案内:第252回(17‐02月)済生会新潟第二病院眼科勉強会  宮坂道夫
2017年1月28日

案内:第252回(17‐02月)済生会新潟第二病院眼科勉強会   宮坂道夫
 演題:「物語としての病い」
 講師:宮坂道夫(新潟大学医学部教授)
  日時:平成29年02月08日(水)16:30 ~ 18:00
  場所:済生会新潟第二病院 眼科外来  

 済生会新潟第二病院眼科で、1996年(平成8年)6月から毎月行なっている勉強会。どなたでも大歓迎です(参加無料、事前登録なし、保険証不要)。ただし、お茶等のサービスもありません。悪しからず。 

【抄 録】 
 21世紀の医療には、あまり目立ちはしないが「物語論」という静かな潮流がずっと流れ続けている。そこには多様な実践が含まれているが、中でも注目したいのが、「病いの物語」をケアに用いる実践である。これは、1970年代に心理療法の中から誕生したナラティヴ・セラピーと呼ばれる一群の実践に端を発している。

 そこでは、患者の「自己物語」と「認知・経験」とが矛盾することで心理的問題が生じると見なされ、治療者が患者に「自己物語の書き換え」を促すことが、ケアの目標となる。例えば、アルコール依存症の集団療法では、「自らを律して生きてきた」という自己物語を抱く患者に対して、「飲酒習慣を変えられず、自己破壊的な行動をとっている」という認知を促し、「自らを律せられない無力な自分が、他者の力を借りて困難を乗り越えようとしている」という新しい自己物語に書き換えさせることが目標とされる。

 さらに近年では、「自己物語の書き換え」を目的とせず、治療者が患者の「自己物語の承認」を促すだけにとどめる実践例も多数報告されており、それらがケア的実践として成りたっていること自体が興味深い。

 筆者が高齢者やハンセン病回復者に実践しているのは、「人生紙芝居」であるが、これは視覚的な手法なので、眼科領域ではそのままでは使えないかもしれない。たとえば聴覚や触覚、味覚や臭覚に働きかける方法が考案できないものか、参加者と一緒に考えてみたい。 

【略 歴】
 1965年長野県松本市生まれ。
 早稲田大学教育学部理学科生物学専修卒業、大阪大学大学院医学研究科修士課程修了、東京大学大学院医学系研究科博士課程単位取得、博士(医学、東大)。専門は医療倫理、ナラティヴ・アプローチ(医療における物語論)など。
 2011年より新潟大学医学部保健学科教授。
 著書に『医療倫理学の方法 - 原則, 手順, ナラティヴ』,(医学書院)、『ハンセン病 重監房の記録』(集英社)、『専門家をめざす人のための緩和医療学』(共著、南江堂)、『ナラティヴ・アプローチ』(共著、勁草書房)など。 

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「新潟大学工学部渡辺研究室」と「新潟市障がい者ITサポートセンター」のご協力により実況ネット配信致します。以下のURLにアクセスして下さい。
  http://www.ustream.tv/channel/niigata-saiseikai
 当日の視聴のみ可能です。当方では録画はしておりません。録画することは禁じておりませんが、個人的な使用のみにお願いします。
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『済生会新潟第二病院 眼科勉強会』
 1996年(平成8年)6月から、毎月欠かさずに続けています。誰でも参加出来ます。話題は眼科のことに限らず、何でもありです。参加者は毎回約20から30名くらいです。患者さん、市民の方、医者、看護師、病院スタッフ、学生、その他興味のある方が参加しています。眼科の外来で行いますから、せいぜい5m四方の狭い部屋で、寺子屋的な雰囲気を持った勉強会です。ゲストの方に約一時間お話して頂き、その後30分の意見交換があります。
 日時:毎月第2水曜日16:30~18:00(原則)
 場所:済生会新潟第二病院眼科外来  

*勉強会のこれまでの報告は、下記でご覧頂けます。

 1)ホームページ「すずらん」
  新潟市西蒲区の視覚に障がいのある人とボランティアで構成している音声パソコン教室ホームページ
 http://occhie3.sakura.ne.jp/suzuran/
 2)済生会新潟第二病院 ホームページ
  http://www.ngt.saiseikai.or.jp/section/ophthalmology/study.html
 3)安藤 伸朗 ホームページ
  http://andonoburo.net/  

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【今後の済生会新潟第二病院眼科 勉強会 & 研究会】
 平成29年02月25日(土)15時~18時
    済生会新潟第二病院眼科-市民公開講座2017
     会場:新潟大学医学部有壬記念館(ゆうじんきねんかん)2階会議室
     テーマ:「眼科及び視覚リハビリの現状と将来を語る」
  要事前登録
    パネリスト
     ・平形 明人(杏林アイセンター 主任巣人教授)
      「杏林アイセンターのロービジョン外来を振り返って」
    http://andonoburo.net/on/5303
     ・高橋 政代(理化学研究所 プロジェクトリーダー)
      「演題:「網膜再生医療とアイセンター」
    http://andonoburo.net/on/5331
     ・清水美知子(フリーランスの歩行訓練士)
      「視覚障害リハビリテーションのこれまでとこれから」
    http://andonoburo.net/on/5336
    オーガナイザー 
      安藤 伸朗(済生会新潟第二病院眼科) 

 平成29年03月08日(水)16:30 ~ 18:00
    第253回(17-03)済生会新潟第二病院眼科勉強会
     「私たちは生まれてくる子に何を望むのか」
      栗原 隆(新潟大学人文学部教授) 

  平成29年04月12日(水)16:30 ~ 18:00
    第254回(17-04)済生会新潟第二病院眼科勉強会
     「私たちの出前授業 45×2
    ~目の不自由な人の未来のために、子どもたちの“今”のために~」
      小島紀代子、小菅茂、入山豊次、吉井美恵子、三留五百枝
      (NPO法人障害者自立支援センターオアシス) 

  平成29年05月10日(水)16:30 ~ 18:00
    第255回(17-05)済生会新潟第二病院眼科勉強会
    「地域包括ケアシステムってなに?新潟市における医療と介護の連携から
    斎川克之(済生会新潟第二病院 地域連携福祉センター 副センター長
         新潟市医師会在宅医療推進室室長)                              

  平成29年06月07日(水)16:30 ~ 18:00
  第256(17-06)済生会新潟第二病院眼科勉強会
    「視覚障害者とスマホ・タブレット 2017」
      渡辺哲也(新潟大学 准教授:工学部 福祉人間工学科)
   4月から(新潟大学 准教授:工学部 工学科 人間支援感性科学プログラム) 

  平成29年07月
    第257(17-07)済生会新潟第二病院眼科勉強会
     新潟盲学校弁論大会 イン 済生会 (予定)
 

  平成29年09月02日(土)午後
    新潟ロービジョン研究会2017 予定
     会場:新潟大学医学部有壬記念館(ゆうじんきねんかん)2階会議室
   テーマ:「私と視覚リハビリテーション」
      詳細未定
 

 平成29年11月18日(土)午後
  済生会新潟第二病院眼科-市民公開講座
  細井順(ヴォーリズ記念病院ホスピス長;滋賀県近江八幡市)