新潟ロービジョン研究会2014 第3回ご案内 特別講演2:高橋広
2014年6月10日

新潟ロービジョン研究会2014 第3回ご案内 特別講演2
 演題 日本におけるロービジョンケアの流れ2:ロービジョンケアからロービジョンリハビリテーションへ-平成24年度診療報酬改定の意味するところ-
 講師 高橋 広 (北九州市立総合療育センター眼科)

 
【抄録】
 1994年、一人の患者との出会いから私はロービジョンケア(以下LVC)を知り、1996年5月にロービジョンクリニックを産業医大病院に開設した。当時は教育や福祉が主にLVCを担当しており、患者の多くはLVCの名すら知らず、眼科は経過観察や治療を提供する場でしかなかった。

 そもそも、眼科医療は眼疾患や機能障害を診るのだから、そこから発生する不自由さや日常生活動作の支障を考えると、患者の目の使い方、適切な視覚補助具や視環境等々のアドバイスができるのである。心のケアを行いながら、「できなくなった」日常生活動作を一つひとつ「できる」ようになることで自信が回復し、それが学校や職場など社会復帰へ繋がっていくことを当事者や家族が実感できることが大切である。これは簗島らがいう「患者主導の医療」であり、LVCの大きな入口が眼科医療であることは間違いない。それ故、日本ロービジョン学会は日本眼科学会関連学会である。

 医療が行うものだからこそリハビリテーションであって、時には背を押すことも必要で、そこにはしばしば痛みを伴う。寄り添いながらニーズに対応していくケアに先立つものと考え、 最近、“ロービジョンリハビリテーション(LVR)”と呼ぶことを提唱している。

 
 また、他の身体障害では早期リハビリテーションがその予後を左右するといわれており、LVRでも同様と考える。そして、視能訓練士や看護師などのコメディカルとともに生活支援の立場から展開させていくことが大切であるが、眼科医療だけでは、すべての問題が解決できないことは自明のことである。すなわち、学際的な連携が求められ、日本ロービジョン学会の意義は大きい。

 
 このようなつなぎ目のない連携を可能にするために医療がなすべきことを示したのが、2012年4月の診療報酬改定(ロービジョン検査判断料の新設)である。正に医療におけるLVC、すなわちLVRの役割を明確にしたといえる。

【略歴】 高橋 広(北九州市立総合療育センター眼科部長)
 1975年 慶應義塾大学医学部卒業
 1986年 カナダ・ブリティッシュコロンビア大学留学
 1989年 産業医科大学医学部眼科学講座講師
 1993年 同大学助教授
 2000年 柳川リハビリテーション病院眼科部長
 2008年 北九州市立総合療育センター眼科部長(現在に至る)
 2012年 獨協医科大学越谷病院特任教授

役職:日本ロービジョン学会理事長:2010年4月~2013年3月


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【新潟ロービジョン研究会2014】
 日時:平成26年年9月27日(土) 開場13:30 研究会14:00~18:40
 会場:済生会新潟第二病院 10階会議室
 テーマ:「我が国のロービジョンケア 過去・現在・未来」
 主催:済生会新潟第二病院眼科 
 要:事前登録制 
 

14:00 開会の挨拶 安藤伸朗(済生会新潟第二病院) 

14:05~16:20 
 1)特別講演 (各講演40分)
  1.座長  山田幸男(新潟オアシス;内科医)
   日本におけるロービジョンケアの流れ1:日本ロービジョン学会の設立前
     田淵昭雄 (川崎医療福祉大学感覚矯正学科)
    http://andonoburo.net/on/2714
 

 2.座長 仲泊 聡(国立障害者リハビリセンター病院)
   日本におけるロービジョンケアの流れ2:
     ロービジョンケアからロービジョンリハビリテーションへ
     -平成24年度診療報酬改定の意味するところ-
     高橋 広(北九州市立総合療育センター)
    http://andonoburo.net/on/2780

 3.座長 安藤伸朗(済生会新潟第二病院)
   本邦におけるロービジョンケアの課題と将来への展望
     加藤 聡(東京大学眼科准教授)
    http://andonoburo.net/on/2799 
 

16:20~16:40  コーヒーブレイク

16:40~18:20   
2)シンポジウム「我が国のロービジョンケアを語ろう」
 座長 仲泊 聡(国立障害者リハビリセンター病院)
    安藤伸朗(済生会新潟第二病院)
 シンポジスト (各講演20分)
 1.吉野 由美子 (視覚障害リハビリテーション協会)
  「ロービジョン当事者として相談支援専門家として
         我が国のロービジョンケアの未来に対する夢を語る」
  http://andonoburo.net/on/2875

 2.八子恵子 (北福島医療センター) 
  「一眼科医としてロービジョンケアを考える」
    http://andonoburo.net/on/2889

 3.山田 幸男 (新潟県保健衛生センター;信楽園病院 内科)
  「私たちの視覚障害リハビリテーション」

 コメンテーター
  田淵昭雄(初代日本ロービジョン学会理事長)
  高橋 広(第2代日本ロービジョン学会理事長)
  加藤 聡(第3代、現日本ロービジョン学会理事長) 
 

18:20~18:40 adjourn アジャーン
  (参加者全員で)会場整理
   参加者同志の意見交換 

18:40 閉会の挨拶 仲泊聡(国立障害者リハビリセンター病院)
    解散  

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 参加は、どなたでも出来ますが、会場準備の都合上、事前登録が必要です。
 詳しくは後日ご連絡致します。