新潟県の眼科勤務医の有志が中心となり、「越後眼科研究会」を平成19年5月に立ち上げ、年に2回開催しています。日頃抱えている問題や症例を話し合い、また全国で活躍している先生をお呼びして最新・最前線のお話を伺っています。
今回は、小児眼科・斜視でご活躍の佐藤美保先生(浜松医科大学眼科・病院教授)を、特別講演の講師としてお迎えし『チャレンジ!小児眼科とおとなの斜視』という演題で講演して頂きます。
病院勤務医のみならず、開業医・大学勤務医・研修医・視能訓練士・看護師など多くの方々のご参加をお待ちしております。
『第17回 越後眼科研究会』
日 時:平成27年5月16日(土)16:50~19:30
場 所:ホテルラングウッド新潟
(旧:チサンホテル&コンファレンスセンター新潟)
新潟市中央区笹口1-1 電話:025-240-2111(代表)
http://www.lungwood.com/niigata/
住 所:新潟市中央区笹口1-1 電話:025-240-2111(代表)
会 費:1,000円
16:50 一般演題 講演7分 質疑5分
座長 山本 達郎 (立川綜合病院)
1)「アイファガン点眼液0.1%について」
○千寿製薬株式会社
2)網膜静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫に対するSTTAの治療成績
○塩崎 直哉、安藤 伸朗、大矢 佳美、中村 裕介
(済生会新潟第二病院)
過去6年間に当院で治療したBRVOに伴う黄斑浮腫に対するSTTA で術後3カ月以上経過観察可能であった94例96眼の治療成績。視力・網膜厚共に術後は有意に改善。64眼(67%)は、STTA(光凝固併用含め)のみで治療可能であった。眼圧上昇は10眼であったが、術前から高い(4眼)・抗緑内障点眼(1眼)であった。
3)チン小帯断裂症例に対する白内障手術
○村上 健治
(新潟市民病院)
水晶体が高度に脱臼している場合は硝子体手術を行い水晶体を除去するが、チン小帯断裂が軽度から中等度である場合は術式の選択に迷うことがある。 今回、通常の白内障手術を選択したが結果的に硝子体手術に至った2症例を供覧し術式の選択、デバイスの選択ついて検討してみたい。
4)Shaken baby syndrome の1例
○橋本 薫、末武 亜紀、田中 玲子、高田 律子、武田 啓治
(長岡赤十字病院)
症例は生後2か月の男児。実父の虐待により硬膜下血腫、くも膜下血腫及び肋骨骨折を認め、更に網膜出血を確認 した。近年社会問題化しているSBSであるが、眼底所見が重要視されることが多い。眼底所見を認めた際は、詳細な所見の記載と共に可能な限り眼底 写真を撮影することが望ましい。
5)固定内斜視で眼軸長が計れない!どうする?
○吉澤 豊久
(三条眼科)
最近経験した、固定内斜視のため眼軸長が計れない白内障手術患者の対処法について報告する。
6)固定されていない「固定内斜視」の2例
○田沢綾子、植木智志、羽入貴子、畑瀬哲尚、福武慈、福地健郎
(新潟大学眼科)
固定内斜視は強度近視に関連した斜視で、典型例では高度の外 転および上転制限により眼球は内下転位に固定されたように観察される。我々は上転制限のみまた外転制限を伴わない内斜視でMR画像では固定内斜視の特徴を有し横山法により所見の改善が得られた2症例を経験した。貴重な症例と考え報告する。
コーヒーブレイク
18:15 特別講演 座長 安藤 伸朗 (済生会新潟第二病院)
『チャレンジ!小児眼科とおとなの斜視』
佐藤 美保 (浜松医科大学医学部 眼科 病院教授)
*尚、講演会終了後、19:30より『佐渡の間』にて情報交換会を予定しております。
【越後眼科研究会世話人】
安藤 伸朗(済生会新潟第二病院)
村上 健治(新潟市民病院)
橋本 薫(長岡赤十字病院)
山本 達郎(立川綜合病院)
共催:越後眼科研究会 千寿製薬株式会社
【特別講演】 抄録&略歴
チャレンジ「小児眼科と大人の斜視」
(浜松医科大学医学部 眼科 病院教授)
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【講演抄録】
小児眼科というと、多くの先生がたは難治性の先天疾患を扱うと思われるかもしれません。しかし、小児の弱視や斜視は人口の1.5%を占めるので決して稀な疾患ではありません。また学校医として地域の子供たちの目の健康は、開業医の先生がたが担当しておられます。
このように小児眼科は決して「特殊な」疾患を扱う「難しい分野」ではありません。一方で、斜視を扱う医師の多くは小児期から患者さんを診るために、大人の斜視を診るのは小児眼科を専門とする医師ということになります。
しかし近年、QOLやQOVの向上にとって大人の斜視治療が重要であることが認識されるようになってきました。また、マスコミの影響もあり、これまで治療困難として放置されていた大人の斜視患者が増えてきています。
「白内障を治療したら複視が気になるようになった」、あるいは「両眼視ができなくて運転が困難になった」、「斜視が気になって社交性がなくなってきた」、などの理由から斜視治療を希望とする人が増えています。「斜視を手術すると複視になるからやめたほうが良い」とか「その年齢で外見を気にするなんて不要だ」などといわれた、という患者さんもすくなくありません。
今回は、見逃してはいけない小児眼疾患、大人の斜視の診断と治療の適応、専門施設への紹介のタイミングについてお話ししたいと思います。
【略 歴】
1986年 名古屋大学医学部卒業
1992年 名古屋大学医学部大学院外科系眼科学満了
1992年 学位取得
1993年9月-1995年3月
米国Indiana 大学小児眼科・斜視部門留学
2002年7月 浜松医科大学医学部眼科学助教授(准教授)
2011年1月1日 浜松医科大学医学部病院教授
現在に至る