報告:第173回(10‐07)済生会新潟第二病院眼科勉強会 盲学校弁論大会
2010年7月28日

報告:第173回(10‐07)済生会新潟第二病院眼科勉強会 盲学校弁論大会
    日時:平成22年月7月28日(水)16:30 ~ 18:00
    場所:済生会新潟第二病院 眼科外来
  「新潟盲学校弁論大会 イン 済生会」 

1)「点字を学習して」
  伊藤 奏(いとう かなで) 中学部1年
 今年の4月から全ての教科で点字を学習しています。小学校の5年生から少しずつ練習をしてきましたが、最初の頃はなかなか読めずに苦労しました。アイウエオから練習しましたが、タ行は点の数が多く苦労しました。毎日宿題を出してもらい3ヶ月で大分読めるようになりました。最近では少しずつ自信もつき、何とかやっていけるかなという気がしています。
 ずっと活字の拡大文字による教科書を使って学習していたので活字・点字ともどちらの良さもわかります。今年1年間で点字の読み書きのスピードを上げるためにがんばりたいと思っています。

 《弁士紹介》
 現在、万代太鼓・陸上部に所属しています。昆虫が好きで、昆虫に関してはいろいろと知っています。中学部に入学するまでは男子が一人となるので不安でしたが、入学してみると意外と慣れて今では楽しく学校生活を送っています。先日行われた体育祭では実行委員長を務めました。今は8月の新潟祭りに向けて万代太鼓の練習をがんばっています。
 

2)「人と関わるとは」 
  石黒知頼(いしぐろ ともより) 高等部普通科2年
 昨年、新潟市役所で「職業体験」をする機会がありました。そこで職員の方に点字について教えたのですが、人にものを教えることの難しさを実感しました。また、タクシー券を数える仕事をしました。その時にミスをしたのですが、そのことを伝えることができずに迷惑をかけてしまいました。自分の意思を人に伝えるということがとても大変でした。ついつい人にどう思われるかを考えてしまうからです。
 今後一人で暮らすことになると、ますます多くの人と関わることになります。自分でできることを増やす、できないことは人に伝える、助けてもらった時は感謝の気持ちを忘れないようにしたいです。そのためにも「自分の意思をはっきり伝える」、「わかりやすく教える」力を身に付けていきたいと思います。

 《弁士紹介》
 私は昨年の春から寄宿舎に入舎しています。高等部を卒業したら、茨城県の筑波技術大学に進学したいと考えています。済生会での弁論は今回で2回目です。高等部に進学後の体験を通じて考えたことを率直にお伝えできたらと思います。現在、野球部に所属し、今年度は7月1日より石川県で開催される北信越盲学校グランドソフトボール大会に出場してきます。
 

3)「出逢い」  
  長谷川弘美(はせがわ ひろみ) 高等部専攻科理療科1年
 出逢いって不思議だと思いませんか?出逢いによってこれまでの人生観が大きく変わってしまうことがあります。私にとって一番の出会いは母です。3年前に亡くなりましたが、私が幼い時に苛められると、「苛めるほうが悪い。天に向かって唾を吐くと、自分にかかってしまう」。「人に親切にされた時は、感謝の気持ちを忘れてはならない」。社会人になってからは会社の先輩に言われた一言が心に残っています。「僕は誰とでも仲良くなれる。あなたとも仲良くなれる」。当時の私は人の悪いところばかりみて批判していたのですが、それとなく諭してくれたのです。美しい言葉は、ありがとう。美しい心は、思いやり。美しい人は、ひた向きに生きる人。4月から盲学校に入学して多くの人・仲間と出会うことができました。悩んだり迷ったりしたときには教えられたことを思い出しています。
 出逢いの数だけさまざまなことを学び、成長していく・・・。これからも皆といっしょに学んでいきたいと思います。

 《弁士紹介》
 盲学校に入学して今まで忘れていた感動や優しさに触れ、元気をもらっています。勉強の方は今までになく頑張ってはいるのですがなかなか頭に入ってくれません。こんな流れに乗ってしまった自分にビックリしています。今一番の楽しみはいろんな人に出逢うこと、家では植物や金魚、愛犬にいやされています。
 

4)「夢の続き」 
  山田 弘(やまだ ひろし) 高等部専攻科理療科3年
 あなたは夢を持っていますか?私には一度あきらめかけた夢があります。ランニングの楽しさがわかり、自信も高まり、ホノルルマラソンへ参加しようと考えていました。しかし、ある時走っている時に人と接触して転んでしまいました。視野が狭いために脇に人がいることが分からなかったのです。このアクシデントで自信も失い、夢もあきらめてしまいました。 しかし、昨年町内のマラソン大会に招待された千葉真子さんの何度も何度も挫折を乗り越えたという講演を聞き、もう一度挑戦しようと思い立ちました。
 みなさんも諦めてしまった夢がありましたら、再びチャレンジし追いかけてみませんか?

 《弁士紹介》
 昨年度に引き続いての参加です。7月1日より開催される北信越盲学校グランドソフトボール大会に参加してきます。今年度は最後の大会となるので悔いの残らないよう仲間と力を合わせ、精一杯がんばってきたいと思っています。弁論では自分の夢のことをお話しさせていただきますが、自分の考えていることをお伝えできたらと考えています。
 

【後 記】
 毎年新潟盲学校の方々に来てもらい当院で弁論大会を開いています。そして毎回「どうしてこんなに純粋なんだろう」、「どうしてこんなに真っ直ぐなんだろう」と、多くの感動をもらっています。今回参加された方から、以下の感想を頂きました。
 ・先日は、盲学校の生徒さんたちのお話を聞かせて頂き、ありがとうございました。
 ・みなさんがとてもしっかりとした考えを持っていて、前向きで、自分が今何をすべきかをきちんと理解し、それに向かって着実に進んでいられる事に、ただただ圧倒されてしまいました。
 ・私は何年か前に失明しましたが、さほど落ち込んでいるつもりはありませんでした。それでも皆さんのお話をお聞きして、まだまだ弱虫の自分がいることに気がつかされてしまいました。
 ・これからも、たくさん勉強させていただきたいと思います。 

 今回の弁論大会で、4名の方々から意欲や夢を聞き、「挑戦する勇気」、「感謝する心」、「夢を持ち続けるパワー」をもらいました。4名の弁士に心から感謝し、彼らにエールを送りたいと思います。