報告:第257回(17-07)済生会新潟第二病院眼科勉強会  新潟盲学校
2017年8月2日

報告:第257回(17-07)済生会新潟第二病院眼科勉強会 新潟盲学校
 新潟盲学校弁論大会 イン 済生会
  日時:平成29年07月05日(水)16:30 ~ 18:00 
   場所:済生会新潟第二病院眼科外来
 1.「一人で生きないで」 中3年 女子
 2.「ブラインドサッカー」  高2年 男子 

【講演要約】
1.「一人で生きないで」 中3年 女子
 「あなたは一人で生きようとしていませんか?」
 私にもそういう時期がありました。ですが、この間私はライブに行ってきて、その演出の中で、「あなたは一人じゃない」と言われました。その言葉を聞いて、今まで思っていた「一人で頑張ろう」とか、「誰にも頼らない」というような考えが消えて、「少しくらい人に頼ってみようと思うようになりました。

 私は前まで「一人で何でもできる」と思っていました。きっとそれは何か私の中でプライドのようなものがあり、一人でやることが「カッコイイ」とでも思っていたのでしょう。ですが、「あなたは一人じゃない」というこの言葉を聞いて、今まで自分がとんだ勘違いをしていたことに気がつきました。一人でできると思っていたことも、誰かがいなければできないということ。そんなことに今気づく自分が恥ずかしいです。 

 私は、周りの人に助けられたおかげで、「一人でできることをたくさん経験しました。例えば身近なことでいうと、「学校に行く」ということがあります。私は毎日電車通学なので、毎日親に駅まで送ってもらいます。そして、電車に乗り、新潟駅まで着いたら、スクールバスで学校まで向かいます。単純なことのように見えますが、この三つの移動だけでも、親、電車の運転手さん、スクールバスの先生や運転手さんなど、たくさんの方から助けてもらっていることがわかります。 

 それに、私は視覚障害者なので、周囲の状況をつかみにくいため、いろいろな場面で助けが必要になります。この発表の最初にお伝えしたライブの時も、双眼鏡を落とし、かなり困ってしまいました。なかなか見つけられず、辺りを見回していると、周りの方が私に気づいて、ライブを見たいはずなのに、一緒に探してくれました。私は感謝の気持ちと申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。そして、これからは困っている人を見かけたら、声をかけて助けてあげられる人になりたいと思いました。 

 私ができることは限られているかもしれません。ですが、その中でできることで人助けをしていきたいです。「私は一人じゃない。」これからは、困っている時はお互い様で助け合いながら、一人で頑張らずにみんなで支え合っていきたい。だから・・・、あなたも私も一人じゃない。

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2.「ブラインドサッカー」  高2年 男子
 「ボイ」「ボイ」という選手たちの大きな声。シャカシャカと鳴るボール。指示を出すガイドや監督。壁にぶつかる音。ブラインドサッカーでは様々な音が響きあいます。ブラインドサッカーは、視覚障がい者のために考案されたサッカーです。 

 小4の総合学習で初めてブラインドサッカーを体験し、目が見えなくてもサッカーができることを知りました。「もっと知りたい。」「プレーしたい。」と思い、体験会に参加し、練習を見学しました。はじめはボールに触って練習するだけで楽しかったのですが、中学時代は「試合に出たい!!」と思うようになり、ブラインドサッカーに対する思いが強くなっていきました。 

 高1の6月に本格的にブラインドサッカーを始めました。選手はアイマスクをしているので、意思表示や自分の位置を把握するために、声でコミュニケーションをとります。危険な衝突を避けるため、ボールを奪いに行く際は必ず「ボイ」と大きな声を出します。スペイン語で「行くぞ」という意味です。審判にこの「ボイ」が聞こえないと「ノースピーキング」とみなされ、ファウルになってしまいます。私は、最初は大きな声が出ず、何度も注意されていたので、審判にも聞こえるよう、大きな声を出すことを意識しながら練習に励みました。 

 昨年7月には、日本選手権に初出場し、緊張と不安でボールの音に反応するので精一杯でしたが、もっと上手くなりたいという気持ちが出てきました。課題もたくさん見つかりました。その後の体験会や練習試合を通して、私の課題の一つであった「自分の位置を把握すること」ができるようになりました。少しずつ大きな声も出せるようになってきました。そして我が新潟チームは、北日本リーグを全勝で優勝し、クラブチーム選手権への出場権を得ました。この大会には招待チームで世界王者ブラジル代表が出場します。ブラジル代表と対戦し実力を知るためにも、私たちはたくさん練習しました。 

 大会はブラジル代表が優勝し、我がチームは6位に終わりました。残念ながらブラジル代表とは戦えませんでしたが、見学してみて、スピードや風格は別次元でも、細かい技術では日本のチームも負けていないと思いました。この大会で私は、フリーキックやトップのポジションなど初めての経験が多くありました。これからはいつどのポジションを任されても対応できるように、また、チームで2人目の日本代表に選ばれるように日々の練習を頑張っていきます。 

 以前は、やる前から自分にはできないと決めつけ、あきらめることが多かった私ですが、ブラインドサッカーの試合で活躍できるようになり、自信がつき積極的に行動するようになりました。自分がしなければいけないことを理解し、行動するようにもなったのです。まだ、直さなければいけないところが多くありますが、自分で見つけて直せるように努力していきます。人生へのチャレンジ、「ボイ!」 

 
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【後 記】
7月の勉強会は毎年、新潟県立盲学校の生徒に来て頂き弁論大会を行っています。私達にとっては、盲学校の生徒さんの主張をお聞きするいい機会ですし、また生徒にとっては、多くの市民の方に聞いてもらえるチャンスです。
毎年感じるのですが、盲学校の生徒の弁論は感動です。真直ぐです。前向きです。新潟にいながら、日本を、世界を見ています。この子供たちが、このまま成長してくれたらと願います。 

@新潟県立新潟盲学校
 http://www.niigatamou.nein.ed.jp/

 

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【今後の済生会新潟第二病院眼科 勉強会 & 研究会】
平成29年08月09日(水)16:30 ~ 18:00
  第258回(17-08)済生会新潟第二病院眼科勉強会
 「済生会が目指すソーシャル・インクルージョンの実現
   ~人々の「つながり」から学んだこと」
  小西 明(済生会新潟第二病院医療福祉相談室)
  http://andonoburo.net/on/6078 

平成29年09月02日(土) 開場13時半 研究会14時~17時50分
  新潟ロービジョン研究会2017
    会場:新潟大学医学部有壬記念館(ゆうじんきねんかん)
     2階会議室
 テーマ:「私と視覚リハビリテーション」

 http://andonoburo.net/on/6059
1)司会進行
   加藤聡(東大眼科)
   仲泊聡(理化学研究所)、
   安藤伸朗(済生会新潟第二病院)
  特別コメンテーター
   中村 透(川崎市視覚障害者情報文化センター)
   大島光芳(新潟県上越市) 
2)プログラム
 「眼科医40年 患者さんに学んだケアマインド」
    安藤伸朗
    (済生会新潟第二病院眼科)
 「私と視覚障害リハビリテーション」 
    山田 幸男
    (新潟県保健衛生センター/信楽園病院/
     NPO法人障害者支援センター「オアシス」)
 「眼科医オールジャパンでできるロービジョンケアを考える」
    清水朋美
    (国立障害者リハビリテーションセンター病院眼科)
 「ロービジョンケアとの出会い」
    高橋政代
    (理化学研究所CDB 網膜再生医療研究開発プロジェクト)
 全体討論
 

平成29年09月13日(水)16:30 ~ 18:00
  第259回(17-09)済生会新潟第二病院眼科勉強会
  演題未定
   小田浩一 (東京女子大学教授) 

平成29年10月18日(水)16:30 ~ 18:00
  第260回(17-10)済生会新潟第二病院眼科勉強会
 済生会新潟第二病院眼科「目の愛護デー講演会」
  「90歳が究め続けた緑内障の素顔と人生と」
   岩田和雄 (新潟大学名誉教授) 

平成29年11月08日(水)16:30 ~ 18:00
 第261回(17-11)済生会新潟第二病院眼科勉強会
  演題未定
   仲泊 聡(理化学研究所 研究員;眼科医) 

平成29年11月18日(土)午後
 済生会新潟第二病院眼科-市民公開講座
  会場:済生会新潟第二病院 10階 多目的室
 演題:「人生の手応えを共にさがし求めて〜死にゆく人たちと語り合った20年〜」
 講師:細井順(ヴォーリズ記念病院ホスピス長;滋賀県近江八幡市)
 http://andonoburo.net/on/5831 

平成29年12月13日(水)16:30 ~ 18:00
 第262(17-12)済生会新潟第二病院眼科勉強会
  演題未定
   関 恒子(長野県松本市) 

平成30年01月10日(水)16:30 ~ 18:00
 第263回(18-01)済生会新潟第二病院眼科勉強会
 「ロービジョンケアを始めて分かったこと」
   加藤 聡(東京大学眼科准教授)