第22回視覚リハ大会 特別講演 2 『視覚障害者に対するこころのケア』

この記事は、2013年6月7日配信。

第22回視覚障害リハビリテーション研究発表大会 特別講演2
  演題:「視覚障害者に対するこころのケア」
  講師: 山田 幸男 
        新潟県視覚障害者のリハビリテーションを推進する会
           NPO法人障害者自立支援センター オアシス
   座長:吉野 由美子 (視覚障害リハビリテーション協会)
   日時:平成25年6月22日(土) 15時05分~15時55分
   会場:チサンホテル 4階 越後の間(東) 

 私たちが視覚障害リハビリテーションを始めたきっかけは、一人の目の不自由な男性A君の自殺です。彼の死を無駄にできないと考え、10年間の準備のあと、1994年に信楽園病院に「視覚障害リハビリ外来」を開設しました。しかしその甲斐もなく、4ヵ月後にBさんも入院中に自殺を企て、亡くなってしまいました。さらに同じ頃、1型糖尿病で失明したCさんも、命はとりとめたものの入院するたびに自殺を試みました。

 その後の調査で、目が不自由になるとそれが原因で、少なくとも2人に1人は、死ぬことを考え、うつ病やうつ状態であることが明らかになりました。視覚障害者は、いろいろな面で大きなハンディキャップを抱えながら、回復の見込みがないままに、生き続けなければなりません。

 そこで同じ障害をもつ人やスタッフ、ボランティアさんと気楽にお茶を飲みながら話のできる場を1995年に開設しました。「パソコン教室オアシス」です。そこは、グループセラピーなどこころの相談室であり、またパソコンや点字、化粧・調理・運動の教室、さらに、おしゃべりなどをしてくつろぐことのできる喫茶室です。

 開設して4-5年経つと、自殺を企てる人はなくなり、自殺を考える人も減少しました。若い人たちは職に就くことさえ考えるようになりました。「このような施設をもうすこし早くつくってもらっていたら、だれも死なないですんだのでは?」という声が聞かれるようになりました。    

 目の不自由な人とその家族には、こころのケアは必要です。私たちの乏しい経験を含めて、視覚障害者のこころのケアについてお話をさせていただきます。

 

【略歴】
  昭和42年3月 新潟大学医学部卒業
  昭和42年4月 新潟大学医学部附属病院インターン
  昭和43年4月 新潟大学医学部第一内科入局。内分泌代謝斑
  昭和54年5月 社会福祉法人新潟市社会事業協会信楽園病院
  平成17年4月 公益財団法人新潟県保健衛生センター   

 学 会
  日本内科学会認定医、日本糖尿病学会専門医、日本内分泌学会専門医、日本ロービジョン学会評議員、日本病態栄養学会評議員

 著 書
  ・視覚障害者のリハビリテーション(日本メディカルセンター)
  ・視覚障害者のためのパソコン教室(メディカ出版)
  ・白杖歩行サポートハンドブック(読書工房)
  ・目の不自由な人の“こころのケア”(考古堂)
  ・目の不自由な人の転倒予防(考古堂)、ほか 

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【第22回視覚障害リハビリテーション研究発表大会 特別講演】
 特別講演 1  座長 小田 浩一 (東京女子大学)  
   「視覚障がい者はどうして支援機器を使わないのか?」
           林 豊彦(新潟大学教授 工学部福祉人間工学科) 

 特別講演 2  座長 吉野 由美子 (視覚障害リハビリテーション協会)
   「視覚障害者に対するこころのケア」      
     山田 幸男(信楽園病院/NPO法人障害者自立支援センターオアシス) 

*第22回視覚障害リハビリテーション研究発表大会
 プログラム:http://andonoburo.net/on/1871 

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