勉強会報告

2017年3月2日

報告:第252回(17‐02月)済生会新潟第二病院眼科勉強会  宮坂道夫
 演題:「物語としての病い」
 講師:宮坂道夫(新潟大学医学部教授)
  日時:平成29年02月08日(水)16:30 ~ 18:00
  場所:済生会新潟第二病院 眼科外来 

【講演要約】
 21世紀の医療には、あまり目立ちはしないが「物語論」という静かな潮流がずっと流れ続けている。日本語の「物語」は、英語のstoryやnarrativeに対応している。このうちnarrativeという英語が、最近の医療ではカタカナでそのまま使われることが増えている。物語論の考え方を応用した様々な実践がなされていて、これを一括りにして「ナラティヴ・アプローチ」とか「ナラティヴ実践」と呼んでいる。 

 ナラティヴ・アプローチにはきわめて多様なものが含まれるが、「物語への向き合い方」という視点で捉えれば、3つの系統に分類できる。まず、医療者が患者という「他者」の経験を、当人の文脈のなかで理解しようとする実践群がある(これを仮に「現象学的実践」と呼んでおく)。
 1990年代末に、「エビデンス・ベイスト・メディスン evidence-based medicine」(文献的根拠に照らして最善の治療法を選択しようという考え方)の行き過ぎを憂慮した医師たちが提唱したのが「ナラティヴ・ベイスト・メディスンnarrative-based medicine」であったが、そこには、「医療者は専門性の枠組みの中で病気を捉えるが、病気を抱えているのは患者であり、その経験は医療者にとって容易に理解できるものではない」という問題意識があり、治療方針の選択については「疾患が患者にもたらす影響は、その当人の人生史や価値観によって左右されるのだから、医療者は文献上のデータではなく、個々の患者の人生の文脈において最善と評価できる治療・ケアを選択すべきだ」という発想の転換があった。 

 第2の系統は、「物語」をケアとして用いる実践群である(仮に「ケア的実践」と呼んでおく)。 これは、1970年代に心理療法の中から誕生したナラティヴ・セラピーと呼ばれる一群の実践に端を発している。そこでは、患者の「自己物語」と「認知・経験」とが矛盾することで心理的問題が生じると見なされ、治療者が患者に「自己物語の書き換え」を促すことが、ケアの目標となる。ナラティヴ・セラピーは、気分障害、発達障害、トラウマ、アディクション、摂食障害、DV等々の多岐にわたる「心の病」を抱える人たちのためのものであるが、そこに散りばめられていた斬新なアイデアは、もっと広い範囲の対象に適用できるのではないかという期待を強く抱かせた。
 講演では、食事を取ったことを忘れてしまった認知症患者への声かけを考えた。認知症患者の脳は、認知機能は低下するが情動機能は維持されているとされる。そのため、食事をしたことを思い出させようとするあまり、相手の自尊感情を損なうようなコミュニケーションは望ましくない。「食事を取らなければいけない」という患者の「自己物語」を他人が無理に変更させることで、患者の脳では「否定された」という情動が働いてしまう。むしろ、「わかりました。ご飯の準備をしておきますね」等と、自尊感情に配慮した声かけをすることで、「認知・経験」との矛盾を拡大させずに、「食事を取らなければいけない」という気持ちがやわらぐのを待つ方がよい。 

 第3の系統が、筆者が専門的に取り組んできた、医療倫理の方法論としてのナラティヴ実践である。そこでは「倫理的問題は当事者の物語の不調和で生じる」と見なして、「対立し合う物語の調停」を試みる(仮に「調停的実践」と呼んでおく)。
 講演では、意識回復が望めない脳梗塞患者に胃瘻を造設するか否かが問題になった事例を考えた。妻は「本人は延命治療をしないでほしいと言っていた」と反対し、息子は「このまま死なせるのは忍びない。打てる手があるならお願いしたい」と実施を求めた。ここにあるのは、患者との関わりや、歩んできた道のりの違いに根ざす「思い」のズレであり、このズレを「妻の物語と息子の物語の不調和」と捉えることで、それを解消するためにどんな対話をこの2人としていけばよいのかを考える道が開けてくる。例えば、妻は患者の気持ちを代弁しているように思えるが、自分自身の気持ちはどうなのかを聞いてみてはどうだろうか。息子が抱いている父親への思いには大いに共感できるが、胃瘻の効果を医学的に考えてみると、この状態の患者に「胃瘻を作らない」ことが、必ずしも「何も手を打たないこと」とは言えないように思えることを伝えてみてはどうか。 

 以上が講演の概略であるが、これらが眼科領域にどのように適用できるのかは、これまでほとんど考えたことがなかった。特に、ナラティヴ実践の中には視覚的なもの(紙芝居や絵本を作ったり、写真やビデオを用いたりする実践など)もあるが、これらはそのままでは適用することができない。しかし、講演後に視覚障害を持つ方から出された感想や意見をうかがうと、彼らが私の話を細部に至るまで丁寧に聞いてくれており、しかも自分の経験に照らして様々な発想を展開していることに驚かされた。視覚障害者にとっての「物語」の豊かさを感じたとともに、彼らとともに様々なナラティヴ・アプローチを試みることも、眼科の医療にとって意味があることのように思えた。
 

【略 歴】
 1965年長野県松本市生まれ。
 早稲田大学教育学部理学科生物学専修卒業、大阪大学大学院医学研究科修士課程修了、東京大学大学院医学系研究科博士課程単位取得、博士(医学、東大)。専門は医療倫理、ナラティヴ・アプローチ(医療における物語論)など。
 2011年より新潟大学医学部保健学科教授。
 著書に『医療倫理学の方法 - 原則, 手順, ナラティヴ』(医学書院)、『ハンセン病 重監房の記録』(集英社)、『専門家をめざす人のための緩和医療学』(共著、南江堂)、『ナラティヴ・アプローチ』(共著、勁草書房)など。

 宮坂道夫研究室ホームページ
 http://www.clg.niigata-u.ac.jp/~miyasaka/

 

【後 記】
 宮坂道夫先生は、全国区で活躍している生命倫理の大家です。眼科領域でも臨床眼科学会で講演して頂いたり、「日本の眼科」に投稿して頂いています。
 今回のお話は、「病いの物語」という演題でお話して頂きました。EBM(evidence-based medicine,根拠に基づく医療)が大流行りの今日、NBM(Narrative Based Medicine)をテーマとしたお話です。
 私が理解した先生のお話は、、、、、物語(ナラティブ)に基づいた医療。物語とは何か?アリストテレス(BC384年 – 322年)によると、物語は「再現・シークエンス(展開)・登場人物・感情を揺さぶる」と集約できる。 NBMでは、傾聴・関係性・ケアが基本。一言でいうと、医師は医療の標準化を求めEBMに精を出す。一方、NBMは患者目線での個別化医療。以下の言葉が、印象に残りました。他者理解のNBMとケアの実践のNBM、「無知のアプローチ」、「スニーキー・プー」、問題の外在化、「人生紙芝居」
 今回も、色々な角度から物事の本質を見つめる宮坂先生の世界を知り、大変勉強になりました。
 宮坂先生の益々のご活躍を祈念致します。 

 

【今後の済生会新潟第二病院眼科 勉強会 & 研究会】
 平成29年03月08日(水)16:30 ~ 18:00
    第253回(17-03)済生会新潟第二病院眼科勉強会
    「私たちは生まれてくる子に何を望むのか」
    栗原 隆(新潟大学人文学部教授)
  http://andonoburo.net/on/5636 

  平成29年04月12日(水)16:30 ~ 18:00
    第254回(17-04)済生会新潟第二病院眼科勉強会
    「私たちの出前授業 45×2
   ~目の不自由な人の未来のために、子どもたちの“今”のために~」
    小島紀代子、小菅茂、入山豊次、吉井美恵子、三留五百枝
    (NPO法人障害者自立支援センターオアシス) 

  平成29年05月10日(水)16:30 ~ 18:00
    第255回(17-05)済生会新潟第二病院眼科勉強会
    「地域包括ケアシステムってなに?新潟市における医療と介護の連携から
    斎川克之(済生会新潟第二病院 地域連携福祉センター 副センター長
         新潟市医師会在宅医療推進室室長)                              

  平成29年06月07日(水)16:30 ~ 18:00
  第256(17-06)済生会新潟第二病院眼科勉強会
     「視覚障害者とスマホ・タブレット 2017」
    渡辺哲也(新潟大学 准教授:工学部 福祉人間工学科)
  4月から(新潟大学 准教授:工学部工学科人間支援感性科学プログラム) 

  平成29年07月
   第257(17-07)済生会新潟第二病院眼科勉強会
   新潟盲学校弁論大会 イン 済生会 (予定)
 

  平成29年09月02日(土)午後
   新潟ロービジョン研究会2017 予定
    会場:新潟大学医学部有壬記念館(ゆうじんきねんかん)
     2階会議室
   テーマ:「私と視覚リハビリテーション」
 1)司会進行
   加藤聡(東京大学眼科)、仲泊聡(理化学研究所)
 2)演者
   高橋政代(理化学研究所)
   清水朋美(国立障害者リハセンター病院)
   山田幸男(NPOオアシス)
   安藤伸朗(済生会新潟第二病院眼科)
 3)特別コメンテーター
   中村 透(川崎市視覚障害者情報文化センター)
   大島光芳(新潟県上越市) 

 

 平成29年11月18日(土)午後 
  済生会新潟第二病院眼科-市民公開講座2017 
  細井順(ヴォーリズ記念病院ホスピス長;滋賀県近江八幡市) 

2017年2月2日

報告:第251回(17‐01月)済生会新潟第二病院眼科勉強会   大石華法
 演題:「ブラインドメイクは、世界へ
            -視覚障害者である前に一人の女性として-」
 講師:大石 華法(一般社団法人日本ケアメイク協会)
  日時:平成29年01月11日(水)16:30 ~ 18:00
  場所:済生会新潟第二病院 眼科外来

【講演要約】

 視覚に障害がある女性を対象に,自分自身で鏡を使わずにフルメーキャップができる化粧技法「ブラインドメイク」を考案したことをきっかけとして,20101010日よりケアメイク活動をスタートし,6年間の活動を経て,2016125日に一般社団法人日本ケアメイク協会を発足しました.
 
今,「ブラインドメイク」は,日本の視覚障害女性の笑顔支援に留まることなく,世界の視覚障害女性の笑顔支援につながっています. 

1.視覚障害者に化粧は不要か?
 
「視覚障害者に化粧のニーズがあるのか?」「化粧をしても目が見えないのに,化粧する意味があるのか?」「目が見えないのに,化粧をさせるとは無茶なことだ」「そもそも彼女たちに化粧の話をすることは(出来ないのに)失礼なことだ」など意見が飛び交うなか,視覚障害の女性は,視覚に障害があるけれども「女性」であることに晴眼者の女性たちと何ら変わりはない.女性は死んでも死化粧をする.そこまで化粧は女性にとって重要なものとして扱われている.化粧は女性の尊厳を支えるアイテムであると言っても過言ではないと考えました.そのため,視覚に障害があることで,本当に化粧を諦めてもいいのだろうか?しなくていいのだろうか?それが本当に彼女たちの望んでいることなのだろうか?いや,そんなはずはない.私と同じ「女性」なのだから.と自問自答を繰り返す日々が続いていました. 

2.視覚障害者理解不足が「障害」に?!
 
ある日,一人の視覚に障害のある女性が「私はいつか目が見える時がきたら,化粧をしたいの・・・」と言って,1本の口紅を鞄の中に入れて持ち続けている女性の姿を見て,視覚障害の女性は目に障害があっても「女性だ!」と強く認識しました.
 
それからは,視覚障害の女性と出会っても,同じ「女性」のスタンスで接することで,「目が見えない人」ということが気にならなくなりました.それどころか,一緒に“女子トーク”を楽しみ,“視覚障害者のアルアル話”を彼女たちとするようにまでなりました.
 
ここで分かったことは,視覚障害者は,確かに身体の目の部分に「障害」はあるけれども,晴眼者側に視覚障害者理解が足りておらず,その理解不足の部分が,各自の思い込みや先入観(私はこのことを晴眼者側の「障害」と呼んでいます)を作りだしているのではないかということでした. 

3.女性の「美しくなりたい」という気持ちに寄り添う
 ブラインドメイクを指導する化粧訓練士の研修生たちに「視覚障害者と同行している時に,目の前に階段とエレベーターとエスカレーターがあれば,援護者はどうしますか?」と質問します.そうすると,「エレベーター」「エスカレーター」と,身体に負担が少ない,あるいは,容易に行く方法を考えます.しかし,答えは「本人に尋ねる」がよいことを話します.そして,目の前に「階段」「エレベーター」「エスカレーター」があるという情報を提供することの大切さを教えています.この回答を述べると,皆が「そっか!」と認識します.つまり,どうするかは援護者側が勝手に良かれと思ったことを実行するのではなく,本人にまず情報提供をして,本人が決めるという自己決定を尊重することの意味を話します.
 
そして,次の質問では「視覚障害の女性はお化粧するしないは誰が決めるのでしょうか?」それは「本人」が決めることで,周囲が勝手に視覚障害者は化粧を「する」「しない」「できる」「できない」を決めるのではないことの理解を深めていただいています.
 
最後に,「よく『当事者の気持ちに寄り添うことが大切だ』と言われていますが,視覚障害の女性の気持ちに寄り添えることは何でしょう?」という部分に触れます.回答は,「視覚に障害がある前に,その人を一人の『女性』であるということ.女性であるならば『美しくなりたい』という気持ちがあることを,認識して理解すること」と述べています.これらの回答は,ブラインドメイクができるようになった視覚障害の女性たちが,ケアメイク女子会で述べていたことを参考にしました. 

4.「ブラインドメイク」は世界へ
 「ブラインドメイクは我々医療では手の届かない患者さんを笑顔にする不思議な力を持っている」と、安藤伸朗先生(済生会新潟第二病院)は仰ってくださっています.ブランドメイクは,単に視覚障害者が鏡を見ないで,綺麗にフルメーキャップすることができる化粧技法のみではなく,“笑顔”につながっています.その笑顔は,見ている晴眼者の顔にも“笑顔”にする力があります.ブラインドメイクは「笑顔支援」だと言っていますが,その笑顔支援は今や国境を越えて世界へ広がっています.
 
それはなぜでしょう?世界にいる視覚に障害のある女性たちも,障害がある前に,一人の「女性」だということです. 

大石華法 プロフィール
大阪府生まれ。日本福祉大学大学院福祉社会開発研究科社会福祉学専攻博士課程。高齢者・認知症患者・視覚障害者・精神障害者を対象とした、化粧の有用性に関する研究を行っている。主な研究論文に「ロービジョン検査判断材料としてのブラインドメイクの検討」「Family Support for Self-realization of the Visually Impaired Woman with Hereditary Blindness in a “Blind Makeup Lesson Program”」など。
一般社団法人日本ケアメイク協会理事長。
日本ケアメイク協会:http://www.caremake.jp/
Facebook:https://www.facebook.com/caremake

活動履歴 http://www.caremake.jp/?page_id=42

@本勉強会で「ブラインドメイク」の講演は3年連続
 2年前この勉強会で、大石華法さんにブラインドメイクの講演をして頂き、昨年は岩崎さん・若槻さんが講演。今回の大石さんの講演で3年連続になります。下記ご参照ください。
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報告:第228回(15‐02月)済生会新潟第二病院 眼科勉強会
 演題:「視覚障害者の化粧技法について~ブラインドメイク・プログラム~」
 講師:大石華法(日本ケアメイク協会)
  日時:平成27年02月4(水)16:30 ~ 18:00 
  場所:済生会新潟第二病院 眼科外来 
 http://andonoburo.net/on/3418

報告:第240回(16-02)済生会新潟第二病院眼科勉強会 若槻/岩崎
 演題:「ブラインドメイク 実践と体験」
 講師:岩崎 深雪(新潟市;盲導犬ユーザー)
    若槻 裕子(新潟市:化粧訓練士)
  日時:平成28年02月17日(水)16:30~18:00
  場所:済生会新潟第二病院眼科外来
 http://andonoburo.net/on/4538


【後 記】
 
新潟で行われた勉強会にもかかわらず、わざわざ大阪と神戸から2名の参加があり、地元新潟の化粧訓練士・訓練生・視覚障害者を加えた5名が会場前方で揃ってブラインドメイクの実演、まさに壮観でした。
 
講演もパワフルで大石節全開でした。今回の講演で、ブラインドメイクのことを「たかがお化粧」などと言ってはならないことを再度確認できました。それまで家にこもりがちだった視覚障害の方が、お化粧することで生き生きとしてきて、本人が変わるだけでなく、家庭も地域も明るく変えるのです。また認知症の方へのメイクが効果あるというお話も新鮮でした。ケアメイクをするようになって娘さんと女子トークが出来るようになったというお話にも感動しました。これは実際にそういう方を見てみないと分からないのですが。私自身、新潟の視覚障害をお持ちの女性が、ブラインドメイクのお蔭で、どんどん見違えるように活発になっていくさまを目の当りにして、感動しました。
 
まさに医療ではできない笑顔を取り戻すことを可能にする魔法だと思いました。大石さんの、一般社団法人日本ケアメイク協会のブラインドメイク、ますますの発展を応援したいと思います。

 

PS:大石先生から下記伝言がありました。
「書籍出版のご支援をお願いします」
 
現在、ブラインドメイクをマスターした視覚障害の女性たち10名に「ブラインドメイク物語,それぞれの想い」を執筆してもらってます.
・「目が見えなくても化粧ができた!」彼女たちの想いを本にしたい!
 (執筆:大石華法・「ブラインドメイク」体験者10名 136ページ予定
  
価格:3,240円(税込)判型:A5判 株式会社メディカ出版 fanfare企画)

 300冊購入支援者がいれば,書籍になるそうです.
 何冊でも結構ですので,ご支援お願い致します.
 下記URLから支援登録が出来ます。
 
https://fanfare.medica.co.jp/book/projects/ohishi/

 

【今後の済生会新潟第二病院眼科 勉強会 & 研究会】
 平成29年02月08日(水)16:30 ~ 18:00
    第252回(17-02)済生会新潟第二病院眼科勉強会
     「物語としての病い」
      宮坂 道夫(新潟大学医学部教授)
  http://andonoburo.net/on/5482
 

 平成29年02月25日(土)15時~18時
    済生会新潟第二病院眼科-市民公開講座2017
     会場:新潟大学医学部有壬記念館(ゆうじんきねんかん)2階会議室
     テーマ:「眼科及び視覚リハビリの現状と将来を語る」
    パネリスト
     ・平形 明人(杏林アイセンター 主任教授)
      「杏林アイセンターのロービジョン外来を振り返って」
    http://andonoburo.net/on/5303

     ・高橋 政代(理化学研究所 プロジェクトリーダー)
      「網膜再生医療とアイセンター」
    http://andonoburo.net/on/5331

     ・清水美知子(フリーランスの歩行訓練士)
      「視覚障害リハビリテーションのこれまでとこれから」
    http://andonoburo.net/on/5336

    オーガナイザー
      安藤 伸朗(済生会新潟第二病院眼科)
 

 平成29年03月08日(水)16:30 ~ 18:00
    第253回(17-03)済生会新潟第二病院眼科勉強会
     「私たちは生まれてくる子に何を望むのか」
      栗原 隆(新潟大学人文学部教授) 

  平成29年04月12日(水)16:30 ~ 18:00
    第254回(17-04)済生会新潟第二病院眼科勉強会
     「私たちの出前授業 45×2
    ~目の不自由な人の未来のために、子どもたちの“今”のために~」
      小島紀代子、小菅茂、入山豊次、吉井美恵子、三留五百枝
      (NPO法人障害者自立支援センターオアシス) 

  平成29年05月10日(水)16:30 ~ 18:00
    第255回(17-05)済生会新潟第二病院眼科勉強会
    「地域包括ケアシステムってなに?新潟市における医療と介護の連携から
    斎川克之(済生会新潟第二病院 地域連携福祉センター 副センター長
         新潟市医師会在宅医療推進室室長)                              

  平成29年06月07日(水)16:30 ~ 18:00
  第256(17-06)済生会新潟第二病院眼科勉強会
    「視覚障害者とスマホ・タブレット 2017」
      渡辺哲也(新潟大学 准教授:工学部 福祉人間工学科)
   4月から(新潟大学 准教授:工学部 工学科 人間支援感性科学プログラム) 

  平成29年07月
    第257(17-07)済生会新潟第二病院眼科勉強会
     新潟盲学校弁論大会 イン 済生会 (予定) 

 

  平成29年09月02日(土)午後
    新潟ロービジョン研究会2017 予定
     会場:新潟大学医学部有壬記念館(ゆうじんきねんかん)2階会議室
   テーマ:「私と視覚リハビリテーション」
      詳細未定 

 

 平成29年11月18日(土)午後
  済生会新潟第二病院眼科-市民公開講座
  細井順(ヴォーリズ記念病院ホスピス長;滋賀県近江八幡市)

2017年1月12日

報告:第250回(16-12)済生会新潟第二病院眼科勉強会 (清水美知子)
 演題:杖で歩くこと、犬と歩くこと、人と歩くこと
 講師:清水 美知子(フリーランスの歩行訓練士)
  日時:平成28年12月14日(水)16:30 ~ 18:00
  場所:済生会新潟第二病院眼科外来 

【講演要約】
1. 歩行手段として
 視覚障害がある人が街を歩く場合、杖、犬、人の三つの手段があり、外出ごとに行き先、距離、交通機関などを考慮して、一つまたは複数の手段を選択して歩いている。

1)杖(ロングケイン)
 物と当たったり段差(例:縁石、階段)を踏み外したりしないよう、杖を身体の前で左右に振り、物や段差を検知して歩くための杖を「ロングケイン(long cane)」と呼ぶ。ほとんどが白色であるため「白杖」と呼ばれることが多い。白杖には他に、ガイドと歩くときに携行するためのガイドケイン、周囲に視覚障害があることを示すためのシンボルケイン(またはIDケイン)、身体を支えるためのサポートケインがある。

 杖の場合、杖を持った手より上、すなわち頭部を含む上半身は防御できない。また使用者は進路上の物を検知すべく杖を左右に振るが、進路上に杖で検知し残した区域ができ、この区域に入った交通標識のポールや電柱などが身体に接触する。

2)盲導犬
 盲導犬は使用者の「パートナー」などと呼ばれる存在で、使用者の指揮のもと使用者と一体となって障害物を回避し段差や角で停止する。使用者はハーネスを介して知る犬の動きに追随して歩く。盲導犬の場合、前方の障害物を犬が眼で認識し、接触することなく回避ルートを歩くので、歩行は安定的に進行する。

 盲導犬との歩行の特徴の一つに「風をきる」ような速い歩行速度が挙げられるが、これは遅い速度で歩くことが苦手ということでもあり、盲導犬使用者にはある程度以上の速度で歩く能力が求められる。また、犬の世話及び健康管理、犬の基本誘導行動の確認と維持は使用者の責任であり、それが行われてはじめて外出時の安全な歩行が確保できる。

3)人
 人はガイド(街の人、ボランティア、移動支援従業者、同行援護従業者など)である。人と歩くのも盲導犬とほぼ同じで、人の腕を掴んだり肩に手を置くなどの方法で追随して歩く。盲導犬と歩く時のように人に道順などを指示する。

 杖は単なる道具であるが、盲導犬と人は意思と感情を持つ生きた存在である。使用者と盲導犬または人との関係は歩行の安全性や効率性に大きく影響する。特にガイドと歩く場合は互いへの気遣いが必要であるが、使用者の主体性が尊重されなければならない。 

2.社会との相互作用への影響
1)杖使用者と盲導犬使用者
 外を歩けば、社会との相互作用が生じる。その主な状況が「援助依頼」である。方向を失った時や初めての交差点を横断する時などに街の人に「すみません」「手を貸してください」などと声をかけ、援助を依頼する。近くを通る人がそれに応えるが、時にそれに気づかない、あるいは気づいても応えないこともある。

 援助依頼の際、杖使用者より盲導犬使用者の方が、援助が得やすいと言われる。今回参加した盲導犬使用者からも杖を使って歩いている時より盲導犬と歩いているときの方がより頻回に声をかけられるとの体験談が聞かれた。盲導犬は周囲の注意を引き、その場の雰囲気を和ませ、会話のきっかけとなるなど使用者と社会との相互作用を促し促進する存在であると言われている。街の人は一般的に障害者との接触体験が少なく援助の要請にどう応えたらいいのか迷い、対応を躊躇してしまいがちである。そのような状況で、盲導犬は街の人の心理的な抵抗感やぎこちなさを軽減するための緩衝材あるいは潤滑油のような役割を果たすのかもしれない。

 参加者の一人は、盲導犬と社会へ出ていく時の気持ちを妊娠している女性に例え、独りでは街の中に出ていく決断ができなかったが盲導犬の存在が自分を強くしたと語った。また、街で人に声をかけられることを避けていたけれども盲導犬と外出することで人との接触に積極的になった等、同様の体験談が聞かれた。

2)人
 人と歩く状況で、一般的なのは同行援護サービスを利用した外出である。同行援護サービスには移動支援以外に、代筆代読支援、摂食や排泄の介護なども含まれている。同行援護従業者は、外出中常に傍にいて視覚障害により生じる情報障害を補償し、視覚障害がある人と社会との相互作用を支援する存在である。

 視覚障害がある人の「常に近くにいる専属の支援者」という存在は、安全が確保される一方、時に障害者と社会の間に見えない垣根を立ててしまう危険を含んでいる。つまり障害者と社会の間で双方から依頼を受け、仲介行為をすることにより障害者と社会との直接的な接触がなくなり、相互理解のための機会が失われてしまうのである。今回、参加者のほぼ全員が、「コンビニが混んでいる時には同行援護従業者に買い物の支払いを頼んでしまう」と話した。社会の側も同行援護従業者に任せ、自分が直接視覚障害がある人と関わらない状況を生みやすい。 

 視覚障害がある人の外出手段としての杖、盲導犬及び人について話し、参加者と意見を交わした。外出の手段としてそれぞれに一長一短があるが、視覚障害がある人の安全な街歩きのためには、当事者も支援者も、そして社会も、相互作用によって互いの理解が深まることを忘れてはならないであろう。 
 

【略 歴】
 1979年~2002年 視覚障害者更生訓練施設に勤務、
  その後在宅視覚障害者の訪問訓練事業に関わる
 1988年~新潟市社会事業協会「信楽園病院」にて、視覚障害リハビリテーション外来担当
 2002年~フリーランスの歩行訓練士 

【後 記】
 流石の清水節でした。改めて、杖で歩くこと、犬と歩くこと、人と歩くことを考えた時間でした。Shared identity  という単語も新鮮でした。「白杖」を知らない人が多いことにもビックリでした。

 「杖の場合、頭部を含む上半身は防御できない」「盲導犬の世話及び健康管理、犬の基本誘導行動の確認と維持は使用者の責任」「ガイドと歩く場合は互いへの気遣いが必要であるが、障害者の主体性が尊重されなければならない」「援助依頼の際、杖使用者より盲導犬使用者の方が、援助が得やすいと言われる」、、、ほんとそうですね。特に「常に近くにいる専属の支援者という存在は、安全が確保される一方、時に障害者と社会の間に見えない垣根を立ててしまう危険を含んでいる」という指摘は重いと思いました。

 「歩く」ということが障がい者自身の生活に必要な行動であるだけでなく、ある意味カミング・アウトであり、自己表現だと改めて感じました。毎回清水さんから教わることは多いです。益々のご活躍を祈念致します。

 

(参考まで)清水さんは済生会新潟第二病院眼科勉強会で過去9回講演しています。それらの講演要約はandonoburo.netに掲載しています。以下に、それらをまとめて列記します。
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●第235回(15-09)済生会新潟第二病院眼科勉強会  清水美知子
 日時:平成27年9月9日(水)16:30~18:00
 場所:済生会新潟第二病院 眼科外来
   演題:街歩きを通して考える社会の視覚障害者観と当事者の心理
   講師:清水美知子(フリーランスの歩行訓練士)
   http://andonoburo.net/on/4065 

●第204回(13‐02月)済生会新潟第二病院 眼科勉強会
 日時:平成25年2月13日(水)16:30 ~ 18:00 
 場所:済生会新潟第二病院 眼科外来
  演題:「歩行訓練40余年を振り返る」
  講師:清水 美知子 (フリーランスの歩行訓練士;埼玉県)
  http://andonoburo.net/on/1751 

●第183回(11‐05月) 済生会新潟第二病院 眼科勉強会
 日時:平成23年5月18日(水)16:30 ~ 18:00 
 場所:済生会新潟第二病院 眼科外来
  演題:「初めての道を歩く」
  講師:清水美知子 (歩行訓練士;埼玉県)
 http://andonoburo.net/on/4545 

●第160回(09‐06月) 済生会新潟第二病院 眼科勉強会
 日時:平成21年6月10日 (水)16:30 ~ 18:00
 場所:済生会新潟第二病院 眼科外来
  演題:「杖に関する質問にお答えします」
  講師:清水 美知子(歩行訓練士;埼玉県)
 http://andonoburo.net/on/4550 

●第143回(08‐01月) 済生会新潟第二病院 眼科勉強会
 日時:平成20年1月9日(水)16:30 ~ 18:00 
 場所:済生会新潟第二病院 眼科外来
  演題:『歩行訓練士は何を教えるのか
      ー自分の歩行訓練プログラムを考えるために』
  講師:清水美知子(歩行訓練士;埼玉県)
 http://andonoburo.net/on/4553 

●第122回(06‐5月)済生会新潟第二病院眼科勉強会
 日時:平成18年5月10日(水)16:30 ~ 18:00
 場所:済生会新潟第二病院 眼科外来
  演題:『カタカナ語で見る視覚障害者のリハビリテーション』 
  講師:清水美知子(歩行訓練士)
 http://andonoburo.net/on/4557 

●第102回(2004‐9月)済生会新潟第二病院眼科勉強会
 日時:平成16年9月8日 (水)16:30 ~ 18:00
 場所:済生会新潟第二病院 眼科外来
  演題:「視覚障害者の歩行を分析する」
  講師:清水美知子(歩行訓練士)
 http://andonoburo.net/on/4561 

●第87回済生会新潟第二病院眼科勉強会 清水美知子
 日時:2003年8月20日(水) 16:30~18:00
 場所: 済生会新潟第二病院 眼科外来
  演題  「Coming-out Part 2 家族、身近な無理解者」
  演者  清水美知子(歩行訓練士)
 http://andonoburo.net/on/4030 

●第76回(2002‐9月)済生会新潟第二病院眼科勉強会 清水美知子
 日時:2002年9月11日(水)16:00~17:30
 場所: 済生会新潟第二病院  眼科外来
  演題:「Coming out –人目にさらす」
  講師:清水美知子 (信楽園病院視覚障害リハビリ外来担当)
 http://andonoburo.net/on/4023  

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【今後の済生会新潟第二病院眼科 勉強会 & 研究会】
 平成29年02月08日(水)16:30 ~ 18:00
    第252回(17-02)済生会新潟第二病院眼科勉強会
     「物語としての病い」
      宮坂 道夫(新潟大学医学部教授) 

 平成29年02月25日(土)15時~18時
    済生会新潟第二病院眼科-市民公開講座2017
      会場:新潟大学医学部有壬記念館(ゆうじんきねんかん)2階会議室
      テーマ:「眼科及び視覚リハビリの現状と将来を語る」
     オーガナイザー 
      安藤 伸朗(済生会新潟第二病院眼科)
     パネリスト
     ・平形 明人(杏林アイセンター 主任教授)
      「杏林アイセンターのロービジョン外来を振り返って」
    http://andonoburo.net/on/5303
     ・高橋 政代(理化学研究所 プロジェクトリーダー)
      「演題:「網膜再生医療とアイセンター」
    http://andonoburo.net/on/5331
     ・清水美知子(フリーランスの歩行訓練士)
      「視覚障害リハビリテーションのこれまでとこれから」
    http://andonoburo.net/on/5336 

 平成29年03月08日(水)16:30 ~ 18:00
    第253回(17-03)済生会新潟第二病院眼科勉強会
     「私たちは生まれてくる子に何を望むのか」
      栗原 隆(新潟大学人文学部教授) 

  平成29年04月12日(水)16:30 ~ 18:00
    第254回(17-04)済生会新潟第二病院眼科勉強会
     演題未定
      小島紀代子、小菅茂、入山豊次、吉井美恵子、三留五百枝
      (NPO法人障害者自立支援センターオアシス) 

  平成29年05月10日(水)16:30 ~ 18:00
    第255回(17-05)済生会新潟第二病院眼科勉強会
     演題未定
    斎川克之(済生会新潟第二病院 地域医療連携室長) 

  平成29年06月07日(水)16:30 ~ 18:00
  第256(17-06)済生会新潟第二病院眼科勉強会
     「視覚障害者とスマホ・タブレット 2017」
      渡辺哲也(新潟大学 准教授:工学部 福祉人間工学科)
  
 4月から(新潟大学 准教授:工学部 工学科 人間支援感性科学プログラム) 

  平成29年07月
    第257(17-07)済生会新潟第二病院眼科勉強会
     新潟盲学校弁論大会 イン 済生会 (予定)
 

  平成29年09月02日(土)午後
    新潟ロービジョン研究会2017 予定
     会場:新潟大学医学部有壬記念館(ゆうじんきねんかん)2階会議室
      詳細未定
 

 平成29年11月18日(土)午後
  済生会新潟第二病院眼科-市民公開講座
  細井順(ヴォーリズ記念病院ホスピス長)

2017年1月9日

報告:第249回(16-11)済生会新潟第二病院眼科勉強会 (青木 学)
 演題:「視覚障がい者議員としての歩み
           ~社会の変化に手ごたえを感じながら~」
 講師:青木 学(新潟市市議会議員)
  日時:平成28年11月09日(水)16:30 ~ 18:00
  会場:済生会新潟第二病院 眼科外来 

【講演要約】
Ⅰ.議会での活動
 私は1995年4月に行われた新潟市議会議員選挙に「バリアフリー社会実現」を掲げ立候補し、初当選を果たした。以来6期20年余、多くの市民の皆さんのご支援をいただき、また協働して様々な課題に取り組んでくることができた。当選後、まず最初に私が行ったことは、議会での活動がスムーズにできるよう、議会内の環境整備についての要望書の提出であった。 主な要望項目は①議案や資料など、点字や音声録音による提供、②議会内の各室への点字標記の設置、③課長以上の職員の点字名簿の提供であった。 

 これらの要望に対しては、執行部側も議会事務局も前向きに対応してくれた。ただ、議案などの点訳については、私にとって最も重要なことであったが、当然市の職員には点字に詳しいものがおらず、点字返還ソフトを駆使しながら、変換ミスも多かったが最低限の資料を用意するという状況だった。その後、職員も点字変換に慣れてきて、審査に関わるものは、図や表以外は相当程度点字で用意されるようになった。またパソコンの活用が進む中で、審査に関わるもの以外のものを含め、様々な資料を電子データとして提供してもらうことが日常的になり、瞬時に情報を得ることができるようになった。行政側からの情報提供だけでなく、私自身、インターネットを通じて、新聞記事や、その他の多くの情報を得ることができるようになり、IT技術の進歩によって、他の議員との情報格差も格段に縮小されてきたと感じている。 

 周囲の議員との関係については、私が所属した会派のメンバーは、私の立場をよく理解してくれ、環境整備に関する要望書も私個人ではなく、会派として提出してくれた。また他の会派の議員からは、最初のころは、私が一人で廊下を歩いているのを見て、「青木君、一人で歩けるんだね」と感心したように声をかけてくれる先輩議員もいたが、時間が経つにつれ、ごく自然に接してくれるようになった。 

 2000年に常任委員会の委員長に就任することになったが、前の年に候補として名前が挙がった時、「他の会派の議員から「青木さん、委員会の運営は大丈夫か」との声があり、一度見送ったという経緯がある。この年については、同じ会派の議員がしっかりと支え、事務局ともしっかり打ち合わせをし準備して臨むということを私からも表明し、委員長就任が承認された。実際の委員会運営では、各委員が発言にあたって挙手をする際、自分の名前を名乗り、執行部側の課長なども同じように対応してくれ、関係者の様々な協力を得て、1年間の任務を終えることができた。 

 2011年から13年にかけては、副議長を務めさせていただいた。議長、副議長の選任にあたっては、それぞれ初心表明をし、選挙によって選ばれる。これまで議会改革などに一緒に取り組んできた仲間の議員たちから、選挙への立候補を勧められた。そのことはありがたく感じたが、議会全体の運営や対外的な場への参加など、私に十分熟すことができるだろうかという不安が正直頭を過った。私に話を勧めてくれた議員たちから、「自分たちもサポートするから」という言葉をもらい決心した。本会議は、全議員そして市長はじめ、各部長が揃って質疑などを行う場である。ここでも各出席者が発言をする時は、名前を名乗って発言するというルールが確立された。このように、周囲の議員そして執行部の職員などから様々な形で協力してもらいながら、これまで議会活動を続けてくることができている。 

Ⅱ.市民との協力によって進めることができた事業について
 ここからは、視覚障がい議員として、多くの関係者と協議、協力しながら取り組んできた主なものを紹介する。
1)情報提供の充実
 20年前は「市報にいがた」が週2回ダイジェスト版として発行されていたが、一般のものと同様、毎週の発行となった。現在は点字版、音声版、デイジー版の3種が発行されている。この他にも議会だよりや市の事業に関する資料などが点字などで市民に提供されるようになった。 

2)まちづくりにおけるハード、ソフトの整備の推進
 点字ブロックの整備はもちろん、超低床ノンステップバスの導入、街中に補助犬用トイレの設置、中央図書館に視覚障がい者のための対面朗読室や音声読み取り装置の設置、そして公共施設の整備にあたっては、その過程で障がい者の意見を聞くことが当たり前のこととして取り組まれるようになった。 

3)同行援護と移動支援について
 同行援護については、全国的に利用時間や利用目的について一定の制限を課しているところが多いようだが、新潟市においては、ギャンブルなどは目的から除外されているが、基本的に本人の活動の状況に応じて利用時間を設定しており、一律な基準は設けていない。また通所、通学についても、移動支援で週3回まで対応することとしており、これも全国的には希な取り組みである。 

4)障がい者ITサポートセンター事業について
 政令市としてこのセンターを設置しているところは、新潟市のみであり、新潟大学の林先生のご協力によって、ITの利活用の支援が進んでいる。 

5)市職員採用試験における点字受験の実施
 これについては2007年度から実施されることになったが、その後、受験者は現れなかった。しかし2013年度に初めて全盲の女性が点字による受験をし、合格した。現在はパソコンなどを駆使しながら、業務に当たっている。 

6)「障がいのある人もない人も共に生きるまちづくり条例」の制定
 国連で障害者の権利条約が採択されたことを受け、市としてもその理念を生かした独自の条例をつくるべきとの議論が始まり、丁寧な検討を経て、昨年10月に成立、本年4月より施行となった。同月に施行となった「障害者差別解消法」と一体となって効果を表すことが期待される面と同時に、法律の弱点を補完するものになっている。 

Ⅲ.終わりに
 国際社会としても、国としても、そして市としても、条約や法律、条例が整備されてきたように、着実に社会も、市民も、障がい者の存在を認識し、当事者の声を大切にしようとする空気が大きく広がってきたと思う。
 これからも、障がいのある人もない人も、一人ひとりが大切にされ、共に生きる社会を目指して、多くの皆さんと協力し行動していきたい。 

【略 歴】
 小学6年の時、網膜色素変性症のため視力を失う
  新潟盲学校中学・高等部、京都府立盲学校を経て、京都外国語大学英米語学科進学
 1991年 同大学卒業。米国セントラルワシントン大学大学院に留学
 1993年 同大学院終了。帰国後、通訳や家庭教師を務めながら市民活動に参加
 1995年 「バリアフリー社会の実現」を掲げ、市議選に立候補し初当選を果たす
  現在に至る 

 議員活動の他、現在社会福祉法人自立生活福祉会理事長、新潟市視覚障害者福祉協会会長、新潟県立大学非常勤講師を務める
「青木まなぶとあゆむ虹の会」
 http://www.aokimanabu.com/index.html 

【後記】
 前回は小学6年生の頃に網膜色素変性と診断され、盲学校、京都外国語大学、米国セントラルワシントン大学大学院留学から、新潟市会議員に当選するまでのお話でした。
 今回は、新潟市市会議員として21年間の経験と成果についてのお話でした。大変興味深く拝聴しました。色々とご苦労があったと思いますが、サラッと何でもなかったかのようにお話される様に心動かされました。
  青木先生には、今後も障がい者を代表して議会で活躍して頂きたいと思います。応援します。
 

@参考
 青木さんには、昨年は市会議員になるまでのお話して頂きました。
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報告:第227回(15‐01月)済生会新潟第二病院 眼科勉強会  青木学
「視覚障がい者としての歩み~自分と向き合いながら、社会と向き合いながら」
 青木 学(新潟市市会議員)
  日時:平成27年01月14(水)16:30 ~ 18:00 
  場所:済生会新潟第二病院 眼科外来
 http://andonoburo.net/on/3401
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^

 

【今後の済生会新潟第二病院眼科 勉強会 & 研究会】
平成29年01月11日(水)16:30 ~ 18:00
 第251回(17-01)済生会新潟第二病院眼科勉強会
 「ブラインドメイク」は、世界へー視覚障害者である前に一人の女性としてー
  大石 華法(日本ケアメイク協会)
  http://andonoburo.net/on/5276 

平成29年02月08日(水)16:30 ~ 18:00
  第252回(17-02)済生会新潟第二病院眼科勉強会
     「物語としての病い」
      宮坂 道夫(新潟大学医学部教授) 

平成29年02月25日(土)15時~18時
 
済生会新潟第二病院眼科-市民公開講座2017
   会場:新潟大学医学部有壬記念館(ゆうじんきねんかん)2階会議室
      テーマ:「眼科及び視覚リハビリの現状と将来を語る」
     オーガナイザー 
      安藤 伸朗(済生会新潟第二病院眼科)
     パネリスト
     ・平形 明人(杏林アイセンター 主任教授)
      「杏林アイセンターのロービジョン外来を振り返って」
    http://andonoburo.net/on/5303
     ・高橋 政代(理化学研究所 プロジェクトリーダー)
      「演題:「網膜再生医療とアイセンター」
    http://andonoburo.net/on/5331
     ・清水美知子(フリーランスの歩行訓練士)
      「視覚障害リハビリテーションのこれまでとこれから」
    http://andonoburo.net/on/5336 

平成29年03月08日(水)16:30 ~ 18:00
   第253回(17-03)済生会新潟第二病院眼科勉強会
    「私たちは生まれてくる子に何を望むのか」
     栗原 隆(新潟大学人文学部教授)  

平成29年04月12日(水)16:30 ~ 18:00
  第254回(17-04)済生会新潟第二病院眼科勉強会
  
  演題未定
      小島紀代子、小菅茂、入山豊次、吉井美恵子、三留五百枝
      (NPO法人障害者自立支援センターオアシス) 
成29年05月10日(水)16:30 ~ 18:00
   第255回(17-05)済生会新潟第二病院眼科勉強会
     演題未定
    斎川克之(済生会新潟第二病院 地域医療連携室長) 

平成29年06月07日(水)16:30 ~ 18:00
 第256(17-06)済生会新潟第二病院眼科勉強会
    「視覚障害者とスマホ・タブレット 2017」
      渡辺哲也(新潟大学 准教授:工学部 福祉人間工学科)
    4月から(新潟大学 准教授:工学部 工学科 人間支援感性科学プログラム) 

平成29年07月
  第257(17-07)済生会新潟第二病院眼科勉強会
    新潟盲学校弁論大会 イン 済生会 (予定)

 

平成29年09月02日(土)午後
   新潟ロービジョン研究会2017 予定
     会場:新潟大学医学部有壬記念館(ゆうじんきねんかん)2階会議室
      詳細未定

 

平成29年11月18日(土)午後
 済生会新潟第二病院眼科-市民公開講座
  細井順(ヴォーリズ記念病院ホスピス長)

2016年12月21日

報告:『新潟ロービジョン研究会2016』 参加者から
  日時:平成28年10月23日(日)
  場所:有壬記念館(新潟大学医学部)
 新潟ロービジョン研究会2016を、10月23日(日)有壬記念館(新潟大学医学部)で行いました。今回報告の最終回で、参加された方々からの感想の一部を紹介します。 

・過去から、現在進行形の話題、さらには将来をどうしてくのか、という「ロービジョン近代史」的な授業のようでとても楽しめました。患者から学ぶという姿勢は医療技術やIT技術が進んでも変わらないものですね。山田先生のお話、「体力増進」をこれからも提唱していきたいです。眼科医の視野を広げないとロービジョンケアの将来も狭窄してしまいそうです。後継者の育ちにくい分野なのでしょうか。もともと外科系だから興味を惹かないのかもしれません。眼科という科の特性が邪魔している気もします。出田先生の日頃の備え重要!印象に残りました。実体験が聞けてありがたかったです。今回は感情的な内容でなくてとても聞きやすく、また当時の状況が時系列でわかりやすく、聞けてよかったぁと思っています。ロービジョンケアは「機器選定」と思っておられる眼科医が大半です。「機器選定外来ではなないし、繋げることの良さ」を知ってもらいたいと改めて感じた週末でした。(埼玉県 眼科医) 

・今年に入り 日没後の外出には時に視力に不安を感じることもあり、貴重な機会を見送ることも多くなっておりました そんなときに昼の時間に、その上自宅のすぐ近くでのご案内で喜び勇んで出かけた次第です。前回までの研究会内容も、出席できなかった時には「報告」を読ませていただいております。今回の研究会での講演内容は、聞き手の身に「ひたひた」と感じられ、帰宅してからも身体に感触が残っているようです。厚く御礼申し上げます。(新潟市) 

内容が、iPadから盲学校設立の歴史、熊本震災まで多岐にわたり、面白かったです。iPadなど、医療者が考える利用法と、実際、ロービジョン患者が考えて便利だと考える利用法が異なるなど、目から鱗が落ちました。また、4つの盲学校の設立を聞いて、確か明治時代か、新潟県が全国屈指(1位だったかもしれません)の人口が多い県、それだけ豊かだったことを思い出しました。熊本震災は水の大切さ、バックルのような、最新の医療機器を使用しない手術の重要性が再認識されることも参考になりました。とても大変楽しかったです。(長野県 眼科医) 

・今回の新潟ロービジョン研究会2016では、何故か!最初の演題から涙が溢れました。年取ったのでしょう。視覚障害ではなくとも、いつか自身も色々な方々のお世話にならなければ!成るであろうと・・・実感しています。講演された方々については色々な書籍でお顔と実績だけは存じ上げておりましたが、生での講演は、ヤッパ一味・二味も違いました。残念なことは県内の眼科医療関係者の方々の参加が少なすぎでしょうか。(新潟市 医療関係者) 

1週間たってもなお、まだときどきメモを見直しながらその深い内容を見直している最中です。そのくらい内容も多彩でそれぞれが重厚な講演会でした。多治見スタディーにとどまらずますます広がる岩瀬先生のご活動のスケールの大きさに圧倒されたのをはじめ、すべての演者の方々と、講演の中で語られた眼科医達に共通して感じたのは、並々ならぬ熱い思いと使命感、実行力です。その熱い思いをそれぞれの強みをいかして実行してゆくこと、その積み重ねが違いを生むことをひしひしを感じさせていただきました。オリンピックでの選手たちの素晴らしいパフォーマンスから活力を与えられたのと同じように、演者の方々から元気をいただきました。また、それぞれの素晴らしい演者の方たちは、ご自身の弱みを見せることを怖れない、それはご自身の核をしっかりお持ちになっている強さを表している、と感じました。そして、多くの人と弱みや反省を共有することでより良いロービジョンケアにつながることへの強い願いを感じました。(東京 眼科医) 

・この度は、大変貴重なご講演を聞くことが出来ましてとても刺激になりました。憧れの橋本様とも名刺交換が出来ました。実践している方のお話は説得力があり久々に温かい気持ちになりました。私も初心に返って、今一度自分の役割を真剣に考えてみようと思っております。(神奈川県 看護師) 

・今回は特に前半の講演を拝聴した時点で、これからのロービジョンケアを考えさせられる会だと思いました。デジタルビジョンケアを主張される三宅先生に対し、山田先生や橋本さんのやっているロービジョンケアはアナログビジョンケアともいえるような、ロービジョンケアの原点に必ず必要なものであると感じました。時代が進歩してゆく中で、その時代時代に合わせたものは必要だと思いますし、ロービジョンケアの場合その代表たるものがデジタルビジョンケアの考え方なのでしょう。ロービジョンケアに時代が求めているもの(業)が何かと考えた時、それは三宅先生が追及されているものであるということは大変良く分かるように思います。 一方、時代がどんなに進んでいっても最新の技術を駆使しても対応できないものは世の中にいくらでもある訳で、それを思うときこれをカバーできるのは原点に対する考え方だと思いました。医師である先生方は、原点には人を救う、という概念が必ずあると思います。最近ではそうでない目的で医師を目指す若者が多いという話も聞きますが、ロービジョンに関わる先生方や医療職に就いている方たちはすべからく「醫の心」のもとに日々ロービジョンケアという、人を救う行為に邁進されていることと改めて感じました。これからしばらくの時代は、デジタルビジョンケアとアナログビジョンケアの融合した形でロービジョンケアが推進されるものと思います。(東京 障害者サポーター) 

・新潟ロービジョン研究会に初めて参加させていただきました。発表された先生方、また参加者の方々、県内の方をはじめ県外の方も多く参加されており県内規模の研究会ではないんだなと驚きました。私にとっては、眼科の分野は初めての領域ですので、今年は色々と勉強させていただいておりますが、今回の研究会でも多方面の視点からの発表を聞かせていただきとても参考になりました。看護の分野からの発表もあり、短期間の入院生活の中で退院後の生活を見据えて支援していく看護師の役割について改めて考えさせられましたし、それを具体的にどのように提供していくか考えていかなければならないと感じました。(新潟市 看護師) 

 ・とても豪華な講師陣でたいへん勉強になりました。何人かのお話は、まったく初めて聞くお話で、啓発されました。しらお眼科の橋本さんの「◎◎が関わればこんなに変わるロービジョンケア」、これはまさにどんな職種、どんな人でもあてはまることで、目からウロコでした。緑内障と闘う先生のお話も、初めて知り、驚くとともに、考えさせられました。(東京 パーソナリティー) 

・企画者と講師の先生方の繋がりが感じられるのがとても印象的な、温かい会だと思いました。ロービジョンケアは、私には馴染みのない分野で、単に三宅先生の講演を聞きたいというのが参加動機でしたが、シンポジウムの中でも産業保健に関わる話題もあり、思いがけず自分ごととしていろいろと考えるきっかけとなりました。橋下先生の「◯◯が関わると変わる、ロービジョンケア」という投げかけも、研究会が終わった後でも何度も思い出されます。ロービジョンケアが眼科医でもまだご存知ないかたもいらっしゃるとか、情報がないためにロービジョンケアに繋がれない現状は衝撃的でした。だとすると、 私が今回少しでも情報に触れることができたことは、必要な方と会った時に情報提供をしてあげられるということにつながるのだろうと思いました。県内でのロービジョンの方の就業状況などはわかりませんが、産業保健に関わる人や人事の方にもロービジョンケアの話を聞いてもらいたいと思いました。(新潟市 保健師) 

・他業界の私には本当に勉強になるお話ばかりでした。全体的にバランスの取れたプラグラムで、休憩なしの講演にもかかわらず、興味深く聞かせていただきました。私は建築系の仕事をしておりますが、今から17~18年前にユニバーサルデザインに出会いいろいろ勉強している身です。そんな事で、医療はもちろん福祉のこともよくわからずに仙台でもロービジョン勉強会に参加させていただいております。第1部の連携を求めてというテーマでのお話は身に染みるものがありました。中でも、いろいろ目線が大切という考え方に同感です。私の知らない業界の集まりに出かけても、皆さんと違う立場や視点で発言してしまい、何か違和感を感じていました。しかし、今回の研究会で少し気持ちが晴れた気がしました。特にトイレについては、一番大切な空間として考えております。公共のトイレは操作位置など、決まりがあるようになってきていますが、細かいボタン操作を要する機器のデザインはまちまちです。(同一メーカーでさえも…)多種職種、多業界の方々が同じテーマで話せる場があれば…みんなで大きな輪を作り、大きな声にならないか…などと、ワクワク・ドキドキさせられた一日でした。(仙台市 建築関係) 

・ロービジョン研究会ではそれぞれの先生が聞きごたえのある講演をされましたが、私にとって心に一番響いたのは三宅さんの「I LOVE ME になりなさい」というメッセージでした。三宅さんのお話全体がストレートな表現で、集中して聞けたこともあります。ただ、今なぜこんなに響いたかと考えると、日ごろDISLIKE MEな自分が気になっていたからと分かりました。会場の有壬記念館も居心地のよい空間で、若い方々にお世話になりました。ありがとうございました。また、大学周辺や新潟市内の木々の美しさにも目を奪われました。再び訪れる機会を持ちたと思っています。(川崎市 公務員) 

・デジタル機器の活用がもたらす意味、近代以降の視覚障害児教育の黎明期のお話、はたまた大地震・大災害を眼科としてどう乗り切ったかというテーマなどなど、「4時間半休憩なし!!」の勢いに圧倒されつつも、今後考えて動いていく上で参考になるキーワードや視点を各講演で聞くことができ、とても有意義な研究会でした。多(他)職種連携も大事ですが、他(多)地域連携もとても役に立つし、歴史に学ぶことも必要です。そんなことがすべて含まれた研究会だったように思います。また、組織・団体・施設……といろいろありますが、基本はその人その人の課題意識と行動が出発点であり原動力になることを再認識しました(もちろん、個々人の課題意識を共有・賛同し、一緒に動いていく人が複数いることは大事ですが……)。そのためには、チャンスがあるなら行動する、可能であれば直接話を聞く、(適度に)よく考える、というようなことが「元気の薬」になるんでしょう。(仙台市 社会福祉士)

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「新潟ロービジョン研究会2016を終えて」
 加藤 聡 (東京大学眼科)
 今年も新潟ロービジョン研究会に参加して、心地よい充実感とともに会を終了することができました。毎年夏に開催されている新潟ロービジョン研究会ですが、今年は日本ロービジョン学会学術総会が8月に新潟で開催されたこともあり、新潟ロービジョン研究会の開催は秋となり、開催場所もいつも行われている済生会新潟第二病院の講堂と異なり、新潟大学医学部同窓会の有壬記念館で行われました。この会の特徴として、一つは国内一流の演者が安藤先生のご提案された話題に沿って話をしていただくということと、視覚障害者の支援者が当事者とともに一同に会するということかと思います。
今回の研究会は大きく分けて3つのパートからなり、それらは「連携を求めて」「眼科医療と視覚リハビリ」「熊本地震を考える」でありました。個々の講演に関し感想をすべて述べたいところですが、思いつくままに感想を述べたいと思います。

 初めに看護師の橋本さんの話は、今後ロービジョンケアに看護師の働きが重要であると考えている私にとって勇気づけられるものとなりました。三宅先生の話はデジタルビジョンケアという私にとって新しい言葉が頭に焼き付きました。山田先生の話は、内科医でありながら目の不自由な人にどのように寄り添っていったかの歴史がよく分かり、先生の人柄を感じられるお話でした。

 岩瀬先生と言えば、多治見スタディとして知らない眼科医はいないほどの方ですが、その方が検診をどのように熱意をもって推し進めたことに感動しました。小西さんの新潟での盲教育の歴史の話は、昔より新潟県の方々がいかに視覚障害者の方に尽力されたかがわかりました。その中で、大先輩の眼科医が大きな役割を占めたことに自分の努力のふがいなさも感じました。佐渡先生の話は、日本にロービジョンケアが立ち上がる黎明期の話が聞け、私のようにロービジョンケアに関して新参者の身としては、改めてロービジョンケアに関しさらに学ばなければいけないと思わざるを得ませんでした。香川先生の話は原田政美先生の活躍を年度ごとに紹介し、改めて東大眼科の偉大なる先輩であることを痛感しました。

 最後の出田先生の話は、術者として本邦で屈指の眼科医が大地震の際に身を粉にして、患者、職員、住民のために働き、震災が落ち着いた今も支援活動を続けているという内容に頭が下がらないわけにはいきませんでした。この話は多くの眼科医に是非とも聞いてもらいたいと思いました。

 以上のように、今回の新潟ロービジョン研究会も内容も濃く、その後の懇親会での会話もとどまるところを知らないほど盛り上がった後、後ろ髪を引かれる思いで新潟を後にしました。来年の開催を今からも待ち遠しく思っています。 

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「おわりに 自覚者が責任者である」
 仲泊 聡(神戸理化学研究所;眼科医)
 研究会の締めくくりの言葉としてこれまではもっと歯の浮くような優等生のコメントをしてきたのですが、今回は、今マイブームになっている糸賀一雄氏の言葉を引用しました。糸賀氏は、社会福祉の父と呼ばれる偉人なのですが、視覚障害の業界ではあまり話題に登らないようで、恥ずかしながら私は最近になって認識した方です。私が引用した「自覚者が責任者である」と言う言葉は、彼が多く残した名言の一つです。彼は「この子らを世の光に」という言葉も残し、こちらの方がむしろ有名のようです。知的障害児福祉に生涯を捧げた彼の思想を凝縮した名言だと思います。「を」と「に」を置き換えると極めて俗っぽくなる言葉がこの順だと極めて深いメッセージになっていることがわかります。

 十分に彼の思想を理解できたわけでない状態で軽々しく引用してしまったことをとても反省しています。そして、その時の単なる思いつきでした。「自覚者が責任者」の例えとして道に落ちていたゴミをゴミ箱に捨てるという行為を昔は当たり前と教わったが、今日それが毒物や爆発物であるといけないと、しないように教える向きがあると。これを、私がこれまでどうして視覚障害者関連の仕事してきたかという文脈で話ししました。終わりの言葉でしたから質問も出ませんでしたが、自分の中では冷や汗が10リットルくらい出る感じでした。改めて自分の未熟さを思い知りました。もっと勉強していきたいと思いますので、どうかお許しください。この反省文をもって講演要旨に代えさせて頂きます。

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●新潟ロービジョン研究会 2016
0.はじめに
   安藤 伸朗(済生会新潟第二病院;眼科医)
1.【第1部 連携を求めて】
 1)看護師が関わると、こんなに変わるロービジョンケア
   橋本 伸子(しらお眼科;石川県白山市、看護師)
   http://andonoburo.net/on/5171 

 2)情報障害に情報保障の光を、患者に学ぶビジョンケア
   三宅 琢(東京大学先端科学技術研究センター特任研究員;眼科医)
   http://andonoburo.net/on/5182 

 3)視覚障害者のための転倒予防・体力増進教室
   ○山田 幸男 田村 瑞穂 嶋田 美恵子  久保 尚人
   (新潟県視覚障害者のリハビリテーションを推進する会;NPOオアシス)
   http://andonoburo.net/on/5210 

2.【第2部 眼科医療と視覚リハビリ】
 1)最大のロービジョン対策は予防と治療:私の緑内障との闘い
   岩瀬 愛子(たじみ岩瀬眼科;岐阜県多治見市、眼科医)
   http://andonoburo.net/on/5189 

 2)新潟県の訓矇・盲唖学校設立に尽力した眼科医
   小西 明(済生会新潟第二病院医療福祉相談室、前新潟盲学校長)
    http://andonoburo.net/on/5217 

 3)我が国初の眼科リハビリテーションクリニック(順天堂大学)
   ー開設当時を振り返ってー
   佐渡 一成(さど眼科;仙台市、眼科医)
    http://andonoburo.net/on/5223 

 4)眼科医・原田政美の障害者福祉理念と功績
   香川 スミ子(元東京都心身障害者福祉センター)
    http://andonoburo.net/on/5233 

3. 【第3部 熊本地震を考える】
  「熊本地震と災害時視覚障害者支援」
   出田 隆一 (出田眼科院長;熊本)
    http://andonoburo.net/on/5248 

4. おわりに
   仲泊 聡(神戸理化学研究所;眼科医)