案内:日眼2014シンポジウム6 『ロービジョンの科学』
2014年3月30日

案内:第118回日本眼科学会総会
 シンポジウム6 『ロービジョンの科学』
  日時 2014年4月3日(木) 13:30-15:00 
  会場 帝国ホテル 光(中2階) 第22会場
====================


  オーガナイザー   
    仲泊 聡 (国立障害者リハセンター)   
    安藤 伸朗 (済生会新潟第二病院)
1.山本 修一 (千葉大) 
   網膜色素変性に対するロービジョンケアの科学的展望
2.仲泊 聡 (国立障害者リハセンター) 
   アクティブ視野計-定位反応に関わる視覚系の特性
3.堀口 浩史 (東京慈恵医大) 
   2つの入力経路で考える羞明の脳内メカニズム
4.本吉 勇 (東京大・総合文学) 
   現実世界の視覚と画像統計量


ロービジョンの科学
 オーガナイザーのことば
====================
 平成24年4月からロービジョン検査判断料が算定可能となり、わが国の眼科医のロービジョンケアへの関心はいくらか増大した。しかし、ロービジョンに対する診療アプローチには科学的根拠に欠けるものが多いという批判は以前よりあり、これが、ロービジョンケアをEBMとして現代の眼科医療に定着させるための障壁の一つになっていることは否めない。

 そこで当シンポジウムでは、可能な限り科学的切り口でのロービジョンの捉え方について各方面からご紹介いただくこととした。まず、山本氏には、ロービジョンケアの対象となる最多の疾患である網膜色素変性症に焦点をあてて頂き、現代のみならず近未来においてもロービジョンケアが重要であるということについて解説して頂く。そして、仲泊氏には、これまでに患者の日常動作における障害の判定根拠とされてこなかった定位反射における眼球運動に関連する視覚の測定法について述べて頂く。また、堀口氏には、これまで曖昧模糊となっている羞明のメカニズムについて、現在どこまでわかっているのかについてまとめて頂く。そして、最後に「そもそも視覚とは如何なるものであるか」という根本的命題にせまる最新の心理物理学的モデルについて、本吉氏にご紹介頂く。

 ロービジョンケアは、ロービジョンを有する患者の極めて個人差の大きな視機能と当然個々の事情によって異なる社会環境の双方を加味して行わなければならない。これらについて科学的なモデルを持ち、科学的な手法でこれを検証することで、初めて一般化されたロービジョンケアが医療の中に定着するものと考える。今回のシンポジウムがそのようなアプローチの端緒となることを祈念したい。