演題:「水枯れの大河 信濃川・千曲川に鮭の道を拓く」
講師:加藤功(NPO法人新潟水辺の会)
日時:平成28年06月08日(水)16:30 ~ 18:00
場所:済生会新潟第二病院 眼科外来
【講演抄録】
1.信濃川と鮭
信濃川は、甲斐(山梨)、武蔵(埼玉)、信州(長野) 3県境に位置する甲武信岳(2,475m)に源流を発する流路延長367km、年間流量160億m3/s、流域面積11,900km2 を有するわが国を代表する河川である。
上流部長野県内では千曲川と呼び、新潟県では信濃川と呼ばれ、平安時代以降わが国屈指の鮭の生産地として知られ、河口から300km上流の長野県松本や上田まで、秋になると数万尾の鮭が遡上する自然豊かな河川であった。平安初期に書かれた「延喜式」には、信濃国より大和朝廷への鮭の献上記録が多く残されている。
昭和10年代に始まった国策の電源開発により信濃川や千曲川での大規模なダム建設が始まると、ダムの落差による減水区間と無水区間が発生し、信濃川中流域より上流に鮭の姿が消えた。これは生態系や河川環境の保護より、経済やインフラを優先した結果であった。
2.水害と川の恵み、そして食文化
「鮭」は、全国的に「鰤(ぶり)」と並ぶ“年取り魚・食文化”であり、西の「鰤文化圏」に対して、越後以北を「鮭文化圏」と称し、かつてどこの河川でも鮭が遡上していた。流域に住む人々は、遡上する鮭や鱒などの魚を食べ、川と密接な関わりを持っていた。
しかし川は、水害というものを同時に抱えている。経済の発展とともに人々は川に背を向けるようになり、「良い子は川で遊ばない」の看板や川の災害については人が語るが、自然と人間の付き合い方や折り合いについて考えることが無くなっている。
3.鮭の稚魚放流
大河・信濃川・千曲川水系で、産卵・孵化した鮭の稚魚が安全に日本海まで降り、3~4年後に太平洋で育った成魚が再び河口新潟から長野まで遡上できるかつての河川環境を夢見て、新潟水辺の会は10年前より活動を始めた。
なぜ鮭が遡上出来ないかなどの問題点を調査すると共に、千曲川へ鮭を戻すため、地球環境基金、三井物産環境基金の助成支援を受けて、9年間で190万尾の稚魚を、千曲川・信濃川に放流してきた。
4.65年振りの鮭のヤナ落ち
鮭稚魚放流を始めて3年目の平成22年10月20日、実に65年振りに信濃川の河口より254km上流の上田市の千曲川にある中山ヤナに、体長60 cm、体重1.6 kgのメス鮭が落ちた。(ヤナ場に魚がかかることを上田では「ヤナ落ち」と言う)2年後の平成24年11月13日、同じヤナ場に体長56 cm、体重1.7kgのオス鮭が落ちた。
その後、2016年11月25日から12月3日にかけ立て続けに5尾の鮭がヤナに落ち、連日新聞・テレビで取り上げられた。5尾ヤナ落ちしたことはその数倍の鮭が千曲川へ遡ってきたことを意味している。
5.レッドマウス病の発生、鮭の稚魚偶然の発見
2015年2月上旬、石川県で国が魚類の特定疾患に指定しているレッドマウス病が国内で初めて発見された。この病気は、①人には感染しない、②死亡率は、急性型で30~70%、③発生水温は13℃以上で、ほとんど全ての鮭科魚類(ニジマス、イワナを含む)に感染する特徴がある。
長野県は海なし県である為漁業は、河川と養魚場の魚をメインとしている。その為長野県より稚魚放流の自粛要請があり、2016年春の稚魚放流を中止した。
そんな中の2016年2月、千曲川の中流部において鮭の稚魚1尾が偶然発見された。私たちのこれまでに稚魚放流した鮭が大きくなり、故郷の千曲川に戻ってきたことを意味している。
6.発眼卵の河床埋設放流
当会は鮭を遡上される団体ではなく、鮭を河川環境回復の指標とし、信濃川・千曲川での生物循環経路を将来にわたり、持続可能な環境での復元を願っている。
これまで信濃川の支川・能代川に遡上した鮭を採卵、人工ふ化させ大きくなった稚魚を千曲川へ放流することで千曲川への鮭の回帰を目指してきた。
今後は人工ふ化放流に頼るだけでなく、鮭の発眼卵の河床埋設による自然孵化の定着を図る。これにより信濃川を、生物の豊かに生存する普通の河川に戻すことの一環であると考えている。
@「NPO法人新潟水辺の会」
http://niigata-mizubenokai.org/
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「新潟大学工学部渡辺研究室」と「新潟市障がい者ITサポートセンター」のご協力により実況ネット配信致します。以下のURLにアクセスして下さい。
http://www.ustream.tv/channel/niigata-saiseikai
当日の視聴のみ可能です。当方では録画はしておりません。録画することは禁じておりませんが、個人的な使用のみにお願いします。
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『済生会新潟第二病院 眼科勉強会』
1996年(平成8年)6月から、毎月欠かさずに続けています。誰でも参加出来ます。話題は眼科のことに限らず、何でもありです。参加者は毎回約20から30名くらいです。患者さん、市民の方、医者、看護師、病院スタッフ、学生、その他興味のある方が参加しています。眼科の外来で行いますから、せいぜい5m四方の狭い部屋で、寺子屋的な雰囲気を持った勉強会です。ゲストの方に約一時間お話して頂き、その後30分の意見交換があります。
日時:毎月第2水曜日16:30~18:00(原則として)
場所:済生会新潟第二病院眼科外来
*勉強会のこれまでの報告は、下記でご覧頂けます。
1)ホームページ「すずらん」
新潟市西蒲区の視覚に障がいのある人とボランティアで構成している音声パソコン教室ホームページ
http://occhie3.sakura.ne.jp/suzuran/
2)済生会新潟第二病院 ホームページ
http://www.ngt.saiseikai.or.jp/section/ophthalmology/study.html
3)安藤 伸朗 ホームページ
http://andonoburo.net/
【今後の済生会新潟第二病院眼科 勉強会 & 研究会】
平成28年07月06日 (水)16:30 ~ 17:30
第245回(16-07)済生会新潟第二病院眼科勉強会
新潟盲学校弁論大会 イン 済生会
@第1水曜日です
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平成28年07月17日(日) シンポジウム「病とともに生きる」
開場: 9時30分 講演会10時~13時
会場:「有壬記念館」(新潟大学医学部同窓会館)
http://andonoburo.net/on/4424
コーディネーター
曽根 博仁(新潟大学医学部 血液・内分泌・代謝内科;教授)
安藤 伸朗(済生会新潟第二病院 眼科部長)
基調講演 (30分)
大森 安恵(海老名総合病院・糖尿病センター;内科医、
東京女子医大名誉教授、元東京女子医大糖尿病センター長)
「糖尿病と向き合うー私の歩いた一筋の道ー」
http://andonoburo.net/on/4450
パネリスト (各25分)
南 昌江 (南昌江内科クリニック;内科医)
「糖尿病を通して開けた人生」
http://andonoburo.net/on/4462
小川 弓子(福岡市立西部療育センター センター長;小児科医)
「母として医師として~視覚障害の息子と共に~」
http://andonoburo.net/on/4478
清水 朋美(国立障害者リハセンター病院第二診療部 眼科医長)
「オンリーワンの眼科医を目指して」
http://andonoburo.net/on/4491
立神 粧子(フェリス女学院大学音楽学部・大学院 音楽研究科教授)
「続・高次脳機能障害というエベレストに登る~作戦を立ててがんばる~」
http://andonoburo.net/on/4495
ディスカッション (50分)
演者間、会場を含めた討論
13時 終了
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平成28年08月10日(水)16:30 ~ 18:00
第246回(16-08)済生会新潟第二病院眼科勉強会
「京都ライトハウス創立者・鳥居篤治郎が抱いた絶望と希望とは」
岸 博実(京都府宇治市)
平成28年09月14日(水)16:30 ~ 18:00
第247回(16-09)済生会新潟第二病院眼科勉強会
演題未定
林 豊彦(新潟大学工学部教授/新潟市障がい者ITサポートセンター長)
平成28年10月12日(水)16:30 ~ 18:00
第248回(16-10)済生会新潟第二病院眼科勉強会
(目の愛護デー講演会2016)
演題未定
大野建治(神奈川県:眼科医)
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平成28年10月23日(日)
『新潟ロービジョン研究会2016』
開場:8時45分 研究会:9時00分~13時30分
場所:有壬記念館2階会議室 (新潟大学医学部同窓会館)
新潟市中央区旭町通1-757 TEL. 025-227-2037
主催:済生会新潟第二病院眼科
参加無料
http://andonoburo.net/on/4687
1.9:00~9:05
はじめに 安藤伸朗(済生会新潟第二病院;眼科医)
2.9:05~10:35
【第1部 連携を求めて】
座長:仲泊 聡(神戸理化学研究所;眼科医)
安藤伸朗(済生会新潟第二病院;眼科医)
1-1) 20分
橋本伸子(しらお眼科;石川県白山市、看護師)
看護師が関わると、こんなに変わるロービジョンケア(仮)
1-2) 20分
三宅 琢(Studio Gift Hands;眼科医)
情報障害に情報保障の光を、患者に学ぶビジョンケア(仮)
1-基調講演)30分
山田幸男(NPOオアシス:内科医)
視覚リハビリを新潟で育む(予定)
質疑応答 20分
3.10:35~10:45 コーヒーブレイク
4.10:45~12:35
【第2部 眼科医療と視覚リハビリ】
座長:加藤 聡(ロービジョン学会理事長、東京大学:眼科医)
安藤伸朗(済生会新潟第二病院;眼科医)
2-基調講演)30分
岩瀬愛子(たじみ岩瀬眼科;眼科医)
最大のロービジョン対策は予防と治療:私の緑内障との闘い(予定)
2-1) 20分
小西 明(済生会新潟第二病院;医療福祉相談室、前新潟盲学校長)
新潟県の盲教育に尽力した眼科医 ~明治・大正期~(仮)
2-2) 20分
佐渡一成(さど眼科;仙台市;眼科医)
我が国初の眼科リハビリテーションクリニック(順天堂大学)
ー開設当時を振り返ってー(仮)
2-3) 20分
香川スミ子(元 浦和大学)
眼科医・原田政美の障害者福祉理念と功績(仮)
質疑応答 20分
5.12:35~13;25
【第3部 熊本地震を考える】(予定)
6.13:25~
おわりに 仲泊 聡(神戸理化学研究所;眼科医)
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平成28年11月09日(水)16:30 ~ 18:00
第249回(16-11)済生会新潟第二病院眼科勉強会
演題未定
青木 学(新潟市市会議員)
平成28年12月14日(水)16:30 ~ 18:00
第250回(16-12)済生会新潟第二病院眼科勉強会
演題未定
清水美知子(フリーランスの歩行訓練士)
平成29年01月11日(水)16:30 ~ 18:00
第251回(17-01)済生会新潟第二病院眼科勉強会
演者未定
平成29年02月08日(水)16:30 ~ 18:00
第252回(17-02)済生会新潟第二病院眼科勉強会
演題未定
宮坂道夫(新潟大学医学部教授)
平成29年03月08日(水)16:30 ~ 18:00
第253回(17-03)済生会新潟第二病院眼科勉強会
演題未定
栗原 隆(新潟大学人文学部教授)