済生会新潟第二病院眼科は、今年2月に眼科公開講座2015『細井順講演会』を行いました。今回第2弾として、『治療とリハビリ』を企画し、これは第4回ご案内です。どなたでも参加できます。
特別講演を、加齢性黄斑変性治療第一人者の五味 文先生(住友病院)、再生治療のトップリーダー高橋 政代先生(理化学研究所)、夫婦で高次脳機能障害から回復を果たした立神粧子先生(フェリス女学院大学教授)の3先生にお願いしました。
特別講演の3先生にも加わって頂き、会場の皆さまも参加するパネルディスカッションも行います。ご期待下さい。
立神先生の抄録と略歴をアップしました。
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特別講演3
演題:高次脳機能障害と向き合う〜神経心理ピラミッドを用いたホリスティック・アプローチ〜
講演:立神粧子 (フェリス女学院大学教授)
【抄 録】
14年前に夫がくも膜下出血に倒れたその日から、二人の生活は一変した。脳内出血の後遺症として高次脳機能障害が残存。発話も行動も表情もない別人の夫と向き合うのは、出口の見えないトンネルに入ったようだった。この先どうなるのか、今は道のどの辺りなのか、そのことを誰も教えてくれない。その苦しみに光が見えたのは、Ben-Yishay博士率いるNY大学医療センターのRusk研究所にて機能回復訓練を受けてからである。
神経心理ピラミッドの表を使って、症状のひとつひとつを学び理解し、研究所での訓練と日常を関連づけて一日を構造化し、対人コミュニケーションの技術を身につけることで、この障害に対する戦略を理解するようになった。一年間のインテンシブな訓練によりようやく障害を受容することができた。
しかし受容するだけでは足りない。夫自身も自分の症状の本質を認識し、自ら戦略を使いそれを習慣化する。家族である私はホームコーチとなり、夫が戦略を使えるようになるための支援をする。そして互いの新たな関係を模索し、障害を得てもなおそれぞれが幸せに生きるための自己再構築をする必要がある。家族や社会の一員として人とも関わっていかなければ、自己の確立は難しい。
障害を得てから心と技術をそこまで統合することは困難である。しかし、改善しようとする気持ちや幸せを求める意欲を持つことは、障害の有る無しに関わらず、生を全うすることの本質なのではないかと思う。
【略 歴】
1981年 東京芸術大学音楽学部卒業
1984年 国際ロータリー財団奨学生として渡米
1988年 シカゴ大学大学院修了(芸術学修士号)
1991年 南カリフォルニア大学大学院修了(音楽芸術博士号)
2004-05年 NY大学医療センターRusk研究所にて脳損傷者の通院プログラムに参加。
治療体験記を『総合リハビリテーション』(2006)に連載。
2010年 『前頭葉機能不全その先の戦略』(立神粧子著;医学書院)
現在:フェリス女学院大学音楽学部音楽芸術学科教授、音楽学部長
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済生会新潟第二病院 眼科公開講座2015第2弾「治療とリハビリ」
日時:2015年10月10日(土)
開場:13時30分 研究会:14時~18時
場所:済生会新潟第二病院10階会議室
主催:済生会新潟第二病院眼科
事前登録制
13:55 はじめに 安藤 伸朗 (済生会新潟第二病院)
14:00~特別講演1
「加齢黄斑変性治療の現状と課題」
座長:長谷部 日(新潟大学)佐藤 弥生(新潟大学)
演者:五味 文(住友病院)
http://andonoburo.net/on/3829
14:50~特別講演2
「iPS細胞による眼疾患治療の現状と未来」
座長:福地 健郎(新潟大学)安藤 伸朗(済生会新潟第二病院)
演者:高橋 政代(理化学研究所)
http://andonoburo.net/on/3855
15:40~ コーヒーブレーク
16:00~特別講演3
「高次脳機能障害と向き合う〜神経心理ピラミッドを用いたホリスティック・アプローチ〜」
座長:仲泊 聡(国立障害者リハ)平形 明人(杏林大学)
演者:立神 粧子(フェリス女学院大学教授)
http://andonoburo.net/on/3882
16:50~パネルディスカッション「治療とリハビリ」(1時間)
コーディネーター:
仲泊 聡(国立障害者リハビりテーションセンター)
安藤 伸朗(済生会新潟第二病院)
パネリスト:
高橋 政代(理化学研究所)、五味 文(住友病院)
立神 粧子(フェリス女学院大学教授)、平形 明人(杏林大学)
福地 健郎・長谷部 日・佐藤 弥生(新潟大学)
17:50 おわりに 仲泊 聡(国立障害者リハビりテーションセンター)
会場片付け(アジャーン)
18:00 終了