報告『新潟ロービジョン研究会2012』 (3)シンポジウム1『ITを利用したロービジョンケア』

この記事は、2012年6月24日配信。

 シンポジウム1『ITを利用したロービジョンケア』は、ITを中心に、「作り手」(渡辺)、「作り手とユーザーの架け橋」(三宅)、「ユーザー」(園)がそれぞれにお話ししてくれました。シンポジウムの内容を座長報告として、そして参加者からの感想をお届けします。

『新潟ロービジョン研究会2012』   
  日時:2012年6月9日(土)
  開場12時45分 研究会13時15分~18時50分
  会場:済生会新潟第二病院 10階会議室

1.シンポジウム1『ITを利用したロービジョンケア』
    座長:守本 典子 (岡山大学)  野田 知子 (東京医大)
 1)基調講演 (50分)
   演題:「 ITの発展と視覚代行技術-利用者の夢、技術者の夢-」
   講師:渡辺 哲也 (新潟大学工学部福祉人間工学科)
 2)私のIT利用法 (50分)
   「ロービジョンケアにおけるiPadの活用」
      三宅 琢 (眼科医:名古屋市)
   「視覚障害者にとってのICT~今の私があるのはパソコンのおかげ~」
      園 順一  (京都福祉情報ネットワーク代表 京都市)

  シンポジウム1『ITを利用したロービジョンケア』座長報告
             守本 典子 (岡山大学眼科) 
             野田 知子 (東京医科大学眼科)
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 このシンポジウムでは、渡辺先生の基調講演を受けて、お2人の講演と2題の質疑応答がありました。なお、ITはInformation Technologyの略で情報技術ですが、最近ではこれによるコミュニケーション(Communication)の要素を重要と考えることからICT(Information and Communication Technology)すなわち情報通信技術と呼ぶことの方が増えているそうです(それで園さんは抄録でもご講演でもこの略語の方を使われました)。当シンポジウムに関連しては、この2語を意味と思ってお読みください。


 三宅先生はApple社製の多機能電子端末であるiPadを用いた新しいロービジョンケアの可能性についてご講演されました。近年のバージョンアップにより音声入力や音声読み上げ機能が改良され、音声メールや地図のガイドなど、さらに使いやすくなったそうです。また、先生は2011年の日本臨床眼科学会でiPad本体の背面カメラを利用した簡易拡大読書器としての有用性を報告されていますが、カメラの解像度の向上、およびiPadを外出先で使用する際の固定台の開発などにより、さらに実用性が高くなったようでした。今回のご講演ではいくつかの便利なiPadの使い方をご紹介くださいましたが、電子データの原稿を最適な文字サイズとレイアウトで表示される機能は好評で、拡大読書器でしばしば困難とされる改行の問題もかなり解決されるのではないかと考えられました。


 このような背景を受けて、三宅先生はiPad関連の情報および視覚障害者向けの情報発信を目的とした情報発信サイトGift Handsを設立され、iPadを活用するための様々なアプリケーションの紹介や視覚障害者向けの各施設の案内等の情報を発信されています。その他に、iPadの直営店であるアップルストア(銀座)ほか多施設で、視覚障害者に向けたiPadの活用方法の体験セミナーを行うことで、より多くの視覚障害者にとってiPadが現実的なロービジョンエイドとして機能するかを実体験できるセミナーを企画されており、これらの活動の一部を報告されました。ご講演の後、固定台にiPadを設置してのデモンストレーションをされ、盛況でした。iPadの注目度がうかがえました。


 園さんはお若い頃からの興味がお仕事にも結びつき、システムエンジニアとして生計を立てられました。パソコンを使いこなして情報を収集、発信し、自身の日常生活に役立てるばかりか、ロービジョン者のためのパソコン普及活動や機器展示会のお世話などもして来られました。一般のパソコン教室ではキーボード中心の操作方法を教えられないため、ロービジョン者を対象とした教室を開設し、指導者の養成もされたそうです。機器展示会への集客力は大変なものだった、とのことでした。また、ロービジョン者向けの機器の開発でも当事者としての提案をされ、例えば音声で電話をかけられるピッポッパロットができました。途中、園さんが日常、愛用されているスマートフォンや使い勝手を試してみられている iPadなどを取り出して、一部を披露されました。最後に、「墨字での文字処理が困難なロービジョン者にとって、パソコンほど便利な道具はなく、自分はICTの時代になったからこそしたいことができた」と括られました。


 討論では、機器メーカーの方からの「音声パソコンの開発や普及を頑張って来たが、この調子ではパソコンはiPadに取って代わられるのか」というご質問に対して、渡辺先生は「機能による使い分けをすればよくそれぞれが有用」、三宅先生も「iPadは携帯性に優れ、場所を選ばず使えるという点て有益だがパソコンにはパソコンの良さがある」、園さんも「iPadではできないことがまだまだあり、多くの量をこなす仕事ではパソコンが欠かせない」という風に、いずれも両者がぞれぞれの特徴を生かした形で生き残り、ユーザーは便利に使い分ければいい、というお答えでした。また、主催された安藤先生が「今回、講師が開発、普及、ユーザーとバランスよく3者揃った。今後、どのような展開を考えておられるかといった展望を一言ずつうかがいたい」と言われたのに対して、お3人とも現在の活動を継続し、より発展させていきたい旨のご回答をなさり、頼もしく思いました。

 

【参加者からの感想】到着順
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 (眼科医;大学勤務、東京)
 iPadの活用(三宅先生):三宅先生の数々の講演に刺激されて、東大眼科のロービジョン外来でも5月にiPadを購入しました。私たちは患者さんに説明するほど使いきれていない面もあり、今後三宅先生にメールをしながら聞いていく予定です。今日紹介された各種ソフトとも勉強になりました。これからのロービジョンケアにiPadは必需品だと確信しました。
 園さん:これだけポジティブにiPadを使いこなすロービジョン者はいないと思いました。こちらが勇気づけられる思いでした。

 (研究所職員、関西)
 iPadが広げてくれる世界、可能性が十二分に伝わってきた。外出時に携帯用の拡大読書器はカッコ悪くて出せなくても、iPadなら何の抵抗もなく出せる。流行や情報に敏感な若い人も頑固なおじさんもこれなら使ってくれるかもしれない。アイデア次第でまだまだ使い道が広がるiPad とApple社の顧客に対する思いがこれからの社会を変えてくれそうな気がする。iPadが目の見えない人の記憶・思い出を作ってくれるとは目からウロコの話だ!

 (眼科医;大学勤務、東北)
 作り手、ユーザー(患者)、眼科医の話がうまく絡まりたいへん興味深かったシンポジウムです。iPadは興味の対象外でしたが少し考えが変わりました。まず自分で利用してみようかなと思います。

(機器展示業者、愛知県)
 いつもながらロービジョン研究会のテーマは非常に興味深いものでありました。ロービジョンケアにおけるiPadの活用は、これからの視覚障害補助具の可能性を広げるものでした。

(当事者、千葉県)
 三宅先生のご講演で、新たなデバイスの可能性に触れ、視覚障害当事者として、新たな期待を膨らませた次第です。

 (視能訓練士、新潟市)
 ユーザーの方たちのたくさんの声を聞き、作り手の多くの方々の努力と汗の結晶でしょうが、iPadのように、一般の方たちと同じものを共有できる究極のバリアフリー商品が他にも出来てくるといいですね。

(眼科医;病院勤務、四国)
 技術は進歩し時代はiPadへ。「人は記憶の中を生きる」と訴えた三宅先生のお話しでは、思わずiPadを手に取ってみたくなりました。「失明に向かう自分をワクワクしていた」という園さんのお話しには、度肝を抜かれました。確実に一つのことを成し遂げていく園さんの行動力には、学ぶべきことがたくさんありました。
 どんなに便利な道具が存在しても、当事者にそれを使う意欲がなければ、それはただのガラクタに過ぎません。たとえば視覚障がい者が、拡大読書器を使用して墨字を読むことができたとします。拡大読書器がすばらしいのでしょうか?拡大読書器もすばらしいですが、もっとすばらしいのは当事者の意欲だと思うのです。いくら読めるといっても、そこには大変な努力があるということを支援者は知っておく必要があると思います。

(教育関係者;大学勤務、関東)
 三宅先生が,単にiPadの機能紹介にとどまらず,アップル社への交渉,一般利用者への説明など,多方面にわたり働きかけている情熱がよく伝わってきました。次回は,パソコンとの使い分け・連携についてもお聞きしたいです。
 園さんは,視覚障害に対する告知を淡々と受容された,とのお話でしたが,告知を受けた際に誰もが一度は自殺を考えるほどの絶望感を乗り越えられたエピソードをもう少しお聞きしたかったです。

(機器展示業者、兵庫県)
 三宅先生のiPadの応用については、これからの時代はスマートフォンやiPadのようなタブレットPCが文字拡大・OCR・音声認識など、視覚障害者にとって様々な可能性を秘めた有効な機器であることを感じました。機器を選定する場合、利用する当事者の用途、状態をよく考慮して勧めないと高額で、最新の機器であっても当事者にとって適正でない場合があります。比較的安価で、一般に普及している機器の用途の幅が広がることはとてもすばらしいことであると思いました。

(薬品メーカー勤務、新潟市)
 三宅先生:驚きの連続でした。知恵次第で目の不自由な人に感動を提供できることがあるのだなと思いました。また、営利目的なしでツールを提供する三宅先生を尊敬しました。ITを活用するのに抵抗を感じる人も多いと思いますが、こういったきっかけがあれば自分も挑戦してみようかなと思わせる三宅先生は素晴らしいと思いました。
 園さん:以前、済生会眼科勉強会での講演を聴かせて頂きましたが、今回もパワフルな講演が聞けてよかったです。元々ITには精通している方なので、パソコンを活用するのは何ら問題はないような気がしますが、パソコンを活用するというよりは、園先生の根本的なプラス思考が働いているような気がします。また、情報に対する貪欲さがひしひしと伝わってきました。ある情報を知らなくて損をすることも多々あると思いますので、大変参考になりました。
 全体を通しての感想:アイデアがあってそれを試行錯誤し、物を作り、活用するという流れは一見バラバラに思いますが、それぞれに共通していることは、目の不自由な方にとって利益になるという思いだと思います。企業ではニーズとコストのバランスが問われることがあると思いますので、福祉事業補助金等が充実すればよいなと思います。署名運動等で行政が動くのを期待してます。

(当事者、長野県)
 iPadの使い方には大変興味を持ちました。確かに今までのPCに比べてマンマシンインターフェースが格段にやさしくなりました。障害者に限らず高齢者にも使いやすいものだと思いました。これからこのようなものがますます発達していくと思いますが、思わぬ使い方があるものだと感心しました。iPadには最初から視覚障害をサポートする機能が入っていることも知りました。多くのメーカーがそのような取り組みをし、もっと普及するよう願っています。

(薬品メーカー勤務、新潟市)
 三宅先生:iPadが他社製品と比べてレスポンスが早いこと、電子書籍では文字の大きさを変えたり読み上げ機能が付いていること、音声入力が非常に感度が良いことなど、iPadが目に不自由な方に使用しやすいことを学ぶことができました。また、三宅先生の言葉で、iPadが「見える」「読める」「書ける」だけではなく「記憶」「情報」「想い」が可能になる。と仰ったことがとても印象深かったです。
 園さん:「情報を知ることから始まり、情報を与える機会を提供する立場になった」と仰っていたのがとても印象的で、いかに情報が大切なものなのかを再度認識することができました。また、園様が実際に目の不自由な方々へのサポートを実施していることから園様の考え方や人生観の大きさを感じることができました。

(内科医;病院勤務、新潟県内)
 ITに付いての発表をお聞きしましたが、各演者ともに、日頃の研究の経過、成果、工夫、活用…いずれも見事でした。目の見えるはずの私がなにも利用していないのに、障害のある方々が工夫をして、立派に活用していることに感激し、敬服して帰ってきました。

(当事者、長野県)
 今回の研究会に是非出席したいと思ったのは、ロービジョン者のiPad活用の可能性を知りたいとかねてから思っていたからでした。店頭では教えていただけない活用術を教えていただき、有り難うございました。私が現在使用している電子ルーペは、購入以来、ほぼ2ヶ月に一回故障しています。障害者用に特定した物は、小規模に作られているためか品質管理が不十分ではないかと、私は不信感を抱いています。その点、iPadだったら2ヶ月に一回故障するようなものは市場に出回らないだろうと言う安心感もありますし、三宅先生のお話をお聞きして、iPadが私の要求に応えてくれる事も分かりましたので、現在購入を考えています。以前から障害者を意識したタブレットの実現を期待していましたので、三宅先生のような方の存在も大変嬉しく思いました。

(眼科医;病院勤務、山形県)
 iPadてすごいなと言うのが正直な感想です。若い視覚障害者のかただけでなく、年配の方も使い方の説明次第では十分活用できると思うので、もう少し使い方の勉強をしないといけないと思いました。
 園さんはいろんな情報をいつもメールでいろんな方に発信しており、まねできない事だと思います。実際山形の網膜色素変性症の患者さんが、園さんにメールで現状の相談をしているとの話もあり、パソコンは情報発信、収集にかかせないのだと思いました。

(当事者;自営業、新潟県)
 今年3月に発売された第3世代のiPadは、ロービジョン者も使いやすいように、画面拡大、ハイコントラスト、大きなフォント、VoiceOver(音声読み上げ)などのアクセシビリティ機能をOSレベルでサポートしており、この機能を活用してロービジョンケアにiPadを取り入れる試みが広がっています。眼科医の三宅琢先生の演題「ロービジョンケアにおけるiPadの活用」では、これらのアクセシビリティ機能の概要と、iPadのカメラ機能に三宅先生が開発された外付けレンズを装着することで拡大読書器として使う方法などが紹介されました。
 私は今年の5月に東京にあるNPOが主催するロービジョン者のためのiPad講座を見学する機会があり、三宅先生が開発された外付けレンズも含め実際にiPadの操作を体験してみました。iPadの最大の特徴は銀行のATM同様にタッチスクリーンによる操作ですが、明るく解像度の高いRetinaディスプレイと画面拡大機能のおかげで、指でタッチスクリーンに軽く触れる直感的な操作で、画面の拡大、白黒反転、音声による文字入力も含めた音声アシスト機能が非常にスムースに使えることに感動しました。また、眼を凝らしてマウスカーソルを追う必要がないこともロービジョン者がiPadを使う大きなメリットであると思います。ちなみにRetinaとは網膜という意味です。
 三宅先生はパソコンにできることをより楽しく快適にできるマシンがiPadであると表現されましたが、情報の取り出しやすさという点ではパソコンよりもiPadは確かに優れており、ロービジョンケアでは残存視力がある子供向けの学習教材をデジタル化してiPadで取り出すというような教育分野での利用が向いていると思いました。けれど、三宅先生が指摘されたような自宅ではパソコン、外出先ではiPadというような使い方は、恐らく多くのロービジョン者はしないと思います。なぜなら、事前に落ち着いてゆっくり調べて、頭に入れて臨んだほうが安心できるからです。ロービジョン者がもっとも苦手なことは「その場での早い対応」です。これの唯一の解決策はそれを社会の側が理解することであるわけですが、ロービジョンは特別なことではないと人々に意識を変えてもらうきっかけを、iPad、アップルというネームバリューがもたらしてくれるかも知れないことが、iPadをロービジョンケアに取り入れる最大のメリットなのかも知れません。
 ロービジョンケアにおけるInformation and Communication Technologyシンポジウム最後の演題はロービジョン者の立場から、京都福祉情報ネットワーク代表の園順一さんによる「視覚障害者にとってのICT、今の私があるのはパソコンのおかげ」でした。15年前、視力を失った園さんが見えない生活を支えるために使い出したICT機器の利用法と、ICT機器の便利さ、面白さを伝えるためにかかわってきた数々の活動の履歴を語っていただきました。
 ここ数年のICTの発展は、視覚障害者がこれまでひとりでは不可能であった様々なことを可能にしてきました。スクリーンリーダーや画面拡大ソフトを使い、文書の作成、印刷、電子メールの送受信、ホームページの観覧および作成、スキャナを使った紙の文書や書籍の音声読み上げなど、園さんも指摘されるようにパソコンが視覚障害者にとって情報障害を軽減する強力なツールであることは今や常識になりました。そう考えると、視覚障害者はICTの恩恵を晴眼者以上に受けているのではないかと思えるくらいです。ところが、晴眼者に比べ視覚障害者のパソコン利用は依然として進んでおらず、その大きな原因のひとつにサポートの難しさがあります。つまり、一般のパソコンユーザーが利用しているようなサポートサービスは「画面がふつうに見える」ことを前提に提供されているため、視覚障害者には利用できないからです。
 園さんの講演を聴いて最も印象に残ったのはICTの便利さ、楽しさを伝えたいという意欲です。サポートサービスがないという問題意識があるだけでは何も変わらず、そこから自分たちに必要なサービスを企画立案し、お仲間と共に具体的な形にしていかれたのは本当にスバラシイことだと思いました。
 こういった当事者とボランティアの努力のおかげで、今では全国各地に視覚障害者向けパソコン教室が開かれるようになり、特に中途視覚障害者が社会とのつながりを保つという点において有効に機能していると思います。ただ、就労を前提としたパソコンの操作技術、知識の習得という点では不十分で、一定レベルのカリキュラムを提供できるフォーマルサービスの充実が必要ではないかと考えます。

(工学研究者;大学勤務、新潟市)
 眼科医の三宅先生のiPad応用への情熱には圧倒され、当事者である園さんの長年の技術開発と普及への努力には頭が下がった。今後、IT機器がロービジョン支援にますます有効になっていくことを再確認できた。

(当事者、新潟市)
 三宅・園両先生の 「ITの利用法」…iPadの活用法。 最初に三宅先生が会場の参加者に「iPad」所有の有無を問われたのに反応し挙手された皆さんの多さに驚きました。 昨今は利便性活用のメリットに大きなものも期待されますが、一方で利用者側の知識・認識の不足によるトラブルにも課題があるものと思っていますがいかがでしょうか。

(眼科医;大学勤務、中国地方)
 三宅先生には、柔軟な発想とすばやい実行力と溢れんばかりの情熱を感じました。各地で引っ張りダコ状態であられるのも合点がいきます。ITにはとくに疎い私ですが、「いいですよ~」と宣伝している手前、早くロービジョン外来に取り入れなければ、と思っています。
 園さんにはいきなり「この度の新潟行きの切符の購入も自分がしました。こんなことができるのもICTのお陰です」と皆の前で暴露されてしまいました。実際、「一緒に行ってもらえますか?京都からの切符は僕が買っておきます。先生は岡山~京都間の往復だけ手配してください」という調子でしたので、私は京都で園さんと合流することだけを考えればよく、当日も園さんの盲導犬ならぬ盲導人間となって、会場まで連れて来ていただきました・・いえ、ちゃんと私がお連れしたのですが、指示を出し、誘導したのは園さんでした。新幹線ではリュックサックから出るわ出るわのIT機器・・私は講演前からカルチャーショックに見舞われていました。
 討論時間の質疑応答であったパソコンとiPadの両立(ユーザーによる使い分け)および両者の今後の発展に、さらなる期待と希望を抱かせてもらえました

(雑誌制作、東京)

 三宅先生のお取り組みを初めて伺い、大変驚きました。眼科の先生でありながら、iPadという最新技術を取り入れてロービジョン支援を組織的に展開されていること。それを広めるための精力的で画期的な活動の数々。園さんのご発言にあったデスクトップとの棲み分けの話なども現実的で参考になりました。希望する人がスムーズに講習を受けチャレンジし環境を整えられるような仕組みが、ますます広がりますようにと、期待に胸が膨らみました。

(学生、新潟市)
 視覚障害者向けに作られたIT技術の歴史の長さ、そしてさらに発展されたiPadの普及により視覚障害を持った人たちの活躍する場は段々広がっているのだと感じる中で、IT企業や技術者が利用者のニーズに合わせた工夫を行う視覚障害だけに限らず様々な障害を持って暮らしている人達にも気軽に使う事が出来るようになれば障害を持った人達の活躍する場面はもっと増えるのではないかと考えられるように思いました。

(学生、新潟市)
 私が特に興味を持って聞けたのが「ITを利用したロービジョンケア」である。主にipadを利用したロービジョンケアには驚きが多かった。私もiphoneを利用しているが、知らない機能を多く知ることができた。使いこなす事さえできれば、視覚障害者にとって最大のツールになり、ロービジョンケアの発展にも大きく影響を与えると感じた。また、見えなくてもうまく利用することさえできれば、コミュニケーションを十分図ることのできるものであるということも学ぶことができ、とても興味深い印象だった。

(学生、新潟市)
 ITの発展・利用法では、音声合成装置の今までの変遷や、音声合成装置等を使って任意に文章を作成その他多くのことができるようになり、視覚障害を持つ方でも社会に出て活躍できるようになったことや、iPadを活用した視覚に障害を持つ人への支援方法があり、読書の字の拡大、映像を通して遠くの人と顔を会わせることができる等、多くの機能が開発されていることを知りました。特に地図検索の際に地図の先の町の様子を映像で見る事ができる機能は外にあまり出歩かない視覚に障害がある人にとっても大いに活用できるため、推進していき、多くの人が外に積極的に出て、社会に関わっていけるようになって欲しいと感じました。

(当事者、新潟市)
 日進月歩のIT関連分野のお話では、張替先生からの勧めもあり使い始めたiPADでは、三宅先生の活用法の講演は視覚に障害があるなしに関わらず、こんな便利な使い方がありますよ!また、もっと使いやすくするためには自分で企画設計して便利グッツを作ってしまうほど使いやすさを究極まで追い求めて、その反応を次の商品開発に役立てていらっしゃるようで、今後も視覚障がい者が情報困難者にならないようにご尽力くださることを期待しつつ私なりにいろいろな分野で使っていきたいと思っています。

(眼科医;病院勤務、新潟市)
 ITを中心に、「作り手」「作り手とユーザーの架け橋」「ユーザー」がそれぞれにお話ししてくれました。スクリーンリーダーの開発に携わった渡辺先生の音声合成器の開発、大きな驚きでした。実演は記憶に残りました。三宅先生は、「視力じゃない 記憶だ」「記憶 情報 想い」金言を取り混ぜた印象に残るプレゼンテーションでした。園さんの(失明に向かう自分をワクワクしていた)と言うコメント、毎回ですが凄いなと思いました。
 会でもコメントしましたが、作り手/架け橋はユーザーのニーズを如何に聞き出す(探り出す)かがポイントだと感じました。またユーザーは如何に思いを作り手に伝えるかが大事と思います。ただ、製品となると採算がとれるのかが企業側としては欠かせない点ですので、現在の現物支給の福祉行政そのものが問われなくてはなりません。

 

 



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