ご案内 『第21回越後眼科研究会』
新潟県の眼科勤務医有志が中心となって「越後眼科研究会」を、平成19年5月に立ち上げ年に2回開催しています。日頃抱えている問題や症例を話し合い、また全国で活躍している先生をお呼びして最新・最前線のお話をお聞きして勉強しております。
5月13日(土)『第21回 越後眼科研究会』では、日本糖尿病眼学会理事長の小椋 祐一郎教授(名古屋市立大学大学院医学研究科視覚科学:眼科学)に『糖尿病網膜症―診療の進歩』と題して特別講演をして頂きます。最新の糖尿病網膜症治療を拝聴したいと思います。
医療関係者ならどなたでも参加できます。お気軽にご参加ください。
記
『第21回越後眼科研究会』
日時:平成29年5月13日(土)17:00~19:30
場所:アートホテル新潟駅前(4F湯沢の間)
新潟市中央区笹口1-1 電話:025-240-2111
17:00~ 薬事説明
17:15~ 一般演題
18:15~ 特別講演
『糖尿病網膜症―診療の進歩』
小椋 祐一郎
(名古屋市立大学大学院医学研究科視覚科学:眼科学 教授)
尚、講演会終了後 19:30より情報交換会を予定しております。
【越後眼科研究会世話人】
安藤 伸朗 (済生会新潟第二病院)
村上 健治 (新潟市民病院)
橋本 薫 (長岡赤十字病院)
尾山 徳秀 (うおぬま眼科)
共催:越後眼科研究会/千寿製薬株式会社
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第21回 越後眼科研究会 プログラム&抄録
17:00 一般演題 座長 橋本 薫(長岡赤十字病院)
講演8分 質疑7分
1)「落下 水晶体の処理」
〇村上健治、土田宏嗣、引間孝輔、黒澤史門(新潟市民病院)
白内障手術の合併症として破嚢、チン小帯断裂が起こり不幸にもうまく処理できずに水晶体落下が起こることが稀にある。今回、白内障術中合併症とし て水晶体落下が起こり加療のため当科を紹介された症例を供覧する。硝子体カッターで硝子体腔で処理できることもあるが、核が硬く処理ができずに強角膜切開創から摘出することもある。その場合、簡単に摘出できた症例とできなかった症例もありその術式を紹介する。
2)「滲出型加齢黄斑変性に対する抗VEGF薬硝子体内注射の1年成績」
〇佐藤弥生1),2)、長谷部日2)、寺島浩子2)、松岡尚気2)、上田恵理子2)、佐々木亮2) ( 1)南部郷総合病院 2)新潟大 )
滲出型加齢黄斑変性(age-related macular degeneration : AMD)は、先進国で中途失明の原因疾患として問題となっている。近年、AMD の治療は抗血管内皮増殖因子(vascular endotherial growth factor : VEGF)薬が第一選択になり、視機能を維持、改善できる症例が増加してきた。我が国では2009年にラニビズマブ、2012年にアフリベルセプトが認可され、治療件数は年々増加している。この度、実臨床におけるAMDに対する抗VEGF 薬硝子体内注射の1年成績について発表する。
3)「済生会新潟第二病院眼科における糖尿病網膜症診療の実臨床」
〇安藤伸朗、中村裕介、中野英之(済生会新潟第二病院)
当院で行っている糖尿病網膜症外来の実態を調べ糖尿病網膜症網膜症診療や黄斑症治療について検討する目的で、2016年4月1日~17日の間に、済生会新潟第二病院眼科を受診した糖尿病患者を調べた後ろ向き研究。この期間中は土日や学会で休診があり実質的に8日間の診療だったが、99名198眼の診療をしていた。経過観察期間、網膜症程度、経過中の網膜症発症・進展、治療(硝子体手術・網膜光凝固)、糖尿病黄斑症について検討した。
18:00~コーヒーブレイク
18:15 特別講演 座長 安藤 伸朗(済生会新潟第二病院)
『糖尿病網膜症~診療の進歩』
小椋 祐一郎 (名古屋市立大学大学院医学研究科視覚科学:眼科学教授)
【抄 録】
糖尿病網膜症の診断・治療の進歩により、1988年の調査で国内の失明原因の首位であった糖尿病網膜症は、最近の調査では第二位となり、本疾患による失明患者が以前に比べて減少していることを示唆している。しかし、失明原因を年代別に見ると、50歳代、60歳代では依然として糖尿病網膜症が首位であり、このような働き盛りの中高年にとっては重要な問題である。
診断の進歩としては、光干渉断層計(OCT)と超広角眼底撮影があげられる。最近のOCTでは、網膜断層を細胞レベルで画像化することが可能で、糖尿病黄斑浮腫の病態解明、治療評価に非常に有用である。また、OCT angiographyにより造影剤なしで網膜微小循環の評価が可能になりつつある。Optos(r)という超広角眼底撮影装置は、眼底の80%をカバーする写真を0.3秒で撮影でき、特殊な技術なしで超広角の眼底写真や蛍光造影写真を容易に撮ることが可能になった。散瞳が不要であり、散瞳不良の糖尿病患者でもきれいな写真が撮影できる。
20年前には糖尿病網膜症の治療薬剤はなく、網膜光凝固術と硝子体手術のみが有効な治療であった。しかし、数年前からトリアムシノロンや抗VEGF薬の硝子体投与が糖尿病黄斑浮腫の治療として使用されるようになり、日本でも適応が承認されている。網膜光凝固術は、コンピュータ制御のパターン凝固装置が開発され、従来の光凝固と比べて治療時間が短時間で患者の疼痛も少なくなっている。最近では自動追尾システム付きの光凝固装置も開発されており、今後の発展が期待される。硝子体手術は20ゲージの器具から25ゲージ、23ゲージの極小切開硝子体手術に移行し、創の縫合も不要となり、手術合併症も減少し、治療成績の向上に寄与している。手術顕微鏡の代わりに3Dモニターを見ながら手術を行うDigitally Assisted VitreoretinalSurgeryも最近のトピックスである。
講演ではこのような糖尿病網膜症に対する最近の診断・治療の進歩について概説する。
【略 歴】小椋 祐一郎(名古屋市立大学大学院医学研究科教授)
1980年 京都大学医学部卒業
1981年 天理よろづ相談所病院眼科
1982年 神戸市立中央市民病院眼科
1985年 イリノイ大学医学部眼科 留学
1986年 京都大学医学部 助手
1989年 イリノイ大学医学部眼科 留学
1993年 京都大学医学部 講師
1995年 京都大学大学院医学研究科 助教授
1997年 名古屋市立大学医学部 教授
2002年 名古屋市立大学大学院医学研究科 教授
2017年 名古屋市立大学病院 病院長