報告:『済生会新潟第二病院眼科-市民公開講座2017』 4)参加者からの感想
「眼科及び視覚リハビリの現状と将来を語る」をテーマに市民公開講座(主催:済生会新潟第二病院眼科)を、2月25日に開催しました。平形明人先生(杏林大学眼科教授)、高橋政代先生(理化学研究所)、清水美知子先生(フリーランスの歩行訓練士)をお招きし、司会は林 知茂先生(国立障害者リハビリテーションセンター病院)と、安藤 伸朗(済生会新潟第二病院眼科)が務めました。当日は全国12都府県から100名を超す方々が参加、熱気あふれる公開講座となりました。
今回は、参加者から届いた感想を紹介します。
============================
新潟市 眼科医
先日は市民公開講座に参加させていただき、ありがとうございました。とてもすばらしい講演で感動しました。網膜硝子体手術の専門医で、杏林アイセンターの主任教授であられる平形先生が、屈折矯正の延長としてロービジョンがあり、難治性疾患で手術治療した後の患者さんや、先天網膜疾患の患者さんの生活や行動の拡大のためにロービジョンの必要性や有効性を説明を聞いてとても感動しました。iPS細胞移植の研究はどんどん進んでいることを知り、ロービジョン方の希望の星で、一般眼科医としてもわくわくしてしまいました。しかし、移植手術も万能ではないので、やはりロービジョンケアは必要なことを再確認しました。視覚障害者の歩行訓練士の歴史など初めて知ることばかりで、やはりとても勉強になりました。高橋政代先生の、見えない方が、今後、網膜移植や人工網膜などで、見えるようになる時代が来ているという話に感動し、しかし、それでもロービジョンは必要で、特に屈折矯正など基本的ケアなど、自分でも出来るケアをしっかりやっていくことが大事と再確認しました。
新潟市 大学教員
今回の公開講座の感想は、以下のような感じで、本当に素晴らしかったです。
最初の平形先生のお話は、眼科のことをほとんど知らない私のような人間にも大変に分かりやすく、流れるようなお話で、私自身の講義や講演の仕方をもっと工夫しようという気持ちになりました。眼の仕組みの基礎から疾患の種類、治療法、そしてロービジョンにいたるまでを短い時間の中で深く理解できるように教えていただきました。手術の大家と呼ばれる方が、ここまで広い視界を持っておられることに驚きました。
高橋先生は、もちろん報道等を通してiPS細胞の臨床応用の第一人者として存じ上げている先生でしたが、適材適所の人材を動かす(?)マネージメントのお力も素晴らしいご様子で、柔らかい物腰も相まって、本当に素晴らしい方だと思いました。再生医療の可能性も限界も淡々と語られつつ、Next Vision構想という患者が主体的に考えていくロービジョン・ケア(という表現でよいのか分かりませんが)に尽力されていることに、本当に感嘆しました。
清水先生は、10年ほどぶりの再会でした。よい歳を重ねられ、相変わらず穏やかな中にもズバリと核心を突く口調に「羨ましいな」と思いました(真似ができそうで、できそうもありません)。内容についても、私自身が医療制度の歴史に非常に興味がありますので、とても面白く拝聴しました。視覚障害の日本の制度の固有の発達と特徴、問題点などがよく理解できました。精神障害、重症心身障害、感染症等々の制度の発達史と横並びにして考えたいと思いました。
眼科入門 → ロービジョン → 再生医療(可能性と限界) → 制度上の問題 と、全体の構成が非常によく、このように基礎医学から臨床医学、そして社会的制度的側面へと展開するシンポジウムは滅多にないものだと感心しました。
新潟県 視覚障害者
先日は、大変貴重なお話を聞くことができまして、少し未来に期待感を持ってよいのかなと初めて思える講演でした。私は網膜色素変性症 いま、ちょうど白内障の両目の手術を終えたところでした。23歳で診断され、不安なまま生活し、人に言われ盲学校へいき、鍼灸マッサージの資格をとり、これは食べていくために必死だったのですが、45もすぎ、体力が落ち始め、違う仕事は視覚障害者には選択肢が全くないと思っていました。先日ハローワークへいきました。5年前よりはるかにたくさん求人がありましたが、視覚障害者はやはりマッサージです。ロービジョンで就職活動(連携)もできたらとてもいいな、と感じました。網膜再生が可能な日も近い気がしてきましたが、まだまだわかりません。体力は落ち、視力も落ち、前向きに来ていたつもりが、最近はブルーでした。しかし、講演を聴いて、少し元気を頂けました!
新潟市 小児科医
当日講演会を大変面白く拝聴させていただきました。
清水先生の講演では、視覚障害者のリハビリテーションの歴史的な推移と、現在の問題点など良く理解することが出来ました。特にリハの対象者の障害内容が年と共に変化してきている点が問題を複雑化しているようです。しかし、視覚障害のみならず種々の障害を抱える患者さんに対する対応が、この50年ほどで素晴らしい進歩を遂げている事も間違い無いように思いました。このことは、携わる多くの方々の努力と忍耐と創意工夫があったからだと思います。感銘を受けました。平形先生や高橋先生の講演では、臨床医の基本として、治療のみならずケアに目を向けなければならない点が浮き彫りになっていたように思います。しかし、現実にはどうでしょうか。残念ながら私を含めて大部分の医師は、ケアの重要性を頭では理解しながらも、日常の仕事の忙しさにまぎれて不十分な対応しか出来ていないのが実情のようです。超多忙の中にあって、両先生が実に柔軟な頭でケアの充実に向けて日々活動されている様子が良く分かりました。高橋先生のお話で、神経細胞の移植実験において、移植した細胞と既存の細胞とのネットワークが構築されていることが、ネズミの行動実験でも証明された事を知りました。この方面の実用化にはまだまだ時間が必要でしょうが、確実に進んでいることをしり大変興味深く拝聴しました。
新潟市 市会議員(視覚障害者)
今回の講師の方々もまさにその道を究めてこられたエクスパートの方々で、とても贅沢な学習会だと感じました。眼疾患に関わるところは専門的でよく理解できないところもありましたが、ロービジョンやリハビリへの展開の必要性などは、とても興味深く、集中して聞かせていただきました。特に再生医療の世界のトップリーダーでいらっしゃる高橋先生のお話をこんなに身近なところで、しかも無料でお聞きすることができるなんて、本当にすごいことだと思いました。改めてこのような公開講座を開いていただいたことに、感謝申し上げます。
埼玉県 視能訓練士
済生会新潟第二病院眼科ー市民公開講座2017に参加させていただきありがとうございました。楽しい時間をありがとうございました。平形先生のご講演をお聴きし、杏林で出会った患者さん達のことを思い出したり、高橋先生のご講演をお聴きし、今後、これまでにない経過での「回復」過程を経る患者さん達やその機会を待つ患者さん達に思いを馳せたりしました。また清水さんの話では、タイトル通り「視覚障害リハビリテーションのこれまでとこれから」について考え、今後、医療と福祉の分野がどうあるべきか社会制度を含めた議論の必要性を感じました。
新潟県 視覚障害者
市民公開講座2017に参加させていただきました、今後の生きて行く力になり希望の光につなげていただきました。心より感謝お礼申し上げます。
新潟市 会社員
平形明人先生~アイセンターの歴史を交えながらロービジョンケアの意義についてご講義いただき、大変勉強させていただきました。時代とともに治療も進歩してきている中で、患者さんの生活範囲を治療前よりも向上させなければいけない。その中で重要になってくるのがロービジョンケアであり、病態のニーズに基づいたケアが必要になってくる。疾患によって患者様へのアプローチが異なってくる点を、複合的な疾患の専門性を有する大学病院やアイセンターなどが重要な役割を果たしているお話が印象的でありました。 最後に平形先生のロービジョンケアへの思い、そしてご実家での盲導犬チャンピィを交えた平形先生のロービジョンへのルーツも垣間見え、大変勉強になるご講演でした。
高橋政代先生~日本の再生医療のトップとして走り続けられている高橋先生のご講演は大変心に残りました。先生のご講演を聴くまで、私も再生医療へ過度な期待を抱いていた一人です。過度な期待から治療への失望を防ぐためにも、また患者様のQOLを満たすためにもロービジョンケアの啓発を大変重要視されている点が熱く伝わってきました。 神戸アイセンターの設立、治療から就労支援まで生涯を支える取り組み、公益法人NEXT VISIONの理事も勤められ、医療・研究だけでなく様々な事業へと取り掛かり眼科治療を発展されている高橋先生の姿勢に感銘を受けました。
清水美知子先生~視覚障害リハビリの歴史から現在の状況に講演いただき、新たな知見を得ることができました。戦前からの傷痍軍人に対するケアが発祥となり、三療師を目標において実施された職業リハビリテーションも時代の変遷と共に対象者・内容が変わっていく。対象が若年者より高齢者が増加してきたことによって、リハビリの内容も見直していかなければいけない。 眼科外来もロービジョンケアが設置されたことにより支援の幅が広がっていった。これからは眼科外来にもロービジョンケアだけでなく視覚障害リハビリの導入も考えなければいけない、といったこれからの視覚障害リハビリについてのあり方を問うお姿が眩しく見えました。
新潟市 視覚障害者
大変貴重な講座に参加させて頂きまして誠にありがとうございました。近い将来の医療発展に大きく期待しつつ…今、やれる事に積極的に取り組もうと前向きな気持ちになりました。本当にありがとうございました。
福島県 視覚障害者
この度初めて参加させて頂きました。会場に到着してすぐに安藤先生に声を掛けて頂きとても嬉しく思いました。そして素晴らしい講演内容で、わざわざ時間とお金を掛けて行った甲斐がありました。3名の先生が何れも絶え間無くびっちりお話しされ、あれもこれも伝えたい、時間が足りないと言う気持ちがとても伝わり、視覚障害者の当事者の私にとってはその熱意を感じられただけでも満足です。福島県ロービジョンネットワークの八子先生や会津若松の栗城さんと言う方から案内を受け、何時も参加して見たいと思っていましたが今回やっと実現出来ました。又、是非参加したいと思いますので、今後ともどうぞよろしくお願い致します。ありがとうございました。
埼玉県 視覚障害者
私は中心、リンゴくらいが見える色変です。白内障の手術をして視力は0.6程度なので、自分自身での工夫と、時間さえかければ一人でなんでもします。パソコンも普通の年齢にあった状態で見ることと、音声とで補って使用しています。私の通院している病院にもロービジョン外来が週に1度あり、担当医が主治医なので希望をだしたことがありますが、今は必要ないと言われました。生活の知恵は友人に学びます。ロービジョンについて、未知の世界(?)だったので、とてもよくわかりました。3名の方々が、私たちのことを思ってくださり、とても頼もしく感じました。様々な方面の人たちが結び合ってくれることを望みます。視覚障害という方面から見る、福祉と医療。私たちももっと権利が主張できるよう、賢くならなければと思いました。会の進め方も、資料はなくても一つひとつにふり返りがあり、分かりやすかったと思います。ありがとうございました。今度は埼玉の仲間と旅行をかねて、参加してみたいと思いました。
新潟市 会社員
平形先生~眼科疾患についてわかりやすくまとめて頂いたので、知識の整理ができました。講演の中にあった、『生活拡大』というキーワードが印象に残りました。各種疾患により視機能が低下した患者さんのケアにおいて、現状の生活をどのように住みよいものに変えていくことができるか、そのような視点が大事だと感じました。
高橋先生~眼科領域において非常にホットなトピックであるiPS細胞移植に関して、最新の知識を得ることができ、大変勉強になりました。実用化に向けての高橋先生のご尽力もそうですが、一番印象に残ったのは、iPS細胞を移植しても十分な視力は回復しないため、ロービジョン訓練を事前にしておかなければならないという点です。iPS細胞移植のニュースを聞いて、視力の回復を夢見る患者さんが出てくるかと思いますが、iPS細胞の限界を理解しつつ、より生活を豊かにするための準備が必要であるといったことを考える重要性を感じました。『NEXT VISION』に関しても、決して受動的なものではなく、患者さんが能動的に動いた結果が反映される施設であるというお話があり、実際に完成したときにはどのような姿になっているか楽しみな印象を受けました。完成時には患者視点の施設設計になっており、実際に患者さんが何を求めているかが反映されているかと思いますので、ぜひとも完成時にはどのような施設になったのかを拝見したいと思いました。
新潟市 会社員
先日の市民公開講座、ありがとうございました。平形先生、高橋先生、清水先生お三方のそれぞれの講演とても興味深い内容で、なおかつ素人の小生にもわかりやすく時間の経つのを、とても早く感じました。目の手術の現状や眼病の多様性、20~30年後には目の神経も再生可能となる見込み、視覚障害者ケアの歴史と現状、並びに今後の進むべき方向性等を知ることが出来ました。
新潟市 視覚障害者
このたびの市民公開講座2017、先生方が誠実に問題に取り組んでおられることに感動しました。私はもう、ロービジョンには用はないという気がしていました。でも講師の方々が魅力的で、内容も興味がありましたので、思い切って参加して良かったです。昔は医学と福祉、生活が切り離されていて、医師から見放されたら絶望的でした。福祉の対応も一辺倒で、選択の余地もなく、イヤでも受け入れざるをえませんでした。その当時のことから考えると、何と良い時代になったことか。もちろんこれで終わっては困りますが、未来に希望が持てました。これからも医療従事者、患者、行政や関係企業を巻き込んで、良い方法を見つけたいです。
新潟市 会社員
初めてロービジョンのご講演を聴講させて頂きまして、ロービジョンケアと一言では表すことができない程、患者様によって介助の仕方や、治療の方向性が異なる事を学ばせて頂きました。平形先生のご講演では、ロービジョンケアの重要性や、患者様の背景によって治療方法、対応が様々であると感じました。また、ロービジョン患者様の治療におきましてご家族様の協力や正しい知識を習得する事、内科Drとの連携や関わりが大事であると感じました。高橋先生のご講演では、最新の再生医療とロービジョンケアが密接に関わっている事を学ばせて頂きました。再生医療で視力が回復するのかという疑問がございましたが視細胞の数によるものとご教示頂きました。しかし、視細胞、視神経の研究も始まっている事を知り、眼科医療の今後の可能性についてうれしく思いました。
新潟県 視覚障害者家族
最先端の先生方のお話を聞くことができて貴重な経験になりました。 娘が網膜色素変性症の診断を受けて年に一回検査を受けて経過観察中です。今は夜盲症がありますが他は不自由はありません。将来の事を考えてできるだけ情報を持とうと思っていますので可能なものは参加させて頂きたいです。
新潟県 大学教員
先日の公開講座大変良い刺激になりました。知りませんでしたが、各先生方が様々な方向から大胆な変革を試みているのですね。
神奈川県 公務員(障害者サポート)
参加のきっかけは、済生会新潟第二病院眼科の勉強会で反響が多いと聞いている清水さんの講演および会場とのやりとりを一度みておきたい、と考えたからでした。お話の中では、清水さんが合衆国へ留学中に接したという「活き活きした当事者たち」の姿を、私なりにリアルに想像できたことが収穫でした。質疑応答では、職場での支援体制がとられておらず悩んでいる方の質問に対して「まず自分からできないことを伝えること」「相手が分からないということが当然であると理解する。推定ではなくはっきりとさせる」といった答えを提示された場面が印象に残りました。質問をされた方の後ろ姿をみていると、自分からアクションを起こさなくてはと考えていたのかな?でも、具体的にどうしたらよいのかわからなかったのでこの講座に聞きに来たのかな?という、あくまで想像ですが生きた反応のようなものを感じました。
茨城県 大学教員
先日の市民公開講座に参加させていただき,ありがとうございました。登壇された講師の先生方はいずれも超多忙で日程調整は,さぞ大変だったことと思います。どの講演もとても興味深く,通常の学会では聞けない内容で安藤先生の絶妙な講演依頼の賜物だったと感じました。当日感じたこととしては,予想通り「iPS再生技術で,どこまで見えるようになるか」関連の質問が多く,確かに,当事者の切実な関心事ではあるものの,会場からの質問を受け付ける以上,「眼科及び視覚リハビリの現状と将来を語る」の質疑になりきれなかったのは仕方がなかったかもしれません。
新潟市 会社員
網膜再生医療はこの短期間にすごい進歩だと感じました。自分の細胞胚だけでなく他人の細胞胚でも再生医療が進めば、見えなくなる恐怖から少しは開放されると思いました。また、海外ではアーガスⅡのような機械も出てきて色々な分野での技術革新が進んでいると感じました。そして、昨年来報道にもあった電車ホームからの転落事故等もロービジョンがもっと一般の人にも広く認知されれば防げるように感じながら拝聴しておりました。
新潟市 会社員
今までロービジョンについて学ぶ機会が今までなかったので、すごく新鮮でした。今まで自分のなかで、ロービジョンと眼科手術がまったくの別物と考えておりました。しかしながら、平形教授の、サージャンは、硝子体のOPEがうまくいけばと考えがちだが、術後のケアを考えると、ロービジョンとは関わっていくべきものである。と言うお話が自分のなかでまたひとつ点と点が繋がった感覚があり感動いたしました。他にも、最先端の技術や、患者様への新しい取り組みについて、お話が聞けたのが勉強になりました。
最後の、対話式のセッションの中で、患者様の質問に対する、先生方の返答を聞いていて職場の方との関わり方で「自分のできることを減点方式ではなく、加点方式で伝えていくことが大事である」と言うお話を伺い、医学的な治療や治療による効果の説明だけではなく、患者様のその後の人生の歩み方をアドバイスする非常に難しいお仕事であることを感じました。そのことを感じてあらためて思い返すと、入場の際、患者様と安藤先生の強い絆を感じた理由がそこにあるのではないかと思いました。
兵庫県 眼科医
深いお話、価値のあるお話を聞かせていただき、ありがとうございました。
神奈川県 視覚障害者
平形先生~他の方のご講演でも、この小さな目にはたくさんの組織があることはよく耳にするが、「いろんな組織で出来ている目には、その組織ごとに病気がある。」という説明は案外少なく、印象的だった。また常々「見易い文字は人それぞれ」と思っていたので、臨界文字サイズなどの検査のお話が興味深かった。7種の点眼薬を使用しているので、容器にテープや輪ゴムなどを付けて判別する、というお話も大変参考になった。
高橋先生~以前の勉強会抄録にもあった「健全なあきらめ」という言葉が、胸にすとんと入って来た。世話が気に入らないと培養シートが「やさぐれる」など、面白くテンポの良いお話しぶり。西方面ご出身の女性医師の持ち味なのだろうか?日大の湯澤美都子先生や、京都中央診療所の長井苑子先生(内科)に共通して快活であり、ユーモアあり、やわらかい言葉の中に厳しさと優しさが同居している。移植で出来ること、出来ないこと。ロービジョンとセットとするのが大事なこと。文字にしメールで送ったのでは、これらの言葉が持つ本当の温もりは、なかなか上手く伝わらないだろう。高橋先生のお話を、ぜひ多くのロービジョン患者に、自身の耳で直接聞いて欲しいと思った。
清水先生~力強く闊達な御弁舌に、過去抄録の「清水節ファンが多い」というのも深く納得。自分が今まで知らなかった「戦盲」「あはぎ法」などの言葉。自分が生まれた年に始まった「中途失明者緊急生活訓練事業」が今も続いているということ。受けてきた抑圧をはずしても元の力は戻らない、エンパワーメントという患者教育が必要。どのお話も興味深かった。また、「見えづらい、効率が悪くなった」という主観が大事で、ロービジョンケアの始まりは、手帳交付では無くても良いと思う、というお話は、とても有難く感じた。自分がもし見えなくなっても、生き生きと過ごしたいと思う。
質疑と座談会~「出来る」という言葉に差がある、という林知茂先生たちのお話は、障碍者に限らずあることかも知れない。「こうすれば出来る」という工夫の具体性を積み上げる。分かっているふりを双方がしない、正確に伝えることを積み上げる。一朝一夕にはいかない。背伸びも逃げもせず、正確に伝える。どれも、自分自身に時々言ってみよう、と思う言葉たちでした。会場内での、元気いっぱいシッポを楽し気?に振っていた盲導犬が印象的でした。今回も、素晴らしい充実の時間をありがとうございました。
新潟市 会社員
済生会新潟第二病院眼科ー市民公開講座2017に参加の機会をいただきまして、誠にありがとうございました。参加された方々の人数や熱心さには今回も驚嘆いたしました。来年末に完成予定の「神戸アイセンター」にはこれからの眼科医療の中心となっていくような施設ではないかと感じました。将来的な治療法の一つとしての、再生医療・移殖といった技術の進歩が一層進んでいくのではと思います。視覚障害者への制度や設備、知識に関して日本は他の先進諸国と比べるとまだまだレベルが追いついていないとのお話しもございましたが、今回のような公開講座があることによって、より多くに方に危機感というものを感じていただけるのでは思いました。
=============================
『済生会新潟第二病院眼科-市民公開講座2017』
日時;2017年02月25日(土)
会場:新潟大学医学部 有壬記念館(ゆうじんきねんかん)2階会議室
テーマ:「眼科及び視覚リハビリの現状と将来を語る」
主催:済生会新潟第二病院眼科
【プログラム】
座長:安藤 伸朗(済生会新潟第二病院眼科)
林 知茂 (国立障害者リハビリテーションセンター病院眼科)
・「杏林アイセンターのロービジョン外来を振り返って」
平形 明人(杏林アイセンター;主任教授)
http://andonoburo.net/on/5864
・「網膜再生医療とアイセンター」
高橋 政代(理化学研究所CDB 網膜再生医療研究開発プロジェクト)
http://andonoburo.net/on/5874
・「視覚障害リハビリテーションのこれまでとこれから」
清水 美知子(フリーランスの歩行訓練士)
http://andonoburo.net/on/5840