報告:第264回(18-02)済生会新潟第二病院眼科勉強会 5)岩崎 深雪
「ささえ、ささえられて」
日時:平成30年02月14日(水)16:00 ~ 18:30
場所:済生会新潟第二病院 眼科外来
2月の勉強会は、5名の方に講演して頂きました;小林 章(日本点字図書館:歩行訓練士)、大石華法(日本ケアメイク協会)、橋本伸子(白尾眼科:石川県、看護師)、上林洋子(盲導犬ユーザー;新潟市)、岩崎深雪(盲導犬ユーザー;新潟市)。順に講演要約をお送りしています。今回は、岩崎深雪さんです。
演 題:「私のささやかなボランティア …」
講 師:岩崎 深雪(新潟市;盲導犬ユーザー)
【講演要約】
私は、生まれつきの弱視で完全に視力を失ったのが2000年ころでした。2003年11月から盲導犬と生活するようになり、 盲導犬と歩くようになってからは、イベントや講演会・学校の事業など、さまざまな社会参加をするようになり、生活は一転しました。たくさんの人たちに出会い、いろいろな体験や経験をしていくうちに、「あたりまえ」から「感謝」へと、私の気持ちも少しづつ変化していきました。
たくさんの講演を聞いているうちに、「今まではみなさんにお世話になるばかりだったけど、私にも何か一つくらいできるボランティアがあるのではないかしら?」と考えるようになり、目が見えなくても人の話を聞くことならできるのではないかと思い、傾聴ボランティアの講習を4回受けて修了証書をいただきましたが、条件に合わなかったので実りませんでした。
次に受けたのが、元気力アップサポーターの講習でした。これは新潟市が介護支援事業の一環として行っているもので、これをすることによりご自身がより元気になっていただくことを目的としていて、市内に住所を有する65歳以上の方が市内の老人施設や事業所など(登録しているところ)に自分のできることをお手伝いに行くというものです。講習終了後登録者に手帳と登録事業所の一覧が来ます。そこには、各事業所が何をやってほしいかとか連絡先などが記してあります。その中から自分にできるサボートの事業所を見つけてアプローチして決めていきます。
私は盲導犬ユーザーの友達に誘っていただき、ある老人介護施設に頼まれたときに二人と2頭の盲導犬で伺っています。そこで施設に来ている人たちに盲導犬と触れあってもらっています。ホールにはたくさんの人たちが集まってきて、中には「また来たか」と犬の名前を呼んでくれたり、普段はにこりともしない人が盲導犬がそばに行くとにこにこしながら撫でているのだそうです。そんな様子を見て職員さんたちもびっくりしています。帰るときにはみんなで「また来てね」と言ってくれます。
この制度が続く限り、また私が元気でいる間は、自信の健康保持のためにも必要とする施設で話し相手やタオルたたみ、カラオケ披露、犬との触れ合い…など自分にできることを続けていきたいと思っています。
【自己紹介】
昭和37年3月~新潟県立新潟盲学校高等部別科卒業。長野県の温泉地に就職。
昭和42年3月~結婚し、佐渡へ。
昭和47年9月~新潟市西蒲区岩室温泉に移住~ 平成24年新潟市東区に転居。
平成15年11月~財団法人アイメイト協会より盲導犬1頭目を貸与。
平成23年1月~盲導犬引退。引き続き2月に2頭目の貸与
平成27年2月~日本ケアメイク協会、大石華法先生の講演を聞く。
5月より大石先生の講座を受けはじめ、12月にフルメイクを終了
現在に至る
【参加者の感想】
・盲導犬に出会ってから生活が大きく変わり、岩崎様は人に頼るばかりの生活から他人のためになるボランテア活動が出来る様になった。お話は視覚障害が判明してからはもがき苦しんでいるばかりの私にとってとても感銘深いものでした。視覚障害が判明してからはもがき苦しんでいるばかりの私にとってとても感銘深いものでした。上林さんの生き方を私の今後の心の糧とし生きて行きたいと思いました。
(新潟県三条市 女性)
・傾聴ボランティアや元気力アップサポーターとして、人の為に何かできることをしたいと前向きに生きておられる姿勢に、私も小さなことからはじめてみたいと勇気をいただきました。
(神奈川県 眼科医)
・健常者であるにもかかわらず、時に愚痴を言ってしまっている自分が恥ずかしくなりました。諦めない、チャレンジする、人生を楽しむ人生の先輩から多くのメッセージが受け取れました。
(兵庫県 ボランティア)
【これまでの岩崎深雪さんの講演歴】
報告:第126回(2006‐09月) 済生会新潟第二病院 眼科勉強会 岩崎深雪
演題:『盲導犬と歩いて広がった友達の輪』
講師:岩崎深雪(新潟市岩室温泉)
日時:平成18年9月13(水)16:30 ~ 18:00
場所:済生会新潟第二病院 眼科外来
http://andonoburo.net/on/6485
報告:第240回(16-02)済生会新潟第二病院眼科勉強会 若槻/岩崎
演題:「ブラインドメイク 実践と体験」
講師:岩崎 深雪(新潟市;盲導犬ユーザー)
若槻 裕子(新潟市:化粧訓練士)
日時:平成28年02月17日(水)16:30~18:00
場所:済生会新潟第二病院眼科外来
http://andonoburo.net/on/4538
【後 記】
岩崎さんにお話して頂いたのは、今回で3回目です。最初は2006年9月でした。幼いころからの人生、幾多の困難を淡々と語り、とても印象に残るお話でした。次は2016年2月ブラインドメイクのお話、メイクすることで生まれ変わったご自身を楽しそうにお話してくれました。
今回は、今まではお世話になることばかりだったが、何かお役に立ちたいとボランティアをやっているとのこと。飾ることなく静かに語る声に姿に、とても魅力を感じます。
ますますこれからもお元気に活躍されることを祈念しております。
第264回(18-02)済生会新潟第二病院眼科勉強会「ささえ、ささえられて」
講師と演題
1.小林 章(日本点字図書館:歩行訓練士)
「空気を感じて歩く楽しさと 少しでも楽に歩ける視覚活用方法を伝えること」
http://andonoburo.net/on/6438
2.大石華法(日本ケアメイク協会)
「『ブラインドメイク物語』視覚障害者もメイクの力で人生が変わる!」
http://andonoburo.net/on/6455
3.橋本伸子(白尾眼科:石川県、看護師)
「これからのロービジョンケア、看護師だからできること」
http://andonoburo.net/on/6464
4.上林洋子(盲導犬ユーザー;新潟市)
「生きていてよかった!!」
http://andonoburo.net/on/6478
5.岩崎深雪(盲導犬ユーザー;新潟市)
「私のささやかなボランティア …」
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『済生会新潟第二病院 眼科勉強会』
1996年(平成8年)6月から毎月欠かさず265回続け、2018年(平成30年)3月で終了しました。
この勉強会は誰でも参加出来ました。話題は眼科のことに限らず、何でもありでした。参加者は毎回約20から30名くらい。患者さん、市民の方、医者、看護師、病院スタッフ、学生、その他興味のある方が参加しました。眼科の外来で行いますから、せいぜい5m四方の狭い部屋で、寺子屋的な雰囲気を持った勉強会でした。ゲストの方に約一時間お話して頂き、その後30分の意見交換がありました。
日時:毎月第2水曜日午後
場所:済生会新潟第二病院眼科外来
*勉強会のこれまでの報告は、下記でご覧頂けます。
1)ホームページ「すずらん」
新潟市西蒲区の視覚に障がいのある人とボランティアで構成している音声パソコン教室ホームページ
http://occhie3.sakura.ne.jp/suzuran/
2)安藤 伸朗 ホームページ
http://andonoburo.net/