パネルディスカッション「ロービジョンケアに携わる人達」では、NPO法人として活躍している山田幸男先生に講演して頂きます。
『NPOオアシスでやってきたこと、行っていること』
山田 幸男 (新潟県保健衛生センター;信楽園病院 内科)
【抄 録】
いまから31年前の視覚障害者の自殺が契機となって、私たちは目の不自由な人のリハビリテーションに取り組みました。当時信楽園病院の眼科は、大学からパートできておられたので、眼科医が赴任されるのを待ちました。待つこと10年、ようやく眼科医の大石先生が着任され、すぐにリハビリ外来を、さらに翌年にはパソコン教室を開設しました。その後、さらに歩行指導(白杖、誘導)、調理・化粧指導など指導項目を増やしながら、視覚障害者の自立を援助しています。
障害者の心のケアも大切です。お茶飲みや食事をしながら、話し合い、情報交換する機会を設けました。パソコンをやらないで、お茶飲みや友達を求めて集まる人も多くみられます。リハビリ外来やパソコン教室を開設して、丸20年が経ち、視覚障害者にも高齢化の波が押し寄せています。
老老介護の人が多くなり、いつ介護者が介護できなくなるかわからない人が多くみられます。そこで、目の不自由な人たちに「もし介護者が介護できなくなったら、あなたは施設で過ごしますか、自宅で過ごしますか?」とたずねてみました。自宅で過ごしたいと答えた人が多く、男性障害者(24人)では54.2%、女性障害者(8人)は75%に達しました。介護者がいなくなったときに、視覚障害者がとくに困ることは、歩行・移動、食事作り、買い物です。
歩行・移動に対しては、昨年8月から、「転倒予防・体力増進教室」を開始しました(毎月1回)。ロコモ・サルコペニア・フレイル・骨粗鬆症などの講義と、ラジオ体操などの実技、看護師によるフットケア、栄養士による栄養指導などを行っています。
調理教室は以前から月2回行ってきましたが、一人になると作れない人がほとんどでした。そこで確実に作れるようになるために、「習って、教える、リレー調理教室」を開設しました。ご飯が炊けることが大切なので、まず指導者が視覚障害者とマンツーマンでご飯が炊けるようになるまで指導します。その人ができるようになったら、次はその人が次の目の不自由な人に教えます。このように、一人でできるようになった人は、次の人に教え、その人がマスターしたら、また次の人の指導にあたる、リレー方式です。ご飯を炊くことができるようになったら、次はみそ汁つくりです。同様に、次から次へと技術のバトンを渡しています。この方法は、技術が確実に身につくと同時に、達成感も味わえるように思います。
今回は視覚障害者の老後の問題点や、その解決策なども含めてお話をする予定です。
【略 歴】 山田幸男(やまだ ゆきお)
昭和42年3月 新潟大学医学部卒業
昭和42年4月 新潟大学医学部附属病院インターン
昭和43年4月 新潟大学医学部第一内科に入局。内分泌代謝斑に所属
昭和54年5月 社会福祉法人新潟市社会事業協会信楽園病院
平成17年4月 公益財団法人新潟県保健衛生センター
日本内科学会認定医、日本糖尿病学会専門医、日本内分泌学会専門医
日本ロービジョン学会評議員、日本病態栄養学会評議員
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『新潟ロービジョン研究会2015』
日時:平成27年8月1日(土)
開場;13時30分 研究会14時~18時
会場:済生会新潟第二病院 10階会議室
主催:済生会新潟第二病院眼科
テーマ:「ロービジョンケアに携わる人達」
事前登録制
会費無料、どなたでも参加出来ますが、会場準備の都合上、事前登録が必要です。
【事前登録】新潟ロービジョン研究会2015
申込期間 平成27年6月15日(月)~7月19日(日)
ただし、会場の定員制限があり先着100名様までです。
申し込み先:済生会新潟第二病院眼科 安藤伸朗
e-mail gankando@sweet.ocn.ne.jp
Fax 025-233-6220
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新潟ロービジョン研究会2015 参加申し込み
氏名~
所属(勤務先)~
職業~
住所~都道府県名と市町村名をお願いします
記載例~○○都道府県、○○市町村
連絡方法
e-mail アドレス~
Fax番号~
(可能な限り、メールでの連絡先をお願い致します)
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注:専門の職員はおりません。電話でのお問い合わせには応じることが出来ません。
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『新潟ロービジョン研究会2015』 概要
http://andonoburo.net/on/3629
14時~はじめに
安藤 伸朗 (済生会新潟第二病院;眼科医)
14時05分~特別講演
座長:加藤 聡(日本ロービジョン学会理事長 東大眼科准教授)
『世界各国と比べた日本のロービジョンケア』
仲泊 聡(国立障害者リハビリテーションセンター;眼科医)
http://andonoburo.net/on/3638
15時~パネルディスカッション ~ 『ロービジョンケアに携わる人達』
司会:安藤 伸朗 (済生会新潟第二病院;眼科医)
仲泊 聡(国立障害者リハビリテーションセンター;眼科医)
1)眼科医が行うロービジョンケア
加藤 聡(日本ロービジョン学会理事長 東大眼科准教授)
http://andonoburo.net/on/3646
2)NPOオアシスでやってきたこと、行っていること
山田 幸男 (新潟県保健衛生センター;信楽園病院 内科)
3)ロービジョンケアにおける視能訓練士の関わり
西脇 友紀(国立障害者リハビリテーションセンター病院;視能訓練士)
4)新潟盲学校が取り組む地域支援
渡邉 信子 (新潟県立新潟盲学校;教諭)
5)盲導犬とローヴィジョン
多和田 悟 (公益財団法人:日本盲導犬協会 訓練事業本部長 常勤理事)
4)後悔から始まった看護師によるロービジョンケア
橋本 伸子(石川県;看護師)
5)嬉しかったこと、役立ったこと (患者の立場から)
大島 光芳 (上越市;視覚障がい者)
17時55分~おわりに
仲泊聡(国立障害者リハビリセンター病院 眼科部長)
18時~アジャーン(全員で会場片付け・自由討論)