勉強会報告

2017年7月1日

報告:第256(17-06)済生会新潟第二病院眼科勉強会  渡辺哲也
 演題:「視覚障害者とスマホ・タブレット 2017」
 講師: 渡辺哲也(新潟大学准教授:工学部 人間支援感性科学プログラム)
  日時:平成29年06月14日(水)16:30 ~ 18:00
  会場:済生会新潟第二病院 眼科外来 

 視覚障害は情報障害である。携帯電話・スマートホンは晴眼者のみでなく、全盲を含めた視覚障害者にも今や生活必需品である。今回の講演は、視覚障害者におけるデジタルデバイス(スマートホン・タブレット端末機器)の使用状況についてのレポートであった。大いに関心を呼んだ。渡辺先生は、2013年にも同様な調査をしており、今回は2017年度版で前回との比較も示して下さった。わが国でこのような報告は他になく、貴重な報告であった。

【講演要約】
1. はじめに

 厚生労働科研費を得て、視覚障害者のICT機器利用状況調査を実施した。今回の調査の主たる関心事は、スマートフォン・タブレットの利用率は上がったか、視覚障害者用のアプリはどのくらい使われているか、スマートフォン・タブレットにおける文字入力方法はどのようなものか、などである。 

2. 調査の実施と回答状況
 調査の実施は、中途視覚障害者の雇用継続を支援するNPO法人タートルに委託した。タートルは、視覚障害者が主に参加する約50のメーリングリストで回答者を募集した。調査期間は2017年2月20日からの1ヶ月である。

 有効回答者は305人(男性192人、女性113人)、全員メールで回答をしており、情報機器を使い慣れている人たちである。障害等級は1級の人が最も多く208人(68.2%)、2級の人が69人(22.6%)だった。視覚的な文字の読み書きができるかどうかという質問に「できる」と答えた人をロービジョン、「できない」と答えた人を全盲とすると、ロービジョンの回答者が90人(全回答者の29.5%)、全盲の回答者が215人(同70.5%)だった。 

3. ICT機器の利用率
 携帯電話(いわゆるガラケー)の利用率は全盲の人で60.9%、ロービジョンの人で54.4%だった。スマートフォンの利用率は全盲の人で52.1%、ロービジョンの人で55.6%だった。タブレットの利用率は全盲の人で14.4%、ロービジョンの人で38.9%だった。

 2013年に同様な調査をしたときの結果と比べると、全盲の人、ロービジョンの人ともに、スマートフォンの利用率が倍増した。タブレットの利用率はロービジョンの人では約2倍まで伸びたが、全盲の人では伸び率は1.5倍程度であった。他方で携帯電話の利用率は、2013年のとき全盲の人で85.8%、ロービジョンの人で73.7%だったのに比べると20%程度低下した。

 年齢別にスマートフォンと携帯電話の利用率を見ると、全盲の人、ロービジョンの人ともに、年代が下がるほどスマートフォンの利用率が高く、携帯電話の利用率が低い傾向が見られた。

 スマートフォンやタブレットを使い始めた理由としては、様々なアプリが使えて便利と、読み上げ機能が標準で付いていることが上位の回答となった。 逆にこれらの機器を使わない理由としては、現状の機器で十分と、タッチ操作ができない、難しそうという回答が多かった。 

4. 機種
 スマートフォン利用者157人(全盲の人107人、ロービジョンの人50人)に利用している機種を尋ねた。全盲の人、ロービジョンの人とも最も利用者が多かった機種はiPhoneで、全盲者の91.1%、ロービジョン者の80.0%が利用していた。Android端末の利用者数は全盲者で7人(16.3%)、ロービジョン者で9人(18.0%)と少なかった。全盲のらくらくスマートフォン利用者の数は4人(3.6%)に留まった。ロービジョン者でらくらくスマートフォンを利用する人はいなかった。2017年3月時点で、日本におけるiPhone利用率が45%であることと比較すると、視覚障害者のiPhone利用率は非常に高い。 

5. アプリ
 スマートフォンで利用しているアプリを、全盲の人とロービジョンの人の回答を足し併せて多いものから並べると、通話、メール、時計、アドレス帳、電卓、歩数計、ブラウザ、スケジュール、写真を撮る、という順序になった。スマートフォンで使えるようになった便利な機能として、画像認識、光検出、GPS/地図/ナビゲーションなどがあるが, GPS/地図/ナビゲーションの利用者は全盲の人で20人足らずであり、利用者が多いとは言えなかった。 

6. 文字入力
 スマートフォンにおける文字入力方法を詳細に尋ねた。文字入力手段としてソフトウェアキーボードの利用者数が、全盲の人とロービジョンの人の両方で最も多かった。全盲の人では、音声入力とハードウェアキーボードの利用者も多かった。

 ソフトウェアキーボードの種類としては日本語テンキー、ローマ字キーボード、50音キーボードがある。全盲の人ではローマ字キーボードと日本語テンキーの利用者が多く、それぞれの利用率は61.1%と55.8%であった。ロービジョンの人では日本語テンキーの利用者が最も多く、利用率は76.1%、      
 ローマ字キーボードの利用率は大きく下がり39.1%だった。

 音声読み上げ(iPhoneではVoiceOver)をオンにすると、日本語テンキーにおける文字の選択・確定方法が変わり、ダブルタップ&フリック、ダブルタップ、スプリットタップなどのジェスチャが利用できるようになる。このうち、利用者が多かったのはスプリットタップとダブルタップであった。 

7. 今後の仕事
 スマートフォン・タブレットの利用状況の詳細のほかに、携帯電話・パソコンの利用状況についても、今後データを整理し、公表していく。
 

【略 歴】
 1993年 北海道大学大学院工学研究科生体工学専攻修了
 1994年から2001年 日本障害者雇用促進協会 障害者職業総合センター(Windows用スクリーンリーダ95Readerの開発ほかに従事)
 2001年から2009年 独立行政法人 国立特別支援教育総合研究所(漢字の詳細読み「田町読み」の開発ほかに従事)
 2001年から現在 国立大学法人 新潟大学工学部(触地図作成システムtmacsの開発ほかに従事)
 併任で、筑波技術大学 非常勤講師、国立障害者リハビリテーションセンター学院非常勤講師、NHK放送技術研究所 客員研究員
 

【渡辺哲也先生の講演歴】
渡辺先生には、これまで本勉強会で2度、第22回視覚障害リハビリテーション研究発表大会で一度講演して頂いています。以下に、講演要約を記します。 

1)第167回(10‐01月) 済生会新潟第二病院 眼科勉強会
  演題: 「視覚障害者と漢字」 
  講師: 渡辺 哲也(新潟大学 工学部 福祉人間工学科)
   日時:平成22年1月13日(水)16:30~18:00 
   場所:済生会新潟第二病院 眼科外来
 http://andonoburo.net/on/5940 

2)第205回(13‐03月)済生会新潟第二病院 眼科勉強会
 演題:「視覚障害者とスマートフォン」
 講師:渡辺 哲也 (新潟大学 工学部 福祉人間工学科)
  日時:平成25年3月13日(水)16:30 ~ 18:00
  場所:済生会新潟第二病院 眼科外来
 http://andonoburo.net/on/5947 

3)第22回視覚障害リハビリテーション研究発表大会 講演要旨
 特別企画『視覚障害者とスマートフォン』
 講師:渡辺 哲也 (新潟大学工学部 福祉人間工学科)
  日時:平成25年6月22日(土)
    場所:チサンホテル&カンファレンスセンター新潟 越後の間
 http://andonoburo.net/on/2218 

【参考資料】
新潟大学 工学部 福祉人間工学科渡辺研究室新潟大学 ホームページ
 http://vips.eng.niigata-u.ac.jp/

・視覚障害者のパソコン・インターネット・携帯電話利用状況調査2007
 http://vips.eng.niigata-u.ac.jp/PCUserSurvey/Survey2007/Survey2007Jp.html

・視覚障害者の携帯電話・スマートフォン・タブレット・パソコン利用状況調査2013
 http://dspace.lib.niigata-u.ac.jp/dspace/handle/10191/27807
 

【後 記】
 視覚障害は情報障害である。
携帯電話・スマートホンは、全盲を含めた視覚障害者にも今や生活必需品である。今回の講演は、
視覚障害者におけるデジタルデバイス(スマートホン・タブレット端末機器)の使用状況についてであった。大いに関心を呼んだ。渡辺先生は、2013年にも同様な調査をしており、今回は2017年度版で前回との比較も示して下さった。わが国でこのような報告は他になく、貴重な報告であった。

・視覚障害者(全盲の人、ロービジョンの人ともに)は、スマートフォンの利用率が2013年と比較して倍増した。一方で携帯電話の利用率は低下した。

・視覚障害者のスマートホン利用率は、地域に指導者がいるかどうかに大いに左右されるというコメントにも説得力を感じた。

・画像認識やGPSが活用されているかと思いきや、実際はメール・ブラウザ・歩数計等の方が利用率が高かった。

 工学の成果を視覚障害者の情報に役立てようとしている渡辺研究室の研究を応援したい。そして目の不自由な方にとって便利で使いやすい情報機器がもっと発展することを願う。 

 

【今後の済生会新潟第二病院眼科 勉強会 & 研究会】
平成29年07月05日(水)16:30 ~ 18:00  @第一週です
  第257回(17-07)済生会新潟第二病院眼科勉強会
   新潟盲学校弁論大会 イン 済生会
 http://andonoburo.net/on/5932 

平成29年08月09日(水)16:30 ~ 18:00
  第258回(17-08)済生会新潟第二病院眼科勉強会
 「済生会が目指すソーシャル・インクルージョンの実現
   ~人々の「つながり」から学んだこと」
  小西 明(済生会新潟第二病院医療福祉相談室) 

平成29年09月02日(土) 開場13時半 研究会14時~18時
  新潟ロービジョン研究会2017
    会場:新潟大学医学部有壬記念館(ゆうじんきねんかん)
     2階会議室
 テーマ:「私と視覚リハビリテーション」
1)司会進行
   加藤聡(東大眼科)
   仲泊聡(理化学研究所)
   安藤伸朗(済生会新潟第二病院)
  特別コメンテーター
   中村 透(川崎市視覚障害者情報文化センター)
   大島光芳(新潟県上越市) 
2)プログラム
 1.「ロービジョンケアとの出会い」 
    高橋政代(理化学研究所CDB 網膜再生医療研究開発プロジェクト)
 2.「眼科医オールジャパンでできるロービジョンケアを考える」
    清水朋美(国立障害者リハセンター病院)
 3.「私と視覚障害リハビリテーション」  
    山田幸男(NPOオアシス)
 4.「眼科医療におけるキュアとケア」
    安藤伸朗(済生会新潟第二病院眼科)
 全体討論
 http://andonoburo.net/on/5956 

平成29年09月13日(水)16:30 ~ 18:00
  第259回(17-09)済生会新潟第二病院眼科勉強会
  演題未定
   小田浩一 (東京女子大学教授) 

平成29年10月18日(水)16:30 ~ 18:00
  第259回(17-09)済生会新潟第二病院眼科勉強会
 済生会新潟第二病院眼科「目の愛護デー講演会」
  演題未定
   岩田和雄 (新潟大学名誉教授) 

平成29年11月08日(水)16:30 ~ 18:00
第261回(17-11)済生会新潟第二病院眼科勉強会
  演題未定
   仲泊 聡(理化学研究所 研究員;眼科医) 

平成29年11月18日(土)午後
 済生会新潟第二病院眼科-市民公開講座
  会場:済生会新潟第二病院 10階 多目的室
 演題:「人生の手応えを共にさがし求めて〜死にゆく人たちと語り合った20年〜」
 講師:細井順(ヴォーリズ記念病院ホスピス長;滋賀県近江八幡市)
 http://andonoburo.net/on/5831 

平成29年12月13日(水)16:30 ~ 18:00
  第262(17-12)済生会新潟第二病院眼科勉強会
  演題未定
   関 恒子(長野県松本市) 

平成30年01月10日(水)16:30 ~ 18:00
 第263回(18-01)済生会新潟第二病院眼科勉強会
  演題未定
   加藤 聡(東京大学眼科准教授) 

2017年6月7日

報告:第255回(17-05)済生会新潟第二病院眼科勉強会 斎川克之
 演題:地域包括ケアシステムってなに?新潟市における医療と介護の連携から
 講師:斎川 克之(済生会新潟第二病院 地域連携福祉センター副センター長
          新潟市医師会在宅医療推進室室長)
  日時:平成29年05月10日(水)16:30 ~ 18:00
  会場:済生会新潟第二病院 眼科外来 

【講演要約】
■新潟市の概況
 政令指定都市新潟市の概況は、以下のとおりです。人口80万、65歳以上の高齢者27.5%、75歳以上の後期高齢者13.6% 地域包括支援センター27カ所、要介護者数40,000人。急速に高齢化が加速している状況であり、2025年には、人口約76万人、65歳以上の高齢者30.3%、75歳以上の後期高齢者17.2%と試算されています。 

■医療機関について
 地域包括ケアシステムにおける医療の役割は極めて重要です。地域住民にとって最も身近で日々の健康相談含めたプライマリケアを担当してくださるのがクリニック・診療所です。初期診断と治療、そして場合によっては適切な病院への紹介など豊富な経験で地域の住民のかかりつけ医として機能を発揮します。また、関係機関にとっても地域住民にとっても圧倒的な信頼感と安心をあたえることのできる存在、それが病院です。病院にもいろいろな種別が存在します。大きくは4種類あり、高度急性期、急性期、回復期、慢性期です。それぞれの病院が機能と役割を果たしています。 

■当院の概況
 当院は、新潟市西部にある425床の地域医療支援病院です。当院がある新潟市内は、高度急性期や専門性の高い医療を担う医療機関が集中している地区です。その中にあり、当院の強みはまさに地域からの信頼の指標である「連携」です。医療連携を柱としながらも、近年は地域の多職種連携を含む地域連携に対する取り組みを積極的に行ってきました。その最前線で機能を発揮する部署が、地域医療連携室・医療福祉相談室・がん相談支援室・訪問看護ステーションの4部署から成る地域連携福祉センターです。 

■医療福祉相談について
 地域の方々にとって、最も知っていたきたい病院の窓口、それが医療福祉相談室、そして医療ソーシャルワーカーです。医療ソーシャルワーカーは、患者さんの病気の回復を妨げている色々な問題・悩みについて、本人(ご家族)と共に、主体的に解決していけるように相談に応じています。特に近年の急速な超高齢社会においては、退院支援の相談が最も多く、在宅での療養生活を見据えた丁寧な援助を行っています。 

■地域の連携が強まるように
 他の医療機関から、いかにスムーズに紹介患者を受け、またその後に地域に帰すか。そこには地域からの強い信頼関係を基盤とした連携の仕組みがあればこそであり、院内だけの取り組みだけでは不十分です。自院だけでなく「地域力」をいかに高めることができるか、地域の全体最適を考える必要があります。地域の各医療機関が持つ医療資源やマンパワーを合わせて、最大限に個々のパフォーマンスを発揮できるようにするための「接着剤」が地域医療連携室の役割だと考えます。新潟市では、市内8区に在宅における多職種が連携を深める会である「在宅医療ネットワーク」が20団体あり、各職種の相互理解、課題解決へのアプローチなどそれぞれの取り組みを積極的に行っています。当院は、西区を対象に「にいがた西区地域連携ネットワーク」の事務局を担い、会の企画運営などを行っています。

 一方、介護保険法の地域支援事業には在宅医療・介護連携推進が大きく謳われております。そしてその推進の指標として(ア)から(ク)の項目を平成29年度中に実施すべきとされています。その中の1項目に「多職種連携の構築支援、関係機関からの相談窓口」があります。これを新潟市は、先に述べた在宅医療ネットワークの事務局を担ってきた病院の連携室に業務を委託する形をとり、名称を「新潟市在宅医療・介護連携ステーション」(以下連携ステーション)としました。またその連携ステーション11か所を束ねる役割として「新潟市在宅医療・介護連携センター」を新潟市医師会に委託しました。いわゆる在宅医療介護連携のノウハウを持ち合わせた病院の連携室に、この事業の最前線を委ねた結果となりました。地域住民の相談窓口である地域包括支援センターと連携ステーションの両輪が機能を発揮しているところが新潟市の大きな特徴です。 

■地域包括ケアシステムとは
 地域包括ケアシステム構築の取り組みにおいて、近年、医療介護分野では目まぐるしく制度の変革が行われてきました。現在、全国の各市町村は主体的に、この地域包括ケアシステムの構築を進めています。これまで述べてきたように、新潟市においては、病院や診療所などの医療機関と介護・福祉の事業所などとの協力体制を強めてまいりました。今一度、地域包括ケアシステムとは何か。正直に言って「これ」と指を指せるものはありません。言葉で表現するならば、「地域のみなさんが、健康な時も、病気になった時も、どんな時も、今まで住み慣れた地域で安心して暮らすことのできるまちづくり・地域づくり」を根底とし、市区町村が中心となり、「住まい」を中心に「医療」「介護」「生活支援・介護予防」を包括的に体制整備していくこと。その実現のためには、医療と介護、そして福祉の途切れのない連携体制はもちろんのこと、ヘルスケアに関連するさまざなまな領域の方々、そしてもっとも主役となる地域の住民の方々との広い連携、そして参加できる場が最も重要となります。
 

【略 歴】斎川 克之(さいかわ かつゆき)
・社会福祉法人恩賜財団済生会 済生会新潟第二病院 地域連携福祉センター 副センター長
・一般社団法人 新潟市医師会 在宅医療推進室 室長
 職種:社会福祉士、医療ソーシャルワーカー、医療福祉連携士
 平成 7年/新潟県厚生連・在宅介護支援センター栃尾郷病院SWとして就職
 平成 9年/済生会新潟第二病院に医療社会事業課MSWとして就職
 平成22年/地域医療連携室 室長
 平成27年/地域連携福祉センター 副センター長
 平成27年/新潟市医師会在宅医療推進室長 併任  

【後 記】
 斎川氏は当院ばかりでなく全国でも活躍している医療福祉支援の専門家。流石に非常にわかりやすく、しかも丁寧なお話でした。参加者の関心も高く、盛り上がった勉強会になりました。
 講演後のフリートークでは、「包括さん」には大変お世話になったなどの好意的な発言もありましたが、容赦のない発言・質問も炸裂。
・「自分ファースト」の時代に共生社会を作ろうというのは、「絵に描いた餅」ではないか? 
・医療介護連携の区割りが、病院ベースだ。町内会や小学校校区ベースがしっくりする。
・学生からは、学生実習で南魚沼に行ってきたが、4世代家族の奥さんは生き生きしていた。新潟との違いを感じたとのコメントもありました。

 なんといっても印象的だったのは、斎川さんの非常に真摯な姿勢でした。ICTが流行っている世の中ですが、こうした人と人の触れ合いが物事を進めていくのだと、斎川さんを見て学びました。
 議論百出で終わりそうにない勉強会でしたが、こんなコメントで締めくくりました。
「自分の健康や親の介護を人任せではなく、先ずは自分で考え、こういう包括システムを学ぼうということが大事ではないか。かつては「長男の嫁」が親の介護を担ってきた。しかし世界にも稀な長寿国となると、それも難しくなってきた。今、国は大きく体制を変えようとしているが、その実態は地方自治体に任されている。そんな状況下で、なんとか皆が上手く生きていこうという社会を作るために、多くの困難に立ち向かっている斎川さん達の活動を、私たちが支援したい。」 

 

 

【今後の済生会新潟第二病院眼科 勉強会 & 研究会】
平成29年06月14日(水)16:30 ~ 18:00
 第256(17-06)済生会新潟第二病院眼科勉強会
   「視覚障害者とスマホ・タブレット 2017」
    渡辺哲也(新潟大学 准教授:工学部工学科人間支援感性科学プログラム) 

平成29年07月05日(水)16:30 ~ 18:00  @第一週です
  第257(17-07)済生会新潟第二病院眼科勉強会
   新潟盲学校弁論大会 イン 済生会 

平成29年08月09日(水)16:30 ~ 18:00
  第258(17-08)済生会新潟第二病院眼科勉強会
 「済生会が目指すソーシャル・インクルージョンの実現
   ~人々の「つながり」から学んだこと」
  小西 明(済生会新潟第二病院医療福祉相談室) 

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平成29年09月02日(土)
  新潟ロービジョン研究会2017
    会場:新潟大学医学部有壬記念館(ゆうじんきねんかん)
     2階会議室
  時間:開場13時半 開始14時~終了18時
 テーマ:「私と視覚リハビリテーション」
1)司会進行
   加藤聡(東大眼科)
   仲泊聡(理化学研究所)
   安藤伸朗(済生会新潟第二病院)
  特別コメンテーター
   中村 透(川崎市視覚障害者情報文化センター)
   大島光芳(新潟県上越市)
2)プログラム
 1.「ロービジョンケアとの出会い」 
    高橋政代(理化学研究所CDB 網膜再生医療研究開発プロジェクト)
 2.「眼科医オールジャパンでできるロービジョンケアを考える」
    清水朋美(国立障害者リハセンター病院)
 3.「私と視覚障害リハビリテーション」 
    山田幸男(NPOオアシス)
 4.「眼科医療におけるキュアとケア」
    安藤伸朗(済生会新潟第二病院眼科)
 全体討論
 http://andonoburo.net/on/5818
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平成29年09月13日(水)16:30 ~ 18:00
  第259(17-09)済生会新潟第二病院眼科勉強会
  演題未定
   小田浩一 (東京女子大学教授) 

平成29年10月18日(水)16:30 ~ 18:00  @第3週です
  第259(17-09)済生会新潟第二病院眼科勉強会
 済生会新潟第二病院眼科「目の愛護デー講演会」
  演題未定
   岩田和雄 (新潟大学名誉教授) 

平成29年11月08日(水)16:30 ~ 18:00
 第261(17-11)済生会新潟第二病院眼科勉強会
  演題未定
   仲泊 聡(理化学研究所 研究員;眼科医) 

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平成29年11月18日(土)
 済生会新潟第二病院眼科-市民公開講座
  会場:済生会新潟第二病院 10階 多目的室
  日時:平成29年11月18日(土)午後
   演題:「人生の手応えを共にさがし求めて〜死にゆく人たちと語り合った20年〜」
   講師:細井順(ヴォーリズ記念病院ホスピス長;滋賀県近江八幡市)
 http://andonoburo.net/on/5831
==========================
 

平成29年12月13日(水)16:30 ~ 18:00
  第262(17-012)済生会新潟第二病院眼科勉強会
  演題未定
   関 恒子(長野県松本市)

 

2017年5月16日

報告:『済生会新潟第二病院眼科-市民公開講座2017』 4)参加者からの感想 

「眼科及び視覚リハビリの現状と将来を語る」をテーマに市民公開講座(主催:済生会新潟第二病院眼科)を、2月25日に開催しました。平形明人先生(杏林大学眼科教授)、高橋政代先生(理化学研究所)、清水美知子先生(フリーランスの歩行訓練士)をお招きし、司会は林 知茂先生(国立障害者リハビリテーションセンター病院)と、安藤 伸朗(済生会新潟第二病院眼科)が務めました。当日は全国12都府県から100名を超す方々が参加、熱気あふれる公開講座となりました。
今回は、参加者から届いた感想を紹介します。 

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新潟市 眼科医
先日は市民公開講座に参加させていただき、ありがとうございました。とてもすばらしい講演で感動しました。網膜硝子体手術の専門医で、杏林アイセンターの主任教授であられる平形先生が、屈折矯正の延長としてロービジョンがあり、難治性疾患で手術治療した後の患者さんや、先天網膜疾患の患者さんの生活や行動の拡大のためにロービジョンの必要性や有効性を説明を聞いてとても感動しました。iPS細胞移植の研究はどんどん進んでいることを知り、ロービジョン方の希望の星で、一般眼科医としてもわくわくしてしまいました。しかし、移植手術も万能ではないので、やはりロービジョンケアは必要なことを再確認しました。視覚障害者の歩行訓練士の歴史など初めて知ることばかりで、やはりとても勉強になりました。高橋政代先生の、見えない方が、今後、網膜移植や人工網膜などで、見えるようになる時代が来ているという話に感動し、しかし、それでもロービジョンは必要で、特に屈折矯正など基本的ケアなど、自分でも出来るケアをしっかりやっていくことが大事と再確認しました。 

新潟市 大学教員
今回の公開講座の感想は、以下のような感じで、本当に素晴らしかったです。
最初の平形先生のお話は、眼科のことをほとんど知らない私のような人間にも大変に分かりやすく、流れるようなお話で、私自身の講義や講演の仕方をもっと工夫しようという気持ちになりました。眼の仕組みの基礎から疾患の種類、治療法、そしてロービジョンにいたるまでを短い時間の中で深く理解できるように教えていただきました。手術の大家と呼ばれる方が、ここまで広い視界を持っておられることに驚きました。
高橋先生は、もちろん報道等を通してiPS細胞の臨床応用の第一人者として存じ上げている先生でしたが、適材適所の人材を動かす(?)マネージメントのお力も素晴らしいご様子で、柔らかい物腰も相まって、本当に素晴らしい方だと思いました。再生医療の可能性も限界も淡々と語られつつ、Next Vision構想という患者が主体的に考えていくロービジョン・ケア(という表現でよいのか分かりませんが)に尽力されていることに、本当に感嘆しました。
清水先生は、10年ほどぶりの再会でした。よい歳を重ねられ、相変わらず穏やかな中にもズバリと核心を突く口調に「羨ましいな」と思いました(真似ができそうで、できそうもありません)。内容についても、私自身が医療制度の歴史に非常に興味がありますので、とても面白く拝聴しました。視覚障害の日本の制度の固有の発達と特徴、問題点などがよく理解できました。精神障害、重症心身障害、感染症等々の制度の発達史と横並びにして考えたいと思いました。
眼科入門 → ロービジョン → 再生医療(可能性と限界) → 制度上の問題 と、全体の構成が非常によく、このように基礎医学から臨床医学、そして社会的制度的側面へと展開するシンポジウムは滅多にないものだと感心しました。 

新潟県 視覚障害者
先日は、大変貴重なお話を聞くことができまして、少し未来に期待感を持ってよいのかなと初めて思える講演でした。私は網膜色素変性症 いま、ちょうど白内障の両目の手術を終えたところでした。23歳で診断され、不安なまま生活し、人に言われ盲学校へいき、鍼灸マッサージの資格をとり、これは食べていくために必死だったのですが、45もすぎ、体力が落ち始め、違う仕事は視覚障害者には選択肢が全くないと思っていました。先日ハローワークへいきました。5年前よりはるかにたくさん求人がありましたが、視覚障害者はやはりマッサージです。ロービジョンで就職活動(連携)もできたらとてもいいな、と感じました。網膜再生が可能な日も近い気がしてきましたが、まだまだわかりません。体力は落ち、視力も落ち、前向きに来ていたつもりが、最近はブルーでした。しかし、講演を聴いて、少し元気を頂けました! 

新潟市 小児科医
当日講演会を大変面白く拝聴させていただきました。
清水先生の講演では、視覚障害者のリハビリテーションの歴史的な推移と、現在の問題点など良く理解することが出来ました。特にリハの対象者の障害内容が年と共に変化してきている点が問題を複雑化しているようです。しかし、視覚障害のみならず種々の障害を抱える患者さんに対する対応が、この50年ほどで素晴らしい進歩を遂げている事も間違い無いように思いました。このことは、携わる多くの方々の努力と忍耐と創意工夫があったからだと思います。感銘を受けました。平形先生や高橋先生の講演では、臨床医の基本として、治療のみならずケアに目を向けなければならない点が浮き彫りになっていたように思います。しかし、現実にはどうでしょうか。残念ながら私を含めて大部分の医師は、ケアの重要性を頭では理解しながらも、日常の仕事の忙しさにまぎれて不十分な対応しか出来ていないのが実情のようです。超多忙の中にあって、両先生が実に柔軟な頭でケアの充実に向けて日々活動されている様子が良く分かりました。高橋先生のお話で、神経細胞の移植実験において、移植した細胞と既存の細胞とのネットワークが構築されていることが、ネズミの行動実験でも証明された事を知りました。この方面の実用化にはまだまだ時間が必要でしょうが、確実に進んでいることをしり大変興味深く拝聴しました。 

新潟市 市会議員(視覚障害者)
今回の講師の方々もまさにその道を究めてこられたエクスパートの方々で、とても贅沢な学習会だと感じました。眼疾患に関わるところは専門的でよく理解できないところもありましたが、ロービジョンやリハビリへの展開の必要性などは、とても興味深く、集中して聞かせていただきました。特に再生医療の世界のトップリーダーでいらっしゃる高橋先生のお話をこんなに身近なところで、しかも無料でお聞きすることができるなんて、本当にすごいことだと思いました。改めてこのような公開講座を開いていただいたことに、感謝申し上げます。 

埼玉県 視能訓練士
済生会新潟第二病院眼科ー市民公開講座2017に参加させていただきありがとうございました。楽しい時間をありがとうございました。平形先生のご講演をお聴きし、杏林で出会った患者さん達のことを思い出したり、高橋先生のご講演をお聴きし、今後、これまでにない経過での「回復」過程を経る患者さん達やその機会を待つ患者さん達に思いを馳せたりしました。また清水さんの話では、タイトル通り「視覚障害リハビリテーションのこれまでとこれから」について考え、今後、医療と福祉の分野がどうあるべきか社会制度を含めた議論の必要性を感じました。 

新潟県 視覚障害者
市民公開講座2017に参加させていただきました、今後の生きて行く力になり希望の光につなげていただきました。心より感謝お礼申し上げます。 

新潟市 会社員
平形明人先生~アイセンターの歴史を交えながらロービジョンケアの意義についてご講義いただき、大変勉強させていただきました。時代とともに治療も進歩してきている中で、患者さんの生活範囲を治療前よりも向上させなければいけない。その中で重要になってくるのがロービジョンケアであり、病態のニーズに基づいたケアが必要になってくる。疾患によって患者様へのアプローチが異なってくる点を、複合的な疾患の専門性を有する大学病院やアイセンターなどが重要な役割を果たしているお話が印象的でありました。 最後に平形先生のロービジョンケアへの思い、そしてご実家での盲導犬チャンピィを交えた平形先生のロービジョンへのルーツも垣間見え、大変勉強になるご講演でした。
高橋政代先生~日本の再生医療のトップとして走り続けられている高橋先生のご講演は大変心に残りました。先生のご講演を聴くまで、私も再生医療へ過度な期待を抱いていた一人です。過度な期待から治療への失望を防ぐためにも、また患者様のQOLを満たすためにもロービジョンケアの啓発を大変重要視されている点が熱く伝わってきました。 神戸アイセンターの設立、治療から就労支援まで生涯を支える取り組み、公益法人NEXT VISIONの理事も勤められ、医療・研究だけでなく様々な事業へと取り掛かり眼科治療を発展されている高橋先生の姿勢に感銘を受けました。
清水美知子先生~視覚障害リハビリの歴史から現在の状況に講演いただき、新たな知見を得ることができました。戦前からの傷痍軍人に対するケアが発祥となり、三療師を目標において実施された職業リハビリテーションも時代の変遷と共に対象者・内容が変わっていく。対象が若年者より高齢者が増加してきたことによって、リハビリの内容も見直していかなければいけない。 眼科外来もロービジョンケアが設置されたことにより支援の幅が広がっていった。これからは眼科外来にもロービジョンケアだけでなく視覚障害リハビリの導入も考えなければいけない、といったこれからの視覚障害リハビリについてのあり方を問うお姿が眩しく見えました。 

新潟市 視覚障害者
大変貴重な講座に参加させて頂きまして誠にありがとうございました。近い将来の医療発展に大きく期待しつつ…今、やれる事に積極的に取り組もうと前向きな気持ちになりました。本当にありがとうございました。 

福島県 視覚障害者
この度初めて参加させて頂きました。会場に到着してすぐに安藤先生に声を掛けて頂きとても嬉しく思いました。そして素晴らしい講演内容で、わざわざ時間とお金を掛けて行った甲斐がありました。3名の先生が何れも絶え間無くびっちりお話しされ、あれもこれも伝えたい、時間が足りないと言う気持ちがとても伝わり、視覚障害者の当事者の私にとってはその熱意を感じられただけでも満足です。福島県ロービジョンネットワークの八子先生や会津若松の栗城さんと言う方から案内を受け、何時も参加して見たいと思っていましたが今回やっと実現出来ました。又、是非参加したいと思いますので、今後ともどうぞよろしくお願い致します。ありがとうございました。 

埼玉県 視覚障害者
私は中心、リンゴくらいが見える色変です。白内障の手術をして視力は0.6程度なので、自分自身での工夫と、時間さえかければ一人でなんでもします。パソコンも普通の年齢にあった状態で見ることと、音声とで補って使用しています。私の通院している病院にもロービジョン外来が週に1度あり、担当医が主治医なので希望をだしたことがありますが、今は必要ないと言われました。生活の知恵は友人に学びます。ロービジョンについて、未知の世界(?)だったので、とてもよくわかりました。3名の方々が、私たちのことを思ってくださり、とても頼もしく感じました。様々な方面の人たちが結び合ってくれることを望みます。視覚障害という方面から見る、福祉と医療。私たちももっと権利が主張できるよう、賢くならなければと思いました。会の進め方も、資料はなくても一つひとつにふり返りがあり、分かりやすかったと思います。ありがとうございました。今度は埼玉の仲間と旅行をかねて、参加してみたいと思いました。 

新潟市 会社員
平形先生~眼科疾患についてわかりやすくまとめて頂いたので、知識の整理ができました。講演の中にあった、『生活拡大』というキーワードが印象に残りました。各種疾患により視機能が低下した患者さんのケアにおいて、現状の生活をどのように住みよいものに変えていくことができるか、そのような視点が大事だと感じました。
高橋先生~眼科領域において非常にホットなトピックであるiPS細胞移植に関して、最新の知識を得ることができ、大変勉強になりました。実用化に向けての高橋先生のご尽力もそうですが、一番印象に残ったのは、iPS細胞を移植しても十分な視力は回復しないため、ロービジョン訓練を事前にしておかなければならないという点です。iPS細胞移植のニュースを聞いて、視力の回復を夢見る患者さんが出てくるかと思いますが、iPS細胞の限界を理解しつつ、より生活を豊かにするための準備が必要であるといったことを考える重要性を感じました。『NEXT VISION』に関しても、決して受動的なものではなく、患者さんが能動的に動いた結果が反映される施設であるというお話があり、実際に完成したときにはどのような姿になっているか楽しみな印象を受けました。完成時には患者視点の施設設計になっており、実際に患者さんが何を求めているかが反映されているかと思いますので、ぜひとも完成時にはどのような施設になったのかを拝見したいと思いました。 

新潟市 会社員
先日の市民公開講座、ありがとうございました。平形先生、高橋先生、清水先生お三方のそれぞれの講演とても興味深い内容で、なおかつ素人の小生にもわかりやすく時間の経つのを、とても早く感じました。目の手術の現状や眼病の多様性、20~30年後には目の神経も再生可能となる見込み、視覚障害者ケアの歴史と現状、並びに今後の進むべき方向性等を知ることが出来ました。 

新潟市 視覚障害者
このたびの市民公開講座2017、先生方が誠実に問題に取り組んでおられることに感動しました。私はもう、ロービジョンには用はないという気がしていました。でも講師の方々が魅力的で、内容も興味がありましたので、思い切って参加して良かったです。昔は医学と福祉、生活が切り離されていて、医師から見放されたら絶望的でした。福祉の対応も一辺倒で、選択の余地もなく、イヤでも受け入れざるをえませんでした。その当時のことから考えると、何と良い時代になったことか。もちろんこれで終わっては困りますが、未来に希望が持てました。これからも医療従事者、患者、行政や関係企業を巻き込んで、良い方法を見つけたいです。 

新潟市 会社員
初めてロービジョンのご講演を聴講させて頂きまして、ロービジョンケアと一言では表すことができない程、患者様によって介助の仕方や、治療の方向性が異なる事を学ばせて頂きました。平形先生のご講演では、ロービジョンケアの重要性や、患者様の背景によって治療方法、対応が様々であると感じました。また、ロービジョン患者様の治療におきましてご家族様の協力や正しい知識を習得する事、内科Drとの連携や関わりが大事であると感じました。高橋先生のご講演では、最新の再生医療とロービジョンケアが密接に関わっている事を学ばせて頂きました。再生医療で視力が回復するのかという疑問がございましたが視細胞の数によるものとご教示頂きました。しかし、視細胞、視神経の研究も始まっている事を知り、眼科医療の今後の可能性についてうれしく思いました。 

新潟県 視覚障害者家族
最先端の先生方のお話を聞くことができて貴重な経験になりました。 娘が網膜色素変性症の診断を受けて年に一回検査を受けて経過観察中です。今は夜盲症がありますが他は不自由はありません。将来の事を考えてできるだけ情報を持とうと思っていますので可能なものは参加させて頂きたいです。 

新潟県 大学教員
先日の公開講座大変良い刺激になりました。知りませんでしたが、各先生方が様々な方向から大胆な変革を試みているのですね。 

神奈川県 公務員(障害者サポート)
参加のきっかけは、済生会新潟第二病院眼科の勉強会で反響が多いと聞いている清水さんの講演および会場とのやりとりを一度みておきたい、と考えたからでした。お話の中では、清水さんが合衆国へ留学中に接したという「活き活きした当事者たち」の姿を、私なりにリアルに想像できたことが収穫でした。質疑応答では、職場での支援体制がとられておらず悩んでいる方の質問に対して「まず自分からできないことを伝えること」「相手が分からないということが当然であると理解する。推定ではなくはっきりとさせる」といった答えを提示された場面が印象に残りました。質問をされた方の後ろ姿をみていると、自分からアクションを起こさなくてはと考えていたのかな?でも、具体的にどうしたらよいのかわからなかったのでこの講座に聞きに来たのかな?という、あくまで想像ですが生きた反応のようなものを感じました。 

茨城県 大学教員
先日の市民公開講座に参加させていただき,ありがとうございました。登壇された講師の先生方はいずれも超多忙で日程調整は,さぞ大変だったことと思います。どの講演もとても興味深く,通常の学会では聞けない内容で安藤先生の絶妙な講演依頼の賜物だったと感じました。当日感じたこととしては,予想通り「iPS再生技術で,どこまで見えるようになるか」関連の質問が多く,確かに,当事者の切実な関心事ではあるものの,会場からの質問を受け付ける以上,「眼科及び視覚リハビリの現状と将来を語る」の質疑になりきれなかったのは仕方がなかったかもしれません。 

新潟市 会社員
網膜再生医療はこの短期間にすごい進歩だと感じました。自分の細胞胚だけでなく他人の細胞胚でも再生医療が進めば、見えなくなる恐怖から少しは開放されると思いました。また、海外ではアーガスⅡのような機械も出てきて色々な分野での技術革新が進んでいると感じました。そして、昨年来報道にもあった電車ホームからの転落事故等もロービジョンがもっと一般の人にも広く認知されれば防げるように感じながら拝聴しておりました。 

新潟市 会社員
今までロービジョンについて学ぶ機会が今までなかったので、すごく新鮮でした。今まで自分のなかで、ロービジョンと眼科手術がまったくの別物と考えておりました。しかしながら、平形教授の、サージャンは、硝子体のOPEがうまくいけばと考えがちだが、術後のケアを考えると、ロービジョンとは関わっていくべきものである。と言うお話が自分のなかでまたひとつ点と点が繋がった感覚があり感動いたしました。他にも、最先端の技術や、患者様への新しい取り組みについて、お話が聞けたのが勉強になりました。
最後の、対話式のセッションの中で、患者様の質問に対する、先生方の返答を聞いていて職場の方との関わり方で「自分のできることを減点方式ではなく、加点方式で伝えていくことが大事である」と言うお話を伺い、医学的な治療や治療による効果の説明だけではなく、患者様のその後の人生の歩み方をアドバイスする非常に難しいお仕事であることを感じました。そのことを感じてあらためて思い返すと、入場の際、患者様と安藤先生の強い絆を感じた理由がそこにあるのではないかと思いました。 

兵庫県 眼科医
深いお話、価値のあるお話を聞かせていただき、ありがとうございました。 

神奈川県 視覚障害者
平形先生~他の方のご講演でも、この小さな目にはたくさんの組織があることはよく耳にするが、「いろんな組織で出来ている目には、その組織ごとに病気がある。」という説明は案外少なく、印象的だった。また常々「見易い文字は人それぞれ」と思っていたので、臨界文字サイズなどの検査のお話が興味深かった。7種の点眼薬を使用しているので、容器にテープや輪ゴムなどを付けて判別する、というお話も大変参考になった。
高橋先生~以前の勉強会抄録にもあった「健全なあきらめ」という言葉が、胸にすとんと入って来た。世話が気に入らないと培養シートが「やさぐれる」など、面白くテンポの良いお話しぶり。西方面ご出身の女性医師の持ち味なのだろうか?日大の湯澤美都子先生や、京都中央診療所の長井苑子先生(内科)に共通して快活であり、ユーモアあり、やわらかい言葉の中に厳しさと優しさが同居している。移植で出来ること、出来ないこと。ロービジョンとセットとするのが大事なこと。文字にしメールで送ったのでは、これらの言葉が持つ本当の温もりは、なかなか上手く伝わらないだろう。高橋先生のお話を、ぜひ多くのロービジョン患者に、自身の耳で直接聞いて欲しいと思った。
清水先生~力強く闊達な御弁舌に、過去抄録の「清水節ファンが多い」というのも深く納得。自分が今まで知らなかった「戦盲」「あはぎ法」などの言葉。自分が生まれた年に始まった「中途失明者緊急生活訓練事業」が今も続いているということ。受けてきた抑圧をはずしても元の力は戻らない、エンパワーメントという患者教育が必要。どのお話も興味深かった。また、「見えづらい、効率が悪くなった」という主観が大事で、ロービジョンケアの始まりは、手帳交付では無くても良いと思う、というお話は、とても有難く感じた。自分がもし見えなくなっても、生き生きと過ごしたいと思う。
質疑と座談会~「出来る」という言葉に差がある、という林知茂先生たちのお話は、障碍者に限らずあることかも知れない。「こうすれば出来る」という工夫の具体性を積み上げる。分かっているふりを双方がしない、正確に伝えることを積み上げる。一朝一夕にはいかない。背伸びも逃げもせず、正確に伝える。どれも、自分自身に時々言ってみよう、と思う言葉たちでした。会場内での、元気いっぱいシッポを楽し気?に振っていた盲導犬が印象的でした。今回も、素晴らしい充実の時間をありがとうございました。 

新潟市 会社員
済生会新潟第二病院眼科ー市民公開講座2017に参加の機会をいただきまして、誠にありがとうございました。参加された方々の人数や熱心さには今回も驚嘆いたしました。来年末に完成予定の「神戸アイセンター」にはこれからの眼科医療の中心となっていくような施設ではないかと感じました。将来的な治療法の一つとしての、再生医療・移殖といった技術の進歩が一層進んでいくのではと思います。視覚障害者への制度や設備、知識に関して日本は他の先進諸国と比べるとまだまだレベルが追いついていないとのお話しもございましたが、今回のような公開講座があることによって、より多くに方に危機感というものを感じていただけるのでは思いました。 

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『済生会新潟第二病院眼科-市民公開講座2017』
 日時;2017年02月25日(土)
 会場:新潟大学医学部 有壬記念館(ゆうじんきねんかん)2階会議室
 テーマ:「眼科及び視覚リハビリの現状と将来を語る」
 主催:済生会新潟第二病院眼科
【プログラム】
 座長:安藤 伸朗(済生会新潟第二病院眼科)
    林 知茂 (国立障害者リハビリテーションセンター病院眼科)
・「杏林アイセンターのロービジョン外来を振り返って」
  平形 明人(杏林アイセンター;主任教授)
   http://andonoburo.net/on/5864 

・「網膜再生医療とアイセンター」
  高橋 政代(理化学研究所CDB 網膜再生医療研究開発プロジェクト)
 http://andonoburo.net/on/5874

・「視覚障害リハビリテーションのこれまでとこれから」
  清水 美知子(フリーランスの歩行訓練士)
 http://andonoburo.net/on/5840

 

2017年5月13日

報告:『済生会新潟第二病院眼科-市民公開講座2017』  3)高橋政代

 最新の眼科医療や再生医療の話題を知り、視覚リハビリテーションを語るという市民公開講座(主催:済生会新潟第二病院眼科)を、2月25日に開催しました。高橋政代先生(理化学研究所)、平形明人先生(杏林大学眼科教授)、清水美知子先生(フリーランスの歩行訓練士)をお招きし、司会は林 知茂先生(国立障害者リハビリテーションセンター病院)と、安藤 伸朗(済生会新潟第二病院眼科)が務めました。当日は全国12都府県から100名を超す方々が参加、熱気あふれる公開講座となりました。
 公開講座の報告として、講師の方々の講演要約を順に公開しています。今回は、高橋政代先生(理化学研究所)です。

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演題:網膜再生による視機能回復とロービジョンケア

講師:高橋政代(理化学研究所CDB 網膜再生医療研究開発プロジェクト)

【講演要約】
 2014年9月に手術が行われた加齢黄斑変性に対する患者自身のiPS細胞から作った網膜色素上皮(RPE)細胞シート移植(自家移植)の1例目は手術後2年以上経過しても、移植細胞が色素を保って生着しており安全性が確認された。ついで2017年3月には他のiPS細胞から作ったRPE細胞の移植(他家移植)が行われた。今回はシートの移植ではなく、より多数の病状の軽い人への移植に適したバラバラの細胞(細胞浮遊液)の移植である。今後、2年以内に5名の移植をして安全性を検討するが、iPS細胞を用いた移植治療もいよいよ治療開発の次の段階に入った。

 視細胞が失われることによって視野狭窄や視力低下を来す網膜色素変性に対するiPS細胞由来視細胞移植も慎重な動物実験で効果が確認され、数年内に臨床研究をするために前臨床試験(臨床研究の準備)へと進んでいる。網膜色素変性に関しては、視細胞移植治療研究だけでなく、視細胞の代わりをするチップを移植する人工網膜はすでにアメリカで認可されて販売されており、毎週手術が行われている。人工網膜では最高矯正視力で0.03が出たと報告されており、これは予想を超える効果である。また、原因遺伝子の遺伝子治療ではこれまで正常な遺伝子が足りないために疾患が発症する劣性遺伝タイプの網膜色素変性のみが遺伝子治療の対象であったが、昨年末には優性遺伝タイプも治療可能となる技術が動物実験で発表された。その他にも視細胞以外の残った網膜細胞に光を感じて脳に伝えるようにするチャンネルロドプシン遺伝子を導入することで、視細胞以外の細胞で光が見えるようになる治療もアメリカで開始された。


 このように難知性網膜疾患に対する新しい治療がどんどん開発されているが、どんな治療法も最初の臨床試験では効果を見るものではなく安全性確認が目的である。再生医療、特に網膜の再生医療はまったく新しい治療であり最初は効果も小さい。また、同じ細胞を使っても移植される網膜の状態によって効果が決まるので、網膜が傷跡のように瘢痕化してからでは移植細胞は受け取られない。今後、改良を重ねて徐々に効果的な治療となることが考えられるが、どうしても「網膜再生医療」という言葉から過剰な期待が持たれやすく「失望リスク」を抱える。一方で、新しい治療を開始する場合は治療のリスクとベネフィットを十分に吟味して慎重に進める必要があるが、日本ではゼロリスクを求める傾向があり進まないと言う問題がある。治療開発が安全性を過度に求めることから遅延する「治療機会損失」と同様に、これもこれまではあまり俎上に乗らなかった「治療に関わるリスク」の一つである。いずれもリスクコミニュケーションが重要となる。


 過度な期待は治癒が唯一の問題解決法であると考えることから起こるので、目的を達成するためのロービジョンケアという別の道を伝えることが重要である。再生医療はリハビリテーション(ロービジョンケア)とセットで完成することを周知する必要がある。特に視機能が低下しつつあるまだ障害が軽度の段階でロービジョンケアや福祉につなぐことによって勤務を続けられる場合も多いが、橋渡しがないために医療と福祉の谷間に落ち込む場合が非常に多い。分断された医療と福祉を効率よくつなぐために、また予防医療や再生医療という新しい医療を創るため、研究、医療、患者ケア、福祉窓口、就労支援がワンストップとなる神戸アイセンターを建設している。そこでは、確かな一般診療を行う市民病院機構の新しい病院「神戸アイセンター病院」(中央市民病院と先端医療センターの眼科を統合)で理研のサポートで研究から生まれた再生医療など先進医療も進め、また病院の入口フロアを占めて病院と福祉施設の橋渡しとなる「公益法人NEXT VISION」が視覚障害のイメージ変革を目指して「isee運動」を展開する。さらに、医療の新しい形や社会実験を推進するソーシャルベンャー「VISION CARE」の組み合わせで、2017年末からは神戸アイセンターがオープンする。


【略 歴】

 1986 京都大学医学部卒業
 1986 京都大学医学部眼科
 1995 アメリカ ソーク研究所 研究員
 2001 京都大学医学部附属病院 助教授
 2006 理化学研究所 チームリーダー
 2012 理化学研究所 プロジェクトリーダー
  現在に至る

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『済生会新潟第二病院眼科-市民公開講座2017』
 日時;2017年02月25日(土)
 会場:新潟大学医学部 有壬記念館(ゆうじんきねんかん)2階会議室
 テーマ:「眼科及び視覚リハビリの現状と将来を語る」
 主催:済生会新潟第二病院眼科 
【プログラム】
 座長:安藤 伸朗(済生会新潟第二病院眼科)
    林 知茂 (国立障害者リハビリテーションセンター病院眼科)
・「杏林アイセンターのロービジョン外来を振り返って」
  平形 明人(杏林アイセンター;主任教授)
     http://andonoburo.net/on/5864  

・「網膜再生医療とアイセンター」
  高橋 政代(理化学研究所CDB 網膜再生医療研究開発プロジェクト)

・「視覚障害リハビリテーションのこれまでとこれから」
  清水 美知子(フリーランスの歩行訓練士)
  http://andonoburo.net/on/5840

 

2017年5月12日

 

報告:『済生会新潟第二病院眼科-市民公開講座2017』 2)平形 明人 

 最新の眼科医療や再生医療の話題を知り、視覚リハビリテーションを語るという市民公開講座(主催:済生会新潟第二病院眼科)を、2月25日に開催しました。高橋政代先生(理化学研究所)、平形明人先生(杏林大学眼科教授)、清水美知子先生(フリーランスの歩行訓練士)をお招きし、司会は林 知茂先生(国立障害者リハビリテーションセンター病院)と、安藤 伸朗(済生会新潟第二病院眼科)が務めました。当日は全国12都府県から100名を超す方々が参加、熱気あふれる公開講座となりました。

 公開講座の報告として、講師の方々の講演要約を順に公開しています。今回は、平形明人先生(杏林アイセンター教授)です。 

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演題:杏林アイセンターのロービジョン外来を振り返って
講師:平形 明人(杏林アイセンター教授) 

【講演要約】
 ロービジョンケアの重要性は眼科領域ではかなり普及してきている。しかし、対象となる病態や患者背景は多様であり、眼底疾患だけでも、発生異常による先天性視力障害、腫瘍や遺伝性網脈絡膜疾患による中途失明、血管閉塞や黄斑変性などによる高齢者の視力障害など様々である。また、施設により実施方法やロービジョンケア担当の職種は異なる。患者の日常生活に密接に関わる開業医、多数の難病疾患を紹介され高度な治療後の後遺症に対処する病院、高度医療の実施と若い医師や医療者を教育指導している大学病院、再生医療などの最先端治療をしながら難病患者に対応する高度医療機関、それぞれ異なった環境でロービジョンケアの方法には特徴があるであろう。 

 今回は、我が国で最初のアイセンターの名前を冠して活動している杏林大学病院眼科で、どのようにロービジョン外来が誕生してロービジョンケアを実施しているのかを振り返ってみた。 

 杏林大学眼科は、1999年にアイセンターの名前を冠して高齢化社会に向う我が国の眼科治療の発展の必要性を訴えた(つもりである)。そのアイセンター構想は、すでに1994年に杏林学園に提出されたが、その大きな柱の一つがロービジョンケアであった。当時主任教授であった藤原隆明教授、樋田哲夫助教授と私で、高齢化社会での生活の質(QOL)のために視覚医療が非常に大切で、そのためにはロービジョンケアが大きな役割を果たすことを強調した。この杏林ロービジョンケアの創設は、その2年前にORTの守田好江さんが外来にロービジョン補助具を準備したことに遡る。 

 守田好江さんは、慶應大学の植村恭夫先生の下で小児眼科、つまり斜視弱視と屈折矯正の基本を徹底的に仕込まれたORTであるが、植村先生の退任を機会に米国に留学してロービジョンケアを学び、杏林にORTとして赴任した。そして、人手のない中でORT業務の合間に少しずつロービジョンケアを行いながら、教室の眼科医たちにそのコンセプトを浸透させた。 

 守田さんが再び米国に戻ることになった時に、彼女の推薦でORTの田中(石垣)恵津子さんが赴任し、彼女が大学院で学んだ東京女子大の小田浩一教授との交流が始まった。田中さんの献身的な患者への対応を見ながら、網膜硝子体手術の対象疾患をはじめ難病疾患の患者に対する治療前後のロービジョンケアの意義を私を含め多くのスタッフが認識するようになり、ORT西脇友紀さんも加わった。 

 Duke大学で硝子体手術の父といわれるRobert Machemer教授に指導いただいた樋田教授と私は、「本当の医者は、自分の手術の上達に満足するのではなく、手術を受けた患者がどのように生活を拡大するかに心を配らなければいけない。そのために、手術後の屈折矯正を基本とする視覚環境のケアに眼科医は関心を持たなければいけない。」という教育を受けていた。まさに、彼女らのケアによって生活が拡大する視覚障害者に接して、ロービジョンケアの重要性を実感した。 

 1999年の病院の新外来棟建設に伴ってアイセンターが設立したのを機会に、田中、西脇をORTの基本業務から外し、小田教授をロービジョンケアリサーチ主任として非常勤講師に迎えた。以後、彼らの学会発表や論文報告の数は医師のそれを凌ぐものになった。その後、家庭の事情から田中、西脇が非常勤になり、ORT新井千賀子さんと歩行訓練士の尾形真樹さんが受け継いで活動範囲はさらに広がり、外部から見学者や研修者が多く訪れ、アイセンターにはなくてはならない外来に充実した。 

 本講演では、ロービジョンケアが生活拡大に明らかに有用であった印象深い数例を紹介した。
・両眼の先天網脈絡膜コロボーマで健常網膜は上方血管アーケードより周辺しか残存していない3歳女児。両眼視力は0.04であるが、行動観察、読書検査、固視検査を通じて年齢に適切な視環境を取り入れながら成長し、昨年、4年制大学を卒業して福祉関係の仕事に就職された。

・68歳男性でドーナツ状の輪状暗点を示す輪紋状脈絡膜硬化症の男性に、病態や将来予後の可能性を説明し、MN-Read読書検査から周辺視野を使った文字サイズで読むことを拡大読書器で練習してもらった。13年たった81歳の現在、中心視力は0.08に低下したが、趣味の読書を続けている。

・60歳男性、糖尿病治療歴なく、他眼失明で残る眼の網膜剥離を合併する重篤な増殖糖尿病網膜症で受診した。視力は0.03、糖尿病内科眼科同時診察を経て、内科入院中から手術後の予後を想定して、糖尿病のインスリン自己注射を含む自己管理、食事法、点眼や内服の工夫(点眼ビンのマーク付けや内服分包など)、治療経過に対応しての眼鏡や拡大鏡処方、介護保険の利用、他施設の利用などを、看護師、栄養士、ロービジョンケア担当師と指導し、硝子体手術後6か月で視力0.1に回復するまで網膜症の治療だけでなく両親の介護を含む行動範囲を維持した。 

 ロービジョン外来を受診して生活範囲を維持する患者に接することで、医師や看護師などのコ・メディカルが多くの眼科医療の在り方を学び、視覚障害者に対する看護・介護の手段も広がった。また、医学生や研修医が眼科医療の視覚医療がQOLに欠かせないもので、そのケアに医師の役割が重要であることを実感している。さらに、ロービジョンケアの担当者は、各専門分野の医師との交流から、各専門分野の疾患に特徴ある情報を得ることで、将来を予測した対応を提供することもできた。高度医療機関や大学病院など医師を養成する施設にはロービジョン外来の設置は必要条件であると感じている。 

【略 歴】
 1982年 慶應義塾大学医学部卒業、同眼科学教室入局
 1987年 慶應義塾大学医学部助手
 1989年 米国Duke大学Eye Center留学
 1992年 杏林大学医学部眼科講師
 1997年 杏林大学医学部眼科助教授
 2005年 杏林大学医学部眼科教授
 2008年 杏林大学医学部眼科主任教授   現在に至る 

 

『済生会新潟第二病院眼科-市民公開講座2017』
  日時;2017年02月25日(土)15時~18時
  会場:新潟大学医学部 有壬記念館(ゆうじんきねんかん)2階会議室
 テーマ:「眼科及び視覚リハビリの現状と将来を語る」
 主催:済生会新潟第二病院眼科

【プログラム】
 座長:安藤 伸朗(済生会新潟第二病院眼科)
    林 知茂 (国立障害者リハビリテーションセンター病院眼科)

・「杏林アイセンターのロービジョン外来を振り返って」
    平形 明人(杏林アイセンター;主任教授) 

・「網膜再生医療とアイセンター」
    高橋 政代(理化学研究所CDB 網膜再生医療研究開発プロジェクト) 

・「視覚障害リハビリテーションのこれまでとこれから」
    清水 美知子(フリーランスの歩行訓練士)
   http://andonoburo.net/on/5840

 

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