勉強会報告

2013年9月11日

第22回視覚障害リハビリテーション研究発表大会 講演要旨 特別講演
「視覚障がい者はどうして支援機器を使わないのか?」
 林 豊彦(新潟大学・教授 大学院自然科学研究科/工学部福祉人間工学科)  

 日時:平成25年6月22日 午前
 会場:チサンホテル&カンファレンスセンター新潟 越後の間

【講演要約】
1.視覚障がい者は支援機器を活用しているか?
 新潟市障がい者ITサポートセンターを設立した2008年、支援機器の使用状況を把握するためにアンケート調査を実施した。対象者は、身体障がい者手帳、療育手帳、精神障がい者福祉手帳をもつ新潟市民全員である。1500票配布し、有効回答799票をえた。視覚障がい者の内訳は41人(5.1%)であった。調査する支援機器は、代表的ないくつかの機器とし、各機器について「知らない」「聞いたことはある」「知っているが不要」「必要だが未使用」「使用中」のどれかを選んで答えてもらった。本来の調査目的は、使用状況と個人・環境要因との関係を分析することにあったが、結果は驚くべきものであった。 

 視覚障がい者の自立支援および就労・就業支援に必要な拡大読書器、Wiondows拡大鏡、ピンディスプレイ、スクリーンリーダー、光学式文字読み取り装置装置に対して、「知らない」と答えた割合は、それぞれ79.5%、85.5%、94.4%、94.4%、91.5%で、「使用中」の割合は、拡大読書器の5.1%が最高であった。このように、新潟市の視覚障がい者は、ほとんど支援機器を知らなかった。そのような現状では、潜在的なニーズはあるが、現実的なニーズは少なく、いくらサポートセンターを設置しも利用者は来てくれないことになる。

2.支援技術とその背景
 支援技術とは、TIDE(1991)の定義によれば、「機能的な制約を補い、自立生活を助け、かつ高齢者・障がい者が能力を発揮できるようにする技術」である。すなわち、能力を発揮するための環境要因のひとつである。私は医用生体工学が専門であったため、この分野に入ったとき、取りあえずアメリカのある学会・機器展示会に参加してみた。驚いたことは、日本では見たことも聞いたこともない多くの機器が展示されているばかりか、実際に使っている障がい者も参加していたことである。どうしてアメリカでは使われているに、日本では使われていないのだろうか?それが私の素朴な疑問であった。 

 その理由はすぐにわかった。日本とアメリカの法律の違いであった。アメリカでは、1990年に障がい者の差別を禁止したADA法(障がいをもつアメリカ人法)が制定され、1997年には障がい児が能力に応じて教育を受ける権利を保証する個別障害児教育法が改訂されていた。つまり、障がい者が支援機器を就学・就労に活用できる法的環境が整えられていた。そのための公的な予算措置もあった。支援機器の専門家が職業として存在し、その利用を支援するNPOも存在していた。 

3.新潟市障がい者ITサポートセンター
 嘆いているだけではしかたないので、地域の関連期間・団体・組織と連携してセンターの運営体制を整え、2009年度から実質的な支援を開始した。いまだ地域ニーズが少ないことを考慮して、事業戦略は「障がい者が必ず関係する病院と学校に対して積極的に営業活動を行い、介入する」こととした。具体的には、出前の講演会・講習会・研修会を頻繁に開催した。それが功を奏し、4月は支援件数が13件しかなかったものが、1年後には月平均50件を越えるようになった。平成24年度は、全支援件数が721件(月平均60件)、講座・研修会の開催が41件であった。支援員がひとりしかいなセンターとしては、画期的な数字ではないかと思う。 

 当センターの支援ポリシーは、単独では支援しないで、コメディカルや教師など他分野の専門家といっしょに支援することである。すなわち、障がい者がほんとうに必要としている環境を、医療・福祉・教育の専門家と恊働で整備することである。「我々ができる支援をする」のではなく、「障がい者個人にとって最適な環境を作る」ことが必要だからである。平成24年度に連携した機関・組織・団体は52におよぶ。 

4.支援体制の問題と解決策
 上記の実績にもかかわらず、我々が支援してきた障がい者は、必要としている人のごく一部にすぎない。それは当センターの支援体制そのものに問題があるからである。つまり、支援員がひとりしかいない状態では、直接的な支援をいま以上に増やすことは不可能に近い。しかし、支援技術者という職業が存在しない日本では、支援技術者の増加も困難である。

 その解決策としてひとつ考えられることは、当センターの社会的機能を、職業として成り立っている専門家に分散させることである。つまり、コメディカルと教師の一部を支援技術の専門家として育成することである。各学校・病院に、そのような専門家がひとりいれば、簡単な問題はそこで解決でき、それによって支援できる人を増やすことができる。サポートセンターは、その上部組織として、難しいケースの支援、機器情報の提供、機器の貸し出し、教育・研修などを行えばよい。そのために今年度、コメディカルを対象とした教育カリキュラムを作り、試行的に教育も行ってみた。来年度からは、新潟県作業療法士会と協力して教育を始める予定である。牛歩の歩みではあるが、前には進んでいると思う。

【略歴】
 1977 新潟大学工学部・電子工学科卒業
 1979 新潟大学大学院・工学研究科修士課程修了
     新潟大学・助手 歯学部
 1986 歯学博士 (新潟大学)
 1987 新潟大学・講師 歯学部附属病院
 1989 工学博士 (東京工業大学)
 1991 新潟大学・助教授 工学部情報工学科
 1996 Johns Hopkins大学・客員研究員
 1998 新潟大学・教授 工学部福祉人間工学科
 2008 新潟市障がい者ITサポートセンター長(兼任)

 

2013年9月6日

演題:「楽しい外出をサポートします 〜『同行援護』その効果とは〜」
講師:奥村 京子 (社会福祉法人新潟市社会福祉協議会)
 日時:平成25年8月7(水)16:30 ~ 18:00 
 場所:済生会新潟第二病院 眼科外来  

【講演要約】
 初めに、筝によるミニコンサートが行われました。
 〜ミニコンサート・プログラム〜
 1. 六段の調べ・・・・・・・・・・・・八橋検校作曲
 2. 『天空の城ラピュタ』君をのせて・・久石譲作曲
 3. 見上げてごらん夜空の星を・・・・・いづみたく作曲

 さて、「どうして同行援護の講演の前に筝(こと)の演奏を??」と、思われるかもしれませんが・・・実は、日本の伝統音楽・伝統楽器(琵琶、筝(こと)、三味線等々)と視覚障害者は密接な関係があります。 

 琵琶・筝・三味線・浄瑠璃の演奏、鍼灸按摩等の職業は江戸時代まで視覚障害者が独占しており、晴眼者はこれらの職業に就くことはできませんでした。中世のころから存在した当道座(男性盲人の自治的組織・職能団体)は幕府の保護のもとに享受された様々な特権がありました。(官位、演奏場所の提供、治外法権的な裁判等々)これぞ、中世の福祉制度と言えるでしょう。

 そのような時代背景の中で日本の伝統音楽、鍼灸医学の発展が促進されたと言われています。我が国最上級の文化遺産の「平家物語」をはじめとする日本の伝統音楽や鍼灸按摩の技術の伝播に視覚障害者が大きく関わっていたことは今更ながら驚きです。明治維新以降、当道座は廃止となり、日本の伝統楽器の演奏は一般化して晴眼者も演奏されるようになりました。

 

障がい福祉サービスの歴史
昭和37年(1962) 老人家庭奉仕員派遣制度スタート(在宅高齢)
  42年(1967) 身体障害も対象に
  45年(1970) 心身障害者(児)も対象に
  49年(1974) 盲人ガイドヘルパー派遣事業スタート
  56年(1981) 脳性マヒ者等ガイドヘルパー派遣事業スタート
  63年(1988) 視覚障害者生活介補員派遣事業スタート
平成13年(2001) 知的障害者ガイドヘルパー派遣事業スタート
  15年(2003) 支援費制度スタート(措置から契約へ)
  18年(2006) 障がい者自立支援法スタート
  23年(2011) 10月から視覚障害者ガイドヘルプが「同行援護」へ移行
  25年(2013) 障害者総合支援法スタート 

同行援護サービスの内容
 1.移動時及びそれに伴う外出先において必要な視覚的情報の支援(代筆・代読を含む)
 2.移動時及びそれに伴う外出先において必要な移動の援護
 3.排泄・食事等の介護その他外出する際に必要となる援助 

情報支援と情報提供
 1.移動中の情報提供は見えるものすべてを言葉にして伝えます。
  ただし、利用者が望まない場合は、必要に応じた情報提供を行います。
 2.外出から帰宅までは様々なことに遭遇したり、状況の変化があったりします。同行援護従事者はそれらの状況を、的確にわかりやすい言葉で伝えなくてはなりません。
 3.視覚障害者にとっての一番大切な情報は、全然に移動するために必要な情報です。二番目に大切な情報は、移動中の周囲の状況を伝えることで視覚障害者のメンタルマップ作りの手助けになるような情報です。
 4.状況説明と一口に言っても、一朝一夕で出来るわけではありません。日頃から、様々な同行援護場面を想定して、状況説明の練習をしておくとよいでしょう。

視覚障害者にとってのリハビリって?
 ・中途視覚障害の人にとっては、以前の生活を取り戻すこと?
 ・先天性視覚障害の人にとっては、見えない不自由さを感じないで生活すること?
 ~同行援護サービスでは、上記の中でも外出に関することをサポートします~

同行援護の利用によりQOL向上の事例
 Aさん 75歳 男性 中途失明
 網膜色素変性症により40歳頃から視力が衰え始める。見えにくいながらも、何とか一人で歩行出来ていたため、よくカラオケなどに行っていた。70歳になり完全に失明し、まったくどこへも出掛けなくなってしまった。歩く機会が減ったため足腰の筋力が衰えてきた。
    ↓↓ 
 保健センターから同行援護を勧められて、ガイドヘルパーと出かけるようになった。カラオケには二度と行けないと思っていたが、行けるようになった。ガイドヘルパーは歌詞も読んでくれるため、見えなくても歌うことが出来る。定期的に出かけるようになったら、足腰の筋力も付いてきて歩くことが楽しくなってきた。

 Bさん 45歳 女性 中途失明
 3年前に網膜色素変性症と診断され、あっという間に見えなくなってしまった。まさか自分が視力を失うとは夢にも思わなかった。気分も塞ぎがちになり外出する気にもなれず家事もおろそかになってきた。
    ↓↓ 
 知り合いから同行援護という制度があることを聞き区役所を通じて申し込みしてみた。初めは気乗りしなかったが、ガイドヘルパーと歩いてみたら意外と楽しかった。自分で買物ができることが何より嬉しい。洋服を買いに行く時はおしゃれして行こうという気持ちになったし、食べたいものを沢山の商品の中から選ぶことが出来る(情報支援)

 Cさん 61歳 女性 先天性視覚障害
 生まれつき見えないため、歩行訓練により慣れたところは白杖をつかって移動することが出来る。しかし、洋服や食品など買物の時は視覚的情報がないために、商品を選ぶのに不便。
    ↓↓ 
 マッサージの仕事や、サークル活動などへ行く時は一人で行っている。買い物等は母親と行っていたが母親も高齢のため付添は難しくなってきたためガイドヘルパーを利用することにした。誘導だけでなく情報支援や代読・代筆などのとき助かっている。

おわりに
 QOL(生活の質)の向上例はたくさんあります。外出によってもたらされる様々な効果は、どんなリハビリよりQOL向上に繋がっているのではないかと思います。視覚障害の皆様に、「ガイドヘルパーを利用して良かった!」と言っていただけることが、私たちガイドヘルパーにとって最高の喜びです。これからも、「安心」「安全」「楽しい」ガイドヘルプを心がけ、サービス向上に努力し、外出をサポートしていきたいと思います。 ありがとうございました 

【略歴】
 平成 9年7月 (財)新潟市福祉公社にホームヘルパーとして入職
 平成17年4月 合併により新潟市社会福祉協議会に所属変更
  障がい者訪問介護センター センター長
  移動支援事業、ガイドヘルプコーディネートを担当。同行援護・移動支援従事者養成研修の開催、事業所内の移動支援実技研修講師等を担当。
  介護福祉士、介護支援専門員、移動支援従事者指導員、福祉住環境コーディネーター新潟市社会福祉協議会に勤務する傍ら、筝(こと)による演奏活動、福祉施設でのボランティア演奏等を行っている。
 「ボランティア演奏、お気軽にお声掛けください。どこでも演奏に伺います!」

 

【後記】
 視覚障害者の外出保障は40年以上の歴史をもって継続され、ガイドヘルパー事業として徐々に改善されてきました。そして、2011年10月より同行援護事業として障害者自立支援法の個別給付と位置づけられました。これまで外出時の代筆や代読などの情報処理ないしコミュニケーション支援がガイドヘルパー事業に含まれるのか否かが問題となっていましたが、同行援護事業ではこれらがサービス内容の本質であることが明確になりました。個別給付として全国一律の制度となり、地域生活支援事業で問題となっていた地域によるばらつきが解消されるものと期待されていました。
 しかし実際には、厚生労働省が示した事業内容が市町村において徹底されるには至っておらず、統一されるべき基準が市町村によって異なる事態が発生しており、一部では混乱も生じています。
 このシステムを充分に活用し、視覚障害者の移動を保証するためには、制度のより一層の改善も必要でしょうが、利用者の上手な活用法のスキルアップもキーポイントかなと、奥村先生のお話をお伺いし感じました。
 そして何より、こうした重要なことを担っているヘルパーさんの存在の大きさを改めて感じました。

 

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【今後の済生会新潟第二病院眼科 勉強会 & 研究会】
 平成25年9月11日(水)16:30 ~ 18:00
  「言葉 ~伝える道具~」
   多和田 悟 (公益財団法人日本盲導犬協会 訓練技術担当理事)

 平成25年10月9日(水)16:30 ~ 18:00
  「眼科医として私だからできること」
   西田 朋美 (国立障害者リハビリテーションセンター病院第二診療部 眼科医長)

 平成25年11月13日(水)16:30~18:00
  「夢について」
   櫻井 浩治 (精神科医、新潟市)

 平成25年12月11日(水)16:30~18:00
   演題未定
   稲垣 吉彦 (有限会社アットイーズ;東京都新宿区)

 平成26年01月8日(水)16:30~18:00
   未定 

 平成26年02月12日(水)16:30~18:00
   演題未定
   関 恒子 (松本市)

 

2013年7月26日

 「新潟盲学校弁論大会 イン 済生会」  
 (1)「自分を信じて」 中学部 3年   
 (2)「一冊から得られること」 高等部 普通科 2年 

    日時:平成25年7月10(水)16:30 ~ 17:30 
    場所:済生会新潟第二病院 眼科外来  

 

【講演要旨】
(1)「自分を信じて」新潟県立新潟盲学校 中学部3年  

 自分はできない。あきらめようか。そう思ったことはありませんか?
 僕も今までの人生でそう思ったことは何回もあります。その中でも一番大きな挫折感を味わったのは、4歳から6歳に挑戦した、自転車に乗ることです。僕は小さい頃から目が見えません。当時の僕はそんなことを気にしてはいませんでした。兄が自転車に乗っているので、「自分も乗ってみたいな」と思い、父と母にその気持ちを伝えると、僕の誕生日に自転車を買ってくれました。 

 最初は補助輪をつけて、乗り方を父と母に教えてもらい、何回も練習しているうちに、乗れるようになりました。その時、胸は喜びで一杯になりました。次に補助輪を外して練習しました。補助輪の支えが無くなった僕は、今までのように乗れなくなりました。サドルにまたがっただけで転びました。自分で自転車を起こし、サドルには乗ることができましたが、今度はこぐ練習です。たくさん転んで擦り傷が絶えませんでした。それでも僕はくじけずに頑張りました。でも、あるとき転んだ拍子に身体を下水の蓋に打ち付け、七転八倒しました。その時僕は、「自分にはできない。あきらめようかな。」という沈んだ気持ちになりました。それから一年くらいは自転車から離れていました。

 あるとき「少し乗ってみるか」という軽い気持ちで乗ってみました。案の定僕は乗った瞬間に転んでしまいました。それを見ていた友達のお母さんが、「地面を足で蹴って、自転車が止まる前にペダルに足を乗せ、ペダルをこげば乗れるんじゃない」と、丁寧にアドバイスしてくれました。僕は、「よし!やってみよう。」と思いました。最初はうまく乗ることはできませんでしたが、2回・3回と乗っているうちに、いつの間にか乗れるようになっていました。その時は、「やった!」という満足感と、「乗れたぞ」という喜びでいっぱいになりました。 

 改めて自分を振り返ってみても、「あきらめない」という思いも、「乗れたぞ」という満足感や達成感につながったのではないかと思います。これからの人生、いろいろな障害にぶつかり、立ち止まることも多々あると思いますが、「あきらめなければ何かが見えるはず」という思いを胸に頑張っていきたいと思います。 

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(2)「一冊から得られること」新潟県立新潟盲学校 高等部 普通科2年 

 皆さんは、自分にとって最高の一冊と呼べる本がありますか?
 私は本を読んで良かったと感じたことを紹介し、皆さんに読書の良さを知ってもらいたいと思います。まず一つめは読書を共通の趣味として、周囲の人との関係を築くことができるということです。中学校に進学して間もなくの頃、私の席の近くで読書をしているクラスメートに、彼が読んでいる本について尋ねました。すると、その質問から少しずつ発展して、色々なことを話していくうちに、互いの趣味や性格、相手がどのように接して欲しいのかなどお互いに理解できるようになりました。たった一冊の本でも、「親友」と呼べる仲間を作ることができるのだな、と思いました。 

 二つめは、読書を通して難しい漢字や表現方法を無理なく覚えることができることです。さらに覚えることができるだけでなく、そこで覚えた知識を文章を書くときに利用できることです。中学校で意見文の課題が出された際、行き詰ったので、休憩しようと小説を読み始めました。その本の内容は意見文の内容と全く関係ありませんでした。しかし、読み始めて少しすると、行き詰っていたのが嘘のようにアイディアが浮かんできました。次回の意見文を書くときにも、同じように本を開いてみようと思いました。

 皆さんの中には、難しい本を読むのは疲れると思う方もいらっしゃると思います。しかし、初めから分厚い本を読まなくてはならないわけではありません。気負わず読み続ければ良いのだと思います。一方で、もっと本を読みたいのに時間がないという方もいらっしゃると思います。しかし、少しずつ読み進めても十分に楽しむことが可能なのです。疲れる、時間がないなどの理由で読書をすることを諦めず、簡単な本からでも少しずつでも本を読んでいただきたいと思います。

 最後に、今一度お尋ねします。皆さんには、自分にとって最高の一冊と呼べるものがありますか?私はそれを見つけることができて良かったと今でも思っています。そして、皆さんにも最高の一冊を見つけるためにたくさん本を読んでいただきたいと思います。

 

【後記】
 新潟盲学校の生徒の弁論大会を当院で行うようになって10年経ちます。今回も視覚に障がいを持つ中学生と高校生が、精一杯に病院で弁論を行いました。

 最初の弁論では、自転車が出来るようになるまでの苦労と、出来た時の達成感を語ってくれました。思えば自転車乗りと鉄棒の逆上がりは、多くの人にとって人生で最初の試練ではないでしょうか?この自転車乗りの試練を乗り超えることができた体験を堂々と発表してくれました。「諦めないこと」「自分を信じること」の大切さを、一生懸命に訴える中学3年生の弁士の姿に感動しました。

 2番目の弁論では、最初に「あなたにとって最高の一冊と言える本はありますか?」と皆に問いました。正直、なかなか素直に答えることが出来た人はあまりいませんでした。一冊の本を読んだことから、共通の友人を得たこと、文章表現を学んだこと等々、感動したことを訴えてくれました。この高校2年生がこのまま素直に成長してくれることを願いました。

 今年も爽やかな感動をもらいました。

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【全国盲学校弁論大会】
 大会への参加資格は、盲学校に在籍する中学部以上の生徒。高等部には、はり、きゅう、あんま、マッサージの資格取得を目指す科があり、再起をかけて入学する中高年の中途視覚障害者も多い。7分という制限時間内で日ごろ胸に秘めた思いや夢が語られる。今年で82回を迎えた。

【全国盲学校弁論大会:関東・甲信越大会】
平成25年6月21日 茨城県立盲学校(水戸市袴塚)
http://mainichi.jp/area/niigata/news/20130622ddlk15040059000c.html
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『済生会新潟第二病院 眼科勉強会』
 1996年(平成8年)6月から、毎月欠かさずに続けています。誰でも参加出来ます。話題は眼科のことに限らず、何でもありです。
 参加者は毎回約20から30名くらいです。患者さん、市民の方、医者、看護師、病院スタッフ、学生、その他興味のある方が参加しています。
 眼科の外来で行いますから、せいぜい5m四方の狭い部屋で、寺子屋的な雰囲気を持った勉強会です。ゲストの方に約一時間お話して頂き、その後30分の意見交換があります。

   日時:毎月第2水曜日16:30~18:00(原則として)
   場所:済生会新潟第二病院眼科外来 

*勉強会のこれまでの報告は、下記でご覧頂けます。
 1)ホームページ「すずらん」
  新潟市西蒲区の視覚に障がいのある人とボランティアで構成している  音声パソコン教室ホームページ
  http://www11.ocn.ne.jp/~suzuran/saisei.html

 2)済生会新潟第二病院 ホームページ
  http://www.ngt.saiseikai.or.jp/02/ganka/index5.html

 3)安藤 伸朗 ホームページ
  http://andonoburo.net/

 

【今後の済生会新潟第二病院眼科 勉強会 & 研究会】
 平成25年8月7日(水)16:30 ~ 18:00 
  「楽しい外出をサポートします! ~『同行援護』その効果とは!?~」
     奥村 京子 (社会福祉法人新潟市社会福祉協議会)

 平成25年9月11日(水)16:30 ~ 18:00
  「言葉 ~伝える道具~」
     多和田 悟 (公益財団法人日本盲導犬協会 訓練技術担当理事)

  平成25年10月9日(水)16:30 ~ 18:00
  「眼科医として私だからできること」
     西田 朋美 
    (国立障害者リハビリテーションセンター病院第二診療部 眼科医長)

 平成25年11月13日(水)16:30~18:00
   演題未定
     櫻井 浩治 (精神科医、新潟市)

 

2013年7月17日

  演題:「視覚障害グループセラピーの考察」
  講師:小島 紀代子(新潟県視覚障害者のリハビリテーションを推進する会
             NPO法人障害者自立支援センターオアシス)

    日時:平成25年6月12日(水)16:30~18:00
    場所:済生会新潟第二病院 眼科外来  

【講演要旨】
 こころのケアの一つとして2000年から行われ、150回以上続いている「グループセラピー」の考察を通して、オアシスの活動全体をみつめる良い機会になりました。視覚障害リハビリテーションは「こころのケア」に始まり、最後まで必要な治療で最も難しいと云われています。

 私たちの活動の中で『直接的なこころのケア』は、①」視覚障害リハビリテーション外来 ②グループセラピー③なんでも相談・電話相談です。
  『間接的なこころのケア』として、④パソコン・機器の使い方、点字教室 ⑤白杖・誘導歩行介護講習会 ⑥調理・化粧教室・日常生活指導・転倒予防 ⑦サマースクール・学校訪問 ⑧看護学生実習受入れ ⑨同行援護従事者養成講座 ⑩新潟県内パソコン教室姉妹校10校の開設があげられます。 

 活動の根幹は、月2回の「リハビリ外来」です。その外来は、東京から経験豊かな清水美知子先生、石川充英先生と眼科の大石正夫先生、内科の山田幸男先生他で診療が行われています。先生方は、広い視野と既成概念にとらわれないユニークな人間性をお持ちです。その精神やお考えのもとに多くの職種、人々が連携し、「チーム医療」が行われています。

Ⅰ.「グループセラピー」とは何か、目標は?
 目の不自由な人【ピア(Peer)「仲間」「対等」】が中心になり、集団で行う。

1) 同じ目の不自由な人と出会いたい。「気持ち」「情報」「考え方」を『わかちあい』抑えていた気持ち、怒り、悲しみを外に出し、役立つ情報を得て、前向きな考え方を仲間と共に身につける。

2)『わかちあい』から気持ちが楽になり、『ひとりだち』へ。ガイドヘルパー制度を使って、スーパーで買い物、近くの公園を散歩して帰宅。自分で選び自分で決めることが「自立」そして、社会参加へと。

3 『ひとり立ち』は、鬱ウツしていた気持ちが解けて、安心して自由な気持ちで話ができ、いろんなことが許せ、「社会への働きかけ」へと発展していく。

 以上が、グループセラピーの目標です。

 オアシスでは、毎月第1土曜日13時~15時に開催。メンバーは対等、個人の意志の尊重、話したくない時は話さない。この部屋で聞いたことはこの部屋に置いていく。新しいメンバーを大切に、話しやすい雰囲気を作るなど、簡単なルールのもと、目の不自由な人の司会進行で行っています。

Ⅱ.グループセラピーのアンケート調査から
 グループセラピーによく参加している人、1,2回参加した人、参加していな方に分けて、調査をしました。

○参加する目的
 「同じ目の不自由な人の話を聞いてみたい。どうして生活しているのか知りたい」

○参加してよかったことは?
 「自分だけが悩んでいるのではないことが分かった」、「前向きに考えられるようになった」「機器の情報、生活の工夫がわかった」
 よく参加する組は、「家族や晴眼者にはわからないつらさや失敗が話し合えた」、「気持ちが楽になった」

○不満に思うこと、よくない点は
 「ある程度のところで話が終わり、解決策が得られない」、「一般社会の価値観とのずれや、メンバーの固定化」

○本音が、話せたかどうか?
 1,2回組み~「何とも言えない」が66%でした。

○こころのケアに役立ちましたか?
 よく参加する組は「役立った」が92% 
 1,2回組みは、「役立たない・何とも言えない」が50%です。

○どういう時に、どういう人が参加するといいでしょうか?
 「視力低下の不安の強い 人、何か困ったことがある時、少し落ち着いた頃」。

○どういうテーマがよいですか?
 「ひとりになった時にどうしたらいいか」「毎日の生活の工夫」「視力が落ちて行く不安」「家族との葛藤」が上位、
 その他、「差別や偏見」「白杖が持てない」「冠婚葬祭の時の対処のしかた」「親や配偶者の介護」など、よく話題になるテーマです。

○家族を入れたグループセラピーの案が出ていますがどう思いますか?
 「家族も視覚障害が分かるので、あったほうがよい」1,2回参加組42%
 「家族が参加しないように思うから今のままでよい」よく参加する組33%

○まだ参加してない人に・・参加されないのはなぜですか?
 「まだ参加する気持ちになれない」「自分の気持ちが話せるかどうか心配」60% 

Ⅲ.グループセラピーのまとめ
 よく参加するAさんは、視力が落ちてくる不安を何回も何回も口に出し、好きなことを見つけ今の自分を受けとめ、全盲になられても落ち着いています。

 1.2回の参加のBさんは、まだ仲間との信頼関係ができていないので、本音が話せない、自慢話は聞かされる、足の確保も難しいなど、ある程度続けないと気持ちや情報の「わかちあい」までは到達しない。しかし、1,2回でも、『悩んでいたのは、自分一人ではない』ことが分かり、『視力が落ちて行く不安』『生活の工夫』など、グループセラピーは、継続してほしいと願っていますが、ご自分は「リハビリ外来」の先生方と話し合うほうが合っていると。

 Cさんも1,2回組みですが、オアシスの福祉機器普及係として、次の視覚障害者に教える、姉妹校にも行政への働きかけを呼び掛けるなど、「機器の使い方教室」で生き生きとしています。

 長年皆さんの傍にいる私は、『「人」は、語ること、弱さ、つらさを吐きだすことで、納得し強くなれる。聴くことにより、自分を、障害を、客観視でき、役に立つ情報を得、前向きな考え方に変化させていく』など、障害を受け容れるには、時間とお仲間の力は、大切な要素と感じています。
 グループセラピーの良い点は、前向きになれる。自分のことは自分で決める。変えられないことがあることが分かるなど。
 気をつけることは、どうしても、内側に向きがちです。新しい風、社会に働きかけること。そこだけで解決するのではなく、リハビリ外来や地域に繋がる必要性を痛感します。
 また、今後は、『家族』のグループセラピーや、家に閉じこもっている方へのアプローチの検討と、視力が低下していく方、困った時などに、なくなってはいけないのが、「リハビリ外来」・「オアシス」・「グループセラピー」だと思いました。活動の継続、広報のあり方を多くの皆さんと考えたいと思います。

Ⅳ.みえてきたこと
 メインの活動に、「パソコン・機器使い方教室」「白杖誘導歩行講習会」「調理・化粧教室」などがあります。誰もが「こころのケア」をしてもらっている感覚はなく、技術を学ぶ場として定着していますが、仲間が集まりお茶やおしゃべりができ、技術を学ぶ場が一緒にあることが、「こころのケア」として大きく貢献していると思いました。
 中途で障害者となり、言葉も失いかけた人たちが、自分を表現できる場があり、受け入れ難いことも、仲間と交ること、生活するための技術を学ぶことで、「こころ・からだ」が、強くなれます。「リハビリ外来」といろんな職種の人たちの支援を得ての『チーム医療』のお陰と思いました。
 最後に、参加した目の不自由な方にお聞きしました。「不自由・不便から得たものは?」そんなことあるわけがないと言いながら「人の気持ちが分かる」「家族の有難さ」「小さいことに感謝できる」「信頼できる仲間に出会えた」など・・「苦」を体験した人達の人間的『深さ』を垣間見た気がしました。
 どんなに科学が発達しても、「人と人との支え合い」により、絶望から「希望」が見える。相互扶助が「よりよく生きる」ための基本だと改めて感じさせていただきました。
 よき先生方とオアシスの仲間たち、支えて下さる多くの皆さん、発表の場を与えて下さった安藤先生に心から感謝申し上げます。

【略歴】
 1994年 「新潟県視覚障害者のリハビリテーションを推進する会」事務局
 1994年 信楽園病院「視覚障害リハビリテーション外来」スタッフ
 1995年 信楽園病院「視覚障害パソコン教室」スタッフ
 2000年 「いのちの電話」相談員認定 現在休部
 2005年 「NPO法人障害者自立支援センターオアシス」 理事・事務局
 2005年 信楽園病院移転のため活動場所を移動(有明児童センター2F)
       月2回「視覚障害リハビリテーション外来」スタッフ
       週4回「日常生活訓練センターオアシス」スタッフ
 現在に至る。

【後記】
 オアシスのアイドル、小島さんの講演に多くの方が集まりました。150回も続けているグループセラピー、、、、 お聞きしながら、多くの医療関係者に聞いて欲しいと思いました。 「こころのケア」から話が始まりました。
 ・受け入れ難い状況を受入れ、行動できる「力」を得るために出来ることは?
 ・舌は一枚だが耳は二つあるのだから、「語る」ことよりも「聴く」ことが大事。
 ・「不自由・不便」から得るものがあるはず。。。。
 ・医者が行うのは治療と説得、でも患者に必要なことは納得
 ・人は、大切なものを失った時、「言葉」も失い、言いだせない時がある
 ・医者は医学の力で病を治療するが、グループセラピーは自然治癒力を高める効果がある。どちらも必要、
「視力を失って得たものはありますか?」という小島さんの問いに答えてくれた皆さんの答えも印象的でした。
 ・真の友人を得た ・感謝の気持ちを持つことが出来た・・・・・・・ 

 最後にフリーアナウンサーの樋口幸子さんが登場して、皆で大きな声を出し朗読会を行いました。大きな声を出すと元気になれます。締めくくりは、素敵な詩「そのあと」(谷川俊太郎)を朗読してもらい参加者一同、感動しました。

 今回、改めて小島さんのお話を伺い、優しさ、ひたむきさに心が打たれました。益々の活躍を祈念致します。

 

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 附)「そのあと」谷川俊太郎

  そのあとがある

  大切なひとを失ったあと

  もうあとはないと思ったあと

  すべて終わったと知ったあとにも

  終わらないそのあとがある

 

  そのあとは一筋に

  霧の中へ消えている

  そのあとは限りなく

  青くひろがっている

 

  そのあとがある

  世界に そして

  ひとりひとりの心に

 http://homepage2.nifty.com/fruit~/sakuhin2013/sonoato/sonoato.html

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『NPO法人障害者自立支援センターオアシス』
 http://www.fsinet.or.jp/~aisuisin/

「グループセラピー」
 日時:第1土曜日 13時~15時まで
 場所: 有明児童センター2階相談室
 対象: 目の不自由な人と御家族
http://www.fsinet.or.jp/~aisuisin/serapy.html

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『済生会新潟第二病院 眼科勉強会』
 1996年(平成8年)6月から、毎月欠かさずに続けています。誰でも参加出来ます。話題は眼科のことに限らず、何でもありです。 参加者は毎回約20から30名くらいです。患者さん、市民の方、医者、看護師、病院スタッフ、学生、その他興味のある方が参加しています。
 眼科の外来で行いますから、せいぜい5m四方の狭い部屋で、寺子屋的な雰囲気を持った勉強会です。ゲストの方に約一時間お話して頂き、その後30分の意見交換があります。

   日時:毎月第2水曜日16:30~18:00(原則として)
   場所:済生会新潟第二病院眼科外来

*勉強会のこれまでの報告は、下記でご覧頂けます。

 1)ホームページ「すずらん」
  新潟市西蒲区の視覚に障がいのある人とボランティアで構成している音声パソコン教室ホームページ
  http://www11.ocn.ne.jp/~suzuran/saisei.html

 2)済生会新潟第二病院 ホームページ
  http://www.ngt.saiseikai.or.jp/02/ganka/index5.html

 3)安藤 伸朗 ホームページ
  http://andonoburo.net/

 

【今後の済生会新潟第二病院眼科 勉強会 & 研究会】

 平成25年8月7日(水)16:30 ~ 18:00 
  「楽しい外出をサポートします! ~『同行援護』その効果とは!?~」
     奥村 京子 (社会福祉法人新潟市社会福祉協議会)

 平成25年9月11日(水)16:30 ~ 18:00
  「言葉 ~伝える道具~」
     多和田 悟 (公益財団法人日本盲導犬協会 訓練技術担当理事)

 平成25年10月9日(水)16:30 ~ 18:00
  「眼科医として私だからできること」
     西田 朋美 
    (国立障害者リハビリテーションセンター病院第二診療部 眼科医長)

 平成25年11月13日(水)16:30~18:00
   演題未定
     櫻井 浩治 (精神科医、新潟市)

 

 

 

 

 

2013年7月15日

第22回視覚障害リハビリテーション研究発表大会 総括
 大会長 安藤伸朗 (済生会新潟第二病院) 

 2013年6月に新潟で、第22回視覚障害リハビリテーション研究発表大会を開催し、無事に終了致しました。大会の参加者数が予想を超えて多数であったこと、大会中特に混乱なく終了できたこと、参加者の評判が概ね好評であったこと等々、先ずは一安心しております。今大会は、「おもてなし」をキーワードに準備して参りました。
 プログラムは、一年かけて実行委員会で練り上げたものです。テーマを、「『見えない』を『見える』にする『心・技・体』」としました。

【特別講演】
 心:「視覚障害者に対するこころのケア」
   山田 幸男(信楽園病院/NPO法人障害者自立支援センターオアシス)
 http://andonoburo.net/on/2148

 技:「視覚障がい者はどうして支援機器を使わないのか?」
      林 豊彦(新潟大学教授 工学部福祉人間工学科)
 http://andonoburo.net/on/2144

【招待講演】市民公開講座 (共催 新潟ロービジョン研究会2013)
 体:「iPS細胞を用いた網膜再生医療」
    高橋 政代 (理化学研究所)
 http://andonoburo.net/on/2155 

   「網膜色素変性、治療への最前線」
    山本 修一 (千葉大学眼科教授)
 http://andonoburo.net/on/2163

【一般講演】
 81演題が集まりました。全ての抄録を抄録作成支援委員会で吟味して頂き、80%以上の抄録に再提出を求めましたが、演題提出者は皆、快く再提出して下さいました。抄録作成支援委員会の皆様の丁寧なお仕事に敬意を表します。
 自由演題(5題)  ※発表者のみ掲載
 1.震災半年後以降に多数が亡くなられていた視覚障害者
   加藤 俊和(全国視覚障害者情報提供施設協会)
 2.わが国における盲ろう者の実態についての調査-身体障害者手帳の交付状況をもとに
      前田 晃秀(東京都盲ろう者支援センター・筑波大学人間総合科学研究科)
 3.盲ろう者のより安全な単独歩行を実現するために行った盲導犬貸与の事例報告
   益野 健平(公益財団法人 日本盲導犬協会)
 4.中間型アウトリーチ支援の実践可能性
   西脇 友紀(国立障害者リハビリテーションセンター病院)
 5.視覚障害者に対する化粧療法の可能性-社会復帰に有効にはたらいた一例
   松下 惠(ケアメイク*リハビリテーション協会)  

 特集演題「スマートサイト」(4題)  ※発表者のみ掲載
 1.仙台・宮城版スマートサイトの仕組みと経過
   佐渡 一成(さど眼科)
 2.北海道地域におけるスマートサイトモデルの展開
   永井 春彦(勤医協札幌病院眼科)
 3.岡山県版リーフレット「かけはし」の報告
   守本 典子(岡山大学眼科・岡山県視覚障害を考える会)
 4.アメリカ合衆国の視覚障害リハビリテーション施設における「スマートサイト」活用の現状調査
   伊東 良輔(社会福祉法人北九州市福祉事業団) 

 ポスター演題(72題)
  7項目に分類しました~歩行・移動(16題)、読み(7題)、スマートサイト・連携(7題)、視覚障害教育(7題)、支援(20題)、支援機器・ITサポート(9題)、視機能・眼光学・他(6題)
 http://andonoburo.net/on/1901

【シンポジウム】
 「視覚障害者の就労支援」 
  司会:星野 恵美子 (新潟医療福祉大学)
   小島 紀代子(NPO障害者自立支援センターオアシス)、清水 晃(新潟県上越市)、今野 靖(新潟公共職業安定所)、 工藤 正一(NPO法人タートル)
 ttp://andonoburo.net/on/2263

【特別企画】
1)「歩行訓練の将来」 
   司会:山田 幸男(NPO障害者自立支援センターオアシス)
   清水 美知子(歩行訓練士;埼玉県)、松永 秀夫 (新潟県視覚障害者福祉協会)
 http://andonoburo.net/on/2010
2)「視覚障害者とスマートフォン」
   渡辺 哲也 (新潟大学工学部 福祉人間工学科)
 http://andonoburo.net/on/2218 
3)「盲学校での中途視覚障害者支援」 
   司会:小西 明 (新潟県立新潟盲学校 校長)
   話題提供:中村 信弘(秋田県立盲学校 校長)、情報提供:田邊 佳実
 http://andonoburo.net/on/2227

【ランチョンセミナー】今回試みとして、学会が主催して行いました。
 「ここまで進化している!眼科の検査と治療の最前線」 
  長谷部 日 (新潟大学医学部講師;眼科)
 http://andonoburo.net/on/2193 
 「医療のなかでのロービジョンケアの役割」
  新井 千賀子 (視能訓練士:杏林大学)
 http://andonoburo.net/on/2197
 「『生きる』を変える,携帯端末と視覚リハ事情」
  三宅 琢(Gift Hands) 氏間 和仁(広島大学)
 http://andonoburo.net/on/2166

【関連企画】
 「歩行訓練士情報交換会」「視能訓練士講習会」「地域ブロックの会」を開催しました。毎回お馴染みの「盲導犬体験コーナー」も好評でした。

 「視能訓練士講習会」(視能訓練士のみ対象) 
  私はこうやっている-ロービジョンケア症例報告会-
    司会:石井 雅子(新潟医療福祉大学医療技術学部)
 1)就学前後のロービジョンケア 小笹 一枝(浅ノ川総合病院)
 2)盲学校での学齢期ロービジョンケア 田中 敦子(秋田盲学校/秋田大学)
 3)高齢者のロービジョンケア 昆 美保(岩手医科大学) 

【福祉機器展示】 (一般開放)
 福祉機器展示会場は、これまでになく多くの方が訪問し活気がありました。
 機器展示企業&団体 (申し込み順)~ ケージーエス株式会社, 東海光学株式会社, 有限会社アットイーズ, 株式会社新潟眼鏡院, 日本テレソフト, 株式会社インサイト,(株) タイムズコーポレーション, シナノケンシ株式会社, (株)ケイメイ, アイネット株式会社,(株)西澤電機計器製作所, Gift Hands, 三菱電機株式会社 (京都製作所営業部),(株)エッシェンバッハ光学ジャパン, パナソニック株式会社・AVCネットワークス社, 日本盲導犬協会, 有限会社読書工房, ケアメイクリハビリテーション協会 

【懇親会】
 越後瞽女唄の披露や、利き酒コーナーを用意し、200名を超える方々が参加され盛況でした。
 http://andonoburo.net/on/2029

【後援】
 日本ロービジョン学会、日本視能訓練士協会、新潟大学工学部、新潟県、新潟市、新潟県眼科医会、新潟県視覚障害者福祉協会 

【登録なしで参加できるプログラム】
 1.機器展示 
 2.盲導犬体験コーナー
 3.『招待講演』共催「新潟ロービジョン研究会2013」市民公開講座 
  1)「iPS細胞を用いた網膜再生医療」 高橋 政代 (理化学研究所)
  2)「網膜色素変性、治療への最前線」 山本 修一 (千葉大学眼科教授)

【その他】
 参加登録者数は400名を超えました(例年は200名、前年の所沢で300名)。どの会場もほぼ満員の状態でした。座長の先生には時間厳守で臨んで頂き、大きく時間がずれることなく進行できました。

 最終日の招待講演は、どなたでも聴講できる市民公開講座として開催し、また直前にユーストリームを介してのネット配信も決まりました。講演会場(300名)・TV中継会場(100名)、および全国でのネット聴講(400名)での参加者を合計すると、800名超と過去最大規模となりました。

 ただ参加者数が予想を超えたため御迷惑もお掛けしてしまいました。会場が狭く立ち見が出たため講演途中でイスを搬入したり、最終日には講演会場を倍の広さに変更したり、何度も予定の変更を余儀なくさせられました。ランチョンセミナーではお弁当が足りなくなったり、懇親会も想定外の200名を超える方々が参加され、食べ物が不足がちでした。ただこうした状況も、実行委員およびスタッフの機転を利かせた献身的な活躍で、何とか乗り切ることが出来ました。そして参加された皆さまの熱心な討論が繰り広げられ、盛り上がった、有意義な大会になったのではないかと思っております。

 本大会の成功を握る5つの鍵として、以下の5点を掲げておりました。1)多くの方の参加、2)質の高い実りある議論、3)新潟をアピール、4)収支を赤字にしない、5)発表を原著に。幸いにも、このすべてを全うできそうです。特に最後の点に関しては、招待講演(2題)・特別講演(2題)・ランチョンセミナー(4題)・シンポジウム(1題)・特別企画(2題)の計11題を、総説および報告として、「視覚リハビリテーション研究」に掲載致します。ご期待下さい。

 何回も準備委員会を開催し苦労もありましたが、笑顔で当日を迎えることが出来、笑顔で無事に大会を終えることが出来たことですべてが報われたと思います。

 末筆になりましたが、終始丁寧にご指導頂いた視覚障害リハビリテーション協会、毎月実行委員会で遅くまで討議して頂いた実行委員、アルバイトとして協力頂いた医師(研修医含め)・新潟大学工学部・医学部・新潟医療福祉大学の学生、延べ50名の誘導ボランティアの皆さま、新潟市からの手話通訳の方々、労務提供して頂いた方々、ご寄付を頂いた団体や企業の方々、後援・支援を頂いた方々の全ての皆様に、厚く御礼申し上げます。

 第23回大会は、2014年7月19日(土)20日(日)、会場は同志社大学です。今度は京都でお会いしましょう。
 http://www.jarvi.org/guests/info/info20140719.html

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第22回視覚障害リハビリテーション研究発表大会
 大 会 期 間 :2013年6月22日(土)~6月23日(日)
 プレカンファレンス:6月21日(金)
 大 会 会 場 :
   チサンホテル&コンファレンスセンター新潟(4階) 越後の間
   新潟大学駅南キャンパスときめいと(2階)

【参加者・機器展示・後援・発表等の状況】
 参加者人数 403名 (会員208名、非会員162名、学生33名)
 懇親会参加者 235名 (会員・非会員・学生220名、招待者15名)
 機器展出展 18企業・団体 (機器展入場者数は未計数なるも大いに賑わう)
 後援団体 7
 協賛企業・団体 16
 発表(一般演題)81題 (一般口演9題、ポスター72題)
 発表(企画講演等)15題 (特別講演2題、招待講演2題、シンポジウム1題、特別企画3題、ランチョンセミナー4題、関連企画3題)
 取材 4件

【主催】視覚障害リハビリテーション協会 

【主管】第22回視覚障害リハビリテーション研究発表大会実行委員会 

【事務局】第22回視覚障害リハビリテーション研究発表大会実行委員会事務局
  〒950-2181 新潟市西区五十嵐2の町8050番地
  新潟大学 工学部 福祉人間工学科 渡辺研究室内 

【実行委員会】
 大   会   長:安藤 伸朗(済生会新潟第二病院 眼科)
 大会実行委員長:渡辺 哲也(新潟大学工学部福祉人間工学科)
 大会実行副委員長:松永 秀夫(新潟県視覚障害者福祉協会)
 委       員:
  伊佐 清   (トプコンメディカル新潟)
  石井 雅子 (新潟医療福祉大学医療技術学部) 
  小島 紀代子(NPO法人障害者自立支援センターオアシス)
  小西 明  (新潟県立新潟盲学校)
  中野 真範 (株式会社 新潟眼鏡院)
  張替 涼子 (新潟大学医学部 眼科)
  星野 恵美子(新潟医療福祉大学社会福祉学部)
  山口 俊光 (新潟市障がい者ITサポートセンター)
  山田 幸男 (信楽園病院内科 新潟県保健衛生センター)
                 (以上、あいうえお順)
 http://andonoburo.net/off/1624

 

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『視覚障害リハビリテーション協会』 とは?

 視覚障害日常生活訓練研究会(1972年)、日本視覚障害歩行訓練士協会(1977年)、日本視覚障害リハビリテーション協会(1987年)、ロービジョン研究会(1988年)が統合して、1992年2月15日に設立されました。
  本会は、視覚障害者に対する、福祉・教育・職業・医療等の分野におけるリハビリテーションに関心をもつ者の相互の学際的交流を図り、理解を深めるととも に、指導技術の向上を図る活動を通して、視覚障害者のリハビリテーションの発展・普及に寄与することを目的としています。様々な業種の方が、専門の枠を乗 り越えて討論できるのが魅力です。 

 視覚障害リハビリテーション協会
 http://www.jarvi.org/