2013年6月5日

第7回 心療眼科研究会
 日 時  2013年6月29日(土) 17:30 – 20:30
 場 所  TKP大手町カンファレンスセンター ホール16A
 会 費  2,000円(予定人数 130名)
 ※ 日本眼科学会認定専門医 3単位(認定番号:20015)
 世話人 気賀沢 一輝 先生(杏林大学 眼科) 

 テーマ:眼科における精神科プライマリケアの実践

心療眼科研究会のご案内です。今年の研究会(第7回心療眼科研究会)は、6月29日(土)に開催されます。  
参加申し込みは、6月15日(土)までです。興味のある方はご参加く下さい。  
ホームページ:http://www.eye-center.org/jpos/index.html

プログラム
1. 症例検討
 司会進行:気賀沢 一輝 先生(杏林大学 眼科)
 アドバイザー:石郷岡 純 先生(東京女子医科大学 神経精神科 教授) 

2. 教育講演
 座長 清澤 源弘 先生(清澤眼科医院 院長)
 演題 心因性視覚障害の過去、現在、未来
 演者 気賀沢 一輝 先生(杏林大学 眼科) 

3. 特別講演
 座長 若倉 雅登 先生(井上眼科病院)
 演題 がんと総合病院精神科 ―身体科と精神科の連携(リエゾン)について―
 演者 山田 健志 先生(がん研有明病院 腫瘍精神科 部長)

 

*参加申込
 所属・名前・連絡先を記載の上、メールもしくはFAXにて事務局(下記)までお知らせください。
 〆切 2013年6月15日(土)正午

*開始時間は若干変更することがございます。

 

【問い合わせ】
 心療眼科研究会事務局
 〒101-0062 東京都千代田区神田駿河台4-3 井上眼科病院内
 Tel: 03-3295-0911(担当: 山口 内線: 7021) FAX: 03-3295-0917
 e-mail: yamaguchi-h@inouye-eye.or.jp 

 共 催 心療眼科研究会 グラクソ・スミスクライン株式会社 

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*『心療眼科研究会について』
 この研究会は以下のようなテーマを研究します。
  *器質的変化が検出されない目と視覚の異常感への対応
  *ロービジョン患者の心理的ケア
  *眼科医でもできる精神療法、薬物療法
  *EBM と NBM(Narrative Based Medicine,対話と物語に基づく医療)の融合
  *眼科の視点からの精神・視機能に関する脳研究 etc.
 我々眼科医療従事者はメンタルケア、精神医学の基本を知らなすぎるのでは?そのため、救える患者も救っていないのでは?そこで、この分野の勉強のため、この研究会を立ち上げた。

2013年6月4日

第22回視覚障害リハビリテーション研究発表大会
 ランチョンセミナー 1「最近の眼科医療とロービジョンケア」
  (2)『医療のなかでのロービジョンケアの役割』
   新井 千賀子 (視能訓練士:杏林大学)
    日時 : 2013年6月22日(土)11:55〜12:45
    会場 : チサンホテル 4階 越後の間(東)
    共催  新潟ロービジョン研究会2013 

 昨年の診療報酬改定でロービジョンケア検査診断料が認められたことは、医療の中で視覚障害に対応することが公的に認識された事を意味している。いくつかの課題はあるものの、視覚障害リハビリテーションの大きなmilestoneである。とはいえ、まだロービジョンケアはやっとスタート地点にたったにすぎない。ロービジョンケアは医療のなかでどんな役割をするものなのだろうか。 

 「人が自殺を考えたりするような危機的状況になるのは、仲間と希望とお金を同時に喪失した時だ」と 学生時代に ある人から言われたことがある。その後、リハビリテーションの授業でも同じことを教わったので、これはあながち間違いではないらしい。ロービジョンケアをやっているうちに、私はこれをかなり意識するようなった。

 多くの人は病院にいけば病気は良くなると思っている。しかし、実際には治療で回復して以前と同じ見え方になるという病気は少ない。回復が困難である病気であると診断された患者さんはどんなに視機能が高くても将来への希望を見失う。そして、こんな病気にかかっているのは自分一人だと思ったり、問題を親しい人たちと共有できずに孤独感を深めていく。さらに、就労継続が難しいと思い始め経済的な問題を抱える。この状況は、「仲間と希望とお金を同時に喪失する状況」に近くなる。

 この危機的な状況を回避する一つの方法としてロービジョンケアがある。このように考えると、ロービジョンケアの役割の別の側面も見えてくる。どんな医療者も治療や回復の困難を患者に伝える事は心が痛むはずで相応の負担がある。ロービジョンケアを導入することで、患者さんの深刻な問題が少しでも軽くなることは、患者だけでなく医療者の為にも大切な役割があると考えている。

 このような役割を果たせるロービジョンケアとはどんなものだろうか?。スタート地点にたった今、これからのロービジョンケアを医療の中でどう構築していくかを考えたい。

 

【略歴】
 1992年 筑波大学大学院教育研究科修士課程障害児教育専攻 卒業 修士(教育)
 1996年 国立小児病院付属視能訓練士学院 卒業
 1997年 国立特殊教育総合研究所(現:国立特別支援教育総合研究所)研究員
 2000年 Light House International Arlrene R.Gordon 研究所 文部科学省在外研究員
 2001年 国立特殊教育総合研究所(現:国立特別支援教育総合研究所)研究員
 2005年 杏林アイセンター ロービジョンルーム 現在に至る 

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【ランチョンセミナー】 (協賛:新潟ロービジョン研究会2013)
     6月22日(土)11:55〜12:45   (昼食~数に限りがあります)
  会場1.チサンホテル 4階 越後の間(東)
    最新の眼科医療とロービジョンケア
    「ここまで進化している!眼科の検査と治療の最前線」
          長谷部 日 (新潟大学医学部講師;眼科)
    「医療のなかでのロービジョンケアの役割」
          新井 千賀子 (視能訓練士:杏林大学)

  会場2.ときめいと 2階 会議室AB
    「『生きる』を変える,携帯端末と視覚リハ事情」
          三宅 琢(Gift Hands)、氏間 和仁(広島大学) 

*第22回視覚障害リハビリテーション研究発表大会
 プログラム:http://andonoburo.net/on/1871 

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『第22回視覚障害リハビリテーション研究発表大会』
 期 日: 2013年6月21日(金)プレカンファレンス
                22日(土)・23日(日) 本大会
 会 場:「チサン ホテル & コンファレンスセンター 新潟」4階
       http://www.solarehotels.com/chisun/hotel-niigata/ 
     「新潟大学駅南キャンパスときめいと」 2階
       http://www1.niigata-u.ac.jp/tokimate/outline.html
 メインテーマ: 「見えない」を「見える」にする「心・技・体」
 主   催 : 視覚障害リハビリテーション協会
 主   管 : 第22回視覚障害リハビリテーション研究発表大会実行委員会
 大 会 長 :  安藤 伸朗 (済生会新潟第二病院)
 実行委員長 : 渡辺 哲也 (新潟大学工学部 福祉人間工学科)
 ホームページ: http://www.jarvi2013.net/
 詳細な情報 : http://andonoburo.net/on/1690 

【事務局】
  第22回視覚障害リハビリテーション研究発表大会実行委員会事務局
   〒950-2181 新潟市西区五十嵐2の町8050番地
   新潟大学 工学部 福祉人間工学科 渡辺研究室内
  E-mail : jarvi2013info@eng.niigata-u.ac.jp
  FAX:025-262-7198

2013年6月3日

第22回視覚障害リハビリテーション研究発表大会
 ランチョンセミナー 1「最近の眼科医療とロービジョンケア」
  (1)『ここまで進化している!眼科の検査と治療の最前線』
   長谷部 日 (新潟大学医学部講師:眼科)
    日時 : 2013年6月22日(土)11:55〜12:45
    会場 : チサンホテル 4階 越後の間(東)
    共催  新潟ロービジョン研究会2013  

 眼科は技術革新が非常に早い分野である。かつては考えもつかなかったような検査方法や治療方法が次々と登場し、様々な目の疾患の治療成績の向上に結びついている。 

 最近の眼科診療を最も大きく様変わりさせたのはOCTという眼底検査装置である。ものを見るために最も重要なフィルムである網膜は厚さ0.1~0.2mmと非常に薄く、しかも透明である。このため生体の網膜の状態を詳細に観察することは不可能であった。しかしOCTは網膜の断層写真を簡単に撮影でき、しかもそこには網膜の微細な層構造が顕微鏡なみの高い解像度で写っている。OCTの登場によって様々な眼底疾患の病態が解明し、治療方法が大幅に進歩した。OCTは現在の眼科診療に欠かせない検査装置となっている。 

 眼底疾患の手術方法も大きく様変わりした。現在ではわずか0.5mmの太さの手術器具が、大半の眼底疾患の治療に使用可能となっている。手術器具が細く小さいということは、目にできる傷が小さくて済むということである。この結果、手術の傷口を縫合する機会が減り、傷口や縫合糸の刺激が原因となる術後の異物感が減り、さらに炎症が軽くなったおかげで術後の回復も早くなった。現在ではさらに細い手術器具の開発も進みつつある。 

 治療が難しかった加齢黄斑変性は、今や薬剤の注射だけで済む場合が多い。十数年前まで加齢黄斑変性には安全で有効な治療方法が存在しなかったのだが、様々な治療方法が次々と生み出され、あっと言う間に入院の必要すらなくなってしまった。現在ではこの他にもいろいろな眼底疾患に対して手術以外の治療方法を選択できるようになってきた。 

 そして最近ではiPS細胞の話題からも目が離せない。ちょっと勉強を怠っていると最新の医療からすぐに取り残されてしまう、それが現代の眼科である。本ランチョンセミナーではそんな眼科診療の進歩を、一部ではあるが紹介したい。

 

【略歴】
 H4年 新潟大学医学部卒業、新潟大学眼科入局
 H6年~H10年 新潟大学医学部大学院(医学博士)
 H11年~H12年  燕労災病院眼科
 H13年~ H14年  聖隷浜松病院眼科
 H19年~  新潟大学医歯学総合病院助教
 H25年~  新潟大学医学部講師 

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【ランチョンセミナー】 (協賛:新潟ロービジョン研究会2013)
     6月22日(土)11:55~12:45   (昼食~数に限りがあります)
  会場1.チサンホテル 4階 越後の間(東)
    最新の眼科医療とロービジョンケア
    「ここまで進化している!眼科の検査と治療の最前線」
          長谷部 日 (新潟大学医学部講師;眼科)
    「医療のなかでのロービジョンケアの役割」
          新井 千賀子 (視能訓練士:杏林大学)

  会場2.ときめいと 2階 会議室AB
    「『生きる』を変える,携帯端末と視覚リハ事情」
          三宅 琢(Gift Hands)、氏間 和仁(広島大学) 

*第22回視覚障害リハビリテーション研究発表大会
 プログラム:http://andonoburo.net/on/1871

2013年6月2日

第22回視覚障害リハビリテーション研究発表大会 ランチョンセミナー2
「『生きる』を変える,携帯端末と視覚リハ事情」  
 三宅 琢(Gift Hands)、氏間 和仁(広島大学)  
  
日時:2013年6月22日(土)11:55~12:45
  会場:ときめいと 2階 会議室AB 
  共催 新潟ロービジョン研究会2013 

 ロービジョンケアと言えばルーペや単眼鏡などのグッズを想起しやすいが、最近ではタブレット型PCであるiPad(米国アップル社)をロービジョンエイドとして活用する弱視の症例に加え、スマートフォンであるiPhone(米国アップル社)を活用している全盲の症例も存在する。障害者補助機能であるアクセシビリティ機能の基本的な考え方や構造学的なユーバーサルデザインの重要性を踏まえて、なぜそのような活用法が成立するかを具体的に解説する。

 患者がどのように活用しているかを、Gift Handsの代表として訪問した多くの施設で得た具体的な活用事例を紹介する。また眼科医としてロービジョン外来におけるタブレット型PCやスマートフォンのロービジョンエンドとしての、初回導入時の患者への問診の手順や実際の指導法について症例ごとに紹介する。いまなぜロービジョンエイドとして一般機器であるタブレット型PCやスマートフォンが重要であるかの重要性をわかりやすく解説する。

 教育の分野においてもiPad活用の有効性は報告されている。教育での活用場面には、視覚補助具・教授材・学習材をあげることができる。また本格的な使用に先駆けて行われるのがiPadの基本的な操作練習である。視覚障害者がiPadを利用する際に主に用いられるアクセシビリティ機能は〝3本指ズーム〟と〝VoiceOver〟である。これらを使いこなすためには、いくつかポイントがあるようだ。このような基本的な操作練習や概念形成が適切に行われると、iPadのその後の操作は順調に進みやすいようだ。視覚障害教育を専門とする教育学者の立場として、全国各地で実施してきた体験会や教育相談活動で得られたアクセシビリティ機能の基本練習の方法や、実際に視覚障害の特別支援学校や弱視特別支援学級などで行われている実践事例を紹介する。

 医療や教育での取組が、視覚障害リハビリテーション分野でのタブレット型PC活用を考えるきっかけになれば幸いである。

 

【略歴】
 三宅 琢  日本眼科学会眼科専門医、認定産業医、Gift Hands代表
  平成17年3月 東京医科大学卒業
  平成17年3月 東京医科大学八王子医療センター 研修
  平成19年4月 東京医大眼科学教室入局
  平成24年1月 東京医科大学 眼科 兼任助教
     永田眼科クリニック 眼科 勤務医(名古屋)
           Gift Hands 代表
  平成24年3月 東京医科大学大学院卒業
  平成25年1月 三井ホーム株式会社 産業医 

 氏間 和仁 広島大学大学院教育学研究科准教授
  平成6年3月 筑波大学理療科教員養成施設卒業
  平成6年4月 愛媛県立松山盲学校教諭
  平成17年3月 明星大学大学院人文学研究科教育学専攻修了
  平成18年4月 福岡教育大学教育学部講師
  平成20年10月 福岡教育大学教育学部准教授
  平成23年4月 広島大学大学院教育学研究科准教授
   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
  平成14年 第10回上月情報教育賞優良賞受賞
  平成15年 第13回特殊教育ソフトウェアコンクール
        特殊教育研究財団理事長奨励賞受賞 

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【ランチョンセミナー】 (協賛:新潟ロービジョン研究会2013)
     6月22日(土)11:55~12:45   (昼食~数に限りがあります)
  会場1.チサンホテル 4階 越後の間(東)
    最新の眼科医療とロービジョンケア
    「ここまで進化している!眼科の検査と治療の最前線」
          長谷部 日 (新潟大学医学部講師;眼科)
    「医療のなかでのロービジョンケアの役割」
          新井 千賀子 (視能訓練士:杏林大学)
  会場2.ときめいと 2階 会議室AB
    「『生きる』を変える,携帯端末と視覚リハ事情」
          三宅 琢(Gift Hands)、氏間 和仁(広島大学) 

2013年6月1日

第22回視覚障害リハビリテーション研究発表大会
 共催 新潟ロービジョン研究会2013

「網膜色素変性、治療への最前線」
  山本修一 (千葉大学大学院医学研究院教授 眼科学)

 網膜色素変性は長らく「不治の病」とされてきましたが、研究の急速な進歩により、治療が現実のものとなりつつあります。網膜色素変性の治療戦略は、①遺伝子治療、②網膜神経保護、③人工網膜、④網膜再生・移植に大別されます。 

 レーベル先天盲における遺伝子治療の成功は、世界的に華々しく報じられ、現在は第2相臨床試験が米英の施設で施行中です。神経保護では、米国における毛様体神経栄養因子(CNTF)の臨床試験が進行中であり、視機能の維持、視細胞数の減少抑制が確認されています。また日本では、0.15%ウノプロストン(オキュセバ(r))点眼液による第2相臨床試験で網膜感度悪化の抑制が確認され、第3相臨床試験がすでに始まっています。さらに人工網膜は、米、独、日でそれぞれ臨床試験が進行しています。 

 これらの治療法は、直ちにすべての患者さんに適応可能というわけではありませんが、間近に見える明るい希望の光であることは間違いありません。

 

【略歴】
 1983年 千葉大学医学部卒業
 1989年 千葉大学大学院医学研究科修了
 1990年 富山医科薬科大学眼科講師
 1991年 コロンビア大学眼研究所研究員
 1994年 富山医科薬科大学眼科助教授
 1997年 東邦大学佐倉病院眼科助教授
 2001年 東邦大学佐倉病院眼科教授
 2003年 千葉大学大学院医学研究院眼科学教授
 2007年 千葉大学医学部附属病院副病院長併任
 2008年 日本網膜色素変性症協会(JRPS)副会長  

2013年5月31日

第22回視覚障害リハビリテーション研究発表大会 招待講演
共催 新潟ロービジョン研究会2013

「iPS細胞を用いた網膜再生医療」  
   高橋政代(理化学研究所 発生・再生科学総合研究センター 
        網膜再生医療研究プロジェクト プロジェクトリーダー)

 我々は視覚障害の主原因のうち確立された治療法のない網膜疾患に対して、iPS細胞由来網膜細胞を用いた網膜再生治療開発を目指している。現在ES細胞由来網膜色素上皮細胞を用いてアメリカのベンチャー企業が加齢黄斑変性に移植する治療の臨床試験を始めているが、これは他人の細胞を移植する他家移植なので拒絶反応が問題となる。iPS細胞は身体中のどの組織の細胞にでも分化することができ、また例えば皮膚細胞など自分の細胞から作れるので、iPS細胞の出現で今までの移植治療の問題が解決される。 

 網膜には様々な疾患があるが、疾患によって治療に必要な細胞も異なり、治療効果も異なってくる。まずは、加齢黄斑変性に対するiPS細胞由来網膜色素上皮細胞移植の臨床研究を開始する予定で厚生労働省に申請したが、これらの臨床研究の準備は今後のiPS細胞を用いた再生医療や網膜細胞治療にすべて役立つ準備である。 

 iPS細胞を用いた再生医療に対する期待は日本では過剰になりがちである。網膜再生医療(細胞移植治療)は科学的には100年間不可能と考えられて来たことを可能にする技術で意義深く大きく報道されるが、治療として考えた場合にはその効果は限定的である。再生医療でわずかに回復させた視機能を有効に使うためにはロービジョンなどが重要であり、再生医療とリハビリテーションは対として考える必要がある。

 

【略歴】
 S61年    京都大学医学部卒業
 S61年-S62年 京都大学付属病院眼科研修医
 S63年-H4年  京都大学大学院医学博士課程
 H4年-H13年  京都大学医学部眼科助手
 H7年-H8年  アメリカ・サンディエゴ ソーク研究所研究員
 H13年-H18年 京都大学附属病院探索医療センター開発部助教授
 H18年-    理化学研究所 発生再生科学総合研究センター
                            網膜再生医療研究チーム チームリーダー
        理化学研究所 発生再生科学総合研究センター
          網膜再生医療研究開発プロジェクト プロジェクトリーダー
        (組織改正による) 
 http://www.cdb.riken.go.jp/jp/02_research/0202_creative23.html

 

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 毎年、新潟ロービジョン研究会を開催していますが、今年は視覚障害リハビリテーション研究発表大会の招待講演を共催するという形で行います。
 多くの方に参加して頂くため、登録なし、参加費なしの市民公開講座にしました。 

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第22回視覚障害リハビリテーション研究発表大会 『招待講演』
   (市民公開講座 共催「新潟ロービジョン研究会2013」)
  座長 安藤伸朗 (済生会新潟第二病院 眼科)
  1)「iPS細胞を用いた網膜再生医療」 
           高橋 政代 (理化学研究所)

  2)「網膜色素変性、治療への最前線」
           山本 修一 (千葉大学眼科教授) 

 日時 平成25年 6月23日(日) 開場 8時30分 講座  9:00〜10:50
 会場 (参加登録のある方) チサンホテル越後の間(東) 4階
    (参加登録のない方) 新潟大学駅南キャンパスときめいと 2階

 (注)どなたでも参加できますが、参加登録のあるなしで会場が異なります 

 

 

2013年5月29日

演題 「視覚障害グループセラピーの考察から見えてきたもの」
講師  小島 紀代子(NPO法人障害者自立支援センターオアシス)
          (新潟県視覚障害者のリハビリテーションを推進する会)
     
  日時:平成25年6月12(水)16:30 〜 18:00     
  場所:済生会新潟第二病院 眼科外来
 
【抄録】

 こころのケアの一つとして「グループセラピー」が2000年4月から月1回行われ、気がついたら150回になっていました。私自身も、視覚障害リハビリにご縁を得てから、19年が経っていました。目が不自由になられた5割から6割の人が「死」を考えます。そういう方たちに、グループセラピーは、本当に「こころのケア」に役立つのでしょうか?死を考えるほどの絶望からパンドラの箱の中に『希望』が見つかるのでしょうか? 

 最近のグループセラピーで、だんだん視力が落ち、悩んでおられたAさんの言葉がズシンときました。「全盲になってしまいましたが、落ち込むこともなく、平々凡々と過ごしています」と淡々と語られた時、グループセラピーを続けてきてよかったと思えた瞬間です。しかしBさん、「○○に出会えなかったら、私は、今ここにはいないでしょう」と、ドキッとする言葉を吐くのですが、自分の今を受け入れ落ち着いてみえます。グループセラピーには1回参加、「もう出なくていいよ」と、どちらかというと否定的です。ただしAさん、Bさん共に、「リハビリ外来」や「日常生活訓練センターオアシス」には顔を見せています。 

 人は、大切なものを失った時、「言葉」も失い、何をしていいか分からなくなるように思います。しかし時間の経過に伴い、何とかしたいと思う人、悶々としたまま家に閉じこもる人といろいろです。そんな時、相談できる「人や場」の情報が早く伝わるようにすることは、とても大切です。また、受け入れ難い状況を受入れ行動できる「力」を得るには?人は何により変われるのか?「こころと身体」「聴く・語る」「自力・他力」「不自由・不便」などの観点から、グループセラピーほか会の活動や、今元気で暮らしている目の不自由な人から学んだこと、見えてきたものを、お話させていただきます。

【略歴】
 1994年 「新潟県視覚障害者のリハビリテーションを推進する会」事務局
 1994年 信楽園病院「視覚障害リハビリテーション外来」スタッフ
 1995年 信楽園病院「視覚障害パソコン教室」スタッフ
 2000年 「いのちの電話」相談員認定 現在休部
 2005年 「NPO法人障害者自立支援センターオアシス」 理事・事務局
 2005年 信楽園病院移転のため活動場所を移動(有明児童センター2F)
       月2回「視覚障害リハビリテーション外来」スタッフ
       週4回「日常生活訓練センターオアシス」スタッフ
 現在に至る。

 

【済生会新潟第二病院眼科 勉強会連絡先】
  950-1104 新潟市西区寺地280-7
  済生会新潟第二病院眼科  安藤伸朗
  phone : 025(233)6161  fax : 025(233)6220
  e-mail:gankando@sweet.ocn.ne.jp

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 興味があって参加可能な方は、遠慮なくご参加下さい。どなたでも大歓迎です。(参加無料、事前登録なし、保険証不要)。ただし、お茶等のサービスもありません。悪しからず。

 今回の勉強会の一部は、「新潟大学工学部渡辺研究室」と「新潟市障がい者ITサポートセンター」のご協力によりネット配信致します。以下のURLにアクセスして下さい。下記のいずれでも視聴できます。
   http://www.ustream.tv/channel/niigata-saiseikai 
   http://nitsc.eng.niigata-u.ac.jp/saiseikai/ 
 録画はしておりません。当日の視聴のみ可能です。

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『済生会新潟第二病院 眼科勉強会』
 1996年(平成8年)6月から、毎月欠かさずに続けています。誰でも参加出来ます。話題は眼科のことに限らず、何でもありです。参加者は毎回約20から30名くらいです。患者さん、市民の方、医者、看護師、病院スタッフ、学生、その他興味のある方が参加しています。
 眼科の外来で行いますから、せいぜい5m四方の狭い部屋で、寺子屋的な雰囲気を持った勉強会です。ゲストの方に約一時間お話して頂き、その後30分の意見交換があります。
   日時:毎月第2水曜日16:30~18:00(原則として)
   場所:済生会新潟第二病院眼科外来 

*勉強会のこれまでの報告は、下記でご覧頂けます。
 1)ホームページ「すずらん」
  新潟市西蒲区の視覚に障がいのある人とボランティアで構成している音声パソコン教室ホームページ
  http://www11.ocn.ne.jp/~suzuran/saisei.html

 2)済生会新潟第二病院 ホームページ
  http://www.ngt.saiseikai.or.jp/02/ganka/index5.html

 3)安藤 伸朗 ホームページ
  http://andonoburo.net/

 

【今後の済生会新潟第二病院眼科 勉強会 & 研究会】
 平成25年6月21(金)~23日(日)
  第22回視覚リハビリテーション研究発表大会
  (兼 新潟ロービジョン研究会2013)
  最新情報 http://andonoburo.net/on/1690 
  ホームページ:http://www.jarvi2013.net/

 平成25年7月10日(水)16:30 ~ 18:00
  「新潟盲学校弁論大会 イン 済生会」 

 平成25年8月7日(水)16:30 ~ 18:00 
  「楽しい外出をサポートします! ~『同行援護』その効果とは!?~」
     奥村 京子 (社会福祉法人新潟市社会福祉協議会)

 平成25年9月11日(水)16:30 ~ 18:00
  「言葉 ~伝える道具~」
     多和田 悟 (公益財団法人日本盲導犬協会 訓練技術担当理事) 

 平成25年10月9日(水)16:30 ~ 18:00
   演題未定
     西田 朋美 (国立障害者リハビリテーション病院 眼科)

 

2013年5月28日

  演題:「インクルーシブ教育システム構築と視覚障害教育~盲学校に求められるもの~」
  講師:小西 明 (新潟県立新潟盲学校:校長)
    日時:平成25年5月8日(水)16:30 ~ 18:00 
    場所:済生会新潟第二病院 眼科外来 

【講演要旨】
1 障害者の権利に関する条約
 障害者プランが終了した後の平成16年(2004)、最近の平成23年(2011)に障害者基本法の改正がありました。この間、障害のある子どもの教育においては、平成19年に障害児教育(特殊教育)が特別支援教育という用語に改正された時でした。この前後から、それまでの統合教育とかノーマライゼーションという用語に代わり、インクルーシブ教育(インクルージョン)という用語が使われるようになりました。特別支援教育では、障害者である児童生徒とない児童生徒と共に教育を受けられるよう配慮すること。障害者である児童生徒並びにその保護者に対し十分な情報の提供やその意向を尊重すること。交流及び共同学習の推進などが課題とされました。

 同時期の平成18年(2006)、国際的な動きとして「障害者の権利に関する条約」が第61回国連総会で採択され、平成20年(2008)に発効しました。我が国は、平成19年(2007)に条約に署名し、現在批准に向け政府で検討がなされています。条約の内容は、前文と第1条から第50条まであり、全文はネットで検索していただくとして、教育に関しては第24条に示されています。24条にはインクルーシブ教育(包容教育とか共生教育と訳されている)が明記されています。これを簡略に表現すれば、
 1) 原則的に、障害のある者も障害のない者も、共に学ぶ仕組み「inclusive education system 」(署名時仮訳:インクルーシブ教育システム)であり「general education system」(署名時仮訳:教育制度一般)から排除されないこと。
 2) 共に学ぶに必要な人的・物的配慮を受ける合理的配慮が提供されること。(視覚障害者であれば、拡大図書や読書器、点字教材や指導者の配置など)
 3) 小学校や中学校等、希望する教育環境で学ぶことができる仕組みなどです。 

2 障がい者制度改革推進会議
 これを受け、我が国では平成21年(2009)12月に、条約の締結に必要な国内法の整備をはじめとする障害者に係わる制度の改革、並びに障害者施策の推進を図るため、内閣総理大臣を本部長とする「障がい者制度改革推進本部」が設置されました。さらに、同本部の下に「障がい者制度改革推進会議」 (以下:推進会議)が設置され、制度改革が行われています。

  障害者の権利に関する条約にかかるこれまでの経緯
 ・平成18年12月 国連総会において採択
 ・平成19年 9月  署名
 ・平成21年12月 内閣府「障がい者制度改革推進本部」及び「障がい者制度改革推進会議」を設置
 ・平成22年 7月 中央教育審議会「特別支援教育の在り方に関する特別委員会」(通称:特特委員会)を設置
 ・平成23年 8月 障害者基本法の一部を改正する法律が公布
 ・平成24年 5月  内閣府「障がい者制度改革推進会議」を廃止、「障害者政策委員会」を設置
 ・平成24年7月23日 特特委員会は、「共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の推進」(報告)としてとりまとめた。

3 特特委員会(報告)の要点
(1)共生社会の形成に向けて
・障害者等が、積極的に参加・貢献していくことができる社会です。それは、誰もが相互に人格と個性を尊重し支え合い、人々の多様な在り方を相 互に認め合える全員参加型の社会である。
・このような社会を目指すことは、我が国において最も積極的に取り組むべき重要な課題である。

(2)就学相談・就学先決定の在り方について
・早期からの教育相談等による、本人・保護者への十分な情報提供と共通理解・障害の状態、本人の教育的ニーズ、本人、保護者の意見、専門家の意見、学校や地域の状況等を踏まえた総合的な判断で、就学先を決定する仕組みが必要である。
・就学時に決定した「学びの場」は固定したものではなく、児童生徒のそれぞれの発達の程度、適応の状況等を勘案しながら柔軟に転学ができることが重要である。例えば、特別支援学級から通常学級へ、またはその逆など。
・個別の教育支援計画の活用

(3)障害のある子どもが通常の学級等で、十分に教育を受けられるための「合理的配慮」 及び「基礎的環境整備」
・「合理的配慮」とは、障害のある子どもが、他の子どもと平等に教育を受ける権利を享有・行使することを確保するために、学校の設置者及び学校が必要かつ適当な変更・調整を行うことであり、体制面、財政面において、均衡を失した又は過度の負担を課さないもの。 

(4)多様な学びの場の整備と学校間連携の推進
・多様な学びの場として、通常の学級、通級による指導、特別支援学級、特別支援学校それぞれの環境整備の充実を図っていくことが必要である。
・域内の教育資源の組合せ(スクールクラスター)により、域内のすべての子ども一人一人の教育的ニーズに応え、各地域におけるインクルーシブ教 育システムを構築することが必要である。例:視、聴、知、病等の学校
・センター的機能を効果的に発揮するため、各特別支援学校の役割分担や、特別支援学校のネットワーク構築が必要である。
・交流及び共同学習は、特別支援学校や特別支援学級に在籍する障害のある児童生徒等にとっても、障害のない児童生徒等にとっても、共生社会の形 成に向けて、経験を広め、社会性を養い、豊かな人間性を育てる上で、大きな意義を有するとともに、多様性を尊重する心を育むことができる。
・教育課程の位置付け、年間指導計画の作成等、交流及び共同学習の更なる計画的・組織的な推進が必要である。その際、関係する都道府県教育委員会、市町村教育委員会等との連携も重要である。 

(5)特別支援教育の充実のための教職員の専門性向上等
・インクルーシブ教育システム構築のため、すべての教員は、特別支援教育に関する一定の知識・技能を有していることが求められる。
・学校全体としての専門性を確保していく上で、校長等の管理職のリーダー シップは欠かせない。 

4 新潟盲学校の取組
(1)早期からの教育相談:相談支援センター0歳から成人まで
(2)情報発信:行政機関へのリーフレット、巡回相談、スマートサイト
(3)幼保、小、中学校特支学級との連携:研修会参加、出張支援、授業参観、学習支援教室
(4)交流及び共同学習:24・25年度実践研究校
(5)生きる力を育む指導と教職員の専門性:校内研修、情報の発信

 

【略歴】
 1977年 新潟県立新潟盲学校教諭  
    1992年 新潟県立はまぐみ養護学校教諭
    1995年 新潟県立高田盲学校教頭      
 1997年 新潟県立教育センター教育相談・特殊教育課長
 2002年 新潟県立高田盲学校校長
 2006年 新潟県立新潟盲学校校長

【後記】
 「障害者の権利に関する条約」、ここで謳われている障害者である児童生徒とない児童生徒と「共に生きる」社会を醸成するために、教育がなせることは何か?というのが今回の主題だった。
 お金ありきでなく、理念を持って先ずは動くことが大事だと。生徒が選択できること。医療・教育・福祉がチームを組むこと、、、、、。

 *障害者の権利に関する条約 第24条(教育)
 http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/rights/adhoc8/convention.html#article24

 以下のことを考えながらお聞きしておりました。
 1.二元論から一元論(インクルーシブ教育)となった場合に、教育(教師)の専門性を如何に保つか?育むか?
 2.結局は経済的な視点が、この制度には大きく関与しているのではないか?
 3.先天盲は減少しているが、後天性視力障害は増えているのでは?こうした現状では、ロービジョンケアも盲学校の仕事では?この点に関して、小西先生は、6月に新潟で開催される第22回視覚障害リハビリテーション研究発表大会において、「盲学校での中途視覚障害者支援」についての特別企画をオーガナイズしている。

  第22回視覚障害リハビリテーション研究発表大会
   ホームページ: http://www.jarvi2013.net/
  詳細な情報: http://andonoburo.net/on/1690

 今回のお話で、障害児教育の流れと現場のご苦労が語られたが、最後に新潟盲学校での積極的な取り組み(スマートサイト等)が披露された。
 その後も小西先生とお話をする時間を持つことが出来た。眼疾患(未熟児網膜症等)を持った子供たちの学童期の視機能と抱える問題点について教わった。医者は、患者と治療の時点でのピンポイントでお付き合いしているが、教育の方々は、治療後の長い10数年にも及ぶ経過で子供たちと関わっておられる。同じ方を語っていても視点が違い、とても参考になった。つくづく、もっとお話をお聞きしたいと思った。
 小西先生の、新潟盲学校のますますの発展を願います!

 

【今後の済生会新潟第二病院眼科 勉強会 & 研究会】
 平成25年6月12日(水)16:30~18:00
   「視覚障害グループセラピーの考察」
      小島 紀代子 (NPOオアシス)

 平成25年6月21(金)~23日(日)
  第22回視覚リハビリテーション研究発表大会
  (兼 新潟ロービジョン研究会2013)
   期 日:2013年6月21日(金)プレカンファレンス
             22日(土)・23日(日)本大会
   会 場:「チサン ホテル & コンファレンスセンター 新潟」4階
        「新潟大学駅南キャンパスときめいと」 2階
   メインテーマ : 「見えない」を「見える」にする「心・技・体」
    大 会 長 :  安藤 伸朗  (済生会新潟第二病院)
    実行委員長 : 渡辺 哲也  (新潟大学工学部 福祉人間工学科)

 平成25年7月10日(水)16:30 ~ 18:00
   「新潟盲学校弁論大会 イン 済生会」

 平成25年8月7日(水)16:30 ~ 18:00 
   「楽しい外出をサポートします!~『同行援護』その効果とは!?~」
     奥村 京子 (社会福祉法人新潟市社会福祉協議会)

 平成25年9月11日(水)16:30 ~ 18:00
   「言葉 ~伝える道具~」
     多和田 悟 (公益財団法人日本盲導犬協会 訓練技術担当理事)

 平成25年10月9日(水)16:30 ~ 18:00
   演題未定
     西田 朋美 (国立障害者リハビリテーション病院 眼科)

2013年5月15日

  演題:「私の目指す視覚リハビリテーションとは」
  講師:吉野 由美子 (視覚障害リハビリテーション協会会長
    日時:平成25年4月10日(水)16:30 ~ 18:00
    場所:済生会新潟第二病院 眼科外来 

【講演要約】
 私の目指す視覚リハビリテーションサービスの理想は、「一生涯を通じて、日本のどこに住んでいても、全盲でもロービジョンでも、身体障害者手帳所持の有無にかかわらず、介護保険サービスを利用していても、必要な時に視覚リハビリテーションサービスが受けられるようにすること」です。 このことが私の理想になったのは、私が高知でおこなって来た、視覚障害リハビリテーションの普及活動や、その後様々な問題を持った当事者の方との出会いを通して、そのような理想を持つようになりました。 

 そこで、この講演では、まず「高知県での普及活動で私が分かった」ことをお話しました。高知県の特徴は、県財政も貧しく、県民の所得水準が低く、公共交通機関などの社会インフラが整備されていないこと。視覚リハサービスの利用者は、7割以上が高齢者で、しかも中途視覚障害者であることです。高齢の中途視覚障害者は、「目が見えない・見えにくい状態になったら、なにもできない」とあきらめていることが多く、視覚リハに関する情報もほとんど知らせていないので、サービスを利用しようという気持ちにはなりません。だから、「利用しに来るのを待つ」のではだめで、「こちらから出ていくサービス『デリバリーサービス』でなければ、高知県には視覚リハは普及しないという戦略を立て、実施した過程をお話しました。

 次に、視覚障害者の高齢化と中途視覚障害者の割合が増加しているのは、高知県だけの特別なことではなく、日本全国どこにでも当てはまるということを、統計資料を使って説明させていただきました。 

 また日本眼科医会の研究班がおこなった2009年度の調査報告を引用して、視覚障害があって日常生活に困っている方は、手帳所持者の5倍以上になること。全盲とロービジョンの比率は1対9ほどで、ロービジョンの方が圧倒的であることを説明しました。

 しかし、一般の方たちも、行政の方たちも、視覚障害者=全盲者であり、幼い頃からの障害者であり、点字を日常的に使っている人であるという固定観念を持っていること。その観念にしたがって、今我が国の視覚障害者に対するサービスは、幼い頃からの視覚障害者で全盲の方中心で、実際視覚障害があることで日常生活に困っている方たちの多くは利用対象外になっており、視覚障害があって日常生活に困っている方のニーズには応えられていないということをお話しました。 

 このような現状の中で、大変つらい思いをしておられる方たちの事例を取り上げさせていただき、このような状況を変えて行くには、現状を理解している視覚障害当事者の方たち、支援者の方たちが積極的に啓発活動をおこない、「このケースは私の専門ではない」と言って拒まずに受け入れること。そのような悪戦苦闘の中から、新しい専門技術を作り出すこと、いろいろな関係機関との連携が重要であるこをお話し、講演を結ばせていただきました。

 私が話をさせていただいたのは、眼科外来で、視覚障害当事者の方も含め、30人ほどのとてもアットホームな雰囲気の中でした。私の話が終わった後、相互の意見交換ができ、私の講演内容について、多くの共感をいただくことができました。

 この機会でお話しさせていただけたことは、今後の私の活動の方向を決めていく、大きな手がかりとなりました。主催いただいた安藤先生、熱心に聞いてくださった参加者の皆さんに心から感謝申し上げます。 

【略歴】
 1947年 東京生まれ 65歳
 1968年 東京教育大学(現筑波大学)付属盲学校高等部普通科卒業
 1970年 日本福祉大学社会福祉学部入学
 1974年 同卒業、名古屋ライトハウスあけの星声の図書館に中途視覚障害者の相談業務担当として就職(初めて中途視覚障害者と出会う)
 1977年 東京都児童相談センター入都(障害者雇用枠)
 1989年 日本女子大学文学研究科博士課程前期社会福祉専攻入学
 1991年 同上終了(社会学修士)
 1991年10月~1999年3月まで 東京都立大学(現首都大学)人文学部 社会福祉学科助手
 1999年4月~209年3月まで 高知女子大学社会福祉学部講師→准教授
 2008年4月~任意団体視覚障害リハビリテーション協会長 

【後記】
 福島県からの参加の方も含め、30名近くの方々が参加しました。
 吉野さんは、先ずご自身の障害のことからお話を開始しました。ご自身の生い立ちから大学進学、東京でのご勤務、高知での体験等を紹介しながら、自ら描く理想の「視覚リハビリテーション」について語って頂きました。
 「ニーズは掘り起こすもの」「出張して行うリハビリ(攻めのリハビリ)」「どこでも、だれでも、いつでも、どんな場合でも、行えるリハビリ」「どんな障害にも対応できる力をつける」「連携だけではなく、どんなことでもやろうという気迫」等々の言葉が印象に残りました。
 貪欲な、そして精力的な現場の情熱を感じました。講演後の討論では、介護の方から現場へのサポートや教育も必要という声が上がりました。
 とても充実した時間を過ごすことが出来ました。吉野先生に感謝致します。

 吉野先生が会長を務める視覚障害リハビリテーション協会が主催する「視覚障害リハビリテーション研究発表大会」の第22回が、来月に新潟で開催されます。2つの招待講演(iPS細胞/網膜色素変性の治療)、2つの特別講演(心のケア/視覚障害者へのITサポート)、シンポジウム「視覚障害者の就労」、その他「歩行訓練」「スマートフォン」「盲学校」等々視覚リハビリテーションに関係する多くの課題について学ぶことができます。最新の福祉機器を揃えた機器展示、盲導犬の体験コーナーもあります。多くの方に参加して頂きたいものと準備しております。
 http://andonoburo.net/on/1690

 

 第22回視覚障害リハビリテーション研究発表大会
  期 日: 2013年6月21日(金)  プレカンファレンス
                    22日(土)・23日(日) 本大会
  会 場:「チサン ホテル & コンファレンスセンター 新潟」4階
         「新潟大学駅南キャンパスときめいと」 2階
  メインテーマ : 「見えない」を「見える」にする「心・技・体」
   大 会 長 :  安藤 伸朗  (済生会新潟第二病院)
   実行委員長 : 渡辺 哲也  (新潟大学工学部 福祉人間工学科)
   ホームページ: http://www.jarvi2013.net/

 

 

【今後の済生会新潟第二病院眼科 勉強会 & 研究会】

 平成25年6月12日(水)16:30~18:00
   「視覚障害グループセラピーの考察」
      小島 紀代子 (NPOオアシス) 

 平成25年6月21(金)~23日(日)
  第22回視覚リハビリテーション研究発表大会
  (兼 新潟ロービジョン研究会2013)
  最新情報 http://andonoburo.net/on/1690
  ホームページ:http://www.jarvi2013.net/

 平成25年7月10日(水)16:30 ~ 18:00
   「新潟盲学校弁論大会 イン 済生会」 

 平成25年8月7日(水)16:30 ~ 18:00
         「楽しい外出をサポートします!~『同行援護』その効果とは!?~」
     奥村 京子 (社会福祉法人新潟市社会福祉協議会)

 平成25年9月11日(水)16:30 ~ 18:00
   「言葉 ~伝える道具~」
     多和田 悟 (公益財団法人日本盲導犬協会 訓練技術担当理事)

 

 

 

2013年5月10日

回 西暦      開催地    会場                                     備考
  1     1992     新宿区    戸山サンライズ
  2     1993    新宿区     戸山サンライズ
  3     1994     横浜市   障害者スポーツ文化センター
  4     1995    千葉市     障害者職業総合センター
  5     1996    大阪市     大阪市立労働会館
  6     1997     横浜市     障害者スポーツ文化センター
  7     1998    千葉市      障害者職業総合センター
  8     1999     所沢市      国リハ学院
  9     2000    大阪市     大阪コロナホテル
10     2001    名古屋  名古屋国際会議場
11      2002    横浜        ウィリング横浜
12    2003     神戸        神戸国際会議場
13     2004    千葉         障害者職業総合センター
14     2005     神戸        神戸国際会議場                      LV学会合同会議
15     2006    杉並区    東京女子大                              LV学会合同会議
16     2007    大阪        大阪国際交流センター          LV学会合同会議
17     2008    仙台        仙台市医師会館
                                                                     大会長       事務局長
18     2009    高知      高知県立ふくし交流プラザ    吉野 由美子
19     2010     春日井  中部大学                           高柳 泰世      田中 正之
20     2011     島原     島原復興アリーナ             高橋 広         永井 和子
21      2012     所沢      国リハ学院                     小林 章         仲泊 聡
22    2013      新潟     チサンホテル新潟          安藤 伸朗    渡辺 哲也
                ときめいと(新潟大駅南キャンパス)