『報告:シンポジウム 「患者さん・家族が語る、病の重さ」2011』
2011年12月に、第17回日本糖尿病眼学会総会(会長~安藤伸朗;2011年12月2日~4日:東京国際フォーラム)を主催しました。
この学会は、糖尿病の眼の合併症に対して、眼科医・内科医・医療スタッフが討論するという学術的な学会でありますが、患者さんに寄り添うことを目的に下記シンポジウムを行いました。ここで改めてその内容を紹介致します。
「TEAM 2011」3学会合同スリーサム
第17回日本糖尿病眼学会
シンポジウム 「患者さん・家族が語る、病の重さ」
日時:2011年12月3日16:30~18:00
会場:東京国際フォーラム ホールB7-1)
オーガナイザー:
安藤 伸朗(済生会新潟第二病院)
大森 安恵(海老名総合病院・糖尿病センター
東京女子医大名誉教授、元東京女子医大糖尿病センター長)
【オーガナイザーの言葉】
私たち医師は、データに基づいたEBM中心の医療を実践していますが、患者の心のうちをどこまで理解して診療しているのか、疑問に思うことがしばしばあります。
医者と患者の接点は病気であり、病院(医院)では医者も患者も病を治そうと思っています。しかし患者にとって病気は、幾つもある気掛かりなことの一部であり、他に沢山の悩みも抱えています。時に経済的なこと、時に対人関係、時に会社や学校のことであったりします。
病気を治す主役は患者で、医師はサポーターであると言われます。その意味では患者と医者は対等ですが、本当にそうでしょうか?英語で患者は「patient」ですが、「patient」という単語には「耐える」、「辛抱する」という意味がありま、「be patient」とは、「耐えなさい」、「辛抱しなさい」ということです。患者patientとは、洋の東西を問わず、耐えることを強いられた存在なのかもしれません。
病院hospitalが、患者にとって安らぐことのできる場、ホスピタリティーを感ずることのできる場となるためには、何よりも医療従事者が、患者の気持ちを理解する(理解しようとする)ことが大切ではないかと考えます。
本シンポジウムでは、患者さん・ご家族に、病との闘い方・付き合い方、そして本音をご自身の言葉で語って頂きました。登場するシンポジストは、ご自身あるいは家族が病と闘っている3名の現役医師と1名の大学教員(教授)です。ご自身の物語を客観的に述べることができる方々でした。
患者・家族の声に耳を傾け、想いを共有し、現場の医療を見つめ直す機会に出来ればと思います。
【パネリストの講演要約】
S-1 1型糖尿病とともに歩んだ34年
南 昌江 (南昌江内科クリニック)
http://andonoburo.net/on/4165
S-2 母を生きる 未熟児網膜症の我が子とともに
小川 弓子(福岡市立肢体不自由児施設あゆみ学園園長;小児科医)
http://andonoburo.net/on/4171
S-3 ベーチェット病による中途視覚障害の親を通して学んだこと
西田 朋美 (国立障害者リハビリテーションセンター;眼科医)
http://andonoburo.net/on/4203
S-4 夫と登る、高次脳機能障害というエベレスト
立神 粧子 (フェリス女学院大学音楽学部・大学院 音楽研究科)
http://andonoburo.net/on/4206