案内:第241回(16‐03月)済生会新潟第二病院 眼科勉強会 (関 恒子)
2016年2月25日

 演題:「『見たい物しか見えない』と『見たい物が見えない』のあいだ」
 講師:関 恒子(長野県松本市)
  日時:平成28年03月09日(水)16:30 ~ 18:00 
  
場所:済生会新潟第二病院 眼科外来   

【抄 録】
 私が近視性黄斑変性症を発症してちょうど20年、左眼、右眼に黄斑移動術を受けてからそれぞれ19年、18年になる。ある日見つけた視界の中心の小さな歪みは次第に眼鏡の真ん中に拭っても消えない水滴が付いているかのようにかすみ、やがてそれははっきりした中心暗点となっていった。強度近視を持っていたもののそれまで何の不便もなかったのに、左眼に続き半年後に右眼にも発症したため、日常生活さえ脅かされるような不便さを感じ、この頃の不安はとても大きかった。中心暗点に邪魔されて見たい物がよく見えない。自然に直視すると、周りの不要な物は見えても見たい物は見えないので、先ず暗点を追い払い、周辺視野を使って見るようにしなければならない。つまり見たいという願望を持ち努力しない限り物は見えてこないのである。 

 この状況をなんとしても改善したかった私は、当時治験中の黄斑移動術を受けることを決めた。新しい治療法との出会いは、私に希望を与え、結果のいかんに関わらず、大きな精神的救いとなった。術後合併症や再発のために入退院を繰り返し、術後生じた不具合な見え方に不満を感じることはあったが、術前より視力は改善し、右眼は再び中心で物を見ることができるようになったことで、私のQOLは非常に向上した。私はこの視力を精一杯有効に使うことを決意し、拡大鏡を使って読書量を増やし、景色も以前より心して印象深く見てきたつもりである。 

 しかし最初の手術から19年経過した今、暗点は周辺から中心に及び、私は「見たい物がどうしても見えない」状況に近づきつつある。発病を知り、不便さをさんざん嘆いていた頃より症状はかなり深刻である。だが私の日常を見ると、確かに不便さは大きくなっているに違いないが、初期のような嘆きはなく、行動もそれほど制限されていない。これは自分の障害に対する意識変化と補助具の進化、ロービジョンに対するリハビリテーションの賜物であると思っている。しかしこの先自分がどこまで障害を受容できるかわからない。 

 勉強会では見え方の変化の中で感じてきたことや、目が悪くなったからこそ見えてきたもの、これまでの私の挑戦等を語ってみたい。 

【略 歴】
 富山大学薬学部卒業。薬剤師。
 信州大学研修生を経て結婚。一男一女の母となる。薬品会社勤務。退社。
 1996年左眼に続き、右眼にも近視性黄斑症を発症。1997年と1998年に黄斑移動術を受ける。
 松本市在住。趣味:ドイツ文学研究、フルート演奏、英国文化にも憧憬を持つ。
 

【今後の済生会新潟第二病院眼科 勉強会 & 研究会】
平成28年04月13日(水)16:30 ~ 18:00
 第242回(16-04)済生会新潟第二病院眼科勉強会
  「盲学校理療教育の現状と課題~歴史から学び展望する~」
  小西 明(済生会新潟第二病院 医療福祉相談室) 

平成28年05月11日(水)16:30 ~ 18:00
 第243回(16-05)済生会新潟第二病院眼科勉強会
  「嬉しかったこと、役立ったこと」
  大島光芳(上越市) 

平成28年06月08日(水)16:30 ~ 18:00
 第244回(16-06)済生会新潟第二病院眼科勉強会
  演題未定
  加藤功(新潟水辺の会) 

平成28年07月未定
 第245回(16-07)済生会新潟第二病院眼科勉強会
  新潟盲学校弁論大会 イン 済生会 

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平成28年07月17日(日) シンポジウム「病とともに生きる」
 開場:09時30分  講演会:10時 ~13時
 会場:「有壬記念館」(新潟大学医学部同窓会館)
 http://andonoburo.net/on/4424 

 コーディネーター
  安藤 伸朗(済生会新潟第二病院 眼科部長)
  曽根 博仁(新潟大学医学部 血液・内分泌・代謝内科;教授)

 基調講演 (30分)
  大森 安恵(海老名総合病院・糖尿病センター;内科医、
       東京女子医大名誉教授、元東京女子医大糖尿病センター長)
    「糖尿病と向き合うー私の歩いた一筋の道ー」
    http://andonoburo.net/on/4450 

 パネリスト (各25分)
  南 昌江 (南昌江内科クリニック;内科医)
    「糖尿病を通して開けた人生」
    http://andonoburo.net/on/4462

  小川 弓子(福岡市立西部療育センター センター長;小児科医)
    「母として医師として~視覚障害の息子と共に~」
    http://andonoburo.net/on/4478 

  清水 朋美(国立障害者リハセンター病院第二診療部 眼科医長)
    「オンリーワンの眼科医を目指して」 

  立神 粧子(フェリス女学院大学音楽学部・大学院 音楽研究科教授)
    「続・高次脳機能障害というエベレストに登る~作戦を立ててがんばる~」 

 ディスカッション (50分)
  演者間、会場を含めた討論

 13時 終了

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平成28年08月10日(水)16:30 ~ 18:00
 第246回(16-08)済生会新潟第二病院眼科勉強会
 「京都ライトハウス創立者・鳥居篤治郎が抱いた絶望と希望とは」
   岸 博実(京都府宇治市) 

平成28年09月14日(水)16:30 ~ 18:00
 第247回(16-09)済生会新潟第二病院眼科勉強会
   演題未定
   林 豊彦(新潟大学工学部教授/新潟市障がい者ITサポートセンター長) 

平成28年10月
 第248回(16-10)済生会新潟第二病院眼科勉強会
  (目の愛護デー講演会)
   演者未定 

平成28年11月09日(水)16:30 ~ 18:00
 第249回(16-11)済生会新潟第二病院眼科勉強会
  演題未定
   青木 学(新潟市会議員)