済生会新潟第二病院眼科が、『治療とリハビリ』と題して企画した公開講座2015第2弾の第3回ご案内です。
加齢性黄斑変性治療第一人者の五味 文先生(住友病院)、再生治療のトップリーダー高橋 政代先生(理化学研究所)、夫婦で高次脳機能障害から回復を果たした立神粧子先生(フェリス女学院大学教授)の3先生に特別講演して頂きます。
その後、特別講演の3先生にも参加して頂くパネルディスカッションも企画しました。会場の皆さまにも参加して頂きたいと思っています。
今回は、高橋先生の抄録と略歴をアップしました。ご期待下さい。
特別講演2
演題:iPS細胞による眼疾患治療の現状と未来
講師:高橋 政代 (理化学研究所)
【抄 録】
加齢黄斑変性に対して2014年9月に世界で初めてのiPS細胞を用いた臨床が始まった。加齢黄班変性は網膜色素上皮細胞の老化によって網膜の中心(黄班部)が障害される疾患で、欧米では視覚障害の半分の原因を占める。 我が国でも高齢化に伴って増加しており、将来はさらに増加すると予測される。我々はこの疾患の障害された網膜色素上皮を患者自身のiPS細胞から作った正常で若返った網膜色素上皮細胞で置き換えてその上の神経網膜内の視細胞を保護する治療を目指している。
また、網膜色素変性に対しては視細胞移植を計画している。
再生医療の問題の一つはその言葉からもたらされる過剰な期待である。今回の臨床研究では網膜感度上昇などの効果判定は副次項目であるが、過剰な期待は治癒が唯一の問題解決法であるという思い込みから来ることが多い。特に網膜の場合は成功してもまだまだ視機能は低く停まることが考えられ、再生医療はリハビリテーション(ロービジョンケア)とセットで完成すると言える。
また、日本では薬事法が改訂され、再生医療を推進する新しい章が作られた。再生医虜に特化した法律は世界でも例をみないものである。この法律は省庁とアカデミアが協力して作られ、その成功も省庁とアカデミアの協力にかかっている。この講演では網膜再生医療の現状と将来、リハビリの重要性を考える。
【略 歴】
1986 京都大学医学部卒業
1986-1987 京都大学医学部附属病院眼科 研修医
1987-1988 関西電力病院眼科 研修医
1992 京都大学大学院医学研究科博士課程(視覚病態学)修了
1992-1994 京都大学医学部附属病院眼科 助手
1995-1996 アメリカ・サンディエゴ ソーク研究所研究員
1997-2001 京都大学医学部附属病院眼科 助手
2001-2006 京都大学医学部附属病院探索医療センター開発部 助教授
2006-2012 理化学研究所 発生・再生科学総合研究センター
網膜再生医療研究チーム チームリーダー兼任(2006年10月〜専任)
2012-2014 理化学研究所 発生・再生科学総合研究センター
網膜再生医療研究開発プロジェクト プロジェクトリーダー(*)
2014-現在 理化学研究所 多細胞システム形成研究センター
網膜再生医療研究開発プロジェクト プロジェクトリーダー(*)
(*)組織改正により変更
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済生会新潟第二病院 眼科公開講座2015パート2「治療とリハビリ」
日時:2015年10月10日(土)
開場:13時30分 研究会:14時~18時
場所:済生会新潟第二病院10階会議室
主催:済生会新潟第二病院眼科
事前登録制
13:55 はじめに 安藤 伸朗 (済生会新潟第二病院)
14:00~特別講演1
「加齢黄斑変性治療の現状と課題」
座長:長谷部 日(新潟大学)佐藤 弥生(新潟大学)
演者:五味 文(住友病院)
http://andonoburo.net/on/3829
14:50~特別講演2
「iPS細胞による眼疾患治療の現状と未来」
座長:福地 健郎(新潟大学)安藤 伸朗(済生会新潟第二病院)
演者:高橋 政代(理化学研究所)
http://andonoburo.net/on/3855
15:40~ コーヒーブレーク
16:00~特別講演3
「高次脳機能障害と向き合う〜神経心理ピラミッドを用いたホリスティック・アプローチ〜」
座長:仲泊 聡(国立障害者リハ)平形 明人(杏林大学)
演者:立神 粧子(フェリス女学院大学教授)
16:50~パネルディスカッション「治療とリハビリ」(1時間)
コーディネーター:仲泊 聡(国立障害者リハビりテーションセンター)
安藤 伸朗(済生会新潟第二病院)
パネリスト:
高橋 政代(理化学研究所)、五味 文(住友病院)
立神 粧子(フェリス女学院大学教授)、平形 明人(杏林大学)
福地 健郎・長谷部 日・佐藤 弥生(新潟大学)
17:50 おわりに 仲泊 聡(国立障害者リハビりテーションセンター)
会場片付け(アジャーン)
18:00 終了