『新潟ロービジョン研究会2016』  第6回案内(香川スミ子)
2016年8月5日

『新潟ロービジョン研究会2016』  第6回案内(香川スミ子)
 2001年から新潟で毎年開催している新潟ロービジョン研究会のご案内です。今回は、香川スミ子先生(元、浦和大学)の抄録を紹介致します。どなたでも参加できます。今のうちにカレンダーへのチェックをお願い致します。 

 『新潟ロービジョン研究会2016』 プログラム案(暫定)
  日時:平成28年10月23日(日)
        開場:8時15分 研究会:8時45分~13時10分
  場所:有壬記念館(ゆうじんきねんかん)
      2階会議室(新潟大学医学部同窓会館)
      新潟市中央区旭町通1-757 TEL. 025-227-2037
     http://www.med.niigata-u.ac.jp/yujin/
  主催:済生会新潟第二病院眼科 参加無料/要事前登録

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「眼科医・原田政美の障害者福祉理念と功績」
 香川スミ子(元 浦和大学) 

【抄 録】
 原田政美先生に直接に指導を受けて40数年を経過しても、未だに尊敬し、感謝の念が消えない人たちが多い。いまさらに自分がお引き受けることは、恐れ多いことと感じている。そこで、客観性を期すために、成書として刊行されている研究誌他、原田政美著書・研究論文等をもとに考察することにした。発表当日までに作業を継続したい。これまでの作業を通して考えたことの骨子は以下のとおりである。 

 原田先生は、社会的役割を果たすために、常にご自分がそのときどこで何をどのようになすべきかを熟慮し行動をされてきた。その基本は障害児者と家族の安寧な生活であり、時にはそれまで先生ご自身が善とし肯定し推進したことを否定することを厭わない厳しい人であった。私たち専門分野の職員に対しても同様で、未熟さや若さに対する優しさはあっても、障害児者により良いサービスを提供する義務を負う者として、臨床を通した研究報告や業務に関わる内外の文献検索などが必須であることを要求された。 

 眼科医として、弱視・斜視研究を進める中で、その治療の対象が幼年者であり、眼科医だけではなく広く社会一般の認識を必要とすることから、弱視学級開設、日本弱視教育研究会発足に尽力する。大学教員、障害者福祉への転身は大きな変換でありその英断には驚かされる。視覚障害児者に関わる専門職や社会そのものを変革する必要を感じたからかもしれない。東北大学在職3年間に視覚欠陥児(明治図書)を上梓、「弱視教育」に9本の執筆し、医学的知識の教授と視覚障害児教育への啓もうを行った。 

 東京都心身障害者福祉センターは1964年、東京都民生局が地方自治法の改正やパラリンピック東京大会を背景として立案し、開設までにまる4年の歳月をかけた。その基本的性格は「年齢を問わず、すべての障害の総合的相談、判定・評価の機能を社会的に具現化するために、高度の専門性を基礎とした権威ある内容で総合的に連絡調整を図り、障害者が利用しやすいものにする」というものであった。その長たるものは、医師であるだけではなく、管理者として卓越していることが重要であり、局長級の待遇を持って原田先生が迎えられた。以来十数年にわたって、福祉の実際の見聞から視覚リハに留まらず、わが国の障害者福祉の理念とその構築に指導力を発揮された。 

【略 歴】
 1968年3月 東京教育大学教育学部特設教員養成部盲教育部普通科修了
 1969年4月 東京教育大学教育学部付属盲学校小学部教員
 1970年4月 東京都心身障害者福祉センター(視覚障害科、幼児科、在宅援助科)
 1999年3月 日本大学大学院理工学研究科医療福祉工学専攻、博士後期課程修了、博士(工学)
 1999年4月 聖カタリナ女子大学社会福祉学部助教授(平成12年4月教授)
 2003年4月 浦和大学総合福祉学部教授
 2015年3月 浦和大学総合福祉学部退職 

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@原田政美先生と香川スミ子先生の紹介
 我が国のロービジョンケアを語る時、忘れてならないのは1965年(昭和40年)東北大学教育学部視覚欠陥学教室開設(初代教授;原田正美)です。原田先生は、東大眼科萩原教授の門下で、斜視弱視を主に研究した眼科医ですが、萩原教授退官と同時に東北大学教育学部の教授に就任しています。そこで行ったことは「視覚に欠陥のあるものが現代社会によく適応し、各個人の最大限の可能性をもって、社会生活を営めるような知見を提供すべく、医学的、心理学的、教育学的な研究を行う」という、まさに視覚リハビリテーションだったのです。その後美濃部都知事に誘われ、東京都心身障害者福祉センターの初代所長として、今度は障害全般のリハビリテーションで活躍します。
 現在、原田先生をご存じの方が少なくなりました。香川先生は、原田先生に請われて東京都心身障害者福祉センターで乳幼児の支援に携わった方です。大いに期待してお聞きしたいと思います。
 

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『新潟ロービジョン研究会2016』 プログラム案(暫定)
  日時:平成28年10月23日(日)
      開場:8時15分 研究会:8時45分~13時10分
  場所:有壬記念館(ゆうじんきねんかん)
      2階会議室(新潟大学医学部同窓会館)
      新潟市中央区旭町通1-757 TEL. 025-227-2037
     http://www.med.niigata-u.ac.jp/yujin/
  主催:済生会新潟第二病院眼科
  参加無料/要事前登録 

0.8:45~8:50
 はじめに  安藤伸朗(済生会新潟第二病院;眼科医) 

1.8:50~10:20
【第1部 連携を求めて】
 座長:仲泊 聡(神戸理化学研究所;眼科医)
    安藤伸朗(済生会新潟第二病院;眼科医)
1-1)  20分(講演17分+質疑3分)
 看護師が関わると、こんなに変わるロービジョンケア
   橋本伸子(しらお眼科;石川県白山市、看護師)
1-2)  30分(講演25分+質疑5分)
 情報障害に情報保障の光を、患者に学ぶビジョンケア
  三宅 琢(東京大学先端科学技術研究センター特任研究員;眼科医)
1-3) 30分(講演25分+質疑5分)
 視覚障害者のための転倒予防・体力増進教室
   ○山田 幸男 田村瑞穂 嶋田美恵子 久保尚人
   (新潟県視覚障害者のリハビリテーションを推進する会;NPO法人オアシス) 

 質疑応答 10分 

2.10:20~12:20
【第2部 眼科医療と視覚リハビリ】
 座長:加藤 聡(ロービジョン学会理事長:東京大学、眼科医)
    安藤伸朗(済生会新潟第二病院;眼科医)
2-1) 30分(講演25分+質疑5分)
 最大のロービジョン対策は予防と治療:私の緑内障との闘い
  岩瀬愛子(たじみ岩瀬眼科;岐阜県多治見市、眼科医)
2-2) 20分(講演17分+質疑3分)
 新潟県の訓矇・盲唖学校設立に尽力した眼科医
  小西 明(済生会新潟第二病院医療福祉相談室、前新潟盲学校長)
2-3) 30分(講演25分+質疑5分)
 我が国初の眼科リハビリテーションクリニック(順天堂大学)
 ー開設当時を振り返ってー
  佐渡一成(さど眼科;仙台市、眼科医)
2-4) 30分(講演25分+質疑5分)
 眼科医・原田政美の障害者福祉理念と功績
  香川スミ子(元 浦和大学) 

 質疑応答 10分 

3.12:20~13;05
 【第3部 熊本地震を考える】
 座長:加藤 聡(ロービジョン学会理事長:東京大学、眼科医)
    仲泊 聡(神戸理化学研究所;眼科医)
3-1)  30分(講演25分+質疑5分)
 演題未定
  出田隆一 (出田眼科院長;熊本) 

 討論 15分 

4.13:05~13:10 
   おわりに   仲泊 聡(神戸理化学研究所;眼科医) 

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