ご案内『第20回越後眼科研究会』
2016年9月19日

ご案内『第20回越後眼科研究会』
  病院眼科勤務医を中心として有志が立ち上げた『越後眼科研究会』も10年を経過し、今回で節目の20回目を迎えることとなりました。これまで多数のご支援、ご出席を賜り誠に有難うございました。この度9月24日(土)に『第20回越後眼科研究会』をホテルオークラ新潟にて開催する運びとなりました。
 今回は、堀 純子 先生(日本医科大学 眼科 准教授)と山本 修一 先生(千葉大学医学部附属病院 病院長 眼科教授)をお招きし、一般講演はなしで特別講演を2題として開催させていただきます。堀 先生には『実践!強膜炎診療〜全身性疾患を見抜き、最適治療を選択する〜』と題して、山本 先生には『網膜疾患の今日、病院眼科の明日』と題してご講演いただきます。
 フランクな会でありますので、万障お繰り合わせの上、お気軽にお出かけ下されば幸いと存じます。 

第20回 越後眼科研究会
 日 時:平成28年9月24日(土)17:00~19:30
 場 所:ホテルオークラ新潟(3Fクラウンルーム)
 住 所:新潟市中央区川端町 6-53 電話:025-224-6111(代表)
 

 17:00 薬事説明
 17:15 特別講演Ⅰ座長 橋本 薫 (長岡赤十字病院) 
 『実践!強膜炎診療 〜全身性疾患を見抜き、最適治療を選択する〜』
  堀 純子 (日本医科大学 眼科 准教授)

 18:15~18:30 コーヒーブレイク

 18:30 特別講演Ⅱ座長 村上 健治 (新潟市民病院)
 『網膜疾患の今日、病院眼科の明日』
  山本 修一 (千葉大学医学部附属病院 病院長 眼科教授) 

*尚、講演会終了後、19:30より情報交換会を予定しております。
 

【越後眼科研究会世話人】
 安藤 伸朗 (済生会新潟第二病院:世話人代表)
 村上 健治 (新潟市民病院)
 橋本 薫 (長岡赤十字病院:当番幹事)
 山本 達郎 (亀田眼科クリニック)
【共 催】
 越後眼科研究会  千寿製薬株式会社 

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演題:『実践!強膜炎診療 〜全身性疾患を見抜き、最適治療を選択する〜』
講師:堀 純子 (日本医科大学眼科 准教授)
【抄 録】
 強膜炎は再発性難治性の炎症疾患であり、重症例では強膜壊死と融解により眼球穿孔することもある。現在は従来に比べて治療方法の選択肢が各段に拡大しているため、重症度に応じて薬剤と投与経路を選択する。 

 強膜炎治療方針の決定には、非感染性か感染性かの鑑別、および関節リウマチに代表される全身性疾患を把握することが必要である。全身性疾患がある強膜炎患者の約70%は、強膜炎の原因検査がきっかけで全身疾患の診断に至っており、眼科医師には強膜炎患者に潜在する全身性疾患の検索も要求されている。特に、Wegener肉芽腫症や再発性多発軟骨炎などに随伴した強膜炎は、眼科の初期診断と他科連携が患者の生命予後に影響する。強膜炎に対する免疫抑制剤や生物学的製剤の使用は、随伴する全身性疾患の把握により最適な薬剤選択が可能となる。 

【略 歴】 堀 純子(ほり じゅんこ)
 1990年 新潟大学医学部卒業、東京大学医学部眼科研修医
 1992年 東京大学医学部眼科助手
 1994年 同愛記念病院眼科
 1997年 ハーバード大学眼科スケペンス眼研究所ポストドクター研究員
 2000年 東京大学医学部眼科助手
 2001年 国立感染症研究所免疫部協力研究員(兼任)
 2002年 日本医科大学眼科講師
 2004年 日本医科大学眼科助教授(現 准教授) 現在に至る 

 2000年 ARVO: Cora Verhagen Prize 
 2004年 日本角膜学会学術奨励賞
 2005年 日本眼炎症学会学術奨励賞
 2007年 日本女性科学者の会奨励賞 

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演題:網膜疾患の今と病院眼科の未来
講師:山本修一(千葉大学眼科教授・千葉大学病院長・千葉大学副学長併任)
【抄 録】
 まずは網膜疾患について、最近(個人的に)面白いと思った話題をいくつかご紹介します。滲出型AMDに対する抗VEGF治療の優位性がもはや疑う余地のないところですが、その薬価の高さと診療負荷の増大は問題視されています。その辺りのバランスをどう取るのか、最近主流になってきたTAEの結果をご紹介します。また急速に普及しつつあるOCT angiographyは、蛍光眼底撮影にとって代わるのでしょうか?CSCも原因が脈絡膜の血流異常であることが明らかになり、治療方針に大きな変化が生じています。世間をお騒がせした(?)網膜色素変性に対するウノプロストン点眼の治験は、主要評価項目で有意差が得られず頓挫しました。しかし層別解析では、軽症群には有効な可能性が示されています。 

 かつて眼科は儲かる診療科として病院では人気でしたが、医療制度改革が進むにつれかなり怪しくなってきました。高度急性期あるいは急性期病院では、重症疾患に対して医療資源を短期間に集中的に投下するよう誘導されています。しかし眼科入院患者の大半はそのような重症度に適合せず、医療資源投入も手術日に限られています。病床運用にかかるコスト回収という点では、必ずしもペイしなくなっています。眼科医という医療資源をいかに効率的に運用するか考えなければなりません。

【略 歴】山本 修一 (やまもと しゅういち)
 1983年 千葉大学医学部卒業
 1989年 千葉大学大学院医学研究科修了
 1990年 富山医科薬科大学眼科講師
 1991年 コロンビア大学眼研究所研究員
 1994年 富山医科薬科大学眼科助教授
 1997年 東邦大学佐倉病院眼科助教授
 2001年 東邦大学佐倉病院眼科教授
 2003年 千葉大学大学院医学研究院眼科学教授
 2007年 千葉大学病院副病院長併任
 2014年 千葉大学病院長・千葉大学副学長併任 現在に至る