2013年4月23日

済生会新潟第二病院眼科で、1996年(平成8年)6月から毎月行なっている勉強会の案内です。参加出来ない方は、近況報告の代わりにお読み下さい。

 案内 第207回(13‐05月)済生会新潟第二病院 眼科勉強会
  演題:「インクルーシブ教育システム構築と視覚障害教育 〜盲学校に求められるもの〜」
  講師:小西 明 (新潟県立新潟盲学校:校長)
    日時:平成25年5月8日(水)16:30 ~ 18:00 
    場所:済生会新潟第二病院 眼科外来

【抄録】
 1.ノーマライゼーション
 我が国では、昭和56年(1981)の国際障害者年を契機に、ノーマライゼーションの用語が一般的に使用されるようになり、次第に福祉政策に取り入れられるようになった。それに先立ち、視覚障害児の教育におけるインテグレーション(統合教育)は昭和40年代半ばから始まり、ノーマライゼーションの一環として進められていた。しかし、インテグレーションでは、健常児と視覚障害児が同じ学校の同じクラスで過ごすことのみがクローズアップされ、個々の障害の状態を把握し、ニーズに応じた能力を伸ばしていくために必要な支援をプログラムすることができていなかった。その後、平成7年(1995)になって、総理府(現:内閣府)の障害者プラン ~ノーマライゼーション7か年戦略~ が発表され、国をはじめ公的機関の姿勢が明確に示されるようになった。

 2.「障害者の権利に関する条約」をめぐる動向
 平成18年(2006)年12月に、国際的な動きとして「障害者の権利に関する条約」が国連で採択された。我が国では、批准に向けて政府で検討がなされ、その一環として平成21年12月に、内閣府に障がい者制度改革推進本部が設置された。本部の障がい者制度改革推進会議において、平成22年6月「障害者制度改革の推進のための基本的な方向について」が閣議決定された。教育関係分野では、①インクルーシブ教育の理念②子どもの特性に応じた教育実現のための具体的方策について期限を定め策定された。
 条約批准に向け国内法の整備が進められ、文部科学省では平成22年7月中央教育審議会(以下:中教審)に「特別支援教育の在り方に関する特別委員会」(以下:特特委員会)が設置された。同年12月に、特特委員会で論点整理のとりまとめが行われ、平成23年5月には合理的配慮ワーキンググループが設置された。同年8月には障害者基本法の改正があり、インクルーシブ教育の理念と方向性が示された。さらに、平成24年7月には「共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の推進(報告)」が中教審よりなされた。

 3.「共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の推進(報告)」概要
   ①共生社会の形成にむけて 
  ②就学相談・就学先決定の在り方について 
  ③障害のある子どもが十分に教育を受けられるための合理的配慮及びその基礎となる環境整備 
  ④多様な学びの場と学校間連携等の推進  ⑤特別支援教育の充実させるための教職員の専門性向上

 4.盲学校に求められているもの
 これからのインクルーシブ教育システム構築に向けて、盲学校には次にあげる課題が求められている。①早期からの教育相談 ②行政等への分かりやすい情報提供 ③特別支援学級等地域資源との連携構築 ④交流及び共同学習、地域社会との連携 ⑤一人一人が生きる指導の充実とそのための専門性の向上 など。 
  今回は、インクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育(視覚障害教育)の課題と、課題解決のための方策として当校が取り組んでいる交流及び共同学習について紹介したい。

【略歴】
 1977年 新潟県立新潟盲学校教諭
 1992年 新潟県立はまぐみ養護学校教諭
 1995年 新潟県立高田盲学校教頭 
 1997年 新潟県立教育センター教育相談・特殊教育課長
 2002年 新潟県立高田盲学校校長
 2006年 新潟県立新潟盲学校校長

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 興味があって参加可能な方は、遠慮なくご参加下さい。どなたでも大歓迎です。(参加無料、事前登録なし、保険証不要)。ただし、お茶等のサービスもありません。
 悪しからず。

 今回の勉強会の一部は、「新潟大学工学部渡辺研究室」と「新潟市障がい者ITサポートセンター」のご協力によりネット配信致します。以下のURLにアクセスして下さい。下記のいずれでも視聴できます。
   http://www.ustream.tv/channel/niigata-saiseikai
   http://nitsc.eng.niigata-u.ac.jp/saiseikai/

 録画はしておりません。当日の視聴のみ可能です。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

『済生会新潟第二病院 眼科勉強会』

 1996年(平成8年)6月から、毎月欠かさずに続けています。誰でも参加出来ます。話題は眼科のことに限らず、何でもありです。参加者は毎回約20から30名くらいです。患者さん、市民の方、医者、看護師、病院スタッフ、学生、その他興味のある方が参加しています。
 眼科の外来で行いますから、せいぜい5m四方の狭い部屋で、寺子屋的な雰囲気を持った勉強会です。ゲストの方に約一時間お話して頂き、その後30分の意見交換があります。

   日時:毎月第2水曜日16:30~18:00(原則として)
   場所:済生会新潟第二病院眼科外来

*勉強会のこれまでの報告は、下記でご覧頂けます。
 1)ホームページ「すずらん」
  新潟市西蒲区の視覚に障がいのある人とボランティアで構成している  音声パソコン教室ホームページ
  http://www11.ocn.ne.jp/~suzuran/saisei.html

 2)済生会新潟第二病院 ホームページ
  http://www.ngt.saiseikai.or.jp/02/ganka/index5.html

 3)安藤 伸朗 ホームページ
  http://andonoburo.net/

 

【今後の済生会新潟第二病院眼科 勉強会 & 研究会】

 平成25年6月12日(水)16:30~18:00
   「視覚障害グループセラピーの考察」
      小島 紀代子 (NPOオアシス)

 平成25年6月21(金)~23日(日)
  第22回視覚リハビリテーション研究発表大会(兼 新潟ロービジョン研究会2013)
  最新情報 http://andonoburo.net/on/1690 
  ホームページ:http://www.jarvi2013.net/ 
  参加申し込み:http://www.jarvi2013.net/sanka

  平成25年7月10日(水)16:30 ~ 18:00
   「新潟盲学校弁論大会 イン 済生会」

 平成25年8月7日(水)16:30 ~ 18:00

  「楽しい外出をサポートします! ~『同行援護』その効果とは!?~」
     奥村 京子 (社会福祉法人新潟市社会福祉協議会)

 

2013年4月16日

済生会新潟第二病院眼科では、講師をお呼びしてアイセミナーを行っています。
今回は、松岡尚気先生(新潟大学眼科)です。
多くの方々の参加、歓迎です。

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

  済生会新潟第二病院 (第5回)眼科アイセミナー
  日時:2013年4月23日(火)18:00 〜
  会場:済生会新潟第二病院 眼科外来

  講師:松岡尚気 (新潟大学眼科)
  演題:新潟大学眼科における加齢黄斑変性症に対するルセンティス治療成績

  参加希望の方は、下記まで連絡ください。
   安藤 e-mail gankando@sweet.ocn.ne.jp

演題:新潟大学眼科における加齢黄斑変性症に対するルセンティス治療成績
講師:○松岡尚気、長谷部日、高田律子、佐藤弥生、寺島浩子、上田恵理子、佐々木亮、福地健郎(新潟大学眼科)

【目的】 
 新潟大学眼科のルセンティス硝子体内注射(ラニビズマブ硝子体内注射;IVR)成績を検討する

【対象】
 当科で加齢黄斑変性症(AMD)に対してIVR導入期1クール施行された後、約1か月以上継続して維持期間を経過観察できた101眼
 (type1:37、type2:28、PCV:29、RAP:7眼)

【検討項目】
 1.病型別の治療前と最終視力の比較、
 2.治療前背景因子(①PED、②hemorrhagic PED、③網膜下液、④網膜下出血、⑤黄斑浮腫、⑥治療前視力、⑦年齢、⑧性別)
 3.PDT既往11例の成績
 4.1年以上観察例の成績

【結果】
 1.<改善/維持/悪化>
   type1:5/27/5眼、type2:7/19/2眼、PCV:8/18/3眼、RAP:3/4/0眼。

 2.type1のPED(+)でのみ有意差あり。

 3.PDT施行後11例ではtype1で維持2例、type2で改善1例、維持8例。

 4.年間平均回数 type1:4.36、type2:3.77、PCV:4.11、RAP:3.0回。

【結論】

 重篤な合併症もなく、IVRは有効な治療法といえる。

 

 

略歴 松岡尚気 MD, PhD

 1999年(平成11年)3月 新潟大学卒業

           5月 新潟大学眼科学教室入局

 2000年(平成12年)4月 海谷眼科勤務

 2001年(平成13年)4月 長岡赤十字病院勤務

 2002年(平成14年)4月 聖隷浜松病院勤務

 2003年(平成15年)4月 厚生連村上総合病院勤務

 2005年(平成17年)4月 新潟こばり病院(現 厚生連新潟医療センター)勤務

 2006年(平成18年)10月 新潟大学医員

 2007年(平成19年)5月 University of Southern California, 

              Doheny Eye Institute留学

 2009年(平成21年)4月 厚生連村上総合病院勤務

 2010年(平成22年)4月 新潟大学医員

 2011年(平成23年)   新潟大学博士号取得

 2012年(平成24年)7月 新潟大学助教

 2013年(平成25年)4月 新潟大学外来長

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 これまでの済生会新潟第二病院 眼科アイセミナー (第5回から改称)

 (第1回)眼科カンファレンス

  日時:2012年10月2日(火)19:00~

  会場:済生会新潟第二病院 眼科外来

  講師:八百枝 潔 

      (眼科八百枝医院)

      (新潟大学大学院医歯学総合研究科視覚病態学分野)

  演題:「緑内障治療薬による眼循環への影響」

 

 (第2回)眼科カンファレンス

  日時:2012年11月20日(火)18:30~ 

  会場:済生会新潟第二病院 眼科外来

  講師:河嶋 洋一 (参天製薬:医薬事業部技術開発)

  演題:「点眼薬の開発と眼内薬物動態」 

 

 (第3回)眼科カンファレンス

  日時:2013年1月8日(火)18:00~ 

  会場:済生会新潟第二病院 眼科外来

  講師:長谷部 日 (新潟大学眼科)

  演題:「硝子体手術との15年間、そしてこれから」

 

 (第4回)眼科カンファレンス

  日時:2013年3月12日(火)18:00~ 

  会場:済生会新潟第二病院 眼科外来

  講師:寺島浩子 (新潟大学大学院医歯学総合研究科視覚病態学分野)

  演題:「黄斑剥離を伴う裂孔原性網膜剥離の長期視力予後」

 

2013年4月3日

 日 時:平成25年4月20日(土)17:00〜19:30  
 場 所:チサンホテル&コンファレンスセンター新潟(湯沢の間)      
     新潟市中央区笹口1-1 電話:025-240-2111(代表)  
 特別講演  森 和彦 (京都府立医科大学眼科学教室 講師)
 演題 『緑内障手術 〜建前と本音〜』  

      会 費:1,000円

 新潟県の眼科勤務医が中心となって「越後眼科研究会」を、平成19年5月に立ち上げ、年に2回開催しています。日頃抱えている問題や症例を話し合い、また全国で活躍している先生をお呼びして最新・最前線のお話を伺っています。

 今回は、緑内障でご活躍の、森 和彦先生(京都府立医科大学眼科 講師)をお呼びしました。『緑内障手術~建前と本音~』という演題です。また一般演題も新潟県内から5題集まりました。どの演題も熱い討論が期待できます。

 病院勤務医のみならず、開業医、大学勤務医、研修医、視能訓練士、看護師など多くの方々に参加して頂きたいと存じます。お気軽にご参加下さいますようお願い申し上げます。

 

 注)医療関係者のみ(含:学生)へのご案内です

 

17:00 一般演題   講演7分 質疑5分
        座長 村上 健治 (新潟市民病院)
 1)「アイファガン点眼液0.1%について」
  ○千寿製薬株式会社

 2)「当院での繊維柱帯切除術と術後管理」
  ○福島 淳志 (厚生連長岡中央綜合病院) 
   繊維柱帯切除術はシンプルなオペにも思えますが、術中、術後の細かいこだわり、バリエーションが術者により多々あるように思います。自分自身もまとめて考えたことなかったので、この機会に整理し発表させて頂きます。

 3)「当科での白内障手術教育 CCCの作成法」
  ○村上 健治、根本 大志 (新潟市民病院) 
   CCCの作成は安全な白内障手術を行うためには必須の手技である。粘弾性物質は多数ありCCCをチストトームで行う術者もいれば前嚢鑷子で行う術者もいる。当科での作成法を紹介する。また白内障手術の全くの初心者にCCCを教える場合、どの方法がよいか皆様のお知恵を拝借したい。

 4)「網膜色素変性に伴う黄斑浮腫に対する硝子体手術」〜全国の網膜硝子体専門家へのアンケートの結果から〜
  ○安藤 伸朗 (済生会新潟第二病院) 
   網膜色素変性(RP)に黄斑浮腫を伴うことが知られている。治療法のないRP患者に眼科医が出来る治療の一つが黄斑浮腫の治療である。この治療について網膜硝子体専門医にアンケート調査を行った。結果、一番選択されたのは、炭酸脱水素酵素阻害剤の内服・点眼、硝子体手術は慎重な適応が求められた。

 5)「当院における2003年出生の低体重出生児の、3、6、9歳時の眼科的予後に関する検討」
  ○橋本 薫、吉田 博光、田中 玲子、武田 啓治 (長岡赤十字病院眼科)
   平成15年当院NICUで 眼科診察をした低出生体重児の視力経過の検討。対象は45名中、3,6,9歳時の診察時に2回以上視力検査を施行した7名。治療を行ったのは5名。9歳 時に0.4以上の視力を得たのは14眼中8眼。視力結果に出生体重1000g未満と以上で差がなかった。治療開始時期が大事と思われた。

 6)「縫着眼内レンズの傾斜補正で乱視が軽減した一例」
  ○山本 晋 (笹出線 近江眼科/新潟医療センター)
   関 正明 (せき眼科/新潟医療センター)
 (症例)他院にて水晶体再建術中に破嚢し、前部硝子体切除、眼内レンズ縫着を行われた83歳女性。前房、硝子体中に水晶体皮質が残存し、高眼圧をきたしたため新潟医療センターにて硝子体手術を施行した。術中に傾いた眼内レンズの位置補正を行ったところ、全乱視が術前-6.5D→術後-0.5に軽減した。

 

18:15 特別講演
        座長 福島 淳志 (厚生連長岡中央綜合病院)
 演題:『緑内障手術 〜建前と本音〜』
 講師:森 和彦 (京都府立医科大学 眼科学教室 講師) 

 

*尚、講演会終了後、19:30より『佐渡の間』にて情報交換会を予定しております。

 

 越後眼科研究会世話人
  安藤 伸朗 (済生会新潟第二病院)  
  村上 健治 (新潟市民病院)
  鈴木 恵子 (新潟県立吉田病院)
  橋本 薫 (長岡赤十字病院)
  福島 淳志(長岡中央綜合病院:当番幹事) 

 共催:越後眼科研究会  千寿製薬株式会社

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

特別講演
 演題:「緑内障手術 〜建前と本音〜」
 講師: 森 和彦
    (京都府立医科大学 眼科学教室 講師)

【講演抄録】
 緑内障ガイドラインによれば緑内障の治療は薬物・レーザー・手術から選択し、観血的手術は薬物治療やレーザー治療などの他の治療法が適切に行なえない症例や十分な眼圧下降が得られないと考えられる症例が適応とされる。その理由として、合併症なく長期にわたって眼圧をコントロールできる安全で確実な緑内障手術は存在せず、いまだに試行錯誤が繰り返されていることが挙げられる。これまでは合併症が多いものの眼圧下降作用が強力な線維柱帯切除術を少しでも安全な手術とするべく、数多くの改良が試みられてきた。

 今年、わが国において認可されたシャント手術に対する期待は大きいが、実際のところは濾過手術の宿命からは逃れることができず、残念ながら理想からはほど遠いと言わざるを得ないように思われる。本講演では現在のわれわれの行なっている線維柱帯切除術を紹介するとともに、実際に思惑通りに行かなかった症例を呈示し、参加された先生方とともにレクトミーとシャント手術の建前と本音に迫ってみたい。

【略 歴】
  氏  名  森 和彦(もり かずひこ)
  生年月日  昭和38年9月2日 生まれ

 学歴・職歴
  昭和 63年3月 京都府立医科大学 卒業
  昭和 63年4月 京都府立医科大学眼科学教室 入局
  平成 元年4月 京都府立医科大学大学院博士課程医学研究科
  平成 3年4月 アメリカ国立衛生研究所眼研究部門(NIH/NEI)客員講師
  平成 5年7月 福井医科大学眼科学講座 助手
  平成 7年4月 京都府立医科大学眼科学教室 助手
  平成 11年4月 京都府立医科大学眼科学教室 講師
  平成 15年4月 京都府立医科大学大学院医学研究科視覚機能再生外科学
         (眼科学教室)講師 
   現在に至る