究会では、毎度の無茶振りで、その都度大変勉強させていただきました。今回は、やっと終わりのご挨拶だけだとホッとしていたところ、結局壇上でのディスカッションに駆り出されました。奇しくも演者の半分は私と職場を共にした(している)清水先生と高橋先生で、お二人には大変大変お世話になっております。彼らは、日本のロービジョン業界を支える現場の二本柱です。今回のご講演では、そのお二人から「クイックロービジョンの勧め」「軽度ロービジョンへの注目」というふたつの新しいメッセージに触れることができました。どちらもとても重要なことです。何とかして全ての眼科医に、これらを普及させなければと身の引き締まる思いがしました。安藤先生と山田先生のお話はこれまでに何度もお聞きしてきておりますが、その度にその哲学が身に滲みます。お二人の患者中心の診療の姿勢には毎回頭の下がる思いです。最後に、安藤先生が、この研究会などを通して、日本のロービジョン業界を牽引してこられたことに敬意を表しまして、私の感想とさせて頂きます。

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【新潟ロービジョン研究会2017】
 日 時:2017年09月02日(土)14時~17時50分
  会 場:新潟大学医学部 有壬記念館 2階会議室
     住所:〒951-8510 新潟市旭町通1-757
 主 催:済生会新潟第二病院眼科
 テーマ:「私と視覚リハビリテーション」
 1)司会進行
   加藤 聡(東京大学眼科)、仲泊 聡(理化学研究所)、安藤伸朗(済生会新潟第二病院)
  特別コメンテーター
   中村 透(川崎市視覚障害者情報文化センター)、大島光芳(新潟県上越市)
2)プログラム
 14時00分~
   開会のあいさつ  安藤伸朗(済生会新潟第二病院眼科)
 14時05分~
  「新潟ロービジョン研究会を立ち上げて16年」
    安藤 伸朗
    (済生会新潟第二病院眼科)
  http://andonoburo.net/on/6256

 14時40分~
  「眼科医と生活訓練士を中心に多職種が集まった、なんでもありの私たちの視覚障害リハビリテーション」
    山田 幸男
  (新潟県視覚障害者のリハビリを推進する会、NPO障害者自立支援センター「オアシス」、信楽園病院内科) 
  http://andonoburo.net/on/6250  

休憩(10分)
 15時25分~
  「眼科医オールジャパンでできるロービジョンケアを考える」
    清水 朋美
    (国立障害者リハビリテーションセンター病院眼科)
  http://andonoburo.net/on/6229

  16時00分~
  「ロービジョンケアとの出会い」 
    高橋 政代
    (理化学研究所CDB 網膜再生医療研究開発プロジェクト)
  http://andonoburo.net/on/6221

 

休憩(10分)
 16時45分~全体討論
 17時40分~討論総括   仲泊聡(理化学研究所)
 17時45分~閉会の挨拶  加藤聡(東京大学眼科)
 17時50分 終了 

2017年12月29日

報告:【新潟ロービジョン研究会2017】   4)安藤伸朗
  日時:2017年09月02日(土)
   会場:新潟大学医学部 有壬記念館 2階会議室 

「新潟ロービジョン研究会2017」から、安藤伸朗の講演要約をアップします。
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 演題:「新潟ロービジョン研究会を立ち上げて16年」
 講師:安藤伸朗 済生会新潟第二病院眼科
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【講演要約】
 「眼科医の評価は目を治すこと」と信じ手術に明け暮れていた一眼科医が、視覚リハビリテーションに興味を持ち、ロービジョン研究会を立ち上げ16年間続けた。この度、最終回を迎え、ここまでの経緯を振り返ってみた。 

 私が医学部学生の昭和40年代後半から50年代にかけては、医学は急成長し癌に対する手術療法・放射線療法・抗がん剤治療などが華々しく進歩した時代であった。一方で、1957年に乳児死亡率が全国平均の2倍から、1962年に全国初の乳児死亡“ゼロ”を達成した岩手県沢内村((現西和賀町)の深沢晟雄村長や、農村特有の疾病の研究及び保健活動を積極的に行うことにより農村医学を発展させた佐久総合病院の若月俊一院長が注目を浴びていた。こうした時代に医学を学び、病を治すことのみでなく、予防やリハビリに興味を持った。医学部5年生の時に、新潟大学整形外科の田島達也教授(当時)に紹介状を書いて頂き、当時我が国で一番最先端のリハビリテーションを行っていた都立養育院(現在の東京都健康長寿医療センター)に見学に出掛けた。当時の記憶は定かでないが、治すことをしっかりできる医師になってからリハビリを極めたいと思ったことを記憶している。 

 1977年(昭和52年)3月に新潟大学医学部を卒業し、すぐに新潟大学眼科学教室に入局した。大学眼科時代の18年10か月は、必死に患者さんの治療に明け暮れた。特に網膜硝子体疾患の手術の修練に励んだ。当時は難治性の網膜剥離や増殖糖尿病網膜症の治療を行う硝子体手術が日本に導入された頃である。手術の術を獲得するために講習会に出掛け、全国の眼科医と討論を重ねた。国内外で学会活動をした。当時恩師の岩田和雄教授には「単なる手術屋になってはならない。疾患の病態生理を学びそこから治療法を見出すことが大事」と諭された。研究のテーマは、血液網膜柵機能と網膜硝子体疾患で、外来診療の傍ら硝子体螢光測定を行っていた。 

 1984年に糖尿病網膜症で高度の視力低下に陥っていた患者Oさんの硝子体手術を行った。手術は成功し長い間見えなかった目が見えるようになった。Oさんは奥様ともどもとても喜んでくれた。ところが2週間と経たないうちに続発性緑内障になり結局光を失ってしまった。そしてあろうことかその数日後に入院していた病院で飛び降り、自ら命を絶ってしまった。このことが、内科の主治医の山田幸男先生(当時、信楽園病院)と出会いとなった。その後山田先生は、視覚障害者の視覚リハビリテーションに取り組み、新潟に素晴らしい視覚リハビリテーションを築いた。 

 1991年7月米国Duke大学留学しMRIとガドリニウムを用いた血液網膜柵の研究を行った。Dukeには硝子体手術の父と言われたRobert Machemer教授が在職しており、時間がある時は手術の見学が許され硝子体手術をまじかに学ぶことができた。Machemer教授は、常に真のサージャンの心得をレジデントに語っていた。「本当の医者は、自分の手術の上達に満足するのではなく、手術を受けた患者がどのように生活を拡大するかに心を配らなければいけない。手術後の屈折矯正を基本とする視覚環境のケアに眼科医はもっと関心を持たなければいけない」。今日でいうロービジョンケアに通じる言葉だった。 

 1996年2月に現在の済生会新潟第二病院に赴任した当時は、多くの眼科手術(特に網膜硝子体手術)の経験があり、どんな病気もメスで治すことが出来ると自負していた。赴任して一年ほどして、両眼増殖糖尿病網膜症の69歳男性が入院した。入院時視力は両眼0.1。何度も手術を繰り返すも、両眼光覚弁となってしまった。退院させようにも、親戚もなく日常生活も出来ずという状況で、メディカル・ソー シャルワーカーや看護師・保健師等々と度々相談した。こうした経験からロービジョンケアを取り入れようと国立障害者リハビリテーションセンター病院(以後、国リハと略す)第三機能回復訓練部部長だった簗島謙次先生にお願いして、当院の視能訓練士一人を2カ月ほど毎週所沢まで通わせロービジョンケアの手ほどきをして頂いた。1998年には国リハで行っていた視覚障害者用補装具適合判定医師研修会に参加し、私自身がロービジョンケアを学んだ。 

 2000年4月、日本ロービジョン学会が創設された。済生会新潟第二病院眼科でも始めたばかりだったので積極的に参加した。全国の経験や活動、そして多くの職種の方との交わりは刺激だった。2001年4月、学びながら発展したいと念じて、「新潟ロービジョン研究会」を開始した。本研究会には、我が国の眼科医療と視覚リハビリテーションの分野で活躍している方々をお招きし、県内外から参加者が集う会に成長した。 講師の先生方に講演抄録や講演要約を執筆して頂き、研究会のご案内や報告をメールやメーリングリストで全国に発信した。2001年から開始して今回2017年でトータルで18回となった(2001年は2回開催)。 

 メーカーなどからの資金援助なしで、ゼロからスタートしここに至るまで全国の先輩や仲間に指導して頂いた。講演者は旅費のみで来て頂いた。研究会の開催に当たっては病院眼科スタッフや病院関係者、そして会場作りなどで多くの皆さまのご協力を賜った。感謝の一言に尽きる。 

 定年を迎える2018年3月以降、どのような人生が待っているか分からないが、何かに興味を持ち、何とか情報を発信するであろう自分に期待し、ワクワクしている。 

 

【略 歴】
 1977年3月 新潟大学医学部卒業
      5月 新潟大学眼科学教室入局
 1979年1月 浜松聖隷病院勤務(1年6ヶ月)
 1987年2月 新潟大学医学部講師
 1991年7月 米国Duke大学留学(1年間)
 1992年7月 新潟大学医学部講師(復職)
 1996年2月 済生会新潟第二病院眼科部長
 2014年4月 杏林大学非常勤講師
 2017年11月 東京女子医大東医療センター 客員教授 

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【新潟ロービジョン研究会2017】
 日 時:2017年09月02日(土)14時~17時50分
  会 場:新潟大学医学部 有壬記念館 2階会議室
     住所:〒951-8510 新潟市旭町通1-757
 主 催:済生会新潟第二病院眼科
 テーマ:「私と視覚リハビリテーション」
 1)司会進行
   加藤 聡(東京大学眼科)
   仲泊 聡(理化学研究所)
   安藤伸朗(済生会新潟第二病院)
  特別コメンテーター
   中村 透(川崎市視覚障害者情報文化センター)
   大島光芳(新潟県上越市)
2)プログラム
 14時00分~
   開会のあいさつ  安藤伸朗(済生会新潟第二病院眼科)
 14時05分~
  「新潟ロービジョン研究会を立ち上げて16年」
    安藤 伸朗
    (済生会新潟第二病院眼科)
 14時40分~
  「眼科医と生活訓練士を中心に多職種が集まった、なんでもありの私たちの視覚障害リハビリテーション」
    山田 幸男
    (新潟県視覚障害者のリハビリを推進する会、NPO障害者自立支援センター「オアシス」、信楽園病院内科)
  http://andonoburo.net/on/6250
休憩(10分)
 15時25分~
  「眼科医オールジャパンでできるロービジョンケアを考える」
    清水 朋美
    (国立障害者リハビリテーションセンター病院眼科)
  http://andonoburo.net/on/6229
 16時00分~
  「ロービジョンケアとの出会い」 
    高橋 政代
    (理化学研究所CDB 網膜再生医療研究開発プロジェクト)
  http://andonoburo.net/on/6221
休憩(10分)
 16時45分~全体討論
 17時40分~討論総括   仲泊聡(理化学研究所)
 17時45分~閉会の挨拶  加藤聡(東京大学眼科)
 17時50分 終了

 

2017年12月28日

報告【新潟ロービジョン研究会2017】 3)山田幸男先生
  日時:2017年09月02日(土)
   会場:新潟大学医学部 有壬記念館 2階会議室 

「新潟ロービジョン研究会2017」から、山田幸男先生の講演要約をアップします。
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演題:眼科医と生活訓練士を中心に多職種が集まった、なんでもありの私たちの視覚障害リハビリテーション
講師:山田 幸男(新潟県視覚障害者のリハビリを推進する会、NPO障害者自立支援センター「オアシス」、信楽園病院内科)
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【講演要約】
1.眼科医赴任を待つリハビリ外来開設までの10年間
 私たちの視覚障害リハビリのきっかけは、1984年の糖尿病網膜症で失明した35歳男性(O君)の自殺でした。O君のような患者が周囲にたくさんいたため、次の自殺者を防ぐために、O君の自殺原因を検討する必要がありました。
 O君の生前の入院生活を振り返ると、トイレやナースステーションに行くときはもちろんのこと、食事をするときも常に奥さんの介助が必要でした。そのため奥さんは働くこともできず、経済的に困り、「俺さえいなければ」と死の道を選んだのではないかと考えました。もしO君が、自分で歩き、自力で食事ができたら、奥さんは働くことができ、自殺は防げていたのかもしれません。 
 当時、眼の不自由な人のリハビリが行われていることは私は知りませんでした。周囲の眼科医を含む医療関係者も知らない、聞いたことがないとの返事です。「視覚障害リハビリはまだないのかも?」頭の中がもやもやした日々が続きました。それを解消したのが、糖尿病学会での清水先生の講演でした。リハビリはすでに行われていたのです。すぐに先生のベーチェット協会江南施設を訪ねました。次いで全国にある主な施設も見学させてもらいました。
 そのリハビリですが、新潟県外の施設に行ってリハビリをやったことのある人が極めて少ないことと、病院内でリハビリを行ってほしいと答えた人が7割を占めたことから、リハビリは信楽園病院内で行うことを考えました。
 ところで、我々医療者が眼の不自由な人のリハビリの存在を知らなかったのは、医療(眼科診療)と福祉(リハビリ)の連携が不足していたためではないかと考えました。そのため、リハビリは眼科医と生活訓練士を中心に行うことが必要と考えました。ところが当院には常勤の眼科医が当時おりません。院長にお願いして大学からの赴任を待ちました。そして、1994年、待ちに待った眼科医、大石正夫先生が赴任してくださったのです。 

2.リハビリ外来の開設
 リハビリは、眼科医と関東のリハビリ施設の生活訓練士の先生を中心に、視能訓練士、糖尿病医、事務職員が担当しました。その後、看護師、栄養士、理学療法士、ケースワーカー、検査技師、ボランティアも加わり、月2日のリハビリ外来と、日常生活訓練を週4日行って、受診者の困ることに積極的に対応しています。 

3.心のケア
 眼が不自由になると、6割近くの人が一度は自殺を考えることや、半数の人がうつ病・うつ状態、すいみん障害、燃え尽きを経験したこと、家族などの介助者も同様の精神的なダメージが大きいことをアンケート調査で知り、家族を含めた心のケアの重要性を認識しました。その対応として、リハビリ外来、パソコン教室、グループセラピーや、我々の行う行事の中では心のケアを意識して運営を行っています。 

4.なんでもありのパソコン教室
 心のケアでもっとも大きな力になっているのがパソコン教室です。教室開設当時の20数年前は、パソコンは障害者にとっても革命的な手段でした。文字の読み書き、メール、インターネットなどができるからです。そこで眼の不自由な人の集まる場を「パソコン教室」と命名しました。もちろんパソコンも教えますが、パソコンをやらない人もお茶のみや情報交換の場としても利用できます。歩行や調理、化粧の指導などなんでもありの教室です。このパソコン教室が、実は眼の不自由な人の心のケアに大きな役割を果たしてきました。時には利き手が使えない脳卒中患者に、眼の不自由な人がワードの使い方を習得して、脳卒中患者に教えたことは、視覚障害者の大きな自信となりました。
 その効果の大きさから、県内10数か所にパソコン教室を開設しています。 

5.転倒予防・体力増進教室を含めた歩行講習会
 もっと外に出たいとの声が多いため誘導歩行教室を、白杖を使っている人の6割が一度も白杖の使い方を教わったことがないことを知り白杖教室、さらに体力の低下が著しいことから転倒予防・体力増進教室を含めた歩行講習会を毎月行っています。最近の調査で、眼の不自由な人も誘導や白杖の技術を身に着けるべきだと考えている人が多いことを知り、その指導方法を検討しているところです。 

 以上、眼科医と施設の生活訓練士を中心にした、多職種のスタッフが集まり、障害者の要望に応える私たちの視覚障害リハビリについて紹介いたしました。
 

【略 歴】  山田幸男(やまだ ゆきお)
 1967年(昭和42年)3月 新潟大学医学部卒業
  同年       4月 新潟大学医学部附属病院にてインターン
 1968年(昭和43年)4月 新潟大学医学部第一内科に入局。内分泌代謝斑に所属
 1979年(昭和54年)5月 社会福祉法人新潟市社会事業協会信楽園病院
 2005年(平成17年)4月 公益財団法人 新潟県保健衛生センター 

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【新潟ロービジョン研究会2017】
 日 時:2017年09月02日(土)14時~17時50分
  会 場:新潟大学医学部 有壬記念館 2階会議室
     住所:〒951-8510 新潟市旭町通1-757
 主 催:済生会新潟第二病院眼科
 テーマ:「私と視覚リハビリテーション」
 1)司会進行
   加藤 聡(東京大学眼科)
   仲泊 聡(理化学研究所)
   安藤伸朗(済生会新潟第二病院)
  特別コメンテーター
   中村 透(川崎市視覚障害者情報文化センター)
   大島光芳(新潟県上越市)
2)プログラム
 14時00分~
   開会のあいさつ  安藤伸朗(済生会新潟第二病院眼科)
 14時05分~
  「眼科医40年 患者さんに学んだケアマインド」
     安藤 伸朗
     (済生会新潟第二病院眼科)
 14時40分~
  「眼科医と生活訓練士を中心に多職種が集まった、なんでもありの私たちの視覚障害リハビリテーション
     山田 幸男
     (新潟県視覚障害者のリハビリを推進する会、NPO障害者自立支援センター「オアシス」、信楽園病院内科
休憩(10分)
 15時25分~
  「眼科医オールジャパンでできるロービジョンケアを考える」
     清水 朋美
     (国立障害者リハビリテーションセンター病院眼科)
  http://andonoburo.net/on/6229
 16時00分~
  「ロービジョンケアとの出会い」 
     高橋 政代
     (理化学研究所CDB 網膜再生医療研究開発プロジェクト)
  http://andonoburo.net/on/6221
休憩(10分)
 16時45分~全体討論
 17時40分~討論総括   仲泊聡(理化学研究所)
 17時45分~閉会の挨拶  加藤聡(東京大学眼科)
 17時50分 終了

2017年11月26日

報告【新潟ロービジョン研究会2017】 2)清水朋美先生
  日時:2017年09月02日(土)
   会場:新潟大学医学部 有壬記念館 2階会議室 

 「新潟ロービジョン研究会2017」から、清水朋美先生の講演要約をアップします。 

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演題:眼科医オールジャパンでできるロービジョンケアを考える
講師:清水朋美(国立障害者リハビリテーションセンター病院 第二診療部長)
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【講演要約】
  眼科医の仕事は今も昔も眼の病気を治すことである。私の眼科医像はこの点だけは一貫して変わらない。しかし、私のこれまでの半生を「プレ眼科医期」、「眼科医前半期」、「眼科医後半期」に分けて考えてみると、「見えにくい人の最大理解者!目の専門家!」→「見えにくい人のこと、わかっている???」→「見えにくい人のこと、わかってない眼科医が多すぎ!!!」と各期とともに私の眼科医像は変遷してきた。変遷してきた最大の理由は父にある。 

  私の父は、ベーチェット病が原因で30歳の時に失明した。私が生まれる前にすでに父は失明していたので、父は私を見たことはない。「プレ眼科医期」の私は、父が見えていないことを自然と理解することができた。就学前の幼少時に、どうして見えないのだろう?と不思議に思い、母に尋ねた。この時に母からベーチェット病のことを聞いた。遠い昔の出来事だが、今もこの時のことは鮮明に覚えている。その時、眼科医になればすべて解決できると幼いながらも強く思った。何しろ、眼科医は「見えにくい人の最大理解者!目の専門家!」だと信じていたからだ。 

  そのまま医学部に進学し、更に運よくベーチェット病研究の第一人者である大野重昭教授(北海道大学眼科名誉教授)と出会い、当時先生がおられた横浜市立大学眼科の大学院生になり、留学の機会も与えられた。このように、私の「眼科医前半期」が始まった。研究テーマはもちろんベーチェット病で、この頃の私は、これでようやく長年の敵と向かい合えるという心境だった。しかし、臨床経験を積むにつれ、私には不思議に思うことが増えてきた。医学部時代から眼科医になっても、福祉制度、障害者、診断書等の書き方、患者さんへの病状説明の仕方について全く学ばないし、手帳がとれそうなのに取っていない患者さんが多いこと等々の疑問は膨らむばかりだった。更には、患者さんと眼科医の視覚障害についての知識が乏しく、患者さんは「見えなくなったら何もできない、死んだ方がマシ…」といった内容に終始し、眼科医も「見えなくなったらミゼラブル、大変、えらいこと…そこまで考えなくていい…」といった応答に止まっていた。幼少時から視覚障害者との接点が多かった私にはとても違和感があった。私には視覚障害者は暗いというイメージはなく、明るく楽しく過ごしている視覚障害者を沢山知っていたので、余計に不思議だった。眼科医は「見えにくい人のこと、わかっている???」という思いが経験を積むにつれ、強くなっていった。 

  縁あって2009年から今の職場である国立障害者リハビリテーションセンター病院で勤務しているが、まさに「眼科医後半期」に入り、「見えにくい人のこと、わかってない眼科医が多すぎ!!!」という思いを確信している。以前よりはロービジョンケアに関心を持つ眼科医は増えてきたとは思う。それは、平成24年度からロービジョン検査判断料が保険点数化され、私の職場で開催される「視覚障害者用補装具適合判定医師研修会」に参加希望の眼科医が右肩上がりに増えていることを見ても明白だ。しかし、まだ多くの眼科医にとってロービジョンケアは異質なものに見えてしまっていることが残念だと思う。 

  一般の眼科医にとってロービジョンケアが常識となるには、制度、道具、連携に力を入れた王道のロービジョンケアではなく、すべての眼科医が取り組める「クイックロービジョンケア」を推進していくことがこれからの時代には必要ではないだろうか。つまり、ロービジョンケアマインドを持って、見えにくい患者さんにちょっとしたことをアドバイスできる力を身につけることだ。それを実現するには、医学生のうちから福祉的なことも学び、視覚障害の体験をするのもよいだろう。眼科専門医受験資格に視覚障害の体験や研修会を盛り込めるとなおいい。 

  一定の経験ある眼科医には、ロービジョン患者さんの最大の困り事である「読み書きと移動」の2点を最低でも患者さんに確認するシステムを構築するのも一案だろう。異質でわかりにくいからロービジョンケアはやらないというのではなく、サインガイドひとつでいいのでちょっとしたことを見え方で困っている患者さんに教えていけるようにすれば、より多くのロービジョンの患者が救われるだろう。これこそが眼科医オールジャパンでできるロービジョンケアだと思う。この体制を日本の眼科医に根付かせることが出来れば、日本のロービジョンケアは大きく変わると信じている。そのために、私の稀有な半生で得た経験が少しでも役立つのであれば、なお本望である。 

【参考URL】
 第9回オンキョー点字作文コンクール 国内の部 成人の部 佳作
 「忘れることのできない母の言葉」横浜市 西田 稔
 http://www.jp.onkyo.com/tenji/2011/jp03.htm

【略 歴】
 1991年 愛媛大学医学部 卒業
 1995年 横浜市立大学大学院医学研究科 修了
 1996年 ハーバード大学医学部スケペンス眼研究所 留学
 2001年 横浜市立大学医学部眼科学講座 助手
 2005年 聖隷横浜病院眼科 主任医長
 2009年 国立障害者リハビリテーションセンター病院眼科医長
 2017年 国立障害者リハビリテーションセンター病院第二診療部長
 現在に至る 

 

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【新潟ロービジョン研究会2017】
 日 時:2017年09月02日(土)
     開場:13時半  研究会:14時~17時50分
  会 場:新潟大学医学部 有壬記念館 2階会議室
     住所:〒951-8510 新潟市旭町通1-757
 主 催:済生会新潟第二病院眼科
 テーマ:「私と視覚リハビリテーション」
 1)司会進行
   加藤 聡(東京大学眼科)
   仲泊 聡(理化学研究所)
   安藤伸朗(済生会新潟第二病院)
  特別コメンテーター
   中村 透(川崎市視覚障害者情報文化センター)
   大島光芳(新潟県上越市)
2)プログラム
 14時00分~
   開会のあいさつ  安藤伸朗(済生会新潟第二病院眼科)
 14時05分~
  「眼科医40年 患者さんに学んだケアマインド」
     安藤 伸朗
     (済生会新潟第二病院眼科)
 14時40分~
  「私と視覚障害リハビリテーション」
     山田 幸男
     (県保健衛生センタ/信楽園病院/NPO「オアシス」)
休憩(10分)
 15時25分~
  「眼科医オールジャパンでできるロービジョンケアを考える」
     清水 朋美
     (国立障害者リハビリテーションセンター病院眼科)
 16時00分~
  「ロービジョンケアとの出会い」 
     高橋 政代
     (理化学研究所CDB 網膜再生医療研究開発プロジェクト)
  http://andonoburo.net/on/6221
休憩(10分)
 16時45分~全体討論
 17時40分~討論総括   仲泊聡(理化学研究所)
 17時45分~閉会の挨拶  加藤聡(東京大学眼科)
 17時50分 終了

2017年11月24日

報告【新潟ロービジョン研究会2017】 1)高橋政代先生
  日時:2017年09月02日(土)
   会場:新潟大学医学部 有壬記念館 2階会議室

 済生会新潟第二病院眼科で2001年開始(2001年は2回開催)、17回継続した「新潟ロービジョン研究会」は、新潟から眼科医療そして視覚リハビリテーションの情報を発信して参りましたが、今回の第18回が最後となります。ここまで続けてこれたのは、皆様のご支援のお蔭です。改めて感謝申し上げます。
 今回の研究会で行った4つの講演から、高橋政代先生の講演要約をアップします。


演題:ロービジョンケアとの出会い   
講師:高橋政代(理化学研究所CDB 網膜再生医療研究開発プロジェクト)

【講演要約】
 iPS細胞を用いた網膜の再生医療は他家移植という第2のステージに進み、標準治療としての可能性を追求している。期待はますます高まっているが、正常に戻るというような視機能回復を望めない初期の再生医療では、患者ケアや術後のリハビリテーション(ロービジョンケア)が必要である。

 このような考えに至った背景には、アメリカのソーク研究所留学を終えて帰国後再生医療の対象となる網膜色素変性の専門外来を担当したからである。それまで詳しくは知らなかったこの病気の診療に大きな問題があることにすぐ気付いた。その当時網膜色素変性は、診断されると「遺伝病です。失明します。治療法がありません。」それだけを伝えられることが多かった。

 患者さんはどうしたら良いのかもわからず大きな不安を抱えて、ただただビタミン剤をもらいに病院に通うだけであることを知ったのである。紹介患者がほとんどの大学病院の外来では、「必ずしも失明するわけではありませんよ」というだけでほっとされて泣かれる方がとても多かった。

 これはおかしいと思った。患者に幸せと安心を届けるべき医療から間違った情報が伝わり余計な精神的ストレスを生み出している。正しい情報や有用な情報を何とか伝えたい。私にとってロービジョンケアは補装具ではなく、精神的ケアが入り口であった。 

 1年ぐらいどうしようかと困っている時に患者さんの中の森田茂樹さんが京大で拡大読書器の紹介をさせて欲しいと申し出てくれた。これは渡りに船。時間と知識があるけれど場所と対象患者を持たない森田さんとその逆の私。かくして当事者とロービジョンケアの素人が行うロービジョンケア外来が京大病院眼科で始まった。

 業界の方々はヒヤヒヤしてみていたであろう。しかし、私には森田さんから患者側から見たロービジョンケアをたっぷり学んだ貴重な経験であった。違う角度から入ったことでよかった点もあるのかもしれない。その後、京都視力障害者協会の協力も得て、視能訓練士の方も熱心に参画して徐々に形ができた。 

 その頃から安藤先生に新潟に呼んでいただいて、いろんな人に出会った。今一緒に外来をやってくれているカウンセラの田中桂子さん、iPadでデジタルロービジョンケアを広めている三宅琢先生、そしてアイセンター設立に向けて合流してくださったロービジョンケア総本山の仲泊聡先生、神戸のロービジョンケアの土台は新潟の会で培った人脈から生まれている。 

 本年12月に研究と臨床、そしてロービジョンケアや福祉がワンストップで受けられる神戸アイセンターが開院となる。入り口のフロアは公益法人NEXT VISIONのフロアである。バリアフリーならぬ段差だらけの「バリアアリー」であるが、そこに見えにくい人もそうでない人も安心して楽しめるユートピアを作りたい。

 さだまさしの小説「解夏」にもあるように、外来で出会う患者さん方の中では視覚障害が重篤になってからよりも視機能が低下していく途中の苦悩や不安が強いように感じる。まだ生活に不自由もないようなその時期の不安や悩みは極力少なくし、自由な心で将来の生活を思い描けるようになってほしい。 

 日本は旧来重度視覚障害に対する福祉は整えられていたが、そのもっと前、軽度障害の頃からのケアが重要であると感じる。網膜剥離の手術でも同じであるが、早期の治療が有効で、一度固まってしまうとそこから治療することは難しい。ロービジョンケアも視機能の低下によって自分で活動を制限してしまってからその生活を変化させるのは非常に難しい。早期のロービジョンケアが重要であるが、眼科医にはその必要性の認識が薄いし、当事者も勧めてもなかなかロービジョンケアや福祉を利用することに抵抗がある。それは軽度の視覚障害が世間に認知されていないために晴眼者と重度視覚障害と別世界であるような意識があり、障害者への自分の中の差別、向こうの世界に行きたくないという抵抗である。

 どんな障害でも軽度から重度までスペクトラムで存在しておりここから障害という境界線はない。ところが軽度障害の当事者が世間に認知されていないことにより視覚障害は身近にいない別世界の人になってしまっている。それが病気の進行の途中、まだ見えている時の苦悩であり、眼科医療、ビジネス、福祉すべての問題点である。 

 遺伝子診断をしているとわかる。あらゆる人が疾患遺伝子を持ち、性格も含めれば誰もが何らかの障害を持っているとも言える。今後、一般社会の中で活躍している視覚障害者が何の不安もなくカミングアウトできて障害者との壁が崩れ健常者も障害者もお互い助け合いながら不自由をデバイスで補って仕事を続けられる。そういうユートピアを目指して、NEXT VISIONはiSee!運動を展開していく。 

【略 歴】
 1986 京都大学医学部卒業
 1986 京都大学医学部附属病院 眼科
 1992 京都大学大学院医学研究科博士課程修了
 1995 アメリカ ソーク研究所 研究員
 2001 京都大学医学部附属病院 助教授
 2006 理化学研究所 チームリーダー
 2012 理化学研究所 プロジェクトリーダー
  現在に至る


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【新潟ロービジョン研究会2017】
 日 時:2017年09月02日(土)
     開場:13時半  研究会:14時~17時50分
  会 場:新潟大学医学部 有壬記念館 2階会議室
     住所:〒951-8510 新潟市旭町通1-757
 主 催:済生会新潟第二病院眼科
 テーマ:「私と視覚リハビリテーション」 

 1)司会進行
   加藤 聡(東京大学眼科)
   仲泊 聡(理化学研究所)
   安藤伸朗(済生会新潟第二病院)
  特別コメンテーター
   中村 透(川崎市視覚障害者情報文化センター)
   大島光芳(新潟県上越市)
2)プログラム
 14時00分~
   開会のあいさつ  安藤伸朗(済生会新潟第二病院眼科)
 14時05分~
  「眼科医40年 患者さんに学んだケアマインド」
     安藤 伸朗
     (済生会新潟第二病院眼科)
 14時40分~
  「私と視覚障害リハビリテーション」
     山田 幸男
     (県保健衛生センタ/信楽園病院/NPO「オアシス」)
休憩(10分)
 15時25分~
  「眼科医オールジャパンでできるロービジョンケアを考える」
     清水 朋美
     (国立障害者リハビリテーションセンター病院眼科)
 16時00分~
  「ロービジョンケアとの出会い」 
     高橋 政代
     (理化学研究所CDB 網膜再生医療研究開発プロジェクト)
休憩(10分)
 16時45分~全体討論
 17時40分~討論総括   仲泊聡(理化学研究所)
 17時45分~閉会の挨拶  加藤聡(東大眼科)
 17時50分 終了

 

2017年5月16日

報告:『済生会新潟第二病院眼科-市民公開講座2017』 4)参加者からの感想 

「眼科及び視覚リハビリの現状と将来を語る」をテーマに市民公開講座(主催:済生会新潟第二病院眼科)を、2月25日に開催しました。平形明人先生(杏林大学眼科教授)、高橋政代先生(理化学研究所)、清水美知子先生(フリーランスの歩行訓練士)をお招きし、司会は林 知茂先生(国立障害者リハビリテーションセンター病院)と、安藤 伸朗(済生会新潟第二病院眼科)が務めました。当日は全国12都府県から100名を超す方々が参加、熱気あふれる公開講座となりました。
今回は、参加者から届いた感想を紹介します。 

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新潟市 眼科医
先日は市民公開講座に参加させていただき、ありがとうございました。とてもすばらしい講演で感動しました。網膜硝子体手術の専門医で、杏林アイセンターの主任教授であられる平形先生が、屈折矯正の延長としてロービジョンがあり、難治性疾患で手術治療した後の患者さんや、先天網膜疾患の患者さんの生活や行動の拡大のためにロービジョンの必要性や有効性を説明を聞いてとても感動しました。iPS細胞移植の研究はどんどん進んでいることを知り、ロービジョン方の希望の星で、一般眼科医としてもわくわくしてしまいました。しかし、移植手術も万能ではないので、やはりロービジョンケアは必要なことを再確認しました。視覚障害者の歩行訓練士の歴史など初めて知ることばかりで、やはりとても勉強になりました。高橋政代先生の、見えない方が、今後、網膜移植や人工網膜などで、見えるようになる時代が来ているという話に感動し、しかし、それでもロービジョンは必要で、特に屈折矯正など基本的ケアなど、自分でも出来るケアをしっかりやっていくことが大事と再確認しました。 

新潟市 大学教員
今回の公開講座の感想は、以下のような感じで、本当に素晴らしかったです。
最初の平形先生のお話は、眼科のことをほとんど知らない私のような人間にも大変に分かりやすく、流れるようなお話で、私自身の講義や講演の仕方をもっと工夫しようという気持ちになりました。眼の仕組みの基礎から疾患の種類、治療法、そしてロービジョンにいたるまでを短い時間の中で深く理解できるように教えていただきました。手術の大家と呼ばれる方が、ここまで広い視界を持っておられることに驚きました。
高橋先生は、もちろん報道等を通してiPS細胞の臨床応用の第一人者として存じ上げている先生でしたが、適材適所の人材を動かす(?)マネージメントのお力も素晴らしいご様子で、柔らかい物腰も相まって、本当に素晴らしい方だと思いました。再生医療の可能性も限界も淡々と語られつつ、Next Vision構想という患者が主体的に考えていくロービジョン・ケア(という表現でよいのか分かりませんが)に尽力されていることに、本当に感嘆しました。
清水先生は、10年ほどぶりの再会でした。よい歳を重ねられ、相変わらず穏やかな中にもズバリと核心を突く口調に「羨ましいな」と思いました(真似ができそうで、できそうもありません)。内容についても、私自身が医療制度の歴史に非常に興味がありますので、とても面白く拝聴しました。視覚障害の日本の制度の固有の発達と特徴、問題点などがよく理解できました。精神障害、重症心身障害、感染症等々の制度の発達史と横並びにして考えたいと思いました。
眼科入門 → ロービジョン → 再生医療(可能性と限界) → 制度上の問題 と、全体の構成が非常によく、このように基礎医学から臨床医学、そして社会的制度的側面へと展開するシンポジウムは滅多にないものだと感心しました。 

新潟県 視覚障害者
先日は、大変貴重なお話を聞くことができまして、少し未来に期待感を持ってよいのかなと初めて思える講演でした。私は網膜色素変性症 いま、ちょうど白内障の両目の手術を終えたところでした。23歳で診断され、不安なまま生活し、人に言われ盲学校へいき、鍼灸マッサージの資格をとり、これは食べていくために必死だったのですが、45もすぎ、体力が落ち始め、違う仕事は視覚障害者には選択肢が全くないと思っていました。先日ハローワークへいきました。5年前よりはるかにたくさん求人がありましたが、視覚障害者はやはりマッサージです。ロービジョンで就職活動(連携)もできたらとてもいいな、と感じました。網膜再生が可能な日も近い気がしてきましたが、まだまだわかりません。体力は落ち、視力も落ち、前向きに来ていたつもりが、最近はブルーでした。しかし、講演を聴いて、少し元気を頂けました! 

新潟市 小児科医
当日講演会を大変面白く拝聴させていただきました。
清水先生の講演では、視覚障害者のリハビリテーションの歴史的な推移と、現在の問題点など良く理解することが出来ました。特にリハの対象者の障害内容が年と共に変化してきている点が問題を複雑化しているようです。しかし、視覚障害のみならず種々の障害を抱える患者さんに対する対応が、この50年ほどで素晴らしい進歩を遂げている事も間違い無いように思いました。このことは、携わる多くの方々の努力と忍耐と創意工夫があったからだと思います。感銘を受けました。平形先生や高橋先生の講演では、臨床医の基本として、治療のみならずケアに目を向けなければならない点が浮き彫りになっていたように思います。しかし、現実にはどうでしょうか。残念ながら私を含めて大部分の医師は、ケアの重要性を頭では理解しながらも、日常の仕事の忙しさにまぎれて不十分な対応しか出来ていないのが実情のようです。超多忙の中にあって、両先生が実に柔軟な頭でケアの充実に向けて日々活動されている様子が良く分かりました。高橋先生のお話で、神経細胞の移植実験において、移植した細胞と既存の細胞とのネットワークが構築されていることが、ネズミの行動実験でも証明された事を知りました。この方面の実用化にはまだまだ時間が必要でしょうが、確実に進んでいることをしり大変興味深く拝聴しました。 

新潟市 市会議員(視覚障害者)
今回の講師の方々もまさにその道を究めてこられたエクスパートの方々で、とても贅沢な学習会だと感じました。眼疾患に関わるところは専門的でよく理解できないところもありましたが、ロービジョンやリハビリへの展開の必要性などは、とても興味深く、集中して聞かせていただきました。特に再生医療の世界のトップリーダーでいらっしゃる高橋先生のお話をこんなに身近なところで、しかも無料でお聞きすることができるなんて、本当にすごいことだと思いました。改めてこのような公開講座を開いていただいたことに、感謝申し上げます。 

埼玉県 視能訓練士
済生会新潟第二病院眼科ー市民公開講座2017に参加させていただきありがとうございました。楽しい時間をありがとうございました。平形先生のご講演をお聴きし、杏林で出会った患者さん達のことを思い出したり、高橋先生のご講演をお聴きし、今後、これまでにない経過での「回復」過程を経る患者さん達やその機会を待つ患者さん達に思いを馳せたりしました。また清水さんの話では、タイトル通り「視覚障害リハビリテーションのこれまでとこれから」について考え、今後、医療と福祉の分野がどうあるべきか社会制度を含めた議論の必要性を感じました。 

新潟県 視覚障害者
市民公開講座2017に参加させていただきました、今後の生きて行く力になり希望の光につなげていただきました。心より感謝お礼申し上げます。 

新潟市 会社員
平形明人先生~アイセンターの歴史を交えながらロービジョンケアの意義についてご講義いただき、大変勉強させていただきました。時代とともに治療も進歩してきている中で、患者さんの生活範囲を治療前よりも向上させなければいけない。その中で重要になってくるのがロービジョンケアであり、病態のニーズに基づいたケアが必要になってくる。疾患によって患者様へのアプローチが異なってくる点を、複合的な疾患の専門性を有する大学病院やアイセンターなどが重要な役割を果たしているお話が印象的でありました。 最後に平形先生のロービジョンケアへの思い、そしてご実家での盲導犬チャンピィを交えた平形先生のロービジョンへのルーツも垣間見え、大変勉強になるご講演でした。
高橋政代先生~日本の再生医療のトップとして走り続けられている高橋先生のご講演は大変心に残りました。先生のご講演を聴くまで、私も再生医療へ過度な期待を抱いていた一人です。過度な期待から治療への失望を防ぐためにも、また患者様のQOLを満たすためにもロービジョンケアの啓発を大変重要視されている点が熱く伝わってきました。 神戸アイセンターの設立、治療から就労支援まで生涯を支える取り組み、公益法人NEXT VISIONの理事も勤められ、医療・研究だけでなく様々な事業へと取り掛かり眼科治療を発展されている高橋先生の姿勢に感銘を受けました。
清水美知子先生~視覚障害リハビリの歴史から現在の状況に講演いただき、新たな知見を得ることができました。戦前からの傷痍軍人に対するケアが発祥となり、三療師を目標において実施された職業リハビリテーションも時代の変遷と共に対象者・内容が変わっていく。対象が若年者より高齢者が増加してきたことによって、リハビリの内容も見直していかなければいけない。 眼科外来もロービジョンケアが設置されたことにより支援の幅が広がっていった。これからは眼科外来にもロービジョンケアだけでなく視覚障害リハビリの導入も考えなければいけない、といったこれからの視覚障害リハビリについてのあり方を問うお姿が眩しく見えました。 

新潟市 視覚障害者
大変貴重な講座に参加させて頂きまして誠にありがとうございました。近い将来の医療発展に大きく期待しつつ…今、やれる事に積極的に取り組もうと前向きな気持ちになりました。本当にありがとうございました。 

福島県 視覚障害者
この度初めて参加させて頂きました。会場に到着してすぐに安藤先生に声を掛けて頂きとても嬉しく思いました。そして素晴らしい講演内容で、わざわざ時間とお金を掛けて行った甲斐がありました。3名の先生が何れも絶え間無くびっちりお話しされ、あれもこれも伝えたい、時間が足りないと言う気持ちがとても伝わり、視覚障害者の当事者の私にとってはその熱意を感じられただけでも満足です。福島県ロービジョンネットワークの八子先生や会津若松の栗城さんと言う方から案内を受け、何時も参加して見たいと思っていましたが今回やっと実現出来ました。又、是非参加したいと思いますので、今後ともどうぞよろしくお願い致します。ありがとうございました。 

埼玉県 視覚障害者
私は中心、リンゴくらいが見える色変です。白内障の手術をして視力は0.6程度なので、自分自身での工夫と、時間さえかければ一人でなんでもします。パソコンも普通の年齢にあった状態で見ることと、音声とで補って使用しています。私の通院している病院にもロービジョン外来が週に1度あり、担当医が主治医なので希望をだしたことがありますが、今は必要ないと言われました。生活の知恵は友人に学びます。ロービジョンについて、未知の世界(?)だったので、とてもよくわかりました。3名の方々が、私たちのことを思ってくださり、とても頼もしく感じました。様々な方面の人たちが結び合ってくれることを望みます。視覚障害という方面から見る、福祉と医療。私たちももっと権利が主張できるよう、賢くならなければと思いました。会の進め方も、資料はなくても一つひとつにふり返りがあり、分かりやすかったと思います。ありがとうございました。今度は埼玉の仲間と旅行をかねて、参加してみたいと思いました。 

新潟市 会社員
平形先生~眼科疾患についてわかりやすくまとめて頂いたので、知識の整理ができました。講演の中にあった、『生活拡大』というキーワードが印象に残りました。各種疾患により視機能が低下した患者さんのケアにおいて、現状の生活をどのように住みよいものに変えていくことができるか、そのような視点が大事だと感じました。
高橋先生~眼科領域において非常にホットなトピックであるiPS細胞移植に関して、最新の知識を得ることができ、大変勉強になりました。実用化に向けての高橋先生のご尽力もそうですが、一番印象に残ったのは、iPS細胞を移植しても十分な視力は回復しないため、ロービジョン訓練を事前にしておかなければならないという点です。iPS細胞移植のニュースを聞いて、視力の回復を夢見る患者さんが出てくるかと思いますが、iPS細胞の限界を理解しつつ、より生活を豊かにするための準備が必要であるといったことを考える重要性を感じました。『NEXT VISION』に関しても、決して受動的なものではなく、患者さんが能動的に動いた結果が反映される施設であるというお話があり、実際に完成したときにはどのような姿になっているか楽しみな印象を受けました。完成時には患者視点の施設設計になっており、実際に患者さんが何を求めているかが反映されているかと思いますので、ぜひとも完成時にはどのような施設になったのかを拝見したいと思いました。 

新潟市 会社員
先日の市民公開講座、ありがとうございました。平形先生、高橋先生、清水先生お三方のそれぞれの講演とても興味深い内容で、なおかつ素人の小生にもわかりやすく時間の経つのを、とても早く感じました。目の手術の現状や眼病の多様性、20~30年後には目の神経も再生可能となる見込み、視覚障害者ケアの歴史と現状、並びに今後の進むべき方向性等を知ることが出来ました。 

新潟市 視覚障害者
このたびの市民公開講座2017、先生方が誠実に問題に取り組んでおられることに感動しました。私はもう、ロービジョンには用はないという気がしていました。でも講師の方々が魅力的で、内容も興味がありましたので、思い切って参加して良かったです。昔は医学と福祉、生活が切り離されていて、医師から見放されたら絶望的でした。福祉の対応も一辺倒で、選択の余地もなく、イヤでも受け入れざるをえませんでした。その当時のことから考えると、何と良い時代になったことか。もちろんこれで終わっては困りますが、未来に希望が持てました。これからも医療従事者、患者、行政や関係企業を巻き込んで、良い方法を見つけたいです。 

新潟市 会社員
初めてロービジョンのご講演を聴講させて頂きまして、ロービジョンケアと一言では表すことができない程、患者様によって介助の仕方や、治療の方向性が異なる事を学ばせて頂きました。平形先生のご講演では、ロービジョンケアの重要性や、患者様の背景によって治療方法、対応が様々であると感じました。また、ロービジョン患者様の治療におきましてご家族様の協力や正しい知識を習得する事、内科Drとの連携や関わりが大事であると感じました。高橋先生のご講演では、最新の再生医療とロービジョンケアが密接に関わっている事を学ばせて頂きました。再生医療で視力が回復するのかという疑問がございましたが視細胞の数によるものとご教示頂きました。しかし、視細胞、視神経の研究も始まっている事を知り、眼科医療の今後の可能性についてうれしく思いました。 

新潟県 視覚障害者家族
最先端の先生方のお話を聞くことができて貴重な経験になりました。 娘が網膜色素変性症の診断を受けて年に一回検査を受けて経過観察中です。今は夜盲症がありますが他は不自由はありません。将来の事を考えてできるだけ情報を持とうと思っていますので可能なものは参加させて頂きたいです。 

新潟県 大学教員
先日の公開講座大変良い刺激になりました。知りませんでしたが、各先生方が様々な方向から大胆な変革を試みているのですね。 

神奈川県 公務員(障害者サポート)
参加のきっかけは、済生会新潟第二病院眼科の勉強会で反響が多いと聞いている清水さんの講演および会場とのやりとりを一度みておきたい、と考えたからでした。お話の中では、清水さんが合衆国へ留学中に接したという「活き活きした当事者たち」の姿を、私なりにリアルに想像できたことが収穫でした。質疑応答では、職場での支援体制がとられておらず悩んでいる方の質問に対して「まず自分からできないことを伝えること」「相手が分からないということが当然であると理解する。推定ではなくはっきりとさせる」といった答えを提示された場面が印象に残りました。質問をされた方の後ろ姿をみていると、自分からアクションを起こさなくてはと考えていたのかな?でも、具体的にどうしたらよいのかわからなかったのでこの講座に聞きに来たのかな?という、あくまで想像ですが生きた反応のようなものを感じました。 

茨城県 大学教員
先日の市民公開講座に参加させていただき,ありがとうございました。登壇された講師の先生方はいずれも超多忙で日程調整は,さぞ大変だったことと思います。どの講演もとても興味深く,通常の学会では聞けない内容で安藤先生の絶妙な講演依頼の賜物だったと感じました。当日感じたこととしては,予想通り「iPS再生技術で,どこまで見えるようになるか」関連の質問が多く,確かに,当事者の切実な関心事ではあるものの,会場からの質問を受け付ける以上,「眼科及び視覚リハビリの現状と将来を語る」の質疑になりきれなかったのは仕方がなかったかもしれません。 

新潟市 会社員
網膜再生医療はこの短期間にすごい進歩だと感じました。自分の細胞胚だけでなく他人の細胞胚でも再生医療が進めば、見えなくなる恐怖から少しは開放されると思いました。また、海外ではアーガスⅡのような機械も出てきて色々な分野での技術革新が進んでいると感じました。そして、昨年来報道にもあった電車ホームからの転落事故等もロービジョンがもっと一般の人にも広く認知されれば防げるように感じながら拝聴しておりました。 

新潟市 会社員
今までロービジョンについて学ぶ機会が今までなかったので、すごく新鮮でした。今まで自分のなかで、ロービジョンと眼科手術がまったくの別物と考えておりました。しかしながら、平形教授の、サージャンは、硝子体のOPEがうまくいけばと考えがちだが、術後のケアを考えると、ロービジョンとは関わっていくべきものである。と言うお話が自分のなかでまたひとつ点と点が繋がった感覚があり感動いたしました。他にも、最先端の技術や、患者様への新しい取り組みについて、お話が聞けたのが勉強になりました。
最後の、対話式のセッションの中で、患者様の質問に対する、先生方の返答を聞いていて職場の方との関わり方で「自分のできることを減点方式ではなく、加点方式で伝えていくことが大事である」と言うお話を伺い、医学的な治療や治療による効果の説明だけではなく、患者様のその後の人生の歩み方をアドバイスする非常に難しいお仕事であることを感じました。そのことを感じてあらためて思い返すと、入場の際、患者様と安藤先生の強い絆を感じた理由がそこにあるのではないかと思いました。 

兵庫県 眼科医
深いお話、価値のあるお話を聞かせていただき、ありがとうございました。 

神奈川県 視覚障害者
平形先生~他の方のご講演でも、この小さな目にはたくさんの組織があることはよく耳にするが、「いろんな組織で出来ている目には、その組織ごとに病気がある。」という説明は案外少なく、印象的だった。また常々「見易い文字は人それぞれ」と思っていたので、臨界文字サイズなどの検査のお話が興味深かった。7種の点眼薬を使用しているので、容器にテープや輪ゴムなどを付けて判別する、というお話も大変参考になった。
高橋先生~以前の勉強会抄録にもあった「健全なあきらめ」という言葉が、胸にすとんと入って来た。世話が気に入らないと培養シートが「やさぐれる」など、面白くテンポの良いお話しぶり。西方面ご出身の女性医師の持ち味なのだろうか?日大の湯澤美都子先生や、京都中央診療所の長井苑子先生(内科)に共通して快活であり、ユーモアあり、やわらかい言葉の中に厳しさと優しさが同居している。移植で出来ること、出来ないこと。ロービジョンとセットとするのが大事なこと。文字にしメールで送ったのでは、これらの言葉が持つ本当の温もりは、なかなか上手く伝わらないだろう。高橋先生のお話を、ぜひ多くのロービジョン患者に、自身の耳で直接聞いて欲しいと思った。
清水先生~力強く闊達な御弁舌に、過去抄録の「清水節ファンが多い」というのも深く納得。自分が今まで知らなかった「戦盲」「あはぎ法」などの言葉。自分が生まれた年に始まった「中途失明者緊急生活訓練事業」が今も続いているということ。受けてきた抑圧をはずしても元の力は戻らない、エンパワーメントという患者教育が必要。どのお話も興味深かった。また、「見えづらい、効率が悪くなった」という主観が大事で、ロービジョンケアの始まりは、手帳交付では無くても良いと思う、というお話は、とても有難く感じた。自分がもし見えなくなっても、生き生きと過ごしたいと思う。
質疑と座談会~「出来る」という言葉に差がある、という林知茂先生たちのお話は、障碍者に限らずあることかも知れない。「こうすれば出来る」という工夫の具体性を積み上げる。分かっているふりを双方がしない、正確に伝えることを積み上げる。一朝一夕にはいかない。背伸びも逃げもせず、正確に伝える。どれも、自分自身に時々言ってみよう、と思う言葉たちでした。会場内での、元気いっぱいシッポを楽し気?に振っていた盲導犬が印象的でした。今回も、素晴らしい充実の時間をありがとうございました。 

新潟市 会社員
済生会新潟第二病院眼科ー市民公開講座2017に参加の機会をいただきまして、誠にありがとうございました。参加された方々の人数や熱心さには今回も驚嘆いたしました。来年末に完成予定の「神戸アイセンター」にはこれからの眼科医療の中心となっていくような施設ではないかと感じました。将来的な治療法の一つとしての、再生医療・移殖といった技術の進歩が一層進んでいくのではと思います。視覚障害者への制度や設備、知識に関して日本は他の先進諸国と比べるとまだまだレベルが追いついていないとのお話しもございましたが、今回のような公開講座があることによって、より多くに方に危機感というものを感じていただけるのでは思いました。 

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『済生会新潟第二病院眼科-市民公開講座2017』
 日時;2017年02月25日(土)
 会場:新潟大学医学部 有壬記念館(ゆうじんきねんかん)2階会議室
 テーマ:「眼科及び視覚リハビリの現状と将来を語る」
 主催:済生会新潟第二病院眼科
【プログラム】
 座長:安藤 伸朗(済生会新潟第二病院眼科)
    林 知茂 (国立障害者リハビリテーションセンター病院眼科)
・「杏林アイセンターのロービジョン外来を振り返って」
  平形 明人(杏林アイセンター;主任教授)
   http://andonoburo.net/on/5864 

・「網膜再生医療とアイセンター」
  高橋 政代(理化学研究所CDB 網膜再生医療研究開発プロジェクト)
 http://andonoburo.net/on/5874

・「視覚障害リハビリテーションのこれまでとこれから」
  清水 美知子(フリーランスの歩行訓練士)
 http://andonoburo.net/on/5840

 

2017年5月13日

報告:『済生会新潟第二病院眼科-市民公開講座2017』  3)高橋政代

 最新の眼科医療や再生医療の話題を知り、視覚リハビリテーションを語るという市民公開講座(主催:済生会新潟第二病院眼科)を、2月25日に開催しました。高橋政代先生(理化学研究所)、平形明人先生(杏林大学眼科教授)、清水美知子先生(フリーランスの歩行訓練士)をお招きし、司会は林 知茂先生(国立障害者リハビリテーションセンター病院)と、安藤 伸朗(済生会新潟第二病院眼科)が務めました。当日は全国12都府県から100名を超す方々が参加、熱気あふれる公開講座となりました。
 公開講座の報告として、講師の方々の講演要約を順に公開しています。今回は、高橋政代先生(理化学研究所)です。

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演題:網膜再生による視機能回復とロービジョンケア

講師:高橋政代(理化学研究所CDB 網膜再生医療研究開発プロジェクト)

【講演要約】
 2014年9月に手術が行われた加齢黄斑変性に対する患者自身のiPS細胞から作った網膜色素上皮(RPE)細胞シート移植(自家移植)の1例目は手術後2年以上経過しても、移植細胞が色素を保って生着しており安全性が確認された。ついで2017年3月には他のiPS細胞から作ったRPE細胞の移植(他家移植)が行われた。今回はシートの移植ではなく、より多数の病状の軽い人への移植に適したバラバラの細胞(細胞浮遊液)の移植である。今後、2年以内に5名の移植をして安全性を検討するが、iPS細胞を用いた移植治療もいよいよ治療開発の次の段階に入った。

 視細胞が失われることによって視野狭窄や視力低下を来す網膜色素変性に対するiPS細胞由来視細胞移植も慎重な動物実験で効果が確認され、数年内に臨床研究をするために前臨床試験(臨床研究の準備)へと進んでいる。網膜色素変性に関しては、視細胞移植治療研究だけでなく、視細胞の代わりをするチップを移植する人工網膜はすでにアメリカで認可されて販売されており、毎週手術が行われている。人工網膜では最高矯正視力で0.03が出たと報告されており、これは予想を超える効果である。また、原因遺伝子の遺伝子治療ではこれまで正常な遺伝子が足りないために疾患が発症する劣性遺伝タイプの網膜色素変性のみが遺伝子治療の対象であったが、昨年末には優性遺伝タイプも治療可能となる技術が動物実験で発表された。その他にも視細胞以外の残った網膜細胞に光を感じて脳に伝えるようにするチャンネルロドプシン遺伝子を導入することで、視細胞以外の細胞で光が見えるようになる治療もアメリカで開始された。


 このように難知性網膜疾患に対する新しい治療がどんどん開発されているが、どんな治療法も最初の臨床試験では効果を見るものではなく安全性確認が目的である。再生医療、特に網膜の再生医療はまったく新しい治療であり最初は効果も小さい。また、同じ細胞を使っても移植される網膜の状態によって効果が決まるので、網膜が傷跡のように瘢痕化してからでは移植細胞は受け取られない。今後、改良を重ねて徐々に効果的な治療となることが考えられるが、どうしても「網膜再生医療」という言葉から過剰な期待が持たれやすく「失望リスク」を抱える。一方で、新しい治療を開始する場合は治療のリスクとベネフィットを十分に吟味して慎重に進める必要があるが、日本ではゼロリスクを求める傾向があり進まないと言う問題がある。治療開発が安全性を過度に求めることから遅延する「治療機会損失」と同様に、これもこれまではあまり俎上に乗らなかった「治療に関わるリスク」の一つである。いずれもリスクコミニュケーションが重要となる。


 過度な期待は治癒が唯一の問題解決法であると考えることから起こるので、目的を達成するためのロービジョンケアという別の道を伝えることが重要である。再生医療はリハビリテーション(ロービジョンケア)とセットで完成することを周知する必要がある。特に視機能が低下しつつあるまだ障害が軽度の段階でロービジョンケアや福祉につなぐことによって勤務を続けられる場合も多いが、橋渡しがないために医療と福祉の谷間に落ち込む場合が非常に多い。分断された医療と福祉を効率よくつなぐために、また予防医療や再生医療という新しい医療を創るため、研究、医療、患者ケア、福祉窓口、就労支援がワンストップとなる神戸アイセンターを建設している。そこでは、確かな一般診療を行う市民病院機構の新しい病院「神戸アイセンター病院」(中央市民病院と先端医療センターの眼科を統合)で理研のサポートで研究から生まれた再生医療など先進医療も進め、また病院の入口フロアを占めて病院と福祉施設の橋渡しとなる「公益法人NEXT VISION」が視覚障害のイメージ変革を目指して「isee運動」を展開する。さらに、医療の新しい形や社会実験を推進するソーシャルベンャー「VISION CARE」の組み合わせで、2017年末からは神戸アイセンターがオープンする。


【略 歴】

 1986 京都大学医学部卒業
 1986 京都大学医学部眼科
 1995 アメリカ ソーク研究所 研究員
 2001 京都大学医学部附属病院 助教授
 2006 理化学研究所 チームリーダー
 2012 理化学研究所 プロジェクトリーダー
  現在に至る

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『済生会新潟第二病院眼科-市民公開講座2017』
 日時;2017年02月25日(土)
 会場:新潟大学医学部 有壬記念館(ゆうじんきねんかん)2階会議室
 テーマ:「眼科及び視覚リハビリの現状と将来を語る」
 主催:済生会新潟第二病院眼科 
【プログラム】
 座長:安藤 伸朗(済生会新潟第二病院眼科)
    林 知茂 (国立障害者リハビリテーションセンター病院眼科)
・「杏林アイセンターのロービジョン外来を振り返って」
  平形 明人(杏林アイセンター;主任教授)
     http://andonoburo.net/on/5864  

・「網膜再生医療とアイセンター」
  高橋 政代(理化学研究所CDB 網膜再生医療研究開発プロジェクト)

・「視覚障害リハビリテーションのこれまでとこれから」
  清水 美知子(フリーランスの歩行訓練士)
  http://andonoburo.net/on/5840

 

2017年5月12日

 

報告:『済生会新潟第二病院眼科-市民公開講座2017』 2)平形 明人 

 最新の眼科医療や再生医療の話題を知り、視覚リハビリテーションを語るという市民公開講座(主催:済生会新潟第二病院眼科)を、2月25日に開催しました。高橋政代先生(理化学研究所)、平形明人先生(杏林大学眼科教授)、清水美知子先生(フリーランスの歩行訓練士)をお招きし、司会は林 知茂先生(国立障害者リハビリテーションセンター病院)と、安藤 伸朗(済生会新潟第二病院眼科)が務めました。当日は全国12都府県から100名を超す方々が参加、熱気あふれる公開講座となりました。

 公開講座の報告として、講師の方々の講演要約を順に公開しています。今回は、平形明人先生(杏林アイセンター教授)です。 

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演題:杏林アイセンターのロービジョン外来を振り返って
講師:平形 明人(杏林アイセンター教授) 

【講演要約】
 ロービジョンケアの重要性は眼科領域ではかなり普及してきている。しかし、対象となる病態や患者背景は多様であり、眼底疾患だけでも、発生異常による先天性視力障害、腫瘍や遺伝性網脈絡膜疾患による中途失明、血管閉塞や黄斑変性などによる高齢者の視力障害など様々である。また、施設により実施方法やロービジョンケア担当の職種は異なる。患者の日常生活に密接に関わる開業医、多数の難病疾患を紹介され高度な治療後の後遺症に対処する病院、高度医療の実施と若い医師や医療者を教育指導している大学病院、再生医療などの最先端治療をしながら難病患者に対応する高度医療機関、それぞれ異なった環境でロービジョンケアの方法には特徴があるであろう。 

 今回は、我が国で最初のアイセンターの名前を冠して活動している杏林大学病院眼科で、どのようにロービジョン外来が誕生してロービジョンケアを実施しているのかを振り返ってみた。 

 杏林大学眼科は、1999年にアイセンターの名前を冠して高齢化社会に向う我が国の眼科治療の発展の必要性を訴えた(つもりである)。そのアイセンター構想は、すでに1994年に杏林学園に提出されたが、その大きな柱の一つがロービジョンケアであった。当時主任教授であった藤原隆明教授、樋田哲夫助教授と私で、高齢化社会での生活の質(QOL)のために視覚医療が非常に大切で、そのためにはロービジョンケアが大きな役割を果たすことを強調した。この杏林ロービジョンケアの創設は、その2年前にORTの守田好江さんが外来にロービジョン補助具を準備したことに遡る。 

 守田好江さんは、慶應大学の植村恭夫先生の下で小児眼科、つまり斜視弱視と屈折矯正の基本を徹底的に仕込まれたORTであるが、植村先生の退任を機会に米国に留学してロービジョンケアを学び、杏林にORTとして赴任した。そして、人手のない中でORT業務の合間に少しずつロービジョンケアを行いながら、教室の眼科医たちにそのコンセプトを浸透させた。 

 守田さんが再び米国に戻ることになった時に、彼女の推薦でORTの田中(石垣)恵津子さんが赴任し、彼女が大学院で学んだ東京女子大の小田浩一教授との交流が始まった。田中さんの献身的な患者への対応を見ながら、網膜硝子体手術の対象疾患をはじめ難病疾患の患者に対する治療前後のロービジョンケアの意義を私を含め多くのスタッフが認識するようになり、ORT西脇友紀さんも加わった。 

 Duke大学で硝子体手術の父といわれるRobert Machemer教授に指導いただいた樋田教授と私は、「本当の医者は、自分の手術の上達に満足するのではなく、手術を受けた患者がどのように生活を拡大するかに心を配らなければいけない。そのために、手術後の屈折矯正を基本とする視覚環境のケアに眼科医は関心を持たなければいけない。」という教育を受けていた。まさに、彼女らのケアによって生活が拡大する視覚障害者に接して、ロービジョンケアの重要性を実感した。 

 1999年の病院の新外来棟建設に伴ってアイセンターが設立したのを機会に、田中、西脇をORTの基本業務から外し、小田教授をロービジョンケアリサーチ主任として非常勤講師に迎えた。以後、彼らの学会発表や論文報告の数は医師のそれを凌ぐものになった。その後、家庭の事情から田中、西脇が非常勤になり、ORT新井千賀子さんと歩行訓練士の尾形真樹さんが受け継いで活動範囲はさらに広がり、外部から見学者や研修者が多く訪れ、アイセンターにはなくてはならない外来に充実した。 

 本講演では、ロービジョンケアが生活拡大に明らかに有用であった印象深い数例を紹介した。
・両眼の先天網脈絡膜コロボーマで健常網膜は上方血管アーケードより周辺しか残存していない3歳女児。両眼視力は0.04であるが、行動観察、読書検査、固視検査を通じて年齢に適切な視環境を取り入れながら成長し、昨年、4年制大学を卒業して福祉関係の仕事に就職された。

・68歳男性でドーナツ状の輪状暗点を示す輪紋状脈絡膜硬化症の男性に、病態や将来予後の可能性を説明し、MN-Read読書検査から周辺視野を使った文字サイズで読むことを拡大読書器で練習してもらった。13年たった81歳の現在、中心視力は0.08に低下したが、趣味の読書を続けている。

・60歳男性、糖尿病治療歴なく、他眼失明で残る眼の網膜剥離を合併する重篤な増殖糖尿病網膜症で受診した。視力は0.03、糖尿病内科眼科同時診察を経て、内科入院中から手術後の予後を想定して、糖尿病のインスリン自己注射を含む自己管理、食事法、点眼や内服の工夫(点眼ビンのマーク付けや内服分包など)、治療経過に対応しての眼鏡や拡大鏡処方、介護保険の利用、他施設の利用などを、看護師、栄養士、ロービジョンケア担当師と指導し、硝子体手術後6か月で視力0.1に回復するまで網膜症の治療だけでなく両親の介護を含む行動範囲を維持した。 

 ロービジョン外来を受診して生活範囲を維持する患者に接することで、医師や看護師などのコ・メディカルが多くの眼科医療の在り方を学び、視覚障害者に対する看護・介護の手段も広がった。また、医学生や研修医が眼科医療の視覚医療がQOLに欠かせないもので、そのケアに医師の役割が重要であることを実感している。さらに、ロービジョンケアの担当者は、各専門分野の医師との交流から、各専門分野の疾患に特徴ある情報を得ることで、将来を予測した対応を提供することもできた。高度医療機関や大学病院など医師を養成する施設にはロービジョン外来の設置は必要条件であると感じている。 

【略 歴】
 1982年 慶應義塾大学医学部卒業、同眼科学教室入局
 1987年 慶應義塾大学医学部助手
 1989年 米国Duke大学Eye Center留学
 1992年 杏林大学医学部眼科講師
 1997年 杏林大学医学部眼科助教授
 2005年 杏林大学医学部眼科教授
 2008年 杏林大学医学部眼科主任教授   現在に至る 

 

『済生会新潟第二病院眼科-市民公開講座2017』
  日時;2017年02月25日(土)15時~18時
  会場:新潟大学医学部 有壬記念館(ゆうじんきねんかん)2階会議室
 テーマ:「眼科及び視覚リハビリの現状と将来を語る」
 主催:済生会新潟第二病院眼科

【プログラム】
 座長:安藤 伸朗(済生会新潟第二病院眼科)
    林 知茂 (国立障害者リハビリテーションセンター病院眼科)

・「杏林アイセンターのロービジョン外来を振り返って」
    平形 明人(杏林アイセンター;主任教授) 

・「網膜再生医療とアイセンター」
    高橋 政代(理化学研究所CDB 網膜再生医療研究開発プロジェクト) 

・「視覚障害リハビリテーションのこれまでとこれから」
    清水 美知子(フリーランスの歩行訓練士)
   http://andonoburo.net/on/5840

 

2016年12月21日

報告:『新潟ロービジョン研究会2016』 参加者から
  日時:平成28年10月23日(日)
  場所:有壬記念館(新潟大学医学部)
 新潟ロービジョン研究会2016を、10月23日(日)有壬記念館(新潟大学医学部)で行いました。今回報告の最終回で、参加された方々からの感想の一部を紹介します。 

・過去から、現在進行形の話題、さらには将来をどうしてくのか、という「ロービジョン近代史」的な授業のようでとても楽しめました。患者から学ぶという姿勢は医療技術やIT技術が進んでも変わらないものですね。山田先生のお話、「体力増進」をこれからも提唱していきたいです。眼科医の視野を広げないとロービジョンケアの将来も狭窄してしまいそうです。後継者の育ちにくい分野なのでしょうか。もともと外科系だから興味を惹かないのかもしれません。眼科という科の特性が邪魔している気もします。出田先生の日頃の備え重要!印象に残りました。実体験が聞けてありがたかったです。今回は感情的な内容でなくてとても聞きやすく、また当時の状況が時系列でわかりやすく、聞けてよかったぁと思っています。ロービジョンケアは「機器選定」と思っておられる眼科医が大半です。「機器選定外来ではなないし、繋げることの良さ」を知ってもらいたいと改めて感じた週末でした。(埼玉県 眼科医) 

・今年に入り 日没後の外出には時に視力に不安を感じることもあり、貴重な機会を見送ることも多くなっておりました そんなときに昼の時間に、その上自宅のすぐ近くでのご案内で喜び勇んで出かけた次第です。前回までの研究会内容も、出席できなかった時には「報告」を読ませていただいております。今回の研究会での講演内容は、聞き手の身に「ひたひた」と感じられ、帰宅してからも身体に感触が残っているようです。厚く御礼申し上げます。(新潟市) 

内容が、iPadから盲学校設立の歴史、熊本震災まで多岐にわたり、面白かったです。iPadなど、医療者が考える利用法と、実際、ロービジョン患者が考えて便利だと考える利用法が異なるなど、目から鱗が落ちました。また、4つの盲学校の設立を聞いて、確か明治時代か、新潟県が全国屈指(1位だったかもしれません)の人口が多い県、それだけ豊かだったことを思い出しました。熊本震災は水の大切さ、バックルのような、最新の医療機器を使用しない手術の重要性が再認識されることも参考になりました。とても大変楽しかったです。(長野県 眼科医) 

・今回の新潟ロービジョン研究会2016では、何故か!最初の演題から涙が溢れました。年取ったのでしょう。視覚障害ではなくとも、いつか自身も色々な方々のお世話にならなければ!成るであろうと・・・実感しています。講演された方々については色々な書籍でお顔と実績だけは存じ上げておりましたが、生での講演は、ヤッパ一味・二味も違いました。残念なことは県内の眼科医療関係者の方々の参加が少なすぎでしょうか。(新潟市 医療関係者) 

1週間たってもなお、まだときどきメモを見直しながらその深い内容を見直している最中です。そのくらい内容も多彩でそれぞれが重厚な講演会でした。多治見スタディーにとどまらずますます広がる岩瀬先生のご活動のスケールの大きさに圧倒されたのをはじめ、すべての演者の方々と、講演の中で語られた眼科医達に共通して感じたのは、並々ならぬ熱い思いと使命感、実行力です。その熱い思いをそれぞれの強みをいかして実行してゆくこと、その積み重ねが違いを生むことをひしひしを感じさせていただきました。オリンピックでの選手たちの素晴らしいパフォーマンスから活力を与えられたのと同じように、演者の方々から元気をいただきました。また、それぞれの素晴らしい演者の方たちは、ご自身の弱みを見せることを怖れない、それはご自身の核をしっかりお持ちになっている強さを表している、と感じました。そして、多くの人と弱みや反省を共有することでより良いロービジョンケアにつながることへの強い願いを感じました。(東京 眼科医) 

・この度は、大変貴重なご講演を聞くことが出来ましてとても刺激になりました。憧れの橋本様とも名刺交換が出来ました。実践している方のお話は説得力があり久々に温かい気持ちになりました。私も初心に返って、今一度自分の役割を真剣に考えてみようと思っております。(神奈川県 看護師) 

・今回は特に前半の講演を拝聴した時点で、これからのロービジョンケアを考えさせられる会だと思いました。デジタルビジョンケアを主張される三宅先生に対し、山田先生や橋本さんのやっているロービジョンケアはアナログビジョンケアともいえるような、ロービジョンケアの原点に必ず必要なものであると感じました。時代が進歩してゆく中で、その時代時代に合わせたものは必要だと思いますし、ロービジョンケアの場合その代表たるものがデジタルビジョンケアの考え方なのでしょう。ロービジョンケアに時代が求めているもの(業)が何かと考えた時、それは三宅先生が追及されているものであるということは大変良く分かるように思います。 一方、時代がどんなに進んでいっても最新の技術を駆使しても対応できないものは世の中にいくらでもある訳で、それを思うときこれをカバーできるのは原点に対する考え方だと思いました。医師である先生方は、原点には人を救う、という概念が必ずあると思います。最近ではそうでない目的で医師を目指す若者が多いという話も聞きますが、ロービジョンに関わる先生方や医療職に就いている方たちはすべからく「醫の心」のもとに日々ロービジョンケアという、人を救う行為に邁進されていることと改めて感じました。これからしばらくの時代は、デジタルビジョンケアとアナログビジョンケアの融合した形でロービジョンケアが推進されるものと思います。(東京 障害者サポーター) 

・新潟ロービジョン研究会に初めて参加させていただきました。発表された先生方、また参加者の方々、県内の方をはじめ県外の方も多く参加されており県内規模の研究会ではないんだなと驚きました。私にとっては、眼科の分野は初めての領域ですので、今年は色々と勉強させていただいておりますが、今回の研究会でも多方面の視点からの発表を聞かせていただきとても参考になりました。看護の分野からの発表もあり、短期間の入院生活の中で退院後の生活を見据えて支援していく看護師の役割について改めて考えさせられましたし、それを具体的にどのように提供していくか考えていかなければならないと感じました。(新潟市 看護師) 

 ・とても豪華な講師陣でたいへん勉強になりました。何人かのお話は、まったく初めて聞くお話で、啓発されました。しらお眼科の橋本さんの「◎◎が関わればこんなに変わるロービジョンケア」、これはまさにどんな職種、どんな人でもあてはまることで、目からウロコでした。緑内障と闘う先生のお話も、初めて知り、驚くとともに、考えさせられました。(東京 パーソナリティー) 

・企画者と講師の先生方の繋がりが感じられるのがとても印象的な、温かい会だと思いました。ロービジョンケアは、私には馴染みのない分野で、単に三宅先生の講演を聞きたいというのが参加動機でしたが、シンポジウムの中でも産業保健に関わる話題もあり、思いがけず自分ごととしていろいろと考えるきっかけとなりました。橋下先生の「◯◯が関わると変わる、ロービジョンケア」という投げかけも、研究会が終わった後でも何度も思い出されます。ロービジョンケアが眼科医でもまだご存知ないかたもいらっしゃるとか、情報がないためにロービジョンケアに繋がれない現状は衝撃的でした。だとすると、 私が今回少しでも情報に触れることができたことは、必要な方と会った時に情報提供をしてあげられるということにつながるのだろうと思いました。県内でのロービジョンの方の就業状況などはわかりませんが、産業保健に関わる人や人事の方にもロービジョンケアの話を聞いてもらいたいと思いました。(新潟市 保健師) 

・他業界の私には本当に勉強になるお話ばかりでした。全体的にバランスの取れたプラグラムで、休憩なしの講演にもかかわらず、興味深く聞かせていただきました。私は建築系の仕事をしておりますが、今から17~18年前にユニバーサルデザインに出会いいろいろ勉強している身です。そんな事で、医療はもちろん福祉のこともよくわからずに仙台でもロービジョン勉強会に参加させていただいております。第1部の連携を求めてというテーマでのお話は身に染みるものがありました。中でも、いろいろ目線が大切という考え方に同感です。私の知らない業界の集まりに出かけても、皆さんと違う立場や視点で発言してしまい、何か違和感を感じていました。しかし、今回の研究会で少し気持ちが晴れた気がしました。特にトイレについては、一番大切な空間として考えております。公共のトイレは操作位置など、決まりがあるようになってきていますが、細かいボタン操作を要する機器のデザインはまちまちです。(同一メーカーでさえも…)多種職種、多業界の方々が同じテーマで話せる場があれば…みんなで大きな輪を作り、大きな声にならないか…などと、ワクワク・ドキドキさせられた一日でした。(仙台市 建築関係) 

・ロービジョン研究会ではそれぞれの先生が聞きごたえのある講演をされましたが、私にとって心に一番響いたのは三宅さんの「I LOVE ME になりなさい」というメッセージでした。三宅さんのお話全体がストレートな表現で、集中して聞けたこともあります。ただ、今なぜこんなに響いたかと考えると、日ごろDISLIKE MEな自分が気になっていたからと分かりました。会場の有壬記念館も居心地のよい空間で、若い方々にお世話になりました。ありがとうございました。また、大学周辺や新潟市内の木々の美しさにも目を奪われました。再び訪れる機会を持ちたと思っています。(川崎市 公務員) 

・デジタル機器の活用がもたらす意味、近代以降の視覚障害児教育の黎明期のお話、はたまた大地震・大災害を眼科としてどう乗り切ったかというテーマなどなど、「4時間半休憩なし!!」の勢いに圧倒されつつも、今後考えて動いていく上で参考になるキーワードや視点を各講演で聞くことができ、とても有意義な研究会でした。多(他)職種連携も大事ですが、他(多)地域連携もとても役に立つし、歴史に学ぶことも必要です。そんなことがすべて含まれた研究会だったように思います。また、組織・団体・施設……といろいろありますが、基本はその人その人の課題意識と行動が出発点であり原動力になることを再認識しました(もちろん、個々人の課題意識を共有・賛同し、一緒に動いていく人が複数いることは大事ですが……)。そのためには、チャンスがあるなら行動する、可能であれば直接話を聞く、(適度に)よく考える、というようなことが「元気の薬」になるんでしょう。(仙台市 社会福祉士)

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「新潟ロービジョン研究会2016を終えて」
 加藤 聡 (東京大学眼科)
 今年も新潟ロービジョン研究会に参加して、心地よい充実感とともに会を終了することができました。毎年夏に開催されている新潟ロービジョン研究会ですが、今年は日本ロービジョン学会学術総会が8月に新潟で開催されたこともあり、新潟ロービジョン研究会の開催は秋となり、開催場所もいつも行われている済生会新潟第二病院の講堂と異なり、新潟大学医学部同窓会の有壬記念館で行われました。この会の特徴として、一つは国内一流の演者が安藤先生のご提案された話題に沿って話をしていただくということと、視覚障害者の支援者が当事者とともに一同に会するということかと思います。
今回の研究会は大きく分けて3つのパートからなり、それらは「連携を求めて」「眼科医療と視覚リハビリ」「熊本地震を考える」でありました。個々の講演に関し感想をすべて述べたいところですが、思いつくままに感想を述べたいと思います。

 初めに看護師の橋本さんの話は、今後ロービジョンケアに看護師の働きが重要であると考えている私にとって勇気づけられるものとなりました。三宅先生の話はデジタルビジョンケアという私にとって新しい言葉が頭に焼き付きました。山田先生の話は、内科医でありながら目の不自由な人にどのように寄り添っていったかの歴史がよく分かり、先生の人柄を感じられるお話でした。

 岩瀬先生と言えば、多治見スタディとして知らない眼科医はいないほどの方ですが、その方が検診をどのように熱意をもって推し進めたことに感動しました。小西さんの新潟での盲教育の歴史の話は、昔より新潟県の方々がいかに視覚障害者の方に尽力されたかがわかりました。その中で、大先輩の眼科医が大きな役割を占めたことに自分の努力のふがいなさも感じました。佐渡先生の話は、日本にロービジョンケアが立ち上がる黎明期の話が聞け、私のようにロービジョンケアに関して新参者の身としては、改めてロービジョンケアに関しさらに学ばなければいけないと思わざるを得ませんでした。香川先生の話は原田政美先生の活躍を年度ごとに紹介し、改めて東大眼科の偉大なる先輩であることを痛感しました。

 最後の出田先生の話は、術者として本邦で屈指の眼科医が大地震の際に身を粉にして、患者、職員、住民のために働き、震災が落ち着いた今も支援活動を続けているという内容に頭が下がらないわけにはいきませんでした。この話は多くの眼科医に是非とも聞いてもらいたいと思いました。

 以上のように、今回の新潟ロービジョン研究会も内容も濃く、その後の懇親会での会話もとどまるところを知らないほど盛り上がった後、後ろ髪を引かれる思いで新潟を後にしました。来年の開催を今からも待ち遠しく思っています。 

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「おわりに 自覚者が責任者である」
 仲泊 聡(神戸理化学研究所;眼科医)
 研究会の締めくくりの言葉としてこれまではもっと歯の浮くような優等生のコメントをしてきたのですが、今回は、今マイブームになっている糸賀一雄氏の言葉を引用しました。糸賀氏は、社会福祉の父と呼ばれる偉人なのですが、視覚障害の業界ではあまり話題に登らないようで、恥ずかしながら私は最近になって認識した方です。私が引用した「自覚者が責任者である」と言う言葉は、彼が多く残した名言の一つです。彼は「この子らを世の光に」という言葉も残し、こちらの方がむしろ有名のようです。知的障害児福祉に生涯を捧げた彼の思想を凝縮した名言だと思います。「を」と「に」を置き換えると極めて俗っぽくなる言葉がこの順だと極めて深いメッセージになっていることがわかります。

 十分に彼の思想を理解できたわけでない状態で軽々しく引用してしまったことをとても反省しています。そして、その時の単なる思いつきでした。「自覚者が責任者」の例えとして道に落ちていたゴミをゴミ箱に捨てるという行為を昔は当たり前と教わったが、今日それが毒物や爆発物であるといけないと、しないように教える向きがあると。これを、私がこれまでどうして視覚障害者関連の仕事してきたかという文脈で話ししました。終わりの言葉でしたから質問も出ませんでしたが、自分の中では冷や汗が10リットルくらい出る感じでした。改めて自分の未熟さを思い知りました。もっと勉強していきたいと思いますので、どうかお許しください。この反省文をもって講演要旨に代えさせて頂きます。

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●新潟ロービジョン研究会 2016
0.はじめに
   安藤 伸朗(済生会新潟第二病院;眼科医)
1.【第1部 連携を求めて】
 1)看護師が関わると、こんなに変わるロービジョンケア
   橋本 伸子(しらお眼科;石川県白山市、看護師)
   http://andonoburo.net/on/5171 

 2)情報障害に情報保障の光を、患者に学ぶビジョンケア
   三宅 琢(東京大学先端科学技術研究センター特任研究員;眼科医)
   http://andonoburo.net/on/5182 

 3)視覚障害者のための転倒予防・体力増進教室
   ○山田 幸男 田村 瑞穂 嶋田 美恵子  久保 尚人
   (新潟県視覚障害者のリハビリテーションを推進する会;NPOオアシス)
   http://andonoburo.net/on/5210 

2.【第2部 眼科医療と視覚リハビリ】
 1)最大のロービジョン対策は予防と治療:私の緑内障との闘い
   岩瀬 愛子(たじみ岩瀬眼科;岐阜県多治見市、眼科医)
   http://andonoburo.net/on/5189 

 2)新潟県の訓矇・盲唖学校設立に尽力した眼科医
   小西 明(済生会新潟第二病院医療福祉相談室、前新潟盲学校長)
    http://andonoburo.net/on/5217 

 3)我が国初の眼科リハビリテーションクリニック(順天堂大学)
   ー開設当時を振り返ってー
   佐渡 一成(さど眼科;仙台市、眼科医)
    http://andonoburo.net/on/5223 

 4)眼科医・原田政美の障害者福祉理念と功績
   香川 スミ子(元東京都心身障害者福祉センター)
    http://andonoburo.net/on/5233 

3. 【第3部 熊本地震を考える】
  「熊本地震と災害時視覚障害者支援」
   出田 隆一 (出田眼科院長;熊本)
    http://andonoburo.net/on/5248 

4. おわりに
   仲泊 聡(神戸理化学研究所;眼科医)