勉強会報告

2017年9月19日
報告:第259回(17-09)済生会新潟第二病院眼科勉強会 小田浩一
  日時:平成29年09月13日(水)16:30 ~ 18:00
  場所:済生会新潟第二病院眼科外来
 演題:視覚障害研究・開発の過去・現在・未来
 講師:小田浩一 (東京女子大学教授)
【講演要約】
1.はじめに
 研究者・大学教員としてのキャリアは、今年で33年。残り10年で定年退職の節目になるので、これまでの自分の仕事を振り返りながら、未来を展望してみた。振り返ってみると、これまでに研究に従事してきたテーマは以下の4つである。ICTと視覚障害、フォントの研究、ロービジョンの視機能と行動の関係、ロービジョン・リハビリテーション。以下、順に述べることとする。
 
2.ICTと視覚障害
 1984年旧国立特殊教育総合研究所に赴任した当時に与えられたテーマは、コンピュータの視覚障害教育への応用であった。これは今流に言えば、ICTと視覚障害という大きなテーマになるだろうが、教育現場にまだPCが普及していない時代であり、テーマを与えた小柳恭治部長は慧眼ではあったが、ほとんどの同僚や研修生の態度は否定的で、PCを操作していると自閉症だの宇宙人だの、マシンが障害児の役に立つはずがないだのと冷たい批判を受けたことをよく覚えている。
 オーストラリア商務省から補助金をもらい、メルボルンに1ヶ月出張してユリーカA4という視覚障害のユーザ専用のPCの開発もした。視覚ディスプレイがなく、点字キーボードというシンプルなデザインはスティービーワンダーのお気に入りになったことで知られている。現場でのICTへの抵抗があまりにも大きいので、普及のためにPC講習会を開催したり、東京女子大学に転職後は大学のサーバをつかって全国規模のメーリングリストや視覚障害補助具のデータベースの公開などもした。
 1996年視覚障害の支援関係の情報資源をまとめたVIRN(Vision Impairment’s Resource Network)というサイトは、当時非常によく閲覧されていたようで、今では、VIRNという略語はnet辞書にも登録され、カナダの団体の名前にも使われている。米国連邦政府調達庁が公開していたWebアクセシビリティのガイドラインを許可を得て日本語訳して公開するなど、VIRNを使って初期の普及活動もした。杏林アイセンターでもロービジョン外来開設時はPC訓練にかなり力を入れていた。
 そのうちどっとブームが来たので、このテーマには少し距離を置いて、自分にしかできない研究に路線を変更していくことにした。現在はスマートフォンやタブレットPCが全盛で、今後はAIやVRがまた新しい可能性を開いていくと思われる。会場でデモをしたアプリ、写した対象をAIで認識して音声読み上げするTapTapSeeなどは、ICTが視覚障害を支援する姿の今後をよく示しているように思われる。
 
3.フォントの研究
 1987年にApple社のMacintoshというGUIのPCが出ると、フォントが自由に変えられることとマウスで図表が簡単につくれることに注目して、触図をつくるシステムを提案した。そのときにオリジナルの点字フォントを開発した。日本ではMS-DOSが全盛でWindows3が出る5年前だったこともあり、日の目は見なかったが、その後意外と海外でもよくつかわれていることをAppleのSpecial Education Officeの人たちに教えてもらった。フォントの研究もそこから研究テーマの1つになった。
 2000年ごろ、国立障害者リハビリテーションセンター研究所との共同研究の中で、後天性の盲ろうの人たちの文字として触覚でも視覚でも読みやすいフォントの開発をした。研究成果はAdobeのフォントデザインをしていた山本明彦さんが形にしてくれて2002年にForeFingerMとして世に出た。2006年にイワタのUDフォントが出る3年前の話である。これはカタカナだけのフォントで一般的には使いにくい仕様だったが、その後、類似のフォントが次第によく使われるようになった。タイプバンクのUDタイポスが一番似ていて使いやすいのではないだろうか。
 2013年ごろから共同印刷との共同研究で新しいUDフォント小春良読体を開発した。これは最近の読み研究の中で少しホットになっている読み分け困難(crowding)を減らすデザインになっている。そのために小さいサイズで読みやすい特徴がある。最近一般に市販することになった。
 
4.ロービジョンの視機能と行動の関係
 テーマの3つ目は、大学・大学院時代からの専門である視覚心理の関心を伸ばしていったもので、全盲の生徒が視覚を活用している様子に衝撃を受けてから、ロービジョンの視機能と行動の関係がどのようになるのかを研究するものになる。1987年にニューヨーク大学に留学してロービジョンと読書の心理学を勉強してもどってから、読書行動をメインの研究テーマにすることになった。
 1998年ミネソタ大学のロービジョン研究室のMNREADという読書評価チャートの日本版の開発を軸にして、多くの研究が生まれている。読書に影響しそうないろいろなパラメータを眼疾患に関連づけて地味に調べてきたが、今年2017年の国際学会では、欧米の研究者から今後そういう研究が必要だという意見が出ていた。
 
5.ロービジョン・リハビリテーション
 1991年故樋田哲夫教授の肝いりで杏林大学眼科にロービジョン外来が誕生した。1994年教え子の田中恵津子さんがロービジョン外来に関わることになり、ロービジョン・リハビリテーション自体が4つ目のテーマになった。1999年杏林大学付属病院の新外来棟建設に伴って杏林アイセンターが発足、アイセンターの目玉の一つはロービジョン外来であった。

 ロービジョン研究ディレクターという形で、田中恵津子さん、西脇友紀さん、新井千賀子さん、尾形真樹さんらロービジョン外来メンバーの研究・実践を後方支援した。以下のことは実際はこれらの杏林スタッフの仕事で僕はスーパーバイズしていただけである。
 臨床から生まれるさまざまなニーズが重要な研究や実践を導いてくれた。病院内の資源が限られていたので、東京のいろいろな視覚障害支援団体・施設と連絡をとり連携体制をつくり、連携時の個人情報の安全な交換法を決め、病院の内装の見えにくさを複数の患者とチェックして輝度コントラスト50%を確保する建物のアクセシビリティの研究をして、改装をしてもらったりというのが初期の実践研究だった。
 インテーク時にもれのないようにするQOL評価はVFQの初期のものを参考に日本人の生活に合わせたものをつくり、事後評価でどう改善がみられたかも評価できるように改良した。さらに、個々の項目に対して、どういう支援の手立て、外部連携先、情報があるかのリストを整備して、どのニーズにもなんらかの対応ができるような工夫をした。
 QOL評価は、ロービジョンサービスの効果を測定して改善していくPDCAやEBMのための大事なツールとなる重要なものであるが、開発後少しすると杏林でもルーチンで利用されるということがなくなっていた時期がある。そのQOL研究の中では、高齢のロービジョン患者に対する余暇活動の影響がはっきりしてきた。余暇活動のニーズは患者から言い出しにくいものなので丁寧なインテークが求められる。
 これらと並行して、MNREAD-Jを開発し読書評価をして拡大率を決めたり、いろいろな拡大補助具の特性・メガネとの関係を適切に調整する専門的な知識を月例ロービジョン研究会を通して蓄積・学習していった。ロービジョン外来は杏林アイセンターの1つのユニットとして、治療と並行したリハビリの提供や、リハビリを想定した治療方針の設定というように、整形外科とPTのような良い共生関係が生まれている。
 
5.おわりに
 今年2017年の国際ロービジョン学会で見学した、オランダのVisioという組織が提供しているロービジョン・リハビリテーションのあり方を紹介した。月額100ユーロという医療保険の中で提供されるサービスで、車の保険のように、ニーズが生じればいつでも決まった担当者に電話して対応をコーディネートしてもらうことができる。多種多様な専門家が多くは非常勤で所属する組織で、個々の利用者の電話での要望に応えられるようにしている。
 「ユーザーベース」というのは大きな発想の転換だが、考えてみれば無駄のないシステムで日本の今後はこのようにすると良いのではないかと思われた。
 
【略 歴】
 1981年 千葉大学人文学部心理学専攻卒業
 1984年 東京大学大学院人文科学研究科博士課程中退
 1984年 国立特殊教育総合研究所視覚障害教育研究員
 1987年 アメリカ合衆国ニューヨーク大学在外研究員
 1992年 東京女子大学現代文化学部講師
 2009年~ 東京女子大学現代教養学部教授
 
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【後 記】
 東京女子大学の小田浩一教授にご自身の研究の過去・現在・未来について講演して頂きました。思えば1998年ごろから私が勝手に小田研の研究会に参加するようになり20年近くになります。
 先生は視覚心理物理学の大家で、これまで視覚心理の手法を用いて視覚障害者の抱える問題について先頭に立って学問を進めてこられました。
 講演ではこれまでのそして現在のお仕事をまとめてお話し下さいました。MNREAD-Jを開発し読書速度の評価、視覚障害者にも強いフォントの研究、視覚障碍者のwebアクセシビリティの研究、さらには杏林大学眼科ロービジョン外来立ち上げにも参画しています。
 未来のお話として、2017年国際ロービジョン学会での話題やオランダの視覚障害への対応Visioなども紹介して下さり、目から鱗のお話満載でした。
 日本のロービジョンケアをリードする小田浩一先生の研究の足跡を、直接伺うという贅沢をたっぷりと堪能しました。
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【これまでの小田先生の新潟での講演歴】
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【新潟ロービジョン研究会2010】
 日時:2010(平成22)年7月17日(土)14時00分 ~ 18時20分
 会場:済生会新潟第二病院 10階会議室
 テーマ:「『見えない』を『見える』に」
 会費:無料 要、事前登録
 1)特別講演
  「障がい者が支援機器を活用できる社会に」
   座長:安藤 伸朗(済生会新潟第二病院)
   演者:林 豊彦(新潟大学工学部福祉人間工学科・教授)
  「前進する網膜変性の治療」
   座長:加藤 聡 (東京大学眼科)
   演者:山本 修一(千葉大学大学院医学研究院眼科学教授
            /日本網膜色素変性症協会副会長)
  「ロービジョンで見えるようになる」
   座長:張替 涼子 (新潟大学眼科)
   演者:小田 浩一 (東京女子大学人間科学科教授)
   http://andonoburo.net/on/2470
 
 
【第6回新潟ロービジョン研究会】
 日時:2005(平成17)年8月7日(日)
 会場:新潟大学医学部 有壬記念館
 参加費 2000円
1)特別講演
 「ロービジョンと読書」 小田 浩一(東京女子大学)
 「型にはめない対応を」 清水 美知子(歩行訓練士)
 「眼科医の悩み」 松村 美代(関西医大眼科)

2017年9月6日

報告:第258(17-08)済生会新潟第二病院眼科勉強会 小西明
  日時:平成29年08月09日(水)16:30 ~ 18:00
  場所:済生会新潟第二病院眼科外来
 演題:済生会が目指すソーシャル・インクルージョンの実現
    ~人々の「つながり」から学んだこと~
 講師:小西 明(済生会新潟第二病院医療福祉相談室) 

【講演要約】 
1 はじめに 
 近年、国家財政の悪化を理由に医療費の患者負担の増額、介護や社会保険料の引き上げなどが行われ、国の医療や介護、福祉経費は抑制され厳しさを増している。一方で障害者だけでなく低所得世帯の子どもや高齢者、引きこもりなどによるニートやホームレスなど、さまざまな理由による生活困窮者がマスコミで取り上げられている。総じて行政は、法制度の枠組みの中でのサービス給付は得意だが、非定型なニーズに対して実効性のある支援は苦手と言われている。社会には「公共の手」からこぼれ落ちる人たちがいて、昨今は、そういう人たちが増えている。 

2 ソーシャル・インクルージョン(social inclusion)
 1950年代、デンマークのバンク・ミケルセンは第二次世界大戦後に、知的障害者を持つ親の会の運動に関わっていた。当時の知的障害者は、隔離された大規模施設に収容され、非人間的な扱いを受けていた。そのような状況下で、親が「親の会」を結成して組織的に反対運動を展開した。ミケルセンは「どのような障害があっても、一般の市民と同等の生活・権利が保障されなければならない。障害者を排除するのではなく、障害をもっていても健常者と均等に当たり前に生活できるような社会こそがノーマルな社会である。」とした、ノーマライゼーション(normalization)の理念を提唱した。   

 ソーシャル・インクルージョンは、ノーマライゼーションを発展的に捉え、障害者だけでなく「全ての人々を孤独や孤立、排除や摩擦から援護し、健康で文化的な生活の実現につなげるよう、社会の構成員として包み支え合う」という理念である。炭谷茂済生会理事長は、ソーシャル・インクルージョンを済生会の目指す地域サービスの基本と提言している。 

3 済生会のあゆみ
 済生会は明治44(1911)年2月、明治天皇が「恵まれない人々のために施薬救療による済生の道を広めるように」との済生勅語に添えて、150万円を下賜されたことが始まりである。時の総理大臣桂太郎は、この御下賜金を基金として全国の官民から寄付金を募り、同年5月30日恩賜財団済生会が設立された。以来、100年以上にわたり創立の精神を引き継ぎ、保健・医療・福祉の充実・発展に必要な諸事業に取り組んでいる。医療によって生活困窮者を救済しようと明治44(1911)年に設立した。100年以上にわたる活動をふまえ、現在では、日本最大の社会福祉法人として全職員約59,000人が40都道府県で医療・保健・福祉活動を展開している。 

4 済生会の事業
 社会福祉法人済生会は、定款の第1条に「本会は 済生会創立の趣旨を承けて済生の実を挙げ、社会福祉の増進をはかることを目的として全国にわたり医療機関及びその他の社会福祉施設等を設置して次の社会福祉事業等を行う。」とある。全国に病院・診療所などの医療機関を中心に、児童福祉施設や障害者福祉施設、高齢者福祉施設や看護専門学校の事業を運営している。 

5 済生会新潟第二病院の特長
 当院は生活保護法患者の診療及び生計困難者のための無料又は低額診療等を実施している。減免相談対象者は、生活保護適用外の生計困難者(年金生活、不安定就労など)やDV被害者、人身取引被害者等の社会的援護を要する方々などである。加えて、昨今の社会経済情勢の中で、医療・福祉サービスにアクセスできない人々が増加しつつあることから、済生会創立の理念に立ち返り、福祉の増進を図るため済生会生活困窮者支援事業「なでしこプラン」を積極的に展開している。

 事業は、①DV被害者支援  ②更生保護施設「新潟川岸寮」の医療支援・社会貢献活動・研修会 ③外国籍住民のための医療相談会 ④東日本大震災避難者支援である。

 また当院眼科では、地域貢献活動として、どなたでも参加できる眼科勉強会・新潟ロービジョン研究会・市民公開講座が開催されている。地域連携福祉センターでは、市民向けおきがる座談会、事業所向け出前講座などを開催している。 

6 展望
(1)障害者をはじめ、全ての人々にやさしい病院
 障害者をはじめ、子どもや高齢者など社会的弱者に「医療関係事業者向けガイドライン」に基づいた合理的配慮の視点による、より「やさしい病院」を目指してほしい。

(2)医療と教育の連携
 県内にこども病院、小児療育センター、児童発達支援センターの開設が望まれる。また、 特別支援学校生徒の当院院内実習を通して、障害者の自立や社会参加への支援、職員への理解啓発を図っている現状を報告した。

(3)ソーシャル・ファームの開設
 通常の労働市場では就労の機会を得ることの困難な者に対して.通常のビジネス手法を基本にして仕事の場を創出する。主たる対象は障害者であるが、高齢者、母子家庭の母親ニート・引きこもりの若者、刑余者、ホームレスなどである。当院がリーダーシップを発揮し、ソーシャル・ファームが早期に開設されることを望む。

(4)知的障害者の福祉型大学
 インクルーシブ教育システム推進の観点から、将来は知的障害者が高等教育機関で学ぶことができる課程の創設が望まれる。当面は高等部卒業後の進路選択肢の拡大を目指し、現状の福祉制度を活用した類似施設の開設が考えられる。 

【略 歴】
 1977年 新潟県立新潟盲学校教諭
 1992年 新潟県立新潟養護学校はまぐみ分校教諭
 1995年 新潟県立高田盲学校教頭
 1997年 新潟県立教育センター教育相談・特殊教育課長
 2002年 新潟県立高田盲学校校長
 2006年 新潟県立新潟盲学校校長
 2015年 済生会新潟第二病院医療福祉相談室勤務


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【後 記】
今回は、小西明先生にお話して頂きました。小西先生は、長い間新潟県の教育畑に在籍し、主に視覚障害児の教育に関わってこられました。高田盲学校・新潟盲学校の校長を歴任され、退職後当院にお呼び致しました。
当院では、医療福祉相談室に勤務され多くの方面で活躍されています。一口に医療と教育の連携と言いますが、こうした人的交流がひとつの突破口になるのではないかと思います。
医療の現場での常識は、必ずしも教育の現場での常識ではありません。その逆も真なりです。小西先生の院内での発言は私たちに大きな影響力を持ち始めています。
今後ますますの小西先生のご活躍を祈念しております。 

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@過去、小西先生にお話して頂いた講演を列記致しました。
多くはandonoburo.netに登録してございます。
 参考まで

●『新潟ロービジョン研究会2016』 小西 明
 演題:「新潟県の訓矇・盲唖学校設立に尽力した眼科医」
 講師:小西 明(済生会新潟第二病院医療福祉相談室、前新潟盲学校長)
  日時:平成28年10月23日(日)
  場所:有壬記念館(新潟大学医学部)
 http://andonoburo.net/on/5217 

●第242回(16-04)済生会新潟第二病院眼科勉強会 小西 明
 演題:盲学校理療教育の現状と課題~歴史から学び展望する~
 講師:小西 明(済生会新潟第二病院 医療福祉相談室)
  日時:平成28年04月13日(水)16:30~18:00
  場所:済生会新潟第二病院眼科外来
 http://andonoburo.net/on/4655 

●第226回(14‐12)済生会新潟第二病院眼科勉強会
 演題:視覚障害児者の福祉・労働・文化活動への貢献 ~盲学校が果たした役割~
 講師:小西 明(新潟県立新潟盲学校)
  場所:済生会新潟第二病院 眼科外来
  日時:平成26年12月10日(水)16:30~18:00
 http://andonoburo.net/on/3381 

●第207回(13‐05月)済生会新潟第二病院 眼科勉強会
 演題:「インクルーシブ教育システム構築と視覚障害教育~盲学校に求められるもの~」
 講師:小西 明 (新潟県立新潟盲学校:校長)
  日時:平成25年5月8日(水)16:30 ~ 18:00
  場所:済生会新潟第二病院 眼科外来
 http://andonoburo.net/on/1946 

●第191回(12‐01月)済生会新潟第二病院 眼科勉強会
 演題:「新潟盲学校の百年 ~学校要覧にみる変遷~」
 講師:小西 明 (新潟県立新潟盲学校 校長)
  日時:平成24年1月11日(水)16:30 ~ 18:00
  場所:済生会新潟第二病院 眼科外来
 http://andonoburo.net/on/3324 

●第130回(07‐1月)済生会新潟第二病院 眼科勉強会
 演題:『眼科医・大森隆碩の偉業』
 講師:小西明(新潟県立新潟盲学校長)
  日時:平成19年1月10日(水)16:30 ~ 18:00
  場所:済生会新潟第二病院 眼科外来
 http://andonoburo.net/on/3488 

●第69回(2002‐2月) 済生会新潟第二病院 勉強会
 演題:「縦断資料からみた視覚障害児の運動発達」
  講師:小西 明(新潟県立教育センター)
   日時: 平成14年2月13日(水)16:00~17:30
   場所: 済生会新潟第二病院  眼科外来
【講演抄録】 視覚的なハンディキャップが、視覚障害児の体力や運動発達のどのような側面に影響を及ぼすかを調べ、指導上の基礎資料を得るために、新潟盲学校に保存されているスポーツテストの縦断資料を検討した。その結果、男子生徒の形態の発育水準は普通児と変わらないが、全身運動の発達は低水準にあることが分かった。

 

 

2017年8月2日

報告:第257回(17-07)済生会新潟第二病院眼科勉強会 新潟盲学校
 新潟盲学校弁論大会 イン 済生会
  日時:平成29年07月05日(水)16:30 ~ 18:00 
   場所:済生会新潟第二病院眼科外来
 1.「一人で生きないで」 中3年 女子
 2.「ブラインドサッカー」  高2年 男子 

【講演要約】
1.「一人で生きないで」 中3年 女子
 「あなたは一人で生きようとしていませんか?」
 私にもそういう時期がありました。ですが、この間私はライブに行ってきて、その演出の中で、「あなたは一人じゃない」と言われました。その言葉を聞いて、今まで思っていた「一人で頑張ろう」とか、「誰にも頼らない」というような考えが消えて、「少しくらい人に頼ってみようと思うようになりました。

 私は前まで「一人で何でもできる」と思っていました。きっとそれは何か私の中でプライドのようなものがあり、一人でやることが「カッコイイ」とでも思っていたのでしょう。ですが、「あなたは一人じゃない」というこの言葉を聞いて、今まで自分がとんだ勘違いをしていたことに気がつきました。一人でできると思っていたことも、誰かがいなければできないということ。そんなことに今気づく自分が恥ずかしいです。 

 私は、周りの人に助けられたおかげで、「一人でできることをたくさん経験しました。例えば身近なことでいうと、「学校に行く」ということがあります。私は毎日電車通学なので、毎日親に駅まで送ってもらいます。そして、電車に乗り、新潟駅まで着いたら、スクールバスで学校まで向かいます。単純なことのように見えますが、この三つの移動だけでも、親、電車の運転手さん、スクールバスの先生や運転手さんなど、たくさんの方から助けてもらっていることがわかります。 

 それに、私は視覚障害者なので、周囲の状況をつかみにくいため、いろいろな場面で助けが必要になります。この発表の最初にお伝えしたライブの時も、双眼鏡を落とし、かなり困ってしまいました。なかなか見つけられず、辺りを見回していると、周りの方が私に気づいて、ライブを見たいはずなのに、一緒に探してくれました。私は感謝の気持ちと申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。そして、これからは困っている人を見かけたら、声をかけて助けてあげられる人になりたいと思いました。 

 私ができることは限られているかもしれません。ですが、その中でできることで人助けをしていきたいです。「私は一人じゃない。」これからは、困っている時はお互い様で助け合いながら、一人で頑張らずにみんなで支え合っていきたい。だから・・・、あなたも私も一人じゃない。

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2.「ブラインドサッカー」  高2年 男子
 「ボイ」「ボイ」という選手たちの大きな声。シャカシャカと鳴るボール。指示を出すガイドや監督。壁にぶつかる音。ブラインドサッカーでは様々な音が響きあいます。ブラインドサッカーは、視覚障がい者のために考案されたサッカーです。 

 小4の総合学習で初めてブラインドサッカーを体験し、目が見えなくてもサッカーができることを知りました。「もっと知りたい。」「プレーしたい。」と思い、体験会に参加し、練習を見学しました。はじめはボールに触って練習するだけで楽しかったのですが、中学時代は「試合に出たい!!」と思うようになり、ブラインドサッカーに対する思いが強くなっていきました。 

 高1の6月に本格的にブラインドサッカーを始めました。選手はアイマスクをしているので、意思表示や自分の位置を把握するために、声でコミュニケーションをとります。危険な衝突を避けるため、ボールを奪いに行く際は必ず「ボイ」と大きな声を出します。スペイン語で「行くぞ」という意味です。審判にこの「ボイ」が聞こえないと「ノースピーキング」とみなされ、ファウルになってしまいます。私は、最初は大きな声が出ず、何度も注意されていたので、審判にも聞こえるよう、大きな声を出すことを意識しながら練習に励みました。 

 昨年7月には、日本選手権に初出場し、緊張と不安でボールの音に反応するので精一杯でしたが、もっと上手くなりたいという気持ちが出てきました。課題もたくさん見つかりました。その後の体験会や練習試合を通して、私の課題の一つであった「自分の位置を把握すること」ができるようになりました。少しずつ大きな声も出せるようになってきました。そして我が新潟チームは、北日本リーグを全勝で優勝し、クラブチーム選手権への出場権を得ました。この大会には招待チームで世界王者ブラジル代表が出場します。ブラジル代表と対戦し実力を知るためにも、私たちはたくさん練習しました。 

 大会はブラジル代表が優勝し、我がチームは6位に終わりました。残念ながらブラジル代表とは戦えませんでしたが、見学してみて、スピードや風格は別次元でも、細かい技術では日本のチームも負けていないと思いました。この大会で私は、フリーキックやトップのポジションなど初めての経験が多くありました。これからはいつどのポジションを任されても対応できるように、また、チームで2人目の日本代表に選ばれるように日々の練習を頑張っていきます。 

 以前は、やる前から自分にはできないと決めつけ、あきらめることが多かった私ですが、ブラインドサッカーの試合で活躍できるようになり、自信がつき積極的に行動するようになりました。自分がしなければいけないことを理解し、行動するようにもなったのです。まだ、直さなければいけないところが多くありますが、自分で見つけて直せるように努力していきます。人生へのチャレンジ、「ボイ!」 

 
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【後 記】
7月の勉強会は毎年、新潟県立盲学校の生徒に来て頂き弁論大会を行っています。私達にとっては、盲学校の生徒さんの主張をお聞きするいい機会ですし、また生徒にとっては、多くの市民の方に聞いてもらえるチャンスです。
毎年感じるのですが、盲学校の生徒の弁論は感動です。真直ぐです。前向きです。新潟にいながら、日本を、世界を見ています。この子供たちが、このまま成長してくれたらと願います。 

@新潟県立新潟盲学校
 http://www.niigatamou.nein.ed.jp/

 

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【今後の済生会新潟第二病院眼科 勉強会 & 研究会】
平成29年08月09日(水)16:30 ~ 18:00
  第258回(17-08)済生会新潟第二病院眼科勉強会
 「済生会が目指すソーシャル・インクルージョンの実現
   ~人々の「つながり」から学んだこと」
  小西 明(済生会新潟第二病院医療福祉相談室)
  http://andonoburo.net/on/6078 

平成29年09月02日(土) 開場13時半 研究会14時~17時50分
  新潟ロービジョン研究会2017
    会場:新潟大学医学部有壬記念館(ゆうじんきねんかん)
     2階会議室
 テーマ:「私と視覚リハビリテーション」

 http://andonoburo.net/on/6059
1)司会進行
   加藤聡(東大眼科)
   仲泊聡(理化学研究所)、
   安藤伸朗(済生会新潟第二病院)
  特別コメンテーター
   中村 透(川崎市視覚障害者情報文化センター)
   大島光芳(新潟県上越市) 
2)プログラム
 「眼科医40年 患者さんに学んだケアマインド」
    安藤伸朗
    (済生会新潟第二病院眼科)
 「私と視覚障害リハビリテーション」 
    山田 幸男
    (新潟県保健衛生センター/信楽園病院/
     NPO法人障害者支援センター「オアシス」)
 「眼科医オールジャパンでできるロービジョンケアを考える」
    清水朋美
    (国立障害者リハビリテーションセンター病院眼科)
 「ロービジョンケアとの出会い」
    高橋政代
    (理化学研究所CDB 網膜再生医療研究開発プロジェクト)
 全体討論
 

平成29年09月13日(水)16:30 ~ 18:00
  第259回(17-09)済生会新潟第二病院眼科勉強会
  演題未定
   小田浩一 (東京女子大学教授) 

平成29年10月18日(水)16:30 ~ 18:00
  第260回(17-10)済生会新潟第二病院眼科勉強会
 済生会新潟第二病院眼科「目の愛護デー講演会」
  「90歳が究め続けた緑内障の素顔と人生と」
   岩田和雄 (新潟大学名誉教授) 

平成29年11月08日(水)16:30 ~ 18:00
 第261回(17-11)済生会新潟第二病院眼科勉強会
  演題未定
   仲泊 聡(理化学研究所 研究員;眼科医) 

平成29年11月18日(土)午後
 済生会新潟第二病院眼科-市民公開講座
  会場:済生会新潟第二病院 10階 多目的室
 演題:「人生の手応えを共にさがし求めて〜死にゆく人たちと語り合った20年〜」
 講師:細井順(ヴォーリズ記念病院ホスピス長;滋賀県近江八幡市)
 http://andonoburo.net/on/5831 

平成29年12月13日(水)16:30 ~ 18:00
 第262(17-12)済生会新潟第二病院眼科勉強会
  演題未定
   関 恒子(長野県松本市) 

平成30年01月10日(水)16:30 ~ 18:00
 第263回(18-01)済生会新潟第二病院眼科勉強会
 「ロービジョンケアを始めて分かったこと」
   加藤 聡(東京大学眼科准教授)

2017年7月1日

報告:第256(17-06)済生会新潟第二病院眼科勉強会  渡辺哲也
 演題:「視覚障害者とスマホ・タブレット 2017」
 講師: 渡辺哲也(新潟大学准教授:工学部 人間支援感性科学プログラム)
  日時:平成29年06月14日(水)16:30 ~ 18:00
  会場:済生会新潟第二病院 眼科外来 

 視覚障害は情報障害である。携帯電話・スマートホンは晴眼者のみでなく、全盲を含めた視覚障害者にも今や生活必需品である。今回の講演は、視覚障害者におけるデジタルデバイス(スマートホン・タブレット端末機器)の使用状況についてのレポートであった。大いに関心を呼んだ。渡辺先生は、2013年にも同様な調査をしており、今回は2017年度版で前回との比較も示して下さった。わが国でこのような報告は他になく、貴重な報告であった。

【講演要約】
1. はじめに

 厚生労働科研費を得て、視覚障害者のICT機器利用状況調査を実施した。今回の調査の主たる関心事は、スマートフォン・タブレットの利用率は上がったか、視覚障害者用のアプリはどのくらい使われているか、スマートフォン・タブレットにおける文字入力方法はどのようなものか、などである。 

2. 調査の実施と回答状況
 調査の実施は、中途視覚障害者の雇用継続を支援するNPO法人タートルに委託した。タートルは、視覚障害者が主に参加する約50のメーリングリストで回答者を募集した。調査期間は2017年2月20日からの1ヶ月である。

 有効回答者は305人(男性192人、女性113人)、全員メールで回答をしており、情報機器を使い慣れている人たちである。障害等級は1級の人が最も多く208人(68.2%)、2級の人が69人(22.6%)だった。視覚的な文字の読み書きができるかどうかという質問に「できる」と答えた人をロービジョン、「できない」と答えた人を全盲とすると、ロービジョンの回答者が90人(全回答者の29.5%)、全盲の回答者が215人(同70.5%)だった。 

3. ICT機器の利用率
 携帯電話(いわゆるガラケー)の利用率は全盲の人で60.9%、ロービジョンの人で54.4%だった。スマートフォンの利用率は全盲の人で52.1%、ロービジョンの人で55.6%だった。タブレットの利用率は全盲の人で14.4%、ロービジョンの人で38.9%だった。

 2013年に同様な調査をしたときの結果と比べると、全盲の人、ロービジョンの人ともに、スマートフォンの利用率が倍増した。タブレットの利用率はロービジョンの人では約2倍まで伸びたが、全盲の人では伸び率は1.5倍程度であった。他方で携帯電話の利用率は、2013年のとき全盲の人で85.8%、ロービジョンの人で73.7%だったのに比べると20%程度低下した。

 年齢別にスマートフォンと携帯電話の利用率を見ると、全盲の人、ロービジョンの人ともに、年代が下がるほどスマートフォンの利用率が高く、携帯電話の利用率が低い傾向が見られた。

 スマートフォンやタブレットを使い始めた理由としては、様々なアプリが使えて便利と、読み上げ機能が標準で付いていることが上位の回答となった。 逆にこれらの機器を使わない理由としては、現状の機器で十分と、タッチ操作ができない、難しそうという回答が多かった。 

4. 機種
 スマートフォン利用者157人(全盲の人107人、ロービジョンの人50人)に利用している機種を尋ねた。全盲の人、ロービジョンの人とも最も利用者が多かった機種はiPhoneで、全盲者の91.1%、ロービジョン者の80.0%が利用していた。Android端末の利用者数は全盲者で7人(16.3%)、ロービジョン者で9人(18.0%)と少なかった。全盲のらくらくスマートフォン利用者の数は4人(3.6%)に留まった。ロービジョン者でらくらくスマートフォンを利用する人はいなかった。2017年3月時点で、日本におけるiPhone利用率が45%であることと比較すると、視覚障害者のiPhone利用率は非常に高い。 

5. アプリ
 スマートフォンで利用しているアプリを、全盲の人とロービジョンの人の回答を足し併せて多いものから並べると、通話、メール、時計、アドレス帳、電卓、歩数計、ブラウザ、スケジュール、写真を撮る、という順序になった。スマートフォンで使えるようになった便利な機能として、画像認識、光検出、GPS/地図/ナビゲーションなどがあるが, GPS/地図/ナビゲーションの利用者は全盲の人で20人足らずであり、利用者が多いとは言えなかった。 

6. 文字入力
 スマートフォンにおける文字入力方法を詳細に尋ねた。文字入力手段としてソフトウェアキーボードの利用者数が、全盲の人とロービジョンの人の両方で最も多かった。全盲の人では、音声入力とハードウェアキーボードの利用者も多かった。

 ソフトウェアキーボードの種類としては日本語テンキー、ローマ字キーボード、50音キーボードがある。全盲の人ではローマ字キーボードと日本語テンキーの利用者が多く、それぞれの利用率は61.1%と55.8%であった。ロービジョンの人では日本語テンキーの利用者が最も多く、利用率は76.1%、      
 ローマ字キーボードの利用率は大きく下がり39.1%だった。

 音声読み上げ(iPhoneではVoiceOver)をオンにすると、日本語テンキーにおける文字の選択・確定方法が変わり、ダブルタップ&フリック、ダブルタップ、スプリットタップなどのジェスチャが利用できるようになる。このうち、利用者が多かったのはスプリットタップとダブルタップであった。 

7. 今後の仕事
 スマートフォン・タブレットの利用状況の詳細のほかに、携帯電話・パソコンの利用状況についても、今後データを整理し、公表していく。
 

【略 歴】
 1993年 北海道大学大学院工学研究科生体工学専攻修了
 1994年から2001年 日本障害者雇用促進協会 障害者職業総合センター(Windows用スクリーンリーダ95Readerの開発ほかに従事)
 2001年から2009年 独立行政法人 国立特別支援教育総合研究所(漢字の詳細読み「田町読み」の開発ほかに従事)
 2001年から現在 国立大学法人 新潟大学工学部(触地図作成システムtmacsの開発ほかに従事)
 併任で、筑波技術大学 非常勤講師、国立障害者リハビリテーションセンター学院非常勤講師、NHK放送技術研究所 客員研究員
 

【渡辺哲也先生の講演歴】
渡辺先生には、これまで本勉強会で2度、第22回視覚障害リハビリテーション研究発表大会で一度講演して頂いています。以下に、講演要約を記します。 

1)第167回(10‐01月) 済生会新潟第二病院 眼科勉強会
  演題: 「視覚障害者と漢字」 
  講師: 渡辺 哲也(新潟大学 工学部 福祉人間工学科)
   日時:平成22年1月13日(水)16:30~18:00 
   場所:済生会新潟第二病院 眼科外来
 http://andonoburo.net/on/5940 

2)第205回(13‐03月)済生会新潟第二病院 眼科勉強会
 演題:「視覚障害者とスマートフォン」
 講師:渡辺 哲也 (新潟大学 工学部 福祉人間工学科)
  日時:平成25年3月13日(水)16:30 ~ 18:00
  場所:済生会新潟第二病院 眼科外来
 http://andonoburo.net/on/5947 

3)第22回視覚障害リハビリテーション研究発表大会 講演要旨
 特別企画『視覚障害者とスマートフォン』
 講師:渡辺 哲也 (新潟大学工学部 福祉人間工学科)
  日時:平成25年6月22日(土)
    場所:チサンホテル&カンファレンスセンター新潟 越後の間
 http://andonoburo.net/on/2218 

【参考資料】
新潟大学 工学部 福祉人間工学科渡辺研究室新潟大学 ホームページ
 http://vips.eng.niigata-u.ac.jp/

・視覚障害者のパソコン・インターネット・携帯電話利用状況調査2007
 http://vips.eng.niigata-u.ac.jp/PCUserSurvey/Survey2007/Survey2007Jp.html

・視覚障害者の携帯電話・スマートフォン・タブレット・パソコン利用状況調査2013
 http://dspace.lib.niigata-u.ac.jp/dspace/handle/10191/27807
 

【後 記】
 視覚障害は情報障害である。
携帯電話・スマートホンは、全盲を含めた視覚障害者にも今や生活必需品である。今回の講演は、
視覚障害者におけるデジタルデバイス(スマートホン・タブレット端末機器)の使用状況についてであった。大いに関心を呼んだ。渡辺先生は、2013年にも同様な調査をしており、今回は2017年度版で前回との比較も示して下さった。わが国でこのような報告は他になく、貴重な報告であった。

・視覚障害者(全盲の人、ロービジョンの人ともに)は、スマートフォンの利用率が2013年と比較して倍増した。一方で携帯電話の利用率は低下した。

・視覚障害者のスマートホン利用率は、地域に指導者がいるかどうかに大いに左右されるというコメントにも説得力を感じた。

・画像認識やGPSが活用されているかと思いきや、実際はメール・ブラウザ・歩数計等の方が利用率が高かった。

 工学の成果を視覚障害者の情報に役立てようとしている渡辺研究室の研究を応援したい。そして目の不自由な方にとって便利で使いやすい情報機器がもっと発展することを願う。 

 

【今後の済生会新潟第二病院眼科 勉強会 & 研究会】
平成29年07月05日(水)16:30 ~ 18:00  @第一週です
  第257回(17-07)済生会新潟第二病院眼科勉強会
   新潟盲学校弁論大会 イン 済生会
 http://andonoburo.net/on/5932 

平成29年08月09日(水)16:30 ~ 18:00
  第258回(17-08)済生会新潟第二病院眼科勉強会
 「済生会が目指すソーシャル・インクルージョンの実現
   ~人々の「つながり」から学んだこと」
  小西 明(済生会新潟第二病院医療福祉相談室) 

平成29年09月02日(土) 開場13時半 研究会14時~18時
  新潟ロービジョン研究会2017
    会場:新潟大学医学部有壬記念館(ゆうじんきねんかん)
     2階会議室
 テーマ:「私と視覚リハビリテーション」
1)司会進行
   加藤聡(東大眼科)
   仲泊聡(理化学研究所)
   安藤伸朗(済生会新潟第二病院)
  特別コメンテーター
   中村 透(川崎市視覚障害者情報文化センター)
   大島光芳(新潟県上越市) 
2)プログラム
 1.「ロービジョンケアとの出会い」 
    高橋政代(理化学研究所CDB 網膜再生医療研究開発プロジェクト)
 2.「眼科医オールジャパンでできるロービジョンケアを考える」
    清水朋美(国立障害者リハセンター病院)
 3.「私と視覚障害リハビリテーション」  
    山田幸男(NPOオアシス)
 4.「眼科医療におけるキュアとケア」
    安藤伸朗(済生会新潟第二病院眼科)
 全体討論
 http://andonoburo.net/on/5956 

平成29年09月13日(水)16:30 ~ 18:00
  第259回(17-09)済生会新潟第二病院眼科勉強会
  演題未定
   小田浩一 (東京女子大学教授) 

平成29年10月18日(水)16:30 ~ 18:00
  第259回(17-09)済生会新潟第二病院眼科勉強会
 済生会新潟第二病院眼科「目の愛護デー講演会」
  演題未定
   岩田和雄 (新潟大学名誉教授) 

平成29年11月08日(水)16:30 ~ 18:00
第261回(17-11)済生会新潟第二病院眼科勉強会
  演題未定
   仲泊 聡(理化学研究所 研究員;眼科医) 

平成29年11月18日(土)午後
 済生会新潟第二病院眼科-市民公開講座
  会場:済生会新潟第二病院 10階 多目的室
 演題:「人生の手応えを共にさがし求めて〜死にゆく人たちと語り合った20年〜」
 講師:細井順(ヴォーリズ記念病院ホスピス長;滋賀県近江八幡市)
 http://andonoburo.net/on/5831 

平成29年12月13日(水)16:30 ~ 18:00
  第262(17-12)済生会新潟第二病院眼科勉強会
  演題未定
   関 恒子(長野県松本市) 

平成30年01月10日(水)16:30 ~ 18:00
 第263回(18-01)済生会新潟第二病院眼科勉強会
  演題未定
   加藤 聡(東京大学眼科准教授) 

2017年6月7日

報告:第255回(17-05)済生会新潟第二病院眼科勉強会 斎川克之
 演題:地域包括ケアシステムってなに?新潟市における医療と介護の連携から
 講師:斎川 克之(済生会新潟第二病院 地域連携福祉センター副センター長
          新潟市医師会在宅医療推進室室長)
  日時:平成29年05月10日(水)16:30 ~ 18:00
  会場:済生会新潟第二病院 眼科外来 

【講演要約】
■新潟市の概況
 政令指定都市新潟市の概況は、以下のとおりです。人口80万、65歳以上の高齢者27.5%、75歳以上の後期高齢者13.6% 地域包括支援センター27カ所、要介護者数40,000人。急速に高齢化が加速している状況であり、2025年には、人口約76万人、65歳以上の高齢者30.3%、75歳以上の後期高齢者17.2%と試算されています。 

■医療機関について
 地域包括ケアシステムにおける医療の役割は極めて重要です。地域住民にとって最も身近で日々の健康相談含めたプライマリケアを担当してくださるのがクリニック・診療所です。初期診断と治療、そして場合によっては適切な病院への紹介など豊富な経験で地域の住民のかかりつけ医として機能を発揮します。また、関係機関にとっても地域住民にとっても圧倒的な信頼感と安心をあたえることのできる存在、それが病院です。病院にもいろいろな種別が存在します。大きくは4種類あり、高度急性期、急性期、回復期、慢性期です。それぞれの病院が機能と役割を果たしています。 

■当院の概況
 当院は、新潟市西部にある425床の地域医療支援病院です。当院がある新潟市内は、高度急性期や専門性の高い医療を担う医療機関が集中している地区です。その中にあり、当院の強みはまさに地域からの信頼の指標である「連携」です。医療連携を柱としながらも、近年は地域の多職種連携を含む地域連携に対する取り組みを積極的に行ってきました。その最前線で機能を発揮する部署が、地域医療連携室・医療福祉相談室・がん相談支援室・訪問看護ステーションの4部署から成る地域連携福祉センターです。 

■医療福祉相談について
 地域の方々にとって、最も知っていたきたい病院の窓口、それが医療福祉相談室、そして医療ソーシャルワーカーです。医療ソーシャルワーカーは、患者さんの病気の回復を妨げている色々な問題・悩みについて、本人(ご家族)と共に、主体的に解決していけるように相談に応じています。特に近年の急速な超高齢社会においては、退院支援の相談が最も多く、在宅での療養生活を見据えた丁寧な援助を行っています。 

■地域の連携が強まるように
 他の医療機関から、いかにスムーズに紹介患者を受け、またその後に地域に帰すか。そこには地域からの強い信頼関係を基盤とした連携の仕組みがあればこそであり、院内だけの取り組みだけでは不十分です。自院だけでなく「地域力」をいかに高めることができるか、地域の全体最適を考える必要があります。地域の各医療機関が持つ医療資源やマンパワーを合わせて、最大限に個々のパフォーマンスを発揮できるようにするための「接着剤」が地域医療連携室の役割だと考えます。新潟市では、市内8区に在宅における多職種が連携を深める会である「在宅医療ネットワーク」が20団体あり、各職種の相互理解、課題解決へのアプローチなどそれぞれの取り組みを積極的に行っています。当院は、西区を対象に「にいがた西区地域連携ネットワーク」の事務局を担い、会の企画運営などを行っています。

 一方、介護保険法の地域支援事業には在宅医療・介護連携推進が大きく謳われております。そしてその推進の指標として(ア)から(ク)の項目を平成29年度中に実施すべきとされています。その中の1項目に「多職種連携の構築支援、関係機関からの相談窓口」があります。これを新潟市は、先に述べた在宅医療ネットワークの事務局を担ってきた病院の連携室に業務を委託する形をとり、名称を「新潟市在宅医療・介護連携ステーション」(以下連携ステーション)としました。またその連携ステーション11か所を束ねる役割として「新潟市在宅医療・介護連携センター」を新潟市医師会に委託しました。いわゆる在宅医療介護連携のノウハウを持ち合わせた病院の連携室に、この事業の最前線を委ねた結果となりました。地域住民の相談窓口である地域包括支援センターと連携ステーションの両輪が機能を発揮しているところが新潟市の大きな特徴です。 

■地域包括ケアシステムとは
 地域包括ケアシステム構築の取り組みにおいて、近年、医療介護分野では目まぐるしく制度の変革が行われてきました。現在、全国の各市町村は主体的に、この地域包括ケアシステムの構築を進めています。これまで述べてきたように、新潟市においては、病院や診療所などの医療機関と介護・福祉の事業所などとの協力体制を強めてまいりました。今一度、地域包括ケアシステムとは何か。正直に言って「これ」と指を指せるものはありません。言葉で表現するならば、「地域のみなさんが、健康な時も、病気になった時も、どんな時も、今まで住み慣れた地域で安心して暮らすことのできるまちづくり・地域づくり」を根底とし、市区町村が中心となり、「住まい」を中心に「医療」「介護」「生活支援・介護予防」を包括的に体制整備していくこと。その実現のためには、医療と介護、そして福祉の途切れのない連携体制はもちろんのこと、ヘルスケアに関連するさまざなまな領域の方々、そしてもっとも主役となる地域の住民の方々との広い連携、そして参加できる場が最も重要となります。
 

【略 歴】斎川 克之(さいかわ かつゆき)
・社会福祉法人恩賜財団済生会 済生会新潟第二病院 地域連携福祉センター 副センター長
・一般社団法人 新潟市医師会 在宅医療推進室 室長
 職種:社会福祉士、医療ソーシャルワーカー、医療福祉連携士
 平成 7年/新潟県厚生連・在宅介護支援センター栃尾郷病院SWとして就職
 平成 9年/済生会新潟第二病院に医療社会事業課MSWとして就職
 平成22年/地域医療連携室 室長
 平成27年/地域連携福祉センター 副センター長
 平成27年/新潟市医師会在宅医療推進室長 併任  

【後 記】
 斎川氏は当院ばかりでなく全国でも活躍している医療福祉支援の専門家。流石に非常にわかりやすく、しかも丁寧なお話でした。参加者の関心も高く、盛り上がった勉強会になりました。
 講演後のフリートークでは、「包括さん」には大変お世話になったなどの好意的な発言もありましたが、容赦のない発言・質問も炸裂。
・「自分ファースト」の時代に共生社会を作ろうというのは、「絵に描いた餅」ではないか? 
・医療介護連携の区割りが、病院ベースだ。町内会や小学校校区ベースがしっくりする。
・学生からは、学生実習で南魚沼に行ってきたが、4世代家族の奥さんは生き生きしていた。新潟との違いを感じたとのコメントもありました。

 なんといっても印象的だったのは、斎川さんの非常に真摯な姿勢でした。ICTが流行っている世の中ですが、こうした人と人の触れ合いが物事を進めていくのだと、斎川さんを見て学びました。
 議論百出で終わりそうにない勉強会でしたが、こんなコメントで締めくくりました。
「自分の健康や親の介護を人任せではなく、先ずは自分で考え、こういう包括システムを学ぼうということが大事ではないか。かつては「長男の嫁」が親の介護を担ってきた。しかし世界にも稀な長寿国となると、それも難しくなってきた。今、国は大きく体制を変えようとしているが、その実態は地方自治体に任されている。そんな状況下で、なんとか皆が上手く生きていこうという社会を作るために、多くの困難に立ち向かっている斎川さん達の活動を、私たちが支援したい。」 

 

 

【今後の済生会新潟第二病院眼科 勉強会 & 研究会】
平成29年06月14日(水)16:30 ~ 18:00
 第256(17-06)済生会新潟第二病院眼科勉強会
   「視覚障害者とスマホ・タブレット 2017」
    渡辺哲也(新潟大学 准教授:工学部工学科人間支援感性科学プログラム) 

平成29年07月05日(水)16:30 ~ 18:00  @第一週です
  第257(17-07)済生会新潟第二病院眼科勉強会
   新潟盲学校弁論大会 イン 済生会 

平成29年08月09日(水)16:30 ~ 18:00
  第258(17-08)済生会新潟第二病院眼科勉強会
 「済生会が目指すソーシャル・インクルージョンの実現
   ~人々の「つながり」から学んだこと」
  小西 明(済生会新潟第二病院医療福祉相談室) 

==========================
平成29年09月02日(土)
  新潟ロービジョン研究会2017
    会場:新潟大学医学部有壬記念館(ゆうじんきねんかん)
     2階会議室
  時間:開場13時半 開始14時~終了18時
 テーマ:「私と視覚リハビリテーション」
1)司会進行
   加藤聡(東大眼科)
   仲泊聡(理化学研究所)
   安藤伸朗(済生会新潟第二病院)
  特別コメンテーター
   中村 透(川崎市視覚障害者情報文化センター)
   大島光芳(新潟県上越市)
2)プログラム
 1.「ロービジョンケアとの出会い」 
    高橋政代(理化学研究所CDB 網膜再生医療研究開発プロジェクト)
 2.「眼科医オールジャパンでできるロービジョンケアを考える」
    清水朋美(国立障害者リハセンター病院)
 3.「私と視覚障害リハビリテーション」 
    山田幸男(NPOオアシス)
 4.「眼科医療におけるキュアとケア」
    安藤伸朗(済生会新潟第二病院眼科)
 全体討論
 http://andonoburo.net/on/5818
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平成29年09月13日(水)16:30 ~ 18:00
  第259(17-09)済生会新潟第二病院眼科勉強会
  演題未定
   小田浩一 (東京女子大学教授) 

平成29年10月18日(水)16:30 ~ 18:00  @第3週です
  第259(17-09)済生会新潟第二病院眼科勉強会
 済生会新潟第二病院眼科「目の愛護デー講演会」
  演題未定
   岩田和雄 (新潟大学名誉教授) 

平成29年11月08日(水)16:30 ~ 18:00
 第261(17-11)済生会新潟第二病院眼科勉強会
  演題未定
   仲泊 聡(理化学研究所 研究員;眼科医) 

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平成29年11月18日(土)
 済生会新潟第二病院眼科-市民公開講座
  会場:済生会新潟第二病院 10階 多目的室
  日時:平成29年11月18日(土)午後
   演題:「人生の手応えを共にさがし求めて〜死にゆく人たちと語り合った20年〜」
   講師:細井順(ヴォーリズ記念病院ホスピス長;滋賀県近江八幡市)
 http://andonoburo.net/on/5831
==========================
 

平成29年12月13日(水)16:30 ~ 18:00
  第262(17-012)済生会新潟第二病院眼科勉強会
  演題未定
   関 恒子(長野県松本市)

 

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