研究会/勉強会・告知

 

2013年6月12日

第22回視覚障害リハビリテーション研究発表大会 特別企画-2
 「視覚障害者とスマートフォン」   
  渡辺 哲也 (新潟大学工学部 福祉人間工学科)
    日時:平成25年6月22日(土) 10時50分〜11時40分
    
会場:チサンホテル新潟 越後の間(東) 4階
    
最新情報:http://andonoburo.net/on/1690 

【はじめに】
 スマートフォンとタブレットPCのタッチパネル操作は、触覚的手がかりがないため、全盲の人にとっては難しいと思われる。この問題について、Web情報、利用者インタビュー、実験などを通じて調べた。 

◆スクリーンリーダ
 iPhoneやiPadには、スクリーンリーダVoiceOverが標準装備されている。AndroidにもスクリーンリーダTalkBackが標準装備されているが、日本語出力のために音声合成ソフト(ドキュメントトーカ)をインストールする必要がある。 

◆アイコン等の選択
 2通りの操作方式がある。直接指示方式では、触れた位置にあるアイコンなどが選択され、読み上げが行われる。続けてダブルタップすると選択決定となる。画面構成を覚えておけば操作は容易だが、画面構成が分からないと目標項目を探すのは困難である。

 順次選択方式では、画面上でスワイプ(フリックとも)することで、前後の項目へ移動し、これを読み上げる。項目間を確実に移動できるが、目標項目に到達するまで時間がかかることが多い。 

◆文字入力
 テンキー画面によるフリック入力や携帯電話式入力(同じキーを押すたびに、あ、い、う、と変化)、50音キーボード画面やQWERTYキーボード画面が音声読み上げされる。漢字の詳細読み機能もある。いずれの方式も、個々のキーが小さく入力が不正確になりがちである。この問題解消のため、iPhoneには自動修正機能が装備されている(英語版のみ)。ジョージア工科大学で開発されたBrailleTouchというアプリでは、タッチ画面を点字タイプライタの入力部に見立てて6点入力をする。

【おわりに】
 音声支援により全盲の人もタッチパネルを操作できる。しかし、アイコン等の選択や文字入力が効率的に行えるとは言いがたい。お札や色の判別などのアプリは従来の携帯電話でも利用できたが、これらを簡単にインストールできる点は利点であろう。 

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*第22回視覚障害リハビリテーション研究発表大会 プログラム
  http://andonoburo.net/on/1871 

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『第22回視覚障害リハビリテーション研究発表大会』 
 期 日: 2013年6月21日(金)プレカンファレンス
               22日(土)・23日(日) 本大会
 会 場:「チサン ホテル & コンファレンスセンター 新潟」4階
     「新潟大学駅南キャンパスときめいと」 2階
 メインテーマ: 「見えない」を「見える」にする「心・技・体」
 主   催 : 視覚障害リハビリテーション協会
 主   管 : 第22回視覚障害リハビリテーション研究発表大会実行委員会
 大 会 長 :  安藤 伸朗 (済生会新潟第二病院)
 実行委員長 : 渡辺 哲也 (新潟大学工学部 福祉人間工学科)
 ホームページ: http://www.jarvi2013.net/

2013年6月11日

第22回視覚障害リハビリテーション研究発表大会 特別企画-1
  「歩行訓練の将来」 
    日時:平成25年6月21日(金) 16時50分〜17時40分
    会場:新潟大学駅南キャンパス「ときめいと」講義室A 2階
     最新情報:http://andonoburo.net/on/1690 

 山田 幸男(司会:信楽園病院/NPO法人障害者自立支援センターオアシス)
 清水 美知子(歩行訓練士;埼玉県)
 松永 秀夫(新潟県視覚障害者福祉協会) 

 1970年、大阪の日本ライトハウスで、わが国で初めて歩行訓練(注1)の講習会が開かれました。その後、視覚障害に関する法律に規定された施設や、自治体から中途失明者緊急生活訓練事業を受託した当事者団体等が歩行訓練を提供してきました。また1990年以降には、盲導犬協会や特定非営利活動法人などの民間組織が独自の財源により歩行訓練を提供し始めました。昨年、日本ライトハウスが行った調査では「視覚障害者の生活訓練施設」として70の施設および個人があると報告されています。さらにこの他、特別支援学校(盲学校)でも歩行訓練が実施されている状況があります。

 このような状況の中で、現在歩行訓練の指導にあたっているのは、日本ライトハウス養成部または国立障害者リハビリテーションセンター学院の視覚障害に関する養成課程を修了した者、その他歩行訓練に関する講習会を修了した者、さらにはそうした専門教育を受けていない当事者、教員、ボランティア等です。

 今回の討論テーマは「歩行訓練の将来」ですが、現在、上記のような多様な状況の中で行われている歩行訓練の実施状況に関する調査はほとんどありません。そのため関連資料や各方面から断片的に耳に入ってくる情報、経験などから推し量るしかない状況ですが、今回、本研究発表大会の開催地新潟で歩行訓練事業に携わっている3者(注2)が、新潟県における歩行訓練の状況および問題点を踏まえ、視点を全国に移しながら、わが国の歩行訓練の将来について討論したいと思います。 

注1:「歩行」とは「オリエンテーションとモビリティ」のことを指す。
注2: 新潟県で歩行訓練事業を実施している2団体(当事者団体と支援者団体)の代表と、新潟県および関東圏で歩行訓練に携わる訓練士)

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*第22回視覚障害リハビリテーション研究発表大会 プログラム
  http://andonoburo.net/on/1871
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2013年6月9日

 第22回視覚障害リハビリテーション研究発表大会 シンポジウム
  「視覚障害者の就労支援」
    日時:平成25年6月23日(日) 12時〜13時10分
    会場:チサンホテル&コンファレンスセンター新潟 4階 越後の間(東)
     最新情報:http://andonoburo.net/on/1690 

 司会:星野 恵美子 (新潟医療福祉大学)
 シンポジスト 
  小島 紀代子(新潟県視覚障害者のリハビリテーションを推進する会・
         NPO法人障害者自立支援センターオアシス)
  清水 晃(新潟県上越市)
  今野 靖(新潟公共職業安定所)
  工藤 正一(NPO法人タートル) 

 司会進行
   星野恵美子 (新潟医療福祉大学)
 働くことは障害の有無にかかわらず、大変重要である。特に視覚をはじめとして障害を持つ者にとって、就労はリハビリテーションの目標でもあり、経済的な補償だけではなく、社会的にも価値づけられ、とても自信を持って生き抜くことにつながっていく。今回のシンポジウムでは、次の多様な立場のシンポジストにより、貴重な経験や実践を通した話題提供と討論の場を設けたい。

1 【相談支援する立場から】視覚障害者を取り巻く現状と課題 
   小島 紀代子(新潟県視覚障害者のリハビリテーションを推進する会
          ・NPO法人障害者自立支援センターオアシス)
  視覚障害者の特性としては中途の障害のかたが多く、合併症を持ち、適切な時に適切な支援や情報が得られにくく悩みも深く孤立しやすい傾向がある。そういう方々への支援の際の課題は何か? 

2 【視覚障害当事者から】仕事をして思うことは 
   清水 晃 (新潟県上越市)
  視覚に障害を持つ自身にとって仕事を持つ意味について考え、再就職するうえで努力したことは何か、どうすれば辞めなくて済んだか? 日常的な歩行及び移動における課題等について述べる。 

3 【労働行政機関の立場から】   
   今野 靖(新潟公共職業安定所)
  障害者の就職支援は、個別に対応したきめ細やかな職業リハビリテーションの提供が必要であり、そのためにも支援対象者の障害の態様、適性、求職ニーズを正確に把握する必要がある。また、求職ニーズと企業ニーズとの効果的なマッチングがポイントとなる。

4 【視覚障害者への就労と今後の展望・課題】
   工藤 正一(NPO法人タートル)
  視覚障害者に対する的確な雇用支援について、相談事例等の現状を踏まえて、今後の課題等について考える。

5 ディスカッション 

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*第22回視覚障害リハビリテーション研究発表大会 プログラム

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2013年6月7日

第22回視覚障害リハビリテーション研究発表大会 特別講演2
  演題:「視覚障害者に対するこころのケア」
  講師: 山田 幸男 
        新潟県視覚障害者のリハビリテーションを推進する会
           NPO法人障害者自立支援センター オアシス
   座長:吉野 由美子 (視覚障害リハビリテーション協会)
   日時:平成25年6月22日(土) 15時05分~15時55分
   会場:チサンホテル 4階 越後の間(東) 

 私たちが視覚障害リハビリテーションを始めたきっかけは、一人の目の不自由な男性A君の自殺です。彼の死を無駄にできないと考え、10年間の準備のあと、1994年に信楽園病院に「視覚障害リハビリ外来」を開設しました。しかしその甲斐もなく、4ヵ月後にBさんも入院中に自殺を企て、亡くなってしまいました。さらに同じ頃、1型糖尿病で失明したCさんも、命はとりとめたものの入院するたびに自殺を試みました。

 その後の調査で、目が不自由になるとそれが原因で、少なくとも2人に1人は、死ぬことを考え、うつ病やうつ状態であることが明らかになりました。視覚障害者は、いろいろな面で大きなハンディキャップを抱えながら、回復の見込みがないままに、生き続けなければなりません。

 そこで同じ障害をもつ人やスタッフ、ボランティアさんと気楽にお茶を飲みながら話のできる場を1995年に開設しました。「パソコン教室オアシス」です。そこは、グループセラピーなどこころの相談室であり、またパソコンや点字、化粧・調理・運動の教室、さらに、おしゃべりなどをしてくつろぐことのできる喫茶室です。

 開設して4-5年経つと、自殺を企てる人はなくなり、自殺を考える人も減少しました。若い人たちは職に就くことさえ考えるようになりました。「このような施設をもうすこし早くつくってもらっていたら、だれも死なないですんだのでは?」という声が聞かれるようになりました。    

 目の不自由な人とその家族には、こころのケアは必要です。私たちの乏しい経験を含めて、視覚障害者のこころのケアについてお話をさせていただきます。

 

【略歴】
  昭和42年3月 新潟大学医学部卒業
  昭和42年4月 新潟大学医学部附属病院インターン
  昭和43年4月 新潟大学医学部第一内科入局。内分泌代謝斑
  昭和54年5月 社会福祉法人新潟市社会事業協会信楽園病院
  平成17年4月 公益財団法人新潟県保健衛生センター   

 学 会
  日本内科学会認定医、日本糖尿病学会専門医、日本内分泌学会専門医、日本ロービジョン学会評議員、日本病態栄養学会評議員

 著 書
  ・視覚障害者のリハビリテーション(日本メディカルセンター)
  ・視覚障害者のためのパソコン教室(メディカ出版)
  ・白杖歩行サポートハンドブック(読書工房)
  ・目の不自由な人の“こころのケア”(考古堂)
  ・目の不自由な人の転倒予防(考古堂)、ほか 

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【第22回視覚障害リハビリテーション研究発表大会 特別講演】
 特別講演 1  座長 小田 浩一 (東京女子大学)  
   「視覚障がい者はどうして支援機器を使わないのか?」
           林 豊彦(新潟大学教授 工学部福祉人間工学科) 

 特別講演 2  座長 吉野 由美子 (視覚障害リハビリテーション協会)
   「視覚障害者に対するこころのケア」      
     山田 幸男(信楽園病院/NPO法人障害者自立支援センターオアシス) 

*第22回視覚障害リハビリテーション研究発表大会
 プログラム:http://andonoburo.net/on/1871 

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第22回視覚障害リハビリテーション研究発表大会 特別講演1
 演題:「視覚障がい者はどうして支援機器を使わないのか?」
 講師:林 豊彦(新潟大学教授 工学部福祉人間工学科)
  座長 小田 浩一(東京女子大学)
  日時:平成25年6月22日(土) 10時〜10時50分
  会場:チサンホテル 4階 越後の間(東) 

【抄録】
 その答えは「知らないから」。我々の調査によれば、新潟市の視覚障がい者は自立生活や就労に不可欠な支援機器のことをほとんど知らない。知らないから、使わないのは当然である。なぜそうかというと、障がい者の周りにいるソーシャルワーカー、コメディカル、教師が包括的には学んでいないからである。近視になったら眼鏡をかけることのは誰でも知っているのに、極度に見えにくくなったら拡大読書機を使うこと、視覚がほとんど使えなくなったら音声パソコンを使うことを知っている人は、それぞれ11.5%、5.6%しかいない。 

 その解決策としては次の2つが考えられる:1)支援機器の選択・適合の専門家である支援技術者が他の専門家と恊働して支援する公的機関の設置;2)障がい者を直接支援する社会福祉士、介護福祉士、コメディカルの一部を支援機器の専門家として育成。ともに実現できれば、難しくない機器の選択・適合は現場だけで解決でき、難しい問題は地域の支援センターと恊働して解決できる。 

 上記2つの実現のために、我々は新潟市の委託を受けて平成20年度に「新潟市障がい者ITサポートセンター」を新潟大学内に設置した。現在のスタッフは、センター長の私以外に3人(常勤の支援技術者1人、非常勤の支援者・事務員が各1人)である。しかし、すべての臨床ニーズには対応しきれないため、地域の関連組織・機関・団体と協力しながら支援事業を拡大している。特に継続的な連携に力を入れており、定期的に支援会議や相談会を開催している特別支援学校が4校ある。本学医学部附属病院のロービジョン外来にも月1回参加している。新潟県視覚障害者福祉協会とは、共同で「視覚障がい者のためのパソコン講習」(全10回、各2時間)を年2回開いている。出前の講習会・研修会は年30回を超える。コメディカルのための支援技術講座も試行的に始めた。これらの啓発活動を通じて足場を固めながら、事業の拡大をはかっていきたい。  

【略歴】
 1977 新潟大学工学部・電子工学科卒業
 1979 新潟大学大学院・工学研究科修士課程修了
    新潟大学・助手 歯学部
 1986 歯学博士 (新潟大学)
 1987 新潟大学・講師 歯学部附属病院
 1989 工学博士 (東京工業大学)
 1991 新潟大学・助教授 工学部情報工学科
 1996 Johns Hopkins大学・客員研究員
 1998 新潟大学・教授 工学部福祉人間工学科
 2008 新潟市障がい者ITサポートセンター長(兼任) 

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【第22回視覚障害リハビリテーション研究発表大会 特別講演】
 特別講演 1  座長 小田 浩一 (東京女子大学)  
  演題「視覚障がい者はどうして支援機器を使わないのか?」
        講師 林 豊彦(新潟大学教授 工学部福祉人間工学科) 

 特別講演 2  座長 吉野 由美子 (視覚障害リハビリテーション協会)
  演題「視覚障害者に対するこころのケア」 
  講師 山田 幸男(信楽園病院/NPO法人障害者自立支援センターオアシス)

*第22回視覚障害リハビリテーション研究発表大会
  ホームページ : http://www.jarvi2013.net/
  詳細なページ : http://andonoburo.net/on/1690