報告:第245回(16-07)済生会新潟第二病院眼科勉強会 盲学校弁論大会
「新潟盲学校弁論大会 イン 済生会」
1)中学部 2年 「熊本地震で思ったこと」
2)高等部 普通科 2年 「一番大切なもの」
日時:平成28年07月06(水)16:30 ~ 17:30
場所:済生会新潟第二病院 眼科外来
1)「熊本地震で思ったこと」
新潟県立新潟盲学校 中学部2年
【講演原稿】
4月14日の夜、テレビを見ていたら、急に画面が変わって、地震のニュースが始まりました。熊本で震度7の地震が発生しました。家が崩れて人が生き埋めになり、たくさんの人が助けようとしていました。私はそれを見てびっくりしました。なぜなら親戚の人が熊本市にいるからです。家が崩れてないかケガをしてないか心配しました。母がすぐに電話をしましたが、つながりませんでした。次の日やっと電話がつながり、地震がどうだったかを聞きました。「家は壊れなかったけど、窓ガラスが割れた。すごく怖かったよ。」と言っていました。おばさんが無事でよかったです。
私が熊本の人たちのためにできることは多くありません。ボランティアの人のようにお手伝いに行けません。募金や寄付もあまりできません。でも、熊本の人たちを励ますことはできます。「大丈夫?」や「頑張って下さい。」と手紙を書くことはできます。そして熊本の子供たちの分まで勉強を頑張りたいです。被災地で大変な人たちに負けないように、私もあきらめずに頑張ります。
私が小さいときに新潟で大きな地震が2回ありました。地震はこないほうがいいですが、もしも新潟でまた地震があっても、あわてないで安全に避難しようと思います。日本は地震の国なので、いつきても大丈夫なように防災リュックを準備したり、避難場所の確認をしたりして、地震に備えたいです。
学校の避難訓練は真剣に参加したいです。また、母や祖母だけでなく、近所の人と助け合う気持ち、きずなを大切にしようと思いました。
2)「一番大切なもの」
新潟県立新潟盲学校 高等部普通科2年
【講演原稿】
皆さんは人として何が一番大切だと思いますか?私は人間関係だと思います。でも、それは簡単なことではありません。私は、人間関係を築くのが難しく、人を傷つけたり、自分が傷ついたりしていました。
中学1年の時、私がいきなり怒鳴ったり、誤った言葉遣いをして、不快な思いをさせていた人がいました。ある日その人から帰りのスクールバスで罵倒され続け、さらに周囲の人も同調したため、私も押さえきれずに怒鳴り返して、口論になったことがありました。周りの人が同調したのには理由がありました。怒鳴ったり、場の空気を読まない発言をしたり、声の調子をコントロールせずに話す私に対して、全員が不快だったのです。
この出来事以降、その人だけでなく周りの人も私に対して冷たい雰囲気で接するようになりました。私は、自分のだめな点ばかり気になりました。少しでも人から良く思われたいと思って何かするけれど、かえって人を怒らせました。負のスパイラルに陥った気持ちになるだけで、全く希望が持てませんでした。人はつらいことばかりを抱えて一人で生きていかねばならないと思っていました。
周りの全ての生徒が喧嘩のことを知っていますし、冷たい雰囲気で接する中、Sさんは違いました。Sさんは、喧嘩をした翌年に盲学校高等部に入学してきました。Sさんも他の人から聞いて、喧嘩のことを知っていましたが、毎晩のように私を普通に食堂に誘ってくれ、悩みを聞いてくれました。私は、私の真意を疑わず、私のあら探しをしているとも感じずに、自然に話すことができたので、Sさんになら何でも話せると思いました。
Sさんは、学校全体の人気者でした。女の子からの人気も1番、文化祭や寮祭での出し物も大うけ。食堂に入ってくれば、「Sさんだ、おはよう。」とみんなが声をかけていました。私は、うらやましいと思いました。そして、なんでSさんはこんなに人から愛されるんだろうと思い、ある晩に聞いてみました。
「実は去年こんな喧嘩があって…。」と思い切って一部始終を話してから、「ねえ、何でSさんは人から愛されるの?」と聞くと、「はっきりいうと、君は近寄りがたい。言葉の口調も強いし、よく見られようという気持ちと、褒められようという気持ちがごっちゃになって、よけいなことばかりしたり言ったりしているから。自然でいいんだよ。言葉の一つ一つを考えて、落ち着いて話してごらん。君には愛される要素をたくさん持っているから。」と言われました。私は、初めて、私を認めてくれた最高の友達に出会えたと感じました。
Sさんとの出会いは、私に大切なことを教えてくれました。それは、人としての生き方、人間関係の築き方です。私は今も人間関係を築いていくのが難しいです。まだまだ、努力しなければいけないところがたくさんあります。分かりやすく話すこと、状況に応じた声の大きさを使い分けて会話をすること、ネガティブな考え方をやめていつも明るく元気に生きること、損得を考えて接したりしないこと、などです。
高等部を卒業したら理療科に進み、国家資格を取って理療の道に進みたいという自分の将来を考えたとき、今までの私ではつとまりません。患者さんと他の人と良好な人間関係を築いて、少しでも具合がよくなるように施術できるようになりたい。そして明るく元気に生きていけるようになりたいのです。一番大切なもの、人間関係を築く努力を続けていきます。
御清聴ありがとうございました。
【後 記】
毎年、盲学校の生徒の弁論には心打たれます。ことしは、熊本地震に被災した人に素直に心寄せる心情を語った弁論、人間として成長する過程での葛藤を吐露した弁論、いずれもいいお話でした。彼らの今後のまっすぐな成長を願います。
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【参 考】2009年から2015年までの「弁論大会イン済生会」のプログラムを以下に列記致しました。
●第233回(15-07)済生会新潟第二病院眼科勉強会 盲学校弁論大会
「新潟盲学校弁論大会 イン 済生会」
日時:平成27年7月8日(水)16:30~17:30
場所:済生会新潟第二病院 眼科外来
(1)「僕の父」 中学部3年
(2)「夢は地道にコツコツと」 高等部普通科3年
http://andonoburo.net/on/3807
●報告:第221回(14‐07月)済生会新潟第二病院 眼科勉強会
「新潟盲学校弁論大会 イン 済生会」
日時:平成26年6月11日(水)16:30 ~ 17:30
場所:済生会新潟第二病院 眼科外来
(1)「歌」高等部 普通科 3年
(2)「中学部に入学して」中学部 1年
http://andonoburo.net/on/2955
●第209回(13‐07月)済生会新潟第二病院 眼科勉強会
「新潟盲学校弁論大会 イン 済生会」
(1)「自分を信じて」 中学部 3年
(2)「一冊から得られること」 高等部 普通科 2年
日時:平成25年7月10(水)16:30 ~ 17:30
場所:済生会新潟第二病院 眼科外来
http://andonoburo.net/on/2126
●報告:第197回(12‐07月)済生会新潟第二病院 眼科勉強会
新潟盲学校弁論大会 イン 済生会
日時:平成24年7月25日(水)16:30 ~ 18:00 *第4水曜日です
場所:済生会新潟第二病院 眼科外来
1.「僕の将来の夢」
加藤 健太郎 (新潟県立新潟盲学校 中学部1年)
2.「将来に向けての目標」
古川 和未 (新潟県立新潟盲学校 本科保健理療科1年)
3.「心との約束」
左近 啓奈 (新潟県立新潟盲学校 中学部2年)
http://andonoburo.net/on/4624
●報告:第185回(11‐07月)済生会新潟第二病院 眼科勉強会
「新潟盲学校弁論大会イン済生会」
日時:平成23年7月20日(水)16:30~18:15
場所:済生会新潟第二病院 眼科外来
1)落語
演目:「転失気」 「二人旅」
演者:たら福亭美豚 (たらふくていヴィトン;新潟盲学校小学部6年)
2)盲学校弁論大会イン済生会
1.「震災を通して」
丸山 美樹(まるやま みき) 専攻科理療科2年
2.「過去・今・将来」
笠井 百華(かさい ももか)中学部3年
3.「決意」
〇口〇太〇 本科保健理療科1年
http://andonoburo.net/on/4628
●報告:第173回(10‐07)済生会新潟第二病院眼科勉強会 盲学校弁論大会
日時:平成22年月7月28日(水)16:30 ~ 18:00
場所:済生会新潟第二病院 眼科外来
「新潟盲学校弁論大会 イン 済生会」
1)「点字を学習して」
伊藤 奏(いとう かなで) 中学部1年
2)「人と関わるとは」
石黒知頼(いしぐろ ともより) 高等部普通科2年
3)「出逢い」
長谷川弘美(はせがわ ひろみ) 高等部専攻科理療科1年
4)「夢の続き」
山田 弘(やまだ ひろし) 高等部専攻科理療科3年
http://andonoburo.net/on/4634
●第161回(2009‐06月)済生会新潟第二病院眼科勉強会 弁論大会
『新潟盲学校弁論大会 イン 済生会』
場所:済生会新潟第二病院 眼科外来
日時:平成21年6月23日(火) 17:00~18:00
1.2年生
森山 威(もりやま たけし)専攻科理療科2年
2.白杖体験
山田 弘(やまだ ひろし)専攻科理療科2年
3.もう一つの理由
京 円香(きょう まどか)専攻科理療科1年
http://andonoburo.net/on/4638