済生会新潟第二病院眼科では、講師をお呼びしてアイセミナーを行っています。
今回は、松岡尚気先生(新潟大学眼科)です。
多くの方々の参加、歓迎です。
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済生会新潟第二病院 (第5回)眼科アイセミナー
日時:2013年4月23日(火)18:00 〜
会場:済生会新潟第二病院 眼科外来
講師:松岡尚気 (新潟大学眼科)
演題:新潟大学眼科における加齢黄斑変性症に対するルセンティス治療成績
参加希望の方は、下記まで連絡ください。
安藤 e-mail gankando@sweet.ocn.ne.jp
演題:新潟大学眼科における加齢黄斑変性症に対するルセンティス治療成績
講師:○松岡尚気、長谷部日、高田律子、佐藤弥生、寺島浩子、上田恵理子、佐々木亮、福地健郎(新潟大学眼科)
【目的】
新潟大学眼科のルセンティス硝子体内注射(ラニビズマブ硝子体内注射;IVR)成績を検討する
【対象】
当科で加齢黄斑変性症(AMD)に対してIVR導入期1クール施行された後、約1か月以上継続して維持期間を経過観察できた101眼
(type1:37、type2:28、PCV:29、RAP:7眼)
【検討項目】
1.病型別の治療前と最終視力の比較、
2.治療前背景因子(①PED、②hemorrhagic PED、③網膜下液、④網膜下出血、⑤黄斑浮腫、⑥治療前視力、⑦年齢、⑧性別)
3.PDT既往11例の成績
4.1年以上観察例の成績
【結果】
1.<改善/維持/悪化>
type1:5/27/5眼、type2:7/19/2眼、PCV:8/18/3眼、RAP:3/4/0眼。
2.type1のPED(+)でのみ有意差あり。
3.PDT施行後11例ではtype1で維持2例、type2で改善1例、維持8例。
4.年間平均回数 type1:4.36、type2:3.77、PCV:4.11、RAP:3.0回。
【結論】
重篤な合併症もなく、IVRは有効な治療法といえる。
略歴 松岡尚気 MD, PhD
1999年(平成11年)3月 新潟大学卒業
5月 新潟大学眼科学教室入局
2000年(平成12年)4月 海谷眼科勤務
2001年(平成13年)4月 長岡赤十字病院勤務
2002年(平成14年)4月 聖隷浜松病院勤務
2003年(平成15年)4月 厚生連村上総合病院勤務
2005年(平成17年)4月 新潟こばり病院(現 厚生連新潟医療センター)勤務
2006年(平成18年)10月 新潟大学医員
2007年(平成19年)5月 University of Southern California,
Doheny Eye Institute留学
2009年(平成21年)4月 厚生連村上総合病院勤務
2010年(平成22年)4月 新潟大学医員
2011年(平成23年) 新潟大学博士号取得
2012年(平成24年)7月 新潟大学助教
2013年(平成25年)4月 新潟大学外来長
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これまでの済生会新潟第二病院 眼科アイセミナー (第5回から改称)
(第1回)眼科カンファレンス
日時:2012年10月2日(火)19:00~
会場:済生会新潟第二病院 眼科外来
講師:八百枝 潔
(眼科八百枝医院)
(新潟大学大学院医歯学総合研究科視覚病態学分野)
演題:「緑内障治療薬による眼循環への影響」
(第2回)眼科カンファレンス
日時:2012年11月20日(火)18:30~
会場:済生会新潟第二病院 眼科外来
講師:河嶋 洋一 (参天製薬:医薬事業部技術開発)
演題:「点眼薬の開発と眼内薬物動態」
(第3回)眼科カンファレンス
日時:2013年1月8日(火)18:00~
会場:済生会新潟第二病院 眼科外来
講師:長谷部 日 (新潟大学眼科)
演題:「硝子体手術との15年間、そしてこれから」
(第4回)眼科カンファレンス
日時:2013年3月12日(火)18:00~
会場:済生会新潟第二病院 眼科外来
講師:寺島浩子 (新潟大学大学院医歯学総合研究科視覚病態学分野)
演題:「黄斑剥離を伴う裂孔原性網膜剥離の長期視力予後」
日 時:平成25年4月20日(土)17:00〜19:30
場 所:チサンホテル&コンファレンスセンター新潟(湯沢の間)
新潟市中央区笹口1-1 電話:025-240-2111(代表)
特別講演 森 和彦 (京都府立医科大学眼科学教室 講師)
演題 『緑内障手術 〜建前と本音〜』
会 費:1,000円
新潟県の眼科勤務医が中心となって「越後眼科研究会」を、平成19年5月に立ち上げ、年に2回開催しています。日頃抱えている問題や症例を話し合い、また全国で活躍している先生をお呼びして最新・最前線のお話を伺っています。
今回は、緑内障でご活躍の、森 和彦先生(京都府立医科大学眼科 講師)をお呼びしました。『緑内障手術~建前と本音~』という演題です。また一般演題も新潟県内から5題集まりました。どの演題も熱い討論が期待できます。
病院勤務医のみならず、開業医、大学勤務医、研修医、視能訓練士、看護師など多くの方々に参加して頂きたいと存じます。お気軽にご参加下さいますようお願い申し上げます。
注)医療関係者のみ(含:学生)へのご案内です
17:00 一般演題 講演7分 質疑5分
座長 村上 健治 (新潟市民病院)
1)「アイファガン点眼液0.1%について」
○千寿製薬株式会社
2)「当院での繊維柱帯切除術と術後管理」
○福島 淳志 (厚生連長岡中央綜合病院)
繊維柱帯切除術はシンプルなオペにも思えますが、術中、術後の細かいこだわり、バリエーションが術者により多々あるように思います。自分自身もまとめて考えたことなかったので、この機会に整理し発表させて頂きます。
3)「当科での白内障手術教育 CCCの作成法」
○村上 健治、根本 大志 (新潟市民病院)
CCCの作成は安全な白内障手術を行うためには必須の手技である。粘弾性物質は多数ありCCCをチストトームで行う術者もいれば前嚢鑷子で行う術者もいる。当科での作成法を紹介する。また白内障手術の全くの初心者にCCCを教える場合、どの方法がよいか皆様のお知恵を拝借したい。
4)「網膜色素変性に伴う黄斑浮腫に対する硝子体手術」〜全国の網膜硝子体専門家へのアンケートの結果から〜
○安藤 伸朗 (済生会新潟第二病院)
網膜色素変性(RP)に黄斑浮腫を伴うことが知られている。治療法のないRP患者に眼科医が出来る治療の一つが黄斑浮腫の治療である。この治療について網膜硝子体専門医にアンケート調査を行った。結果、一番選択されたのは、炭酸脱水素酵素阻害剤の内服・点眼、硝子体手術は慎重な適応が求められた。
5)「当院における2003年出生の低体重出生児の、3、6、9歳時の眼科的予後に関する検討」
○橋本 薫、吉田 博光、田中 玲子、武田 啓治 (長岡赤十字病院眼科)
平成15年当院NICUで 眼科診察をした低出生体重児の視力経過の検討。対象は45名中、3,6,9歳時の診察時に2回以上視力検査を施行した7名。治療を行ったのは5名。9歳 時に0.4以上の視力を得たのは14眼中8眼。視力結果に出生体重1000g未満と以上で差がなかった。治療開始時期が大事と思われた。
6)「縫着眼内レンズの傾斜補正で乱視が軽減した一例」
○山本 晋 (笹出線 近江眼科/新潟医療センター)
関 正明 (せき眼科/新潟医療センター)
(症例)他院にて水晶体再建術中に破嚢し、前部硝子体切除、眼内レンズ縫着を行われた83歳女性。前房、硝子体中に水晶体皮質が残存し、高眼圧をきたしたため新潟医療センターにて硝子体手術を施行した。術中に傾いた眼内レンズの位置補正を行ったところ、全乱視が術前-6.5D→術後-0.5に軽減した。
18:15 特別講演
座長 福島 淳志 (厚生連長岡中央綜合病院)
演題:『緑内障手術 〜建前と本音〜』
講師:森 和彦 (京都府立医科大学 眼科学教室 講師)
*尚、講演会終了後、19:30より『佐渡の間』にて情報交換会を予定しております。
越後眼科研究会世話人
安藤 伸朗 (済生会新潟第二病院)
村上 健治 (新潟市民病院)
鈴木 恵子 (新潟県立吉田病院)
橋本 薫 (長岡赤十字病院)
福島 淳志(長岡中央綜合病院:当番幹事)
共催:越後眼科研究会 千寿製薬株式会社
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特別講演
演題:「緑内障手術 〜建前と本音〜」
講師: 森 和彦
(京都府立医科大学 眼科学教室 講師)
【講演抄録】
緑内障ガイドラインによれば緑内障の治療は薬物・レーザー・手術から選択し、観血的手術は薬物治療やレーザー治療などの他の治療法が適切に行なえない症例や十分な眼圧下降が得られないと考えられる症例が適応とされる。その理由として、合併症なく長期にわたって眼圧をコントロールできる安全で確実な緑内障手術は存在せず、いまだに試行錯誤が繰り返されていることが挙げられる。これまでは合併症が多いものの眼圧下降作用が強力な線維柱帯切除術を少しでも安全な手術とするべく、数多くの改良が試みられてきた。
今年、わが国において認可されたシャント手術に対する期待は大きいが、実際のところは濾過手術の宿命からは逃れることができず、残念ながら理想からはほど遠いと言わざるを得ないように思われる。本講演では現在のわれわれの行なっている線維柱帯切除術を紹介するとともに、実際に思惑通りに行かなかった症例を呈示し、参加された先生方とともにレクトミーとシャント手術の建前と本音に迫ってみたい。
【略 歴】
氏 名 森 和彦(もり かずひこ)
生年月日 昭和38年9月2日 生まれ
学歴・職歴
昭和 63年3月 京都府立医科大学 卒業
昭和 63年4月 京都府立医科大学眼科学教室 入局
平成 元年4月 京都府立医科大学大学院博士課程医学研究科
平成 3年4月 アメリカ国立衛生研究所眼研究部門(NIH/NEI)客員講師
平成 5年7月 福井医科大学眼科学講座 助手
平成 7年4月 京都府立医科大学眼科学教室 助手
平成 11年4月 京都府立医科大学眼科学教室 講師
平成 15年4月 京都府立医科大学大学院医学研究科視覚機能再生外科学
(眼科学教室)講師
現在に至る
演題:「視覚障害者とスマートフォン」
講師:渡辺 哲也 (新潟大学 工学部 福祉人間工学科)
日時:平成25年3月13日(水)16:30 ~ 18:00
場所:済生会新潟第二病院 眼科外来
【講演要旨】
1.はじめに
昨今、タッチパネル操作が主体のスマートフォンとタブレットPCの広まりが目覚ましい。ロービジョンの人たちにとってこれらの機器は、画面拡大操作がしやすい、拡大読書器の代わりに使える、持ち運びに便利、そして格好いい、など利点が多い。他方で、全盲の人たちにとっては、たとえ音声出力があっても、触覚的手がかりのないタッチパネル操作は難しいのではないかと思われる。そこで、全盲の人たちがスマートフォンやタブレットPCを利用する利点と問題点について各種調査を始めた。Webを使った文献調査、利用者への聞き取り調査、音声によるタッチパネル操作実験などを通してわかってきたことを報告する。
2.GUIショックとの相似
文字中心であった二つ折り型携帯からタッチパネル操作のスマートフォンへの移行は、1990年代にコンピュータの基本ソフトが文字操作中心のMS-DOSから画像操作中心のWindowsへ移行したときに匹敵する衝撃的な変化である。両者の相似点は、(1) 取り扱う情報がテキスト情報からグラフィカル情報へ移行したことと、(2) 矢印キーを使ったテキスト情報選択からポインタを使ったアイコンの直接選択へ移行したことの2点である。
他方で異なる点は、(1) スクリーンリーダの存在と、(2) ポインタの操作方法である。1990年代前半にWindowsが普及し始めた頃、日本ではWindows用スクリーンリーダはまだ研究開発の途上にあった。他方で、iPhone、iPad、Androidが普及し始めた現在、これらのOS向けのスクリーンリーダは開発済みであるばかりか、機械に標準で装備されている。操作方法に関しては、従来のパソコンではマウスやタッチパッドを使ってポインタを動かす相対操作であるのに対して、タッチパネル操作では指先位置がポインタ位置となる直接操作である。このため、画面を見ないでも音声フィードバックさえあればユーザはアイコンを指示できる。これら二つの特徴により、全盲の人たちはスマートフォンやタブレットPCを利用できる。
3.利用方法
1)スクリーンリーダ
iPhoneやiPadには、スクリーンリーダVoiceOverが標準装備されている。AndroidにもスクリーンリーダTalkBackが標準装備されているが、日本語出力のために音声合成ソフト(ドキュメントトーカ)をインストールする必要がある。
2)アイコン等の選択
2通りの操作方式がある。直接指示方式では、触れた位置にあるアイコンなどが選択され、読み上げが行われる。続けてダブルタップすると選択決定となる。画面構成を覚えておけば操作は容易だが、画面構成が分からないと目標項目を探すのは困難である。順次選択方式では、画面上でスワイプ(フリックともいう)することで、前後の項目へ移動し、これを読み上げる。項目間を確実に移動できるが、目標項目に到達するまで時間がかかることが多い。
3)文字入力
テンキー画面によるフリック入力やマルチタップ入力(同じキーを押すたびに、あ、い、う、と変化)、50音キーボード画面やQWERTYキーボード画面が音声読み上げされる。漢字の詳細読み機能もある。いずれの方式も、個々のキーが小さいため、入力が不正確になりがちである。この問題を解決するため、iPhoneには自動修正機能が装備されている(英語版のみ)。ジョージア工科大学で開発されたBrailleTouchというアプリでは、タッチ画面を点字タイプライタの入力部に見立てて6点入力をする。
4.様々な便利アプリ
光認識、色認識、紙幣認識、拡大機能、読み上げなど、単体の機械や従来型の携帯電話で実現されてきた機能が、スマートフォンへのアプリのインストールだけで利用可能になった。インターネットとの常時接続やGPSによる位置の推定など、スマートフォンの特徴的な機能を応用した新しいアプリとしては、物体認識、屋外のナビゲーションなどがある。以下にアプリ名とその内容を紹介する。
・Fleksy:打ち間違えても、「正しい」候補を賢く表示
・Light Detector:光量を音の高低で表示
・マネーリーダー:紙幣の額面金額を読み上げ
・明るく大きく, VividCam:コントラスト改善、拡大
・TapTapSee, CamFind:視覚障害者向け画像認識
・Ariadne GPS, ドキュメントトーカボイスナビ:現在地・周囲情報・経路案内
5.まとめ
音声支援により全盲の人もタッチパネルを操作できる。しかし、アイコン等の選択や文字入力が効率的に行えるとは言いがたい。お札や色の判別などのアプリは従来の携帯電話でも利用できたが、これらを簡単にインストールできる点は利点であろう。スマートフォンで新たに実用可能になった物体認識やナビゲーション機能の実用性の検証とその発展が今後期待される。
【略歴】
平成 3年 3月 北海道大学 工学部 電気工学科 卒業
平成 5年 3月 北海道大学 工学研究科 生体工学専攻 修了
平成 5年 4月 農林水産省 水産庁 水産工学研究所 研究員
平成 6年 5月 日本障害者雇用促進協会 障害者職業総合センター 研究員
平成13年4月 国立特殊教育総合研究所 研究員
平成21年4月 新潟大学 工学部 福祉人間工学科 准教授
情報通信技術(ICT)を用いた視覚障害者支援に従事。これまでの開発成果は、スクリーンリーダ”95Reader”、電子レーズライタ”Mimizu”、漢字の詳細読み”田町読み”(iPad・iPhoneに搭載)、触地図作成システム”tmacs”など。
【後記】
現在、IT関係の発達は目覚ましいものがあります。iPadやスマートフォンに代表される携帯端末もその一つです。こうしたものが発達することは、情報をいち早く得るためや、情報を発信するために欠かせないものになってきました。一方では、こうした機器に不慣れであると、情報に取り残された、いわゆる情報難民を生み出すことになります。
視覚障害者がこうした情報難民にならないようにするために取り組んでおられる、渡辺研究室の活躍を期待したいと思います。
*参考までに
新潟大学 工学部 福祉人間工学科 渡辺研究室のWebサイト
http://vips.eng.niigata-u.ac.jp/
『済生会新潟第二病院 眼科勉強会』
1996年(平成8年)6月から、毎月欠かさずに続けています。誰でも参加出来ます。話題は眼科のことに限らず、何でもありです。 参加者は毎回約20から30名くらいです。患者さん、市民の方、医者、看護師、病院スタッフ、学生、その他興味のある方が参加しています。眼科の外来で行いますから、せいぜい5m四方の狭い部屋で、寺子屋的な雰囲気を持った勉強会です。ゲストの方に約一時間お話して頂き、その後30分の意見交換があります。
日時:毎月第2水曜日16:30~18:00(原則として)
場所:済生会新潟第二病院眼科外来
*勉強会のこれまでの報告は、下記でご覧頂けます。
1)ホームページ「すずらん」
新潟市西蒲区の視覚に障がいのある人とボランティアで構成している 音声パソコン教室ホームページ
http://www11.ocn.ne.jp/~suzuran/saisei.html
2)済生会新潟第二病院 ホームページ
http://www.ngt.saiseikai.or.jp/02/ganka/index5.html
3)安藤 伸朗 ホームページ
http://andonoburo.net/
【今後の済生会新潟第二病院眼科 勉強会 & 研究会】
平成25年8月7日(水)16:30 ~ 18:00
「楽しい外出をサポートします! ~『同行援護』その効果とは!?~」
奥村 京子 (社会福祉法人新潟市社会福祉協議会)
平成25年9月11日(水)16:30 ~ 18:00
「言葉 ~伝える道具~」
多和田 悟 (公益財団法人日本盲導犬協会 訓練技術担当理事)
平成25年10月9日(水)16:30 ~ 18:00
「眼科医として私だからできること」
西田 朋美
(国立障害者リハビリテーションセンター病院第二診療部 眼科医長)
平成25年11月13日(水)16:30~18:00
演題未定
櫻井 浩治 (精神科医、新潟市)
演題:「私の目指す視覚リハビリテーションとは」
講師:吉野 由美子 (視覚障害リハビリテーション協会会長)
日時:平成25年4月10日(水)16:30 ~ 18:00
場所:済生会新潟第二病院 眼科外来
【抄録】
私は、先天性白内障手術後の無水晶体眼で矯正視力右0.03、左0.1のロービジョンがあり、原因不明で大腿骨が外側に湾曲するという重複障害を持って生きて来た。
大学卒業後、その頃社会問題になりつつあった中途視覚障害者に対する相談業務を行うようにいわれて、名古屋ライトハウスあけの星声の図書館(点字図書館)に就職。そこで出会った中途視覚障害者の姿に衝撃を受け、視覚障害リハビリテーションの普及を自分のライフワークと決めた。
本講演では、主に高知女子大時代に行った視覚障害リハビリテーションシステム構築活動を通して出会ったことから学んだこと、自己のロービジョン当事者の体験などを通じて感じた様々な不満などから、思い描くようになった「私の理想とする視覚リハビリテーションのあり方」について述べることを目的とする。
私がする話は、訪問でリハビリテーションを行っている視覚障害者生活訓練指導員(歩行訓練士)や相談支援に携わっている人たちの間では、「そういうことは良くあるね」といわれている問題点だが、きちんとした調査などで学問的に証明されていない事である。この機会に多くの皆さんに感心を持っていただき、研究分野からのアプローチの道が開けたらと思う次第である。
【略歴】
1947年 東京生まれ 65歳
1968年 東京教育大学(現筑波大学)付属盲学校高等部普通科卒業
1970年 日本福祉大学社会福祉学部入学
1974年 同卒業、名古屋ライトハウスあけの星声の図書館に中途視覚障害者の相談業務担当として就職(初めて中途視覚障害者と出会う)
1977年 東京都児童相談センター入都(障害者雇用枠)
1989年 日本女子大学文学研究科博士課程前期社会福祉専攻入学
1991年 同上終了(社会学修士)
1991年10月~1999年3月まで 東京都立大学(現首都大学)人文学部社会福祉学科助手
1999年4月~209年3月まで 高知女子大学社会福祉学部講師→准教授
2008年4月~任意団体視覚障害リハビリテーション協会長
【済生会新潟第二病院眼科 勉強会連絡先】
950-1104 新潟市西区寺地280-7
済生会新潟第二病院眼科 安藤伸朗
phone : 025(233)6161 fax : 025(233)6220
e-mail:gankando@sweet.ocn.ne.jp
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興味があって参加可能な方は、遠慮なくご参加下さい。どなたでも大歓迎です。
(参加無料、事前登録なし、保険証不要)。ただし、お茶等のサービスもありません。悪しからず。
今回の勉強会の一部は、「新潟大学工学部渡辺研究室」と「新潟市障がい者ITサポートセンター」のご協力によりネット配信致します。以下のURLにアクセスして下さい。下記のいずれでも視聴できます。
http://www.ustream.tv/channel/niigata-saiseikai
http://nitsc.eng.niigata-u.ac.jp/saiseikai/
録画はしておりません。当日の視聴のみ可能です。
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『済生会新潟第二病院 眼科勉強会』
1996年(平成8年)6月から、毎月欠かさずに続けています。誰でも参加出来ます。話題は眼科のことに限らず、何でもありです。
参加者は毎回約20から30名くらいです。患者さん、市民の方、医者、看護師、病院スタッフ、学生、その他興味のある方が参加しています。
眼科の外来で行いますから、せいぜい5m四方の狭い部屋で、寺子屋的な雰囲気を持った勉強会です。ゲストの方に約一時間お話して頂き、その後30分の意見交換があります。
日時:毎月第2水曜日16:30~18:00(原則として)
場所:済生会新潟第二病院眼科外来
*勉強会のこれまでの報告は、下記でご覧頂けます。
1)ホームページ「すずらん」
新潟市西蒲区の視覚に障がいのある人とボランティアで構成している
音声パソコン教室ホームページ
http://www11.ocn.ne.jp/~suzuran/saisei.html
2)済生会新潟第二病院 ホームページ
http://www.ngt.saiseikai.or.jp/02/ganka/index5.html
3)安藤 伸朗 ホームページ
http://andonoburo.net/
【今後の済生会新潟第二病院眼科 勉強会 & 研究会】
平成25年5月8日(水)16:30~18:00
「インクルーシブ教育システム構築と視覚障害教育盲学校に求められるもの~」
小西 明 (新潟県立新潟盲学校:校長)
日 時 2013年6月29日(土) 17:30 – 20:30
場 所 TKP大手町カンファレンスセンター ホール 16A
会 費 2,000円(予定人数 130名)
※ 日本眼科学会認定専門医 3単位(認定番号:20015)
世話人 気賀沢 一輝(杏林大学 眼科)
テーマ:眼科における精神科プライマリケアの実践
【プログラム】
1. 症例検討(演題募集中)
司会進行:気賀沢 一輝 (杏林大学 眼科)
アドバイザー:石郷岡 純(東京女子医科大学教授 神経精神科)
2. 教育講演
座長 清澤 源弘(清澤眼科医院 院長)
「心因性視覚障害の過去、現在、未来」
気賀沢 一輝 (杏林大学 眼科)
3. 特別講演
座長 若倉 雅登 (井上眼科病院)
「がんと総合病院精神科 ―身体科と精神科の連携(リエゾン)について―」
山田 健志 (がん研有明病院 腫瘍精神科 部長)
【一般演題及び参加申込】
一般演題
4題(テーマにはこだわりません。質疑合わせて15分程度)
400字前後の抄録を添付の上、メールにてお送り下さい。
〆切 2013年5月31日(金)
参加申込
ご所属・お名前・ご連絡先を記載の上、メールもしくはFAXにて事務局までお知らせください。
〆切 2013年6月15日(土)正午
*開始時間は若干変更することがございます。
【問い合わせ】
心療眼科研究会事務局
〒101-0062 東京都千代田区神田駿河台4-3 井上眼科病院内
Tel: 03-3295-0911(担当: 山口 内線: 7021) FAX: 03-3295-0917
e-mail: yamaguchi-h@inouye-eye.or.jp
【ウェブサイト】新規開設
http://www.eye-center.org/jpos/index.html
共 催 心療眼科研究会 グラクソ・スミスクライン株式会社
演題:「歩行訓練40余年を振り返る」
講師:清水 美知子 (フリーランスの歩行訓練士;埼玉県)
日時:平成25年2月13日(水)16:30 ~ 18:00
場所:済生会新潟第二病院 眼科外来
【講演要約】
今回の勉強会には6名の方が盲導犬とともに参加されました。当初は杖を使った歩行訓練についてお話しする予定でしたが、床に臥している6頭の盲導犬を前にして、自然に口から出て来たのはわが国の盲導犬に関する歴史でした。
国産第一号の盲導犬は塩屋賢一さん(東京盲導犬協会:現「アイメイト協会」の創設者)が訓練したチャンピイですが1)、その18年前の1939年にはドイツから購入した4頭の盲導犬が陸軍病院で訓練され、戦争で失明した軍人に与えられています2)。1970年以降、国産の盲導犬訓練事業が本格化するまで、外国産の盲導犬を使う例は他にもあったようです。佐々木たづさんは著書3)の中で、英国産の盲導犬を日本の道路環境に順応させる大変さを述べています。Howard Robsonさん(1970年代に盲導犬訓練施設を開設すべく民間企業に招かれて英国から来日した盲導犬訓練士)は、当時の日本の道路状況が英国に比べて非常に悪く(歩道がない、側溝に蓋がないなど)、自国での訓練法、歩行方法がそのままでは通用しないことについて驚きとともに書いています4,5)。
一方、米国でHooverらによって開発された長い杖(a long cane)を使った歩行方法6)は、1960年代の中頃にわが国に伝えられました。杖を使って歩く方法についての記述はそれ以前にも国内外にありましたが7,8)、普及しませんでした。その後、1970年にAmerican Foundation for Overseas Blind(AFOB)の支援を得て、日本で初めての歩行訓練指導員講習会が日本ライトハウスで開催されました。1972年からは、厚生省の委託を受け、毎年、盲人歩行訓練指導員研修として開催されました。そして1990年には、国立身体障害者リハビリテーションセンター学院(現「国立障害者リハビリテーションセンター学院」)に視覚障害生活訓練専門職養成課程が開設され、この時から指導内容が「歩行訓練」のみではなく、コミュニケーション訓練、日常生活動作訓練など視覚障害者の社会適応訓練全般に変わりました。職名の呼び名も「視覚障害生活訓練専門職」(国リハ)や「視覚障害生活訓練指導員」(日本ライトハウス)となりました。
ここでわが国の視覚障害リハビリテーションについて振り返ると、1948年に東京と塩原に光明寮が開設されて以来、三療師を職業ゴールとする職業リハビリテーションに終始してきました。1970年代に入り歩行訓練士が養成され、七沢ライトホームなど新たな施設が開設され、社会適応訓練が実施されるようになりましたが、職業訓練の前段階に位置づけられ、学習技能(例:点字)の習得および寮生活の自立を主な目的とした個別性の乏しい画一的なプログラムでした。それでも1970,80年代は施設を拠点とした歩行訓練の最盛期で、1977年には日本歩行訓練士協会も発足しました(1991年に解散)。1990年代になると、職業訓練を希望する入所者の減少が目立ち始め、2000年以降は大きく定員を下回った状況が続き、歩行訓練指導の件数も減ってきました。
歩行訓練が行われる場所に関して考えると、施設での歩行訓練は施設生活には有用ですが、退所後は習得技術を生活環境に合わせて調整したり、地理道路情報を集めたり、経路を開拓したりといった作業を、見えない・見えにくい状態で、すべて自分でしなければなりません。それに比べ生活圏での訓練は、生活スタイルを変えることなく訓練を受けられ、実環境に特化した技能の習得により訓練の成果を直ちに生活に反映させることができるなど多くの利点があります。最近、地域で歩行訓練を提供する機関は増えており、全国で70ヶ所を越えると推定されます。ただしこれらの機関の多くは中途失明者緊急生活訓練事業あるいは独自の財源で運営する団体のため、財政的基盤が小規模かつ脆弱で、訓練頻度や訓練期間などに制約が生じ、当事者の状況や要望に応えられているとは言えないのが現状です。
この40余年間に歩行訓練の内容も変化しました。そのいくつかを以下に記します。
1.杖操作法の主流が二点打法 (Two-Point Touch Technique) 9)から常時接地法(ConstantContact Technique)10)
2.聴覚的な手がかりより触覚的な手がかりを重視した歩行方法11)の定着
3.交通環境の変化(例:定周期制御から感応制御式信号へ)による指導内容の改変
4.訓練士主導から訓練生の主体性を尊重した訓練へ
これまでに、点字ブロック、音響信号機、エスコートゾーン、ホームドア、など移動支援設備が普及しつつありますが、交通の慢性的な混雑、歩道上の自転車交通、高齢者などモビリティ障害者との衝突、交差点の信号制御の複雑化、駅プラットホームからの転落の危険、自動車の静音化など視覚障害者を悩ませる数多くの問題が解決されるにはまだまだ時間がかかるでしょう。そのため残念ながら、現状では都市部の不慣れな地域の外出にはガイドを使って行動するのが合理的で安全と言えるかもしれません。でも、日々の生活環境を考えると、徒歩圏内にもコンビニ、スーパー、友人宅、バス停など多くの目的地があります。路線バスで数駅足を延ばせば、さらに目的地は増えるでしょう。経路を決め、繰り返し歩き、道筋を熟知すると、ひとりで行ける身近な場所は意外と多くあるものです。社会生活を営む上で、自らの意志選択で自由に外出できるということは大切です。歩行訓練士は目的地まで安全に移動するための方法や経路選択について、専門的見地から助言します。
季節は今、冬から春へと向かっています。外に出て、移りゆく季節を楽しむことができる時期です。歩行訓練士とともに散歩道を探してみてはいかがでしょうか。
【参考文献】
1. 河相洌(1981)、ぼくは盲導犬チャンピイ,偕成社
2. 葉上太郎(2009)、日本最初の盲導犬、文芸春秋
3. 佐々木たづ(1964)、ロバータさあ歩きましょう、朝日新聞社
4. Robson, H. (1976), Guide Dog Training in Japan- 1, New Beacon, 60,13-117
5. Robson, H. (1976), Guide Dog Training in Japan- 2, New Beacon, 60,41-143
6. Bledsoe, C.W. (2010), The Originators of Orientation and Mobility Training, Foundations of Orientation and Mobility edited by W.R. Wiener, et.al. AFB Press
7. Levy, W. H. (1872), Blindness and the Blind, Chapman and Hall, London
8. 木下和三郎(1939)、盲人歩行論、傷兵保護院
9. Hill, E. & Ponder, P. (1976), Orientation and Mobility Techniques: A Guide for the Practitioner,American Foundation for the Blind, New York
10. Fisk, S. (1986),Constant-Contact Technique with a Modified Tip: A New Alternative for Long-cane Mobility, Journal of Visual Impairment and Blindness, 80, 999-1000
11. 村上琢磨(2011)、私の歩行訓練史(特別講演)、第37回感覚代行シンポジウム講演論文集
【略歴】
1979年~2002年 視覚障害者更生訓練施設に勤務、その後在宅視覚障害者の訪問訓練事業に関わる
1988年~ 新潟市社会事業協会「信楽園病院」にて、視覚障害リハビリテーション外来担当。
2002年~ フリーランスの歩行訓練士
現在に至る
(参考) 清水美知子 ホームページ
http://www.ne.jp/asahi/michiko/visionrehab/
【後記】
最初に盲導犬を使った日本人はどなたですか?と盲導犬のことから話が始まりました。盲導犬のこと、歩行訓練のこと、歴史と共に多くの知識が語られました。多くは知らないことばかりでしたが、歴史の流れを学び、今の現状の一端を知ることが出来ました。特に戦勝国は軍隊が残り、負傷した兵士は国が治療しリハビリをしたが、敗戦国では傷痍軍人には治療はおろかリハビリもされなかったという下りに合点が行きました。
最後に、6月21日(金)午後、新潟で行う視覚リハ大会プレカンファレンスで、「歩行訓練の将来」というテーマで、清水さん、山田幸男先生、松永秀夫さんの3人で討論するので、是非、聞きに来てほしいとのメッセージがありました。
『第22回視覚障害リハビリテーション発表大会』(2013 新潟)
兼 新潟ロービジョン研究会2013
http://andonoburo.net/on/1690
【特別企画】
「歩行訓練の将来」 6月21日(金)午後
山田 幸男(司会:信楽園病院/NPO障害者自立支援センターオアシス)
清水 美知子(歩行訓練士;埼玉県)
松永 秀夫(新潟県視覚障害者福祉協会)
いつも清水美知子さんの話は、魅力いっぱいです。今後の益々の発展を期待します。
【今後の済生会新潟第二病院眼科 勉強会 & 研究会】
平成25年4月10日(水)16:30 ~ 18:00
「私の目指す視覚リハビリテーションとは」
吉野 由美子 (視覚障害リハビリテーション協会会長)
平成25年5月8日(水)16:30~18:00
「インクルーシブ教育システム構築と視覚障害教育
~盲学校に求められるもの~」
小西 明 (新潟県立新潟盲学校:校長)
平成25年6月12日(水)16:30~18:00
「視覚障害グループセラピーの考察」
小島 紀代子 (NPOオアシス)
平成25年6月21(金)~23日(日)
第22回視覚障害リハビリテーション研究発表大会
(兼 新潟ロービジョン研究会2013)
ホームページ:http://www.jarvi2013.net/
最新情報 http://andonoburo.net/on/1690
参加申し込み:http://www.jarvi2013.net/sanka
平成25年7月10日(水)16:30 ~ 18:00
「 楽しい外出をサポートします! ~『同行援護』その効果とは!?~」
奥村 京子 (新潟市社会福祉協議会)
報告:第205回(13‐03月)済生会新潟第二病院 眼科勉強会 渡辺 哲也
演題:「視覚障害者とスマートフォン」
講師:渡辺 哲也 (新潟大学 工学部 福祉人間工学科)
日時:平成25年3月13日(水)16:30 ~ 18:00
場所:済生会新潟第二病院 眼科外来
【講演要旨】
1.はじめに
昨今、タッチパネル操作が主体のスマートフォンとタブレットPCの広まりが目覚ましい。ロービジョンの人たちにとってこれらの機器は、画面拡大操作がしやすい、拡大読書器の代わりに使える、持ち運びに便利、そして格好いい、など利点が多い。他方で、全盲の人たちにとっては、たとえ音声出力があっても、触覚的手がかりのないタッチパネル操作は難しいのではないかと思われる。そこで、全盲の人たちがスマートフォンやタブレットPCを利用する利点と問題点について各種調査を始めた。Webを使った文献調査、利用者への聞き取り調査、音声によるタッチパネル操作実験などを通してわかってきたことを報告する。
2.GUIショックとの相似
文字中心であった二つ折り型携帯からタッチパネル操作のスマートフォンへの移行は、1990年代にコンピュータの基本ソフトが文字操作中心のMS-DOSから画像操作中心のWindowsへ移行したときに匹敵する衝撃的な変化である。両者の相似点は、(1) 取り扱う情報がテキスト情報からグラフィカル情報へ移行したことと、(2) 矢印キーを使ったテキスト情報選択からポインタを使ったアイコンの直接選択へ移行したことの2点である。
他方で異なる点は、(1) スクリーンリーダの存在と、(2) ポインタの操作方法である。1990年代前半にWindowsが普及し始めた頃、日本ではWindows用スクリーンリーダはまだ研究開発の途上にあった。他方で、iPhone、iPad、Androidが普及し始めた現在、これらのOS向けのスクリーンリーダは開発済みであるばかりか、機械に標準で装備されている。操作方法に関しては、従来のパソコンではマウスやタッチパッドを使ってポインタを動かす相対操作であるのに対して、タッチパネル操作では指先位置がポインタ位置となる直接操作である。このため、画面を見ないでも音声フィードバックさえあればユーザはアイコンを指示できる。これら二つの特徴により、全盲の人たちはスマートフォンやタブレットPCを利用できる。
3.利用方法
1)スクリーンリーダ
iPhoneやiPadには、スクリーンリーダVoiceOverが標準装備されている。AndroidにもスクリーンリーダTalkBackが標準装備されているが、日本語出力のために音声合成ソフト(ドキュメントトーカ)をインストールする必要がある。
2)アイコン等の選択
2通りの操作方式がある。直接指示方式では、触れた位置にあるアイコンなどが選択され、読み上げが行われる。続けてダブルタップすると選択決定となる。画面構成を覚えておけば操作は容易だが、画面構成が分からないと目標項目を探すのは困難である。
順次選択方式では、画面上でスワイプ(フリックともいう)することで、前後の項目へ移動し、これを読み上げる。項目間を確実に移動できるが、目標項目に到達するまで時間がかかることが多い。
3)文字入力
テンキー画面によるフリック入力やマルチタップ入力(同じキーを押すたびに、あ、い、う、と変化)、50音キーボード画面やQWERTYキーボード画面が音声読み上げされる。漢字の詳細読み機能もある。いずれの方式も、個々のキーが小さいため、入力が不正確になりがちである。この問題を解決するため、iPhoneには自動修正機能が装備されている(英語版のみ)。ジョージア工科大学で開発されたBrailleTouchというアプリでは、タッチ画面を点字タイプライタの入力部に見立てて6点入力をする。
4.様々な便利アプリ
光認識、色認識、紙幣認識、拡大機能、読み上げなど、単体の機械や従来型の携帯電話で実現されてきた機能が、スマートフォンへのアプリのインストールだけで利用可能になった。インターネットとの常時接続やGPSによる位置の推定など、スマートフォンの特徴的な機能を応用した新しいアプリとしては、物体認識、屋外のナビゲーションなどがある。以下にアプリ名とその内容を紹介する。
・Fleksy:打ち間違えても、「正しい」候補を賢く表示
・Light Detector:光量を音の高低で表示
・マネーリーダー:紙幣の額面金額を読み上げ
・明るく大きく, VividCam:コントラスト改善、拡大
・TapTapSee, CamFind:視覚障害者向け画像認識
・Ariadne GPS, ドキュメントトーカボイスナビ:現在地・周囲情報・経路案内
5.まとめ
音声支援により全盲の人もタッチパネルを操作できる。しかし、アイコン等の選択や文字入力が効率的に行えるとは言いがたい。お札や色の判別などのアプリは従来の携帯電話でも利用できたが、これらを簡単にインストールできる点は利点であろう。スマートフォンで新たに実用可能になった物体認識やナビゲーション機能の実用性の検証とその発展が今後期待される。
【略 歴】
平成 3年 3月 北海道大学 工学部 電気工学科 卒業
平成 5年 3月 北海道大学 工学研究科 生体工学専攻 修了
平成 5年 4月 農林水産省 水産庁 水産工学研究所 研究員
平成 6年 5月 日本障害者雇用促進協会 障害者職業総合センター 研究員
平成13年4月 国立特殊教育総合研究所 研究員
平成21年4月 新潟大学 工学部 福祉人間工学科 准教授
情報通信技術(ICT)を用いた視覚障害者支援に従事。これまでの開発成果は、スクリーンリーダ”95Reader”、電子レーズライタ”Mimizu”、漢字の詳細読み”田町読み”(iPad・iPhoneに搭載)、触地図作成システム”tmacs”など。
【後 記】
現在、IT関係の発達は目覚ましいものがあります。iPadやスマートフォンに代表される携帯端末もその一つです。こうしたものが発達することは、情報をいち早く得るためや、情報を発信するために欠かせないものになってきました。一方では、こうした機器に不慣れであると、情報に取り残された、いわゆる情報難民を生み出すことになります。
視覚障害者がこうした情報難民にならないようにするために取り組んでおられる、渡辺研究室の活躍を期待したいと思います。
*参考までに
新潟大学 工学部 福祉人間工学科 渡辺研究室のWebサイト
http://vips.eng.niigata-u.ac.jp/
新潟県の眼科勤務医が中心となって「越後眼科研究会」を、平成19年5月に立ち上げ、年に2回開催しています。日頃抱えている問題や症例を話し合い、また全国で活躍している先生をお呼びして最新・最前線のお話を伺っています。
今回、森 和彦先生 (京都府立医科大学 眼科学教室 講師)をお呼びして開催致します。病院勤務医のみならず、開業医、大学勤務医、研修医、視能訓練士、看護師など多くの方々に参加して頂きたいと存じます。
お気軽にご参加下さいますようお願い申し上げます。
記
『第13回 越後眼科研究会』
日 時:平成25年4月20日(土)17:00~19:30
会 場:チサンホテル&コンファランスセンター(佐渡の間)
(新潟市中央区笹口1-1 ℡:025-240-1111:代表)
17:00~ 薬事案内
17:15~ 一般演題
18:15~ 特別講演 『緑内障手術 ~建前と本音~』
森 和彦先生 (京都府立医科大学 眼科学教室 講師)
尚、講演会終了後、19:30より情報交換会を予定しております。
【一般演題募集】
「演題名」「演者名(発表者に○)」「所属名」を記入の上、メールまたはFAX、あるいは郵送にて、ご応募ください。
応募先:越後眼科研究会事務局
(済生会新潟第二病院眼科 安藤 伸朗)
住所 〒950-1104 新潟市西区寺地280-7
FAX 025-233-6220 メールアドレス gankando@sweet.ocn.ne.jp
演題締切:平成25年3月25日(月)
【越後眼科研究会 世話人】
安藤 伸朗 (代表世話人;済生会新潟第二病院)
村上 健治 (新潟市民病院)
鈴木 恵子 (新潟県立吉田病院)
橋本 薫 (長岡赤十字病院)
福島敦志 (当番幹事;長岡中央綜合病院)
共催:越後眼科研究会 千寿製薬株式会社
越後眼科研究会 過去のプログラム
********************************
『第1回越後眼科研究会』
日時:平成19年5月26日(土) 17時30分~20時
会場:ホテルニューオータニ長岡 (長岡駅東口) 2F 「雪椿」
幹事:武田啓治(代表世話人;長岡赤十字病院)
一般演題 座長 園田 日出男(燕労災病院)
1)我が国における眼科勤務医の現状
安藤 伸朗(済生会新潟第二病院眼科)
2)「23Gおよび25Gビトレクトミー」
吉澤 豊久(三条眼科)
3)「睫毛が生存できた眼瞼の遊離複合移植の1例」
武田 啓治、荒木 豊、中村 真太郎、田中 玲子 (長岡日赤眼科)
3)「こんな時どうする?眼瞼編~変な霰粒腫、アミロイドーシス、化膿性肉芽腫など」
尾山 徳秀(新潟大学)
特別講演 座長 武田 啓治(長岡赤十字病院)
「眼窩底骨折および涙道閉塞の診断と治療」
矢部 比呂夫(東邦大学大橋;准教授)
『第2回越後眼科研究会』
日時:平成19年11月10日(土)17:30~19:30
場所:チサンホテル&コンファレンスセンター新潟 (旧新潟ワシントンホテル)
住所:新潟市中央区笹口1-1 ℡:025-240-2111
当番幹事:園田 日出男(燕労災病院)
一般演題 座長 鈴木 恵子(県立吉田病院)
1)Congenital dacryocystocele の治療経験
中村 真太郎、武田 啓治 (長岡赤十字病院)
2)スリット照明付き手術顕微鏡の使用経験
-黄斑部操作、前部硝子体切除、バックル手術時のクライオなどー
宗村 守、安藤 伸朗 (済生会新潟第二病院)
特別講演 座長 安藤 伸朗(済生会新潟第二病院)
「これからの白内障手術教育」
杏林大学眼科准教授 永本 敏之 先生
『第3回越後眼科研究会』
日時:平成20年5月31日(土) 17:15~19:30
場所:朱鷺メッセ:新潟コンベンションセンター 中会議室301
住所:新潟市中央区万代島6-1 ℡:025-246-8400
プログラム
17:15~ 薬事案内
17:30~一般講演 座長:園田 日出男(燕労災病院)
1)網膜中心動脈閉塞症発症後に、硝子体出血・虹彩新生血管を来たした一例
宗村 守、安藤 伸朗(済生会新潟第二病院)
2)脱臼水晶体の処理
村上 健治、根本 大志、植木 智志、土田 宏嗣(新潟市民病院)
3)眼球突出を初発症状とし眼科にて発見された骨肉腫の1例
中村 真太郎,武田 啓治(長岡赤十字病院眼科)、大渕 信隆(県立十日町病院眼科)
4)日帰り黄斑下手術
吉澤 豊久(三条眼科)
18:20~ 休憩
18:30~ 特別講演
講師: 山田 昌和(国立病院機構東京医療センター)
1)『瞼と関連した角膜障害』
2)『眼科医療の現在位置とこれから』
学術的方法論に基づいた眼科医療の評価
『第4回越後眼科研究会』
日時:平成20年11月1日(土)17:45~19:30
場所:ホテルオークラ新潟 3F クラウンルーム
住所:新潟市中央区川端町6-53 ℡:025-224-2205
プログラム
17:45~ 薬事案内
18:00~ 一般演題
1)小切開硝子体手術やっていますか?全国の眼科医へのアンケート調査
○安藤 伸朗 (済生会新潟第二病院)
2)「23G内視鏡およびHHVレンズホルダーの使用経験」
○山本 晋 (新潟大学)
3)増殖硝子体網膜症の膜処理
○村上 健治、根本 大志 (新潟市民病院)
4)白内障手術難問集
○吉澤 豊久 (三条眼科)
18:30~ 特別講演
『硝子体手術のデスマッチ』
恵美 和幸 (大阪労災病院;副院長/眼科部長)
『第5回越後眼科研究会』
日時:平成21年5月30日(土)17:15~19:30
場所:ホテルニューオータニ長岡
住所:長岡市台町通2-8-35 ℡:0258-37-1111(代表)
17:30~ 一般演題
1)「眼科勤務医へのアンケート調査」(予報) -満足してますか? 辞めたいですか?-
○安藤 伸朗(済生会新潟第二病院)
2)眼瞼腫瘍と疑われた皮膚粘膜クリプトコッカス症
○山田 藍季子、橋本 薫、田中 玲子、武田 啓治(長岡赤十字病院)
3)抗VEGF療法の経験
○吉澤 豊久(三条眼科)
追加:ルセンティスによる治療
○安藤 伸朗、中村 裕介(済生会新潟第二病院)
18:15~コーヒーブレーク
18:30~ 特別講演 『感染性ぶどう膜炎 -診断のポイント』
後藤 浩(東京医科大学眼科学教室主任教授)
『第6回越後眼科研究会』
日時:平成21年11月28日(土)17:15~19:30
場所:ホテルオークラ新潟(3F クラウンルーム)
住所:新潟市中央区川端町6-53 ℡:025-224-6111(代表)
17:15~ 薬事案内
17:30~ 一般演題
1)新潟県の眼科勤務医へのアンケート結果
○安藤 伸朗 (済生会新潟第二病院)
2)眼球破裂の2症例
○村上 健治 (新潟市民病院)
3)黄斑円孔の外来硝子体手術
○吉澤 豊久 (三条眼科)
4)PACのLI後、12年経過して再びPACを発症した1例 -この症例から学ぶこと、私のLIに対する考え方、より良いLIを目指して-
○坂井 豊明 (坂井眼科医院)
5)テノンをできるだけ温存したトラベクレクトミー
○竹内 裕貴、園田 日出男 (燕労災病院)
6)抗VEGF抗体硝子体注射後の黄斑円孔網膜剥離
○山本 晋(新潟大学眼科) 荒木 豊(刈羽郡総合病院眼科)
18:30~ 特別講演 『 緑内障の画像診断 』
富所 敦男 (東京大学 眼科学教室 講師)
『第7回越後眼科研究会』
日時:平成22年5月15日(土) 16:45~19:00
場所:チサンホテル&コンファレンスセンター新潟
新潟市中央区笹口1-1 ℡:025-240-2111(代表)
16:45~ 薬事案内
17:00~ 一般演題
1)眼科勤務医は減少している!?
○安藤 伸朗 (済生会新潟第二病院)
2)「完全に硝子体内落下した眼内レンズの処理」
○村上 健治、根本 大志、眞山 徹二、坂上 悠太 (新潟市民病院)
3)「眼瞼腫脹により発見されたマイラゲル長期合併症の1例」
○橋本 薫、佐々木 藍季子、田中 玲子、武田 啓治 (長岡赤十字病院眼科)
4)「増殖硝子体網膜症手術」
○吉澤 豊久 (三条眼科)
5)「S-OCTによる篩状板孔サイズの緑内障診断能力 -試論ー」
○岩田 和雄 (新潟大学)
18:00~ 特別講演
『乳頭ピット黄斑症候群の画像所見と治療経験から学ぶこと』
平形 明人 (杏林大学眼科学教室 主任教授)
『第8回越後眼科研究会』
日時:平成22年10月2日(土)17:15~19:30
場所:ホテルオークラ新潟(3F クラウンルーム)
17:15~ 薬事案内
17:30~ 一般演題
1)「モンスター患者を経験しましたか? どのように対処していますか?」
○安藤 伸朗(済生会新潟第二病院)
2)「内因性眼内炎の1例」
○村上 健治 (新潟市民病院)
3)「バックル手術を経験して」
○佐々木 藍季子、橋本 薫、田中 玲子、武田 啓治 (長岡赤十字病院)
4)「レーザー虹彩切開してあったにも関わらず、発作が生じた原発閉塞隅角症」
○吉澤 豊久(三条眼科)
18:30~ 特別講演『 眼感染症の謎を解く 』
大橋 裕一(愛媛大学医学部眼科学教室 教授)
『第9回 越後眼科研究会』
日時:2011年5月21日(土)
場所:ホテルニューオータニ長岡 2F『柏の間』
17:15 薬事案内
17:30 一般講演
1) 東日本大震災における全国からの支援状況
○安藤 伸朗 (済生会新潟第二病院)
2) 放射線眼合併症の1例
○村上 健治 (新潟市民病院)
3) 非裂孔原性網膜剥離を契機に肺癌を発見し、放射線治療によって剥離が消失した一例
○橋本 薫、引間 孝輔、田中 玲子、武田 啓治(長岡赤十字病院)
4) 頭にも倒乱視にも効く!左手白内障手術
○吉澤 豊久 (三条眼科)
18:30 特別講演
「正常眼圧緑内障治療の現状と展望」
相原 一 (東京大学医学部眼科学教室 講師)
『第10回 越後眼科研究会』
日時:平成23年10月1日(土)17:00~19:30
場所:ホテルオークラ新潟(3F クラウンルーム)
17:00~ 薬事案内
17:15~ 一般演題
1)「糖尿病黄斑浮腫に対するトリアムシノロン・アセトニドの治療成績」
○安藤 良将、中村 裕介、大矢 佳美、安藤 伸朗 (済生会新潟第二病院)
2)「白内障手術合併症の治療」
○村上 健治 (新潟市民病院)
3)「眼内レンズ逢着-道連れ法(関法)やってみました」
○山本 晋(笹出線 近江眼科 近江皮膚科) 、関 正明(新潟医療センター)
4)「白内障手術後、調節力喪失により発生したと考えられる外斜視の一例」
○武田 啓治 (長岡赤十字病院)
5)「原因不明の視力低下を呈したEhlers-Danlos症候群の1例」
○畑瀬哲尚 植木智志 高木峰夫 (新潟大学)
18:30~ 特別講演
『神経眼科・心療眼科と私』
若倉 雅登 (医療法人社団済安堂 井上眼科病院 院長)
『第11回 越後眼科研究会』
日時:平成24年5月19日(土)17:00~19:15
場所:チサンホテル&コンファレンスセンター新潟
17:00~ 薬事案内
17:15~ 一般演題 講演6分 質疑4分
座長 福島 淳志 (長岡中央綜合病院)
1)「眼内異物の摘出法」
○村上健治、末武亜紀 (新潟市民病院)
2)「慢性C型肝炎インターフェロン治療中に夕焼け様眼底を呈した一例」
○中村裕介、大矢佳美、安藤伸朗 (済生会新潟第二病院)
3)「眼瞼に生じた悪性黒色腫の一例」
○橋本 薫、奥山 真也、田中 玲子、武田 啓治 (長岡赤十字病院眼科)
4)「蛇口の取手による眼窩内下直筋完全断裂の整復症例」
○尾山 徳秀、張 大行、大湊 絢(新潟大学)
5)「三条眼科における日帰り網膜剥離手術の現状」
○吉澤豊久、白鳥 敦 (三条眼科)
18:15~ 特別講演
座長 村上 健治 (新潟市民病院)
『眼腫瘍~どのように付き合うか』
小島 孚允 先生(さいたま赤十字病院眼科・副院長)
『第12回 越後眼科研究会』
日 時:平成24年11月17日(土)17:00~19:30
場 所:ホテルオークラ新潟(3Fクラウンルーム)
新潟市中央区川端町 6-53 電話:025-224-6111(代表)
一般演題 17:00~
0.「アイファガン点眼液0.1%について」
○千寿製薬株式会社
1.「南方の渡航歴のない東洋眼虫症の一例」
○奥山 真也、橋本 薫、田中 玲子、武田 啓治 (長岡赤十字病院眼科)
2.「強度近視網膜分離症に対する外来硝子体手術」
○吉澤 豊久、白鳥 敦 (三条眼科)
3.「硝子体内異物の摘出法」
○村上 健治、根本 大志 (新潟市民病院)
4.「OCTによる糖尿病黄斑浮腫の評価」
○安藤 伸朗、大矢 佳美、中村 祐介 (済生会新潟第二病院)
5.「トリアムシノロン硝子体注入後の偽眼内炎の経験」
○山本 晋 (笹出線 近江眼科 )
特別講演 18:30~
『加齢黄斑変性の治療と黄斑下血腫の治療』
大路 正人 (滋賀医科大学 眼科学講座 教授)
*越後眼科研究会事務局**************
950-1104 新潟市西区寺地280-7
済生会新潟第二病院眼科
安藤 伸朗 Noburo Ando,MD
phone 025-233-6161
Fax 025-233-6220
e-mail gankando@sweet.ocn.ne.jp
***********************************
済生会新潟第二病院眼科では、講師をお呼びしてカンファレンスを行っています。
今回は、寺島浩子先生(新潟大学眼科講師)です。 多くの方々の参加、歓迎です。
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済生会新潟第二病院 (第4回)眼科カンファレンス
日時:2013年3月12日(火)18:30~
会場:済生会新潟第二病院 眼科外来
講師:寺島浩子 (新潟大学大学院医歯学総合研究科視覚病態学分野)
演題:「黄斑剥離を伴う裂孔原性網膜剥離の長期視力予後」
参加希望の方は、下記まで連絡ください。
安藤 e-mail gankando@sweet.ocn.ne.jp
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【抄録】黄斑剥離を伴う裂孔原性網膜剥離の長期視力予後
寺島浩子(新潟大学大学院医歯学総合研究科視覚病態学分野)
【抄録】
黄斑剥離を伴う裂孔原性網膜剥離の長期視力予後因子の検討を行う. 対象は2007年4月~2011年12月の期間に新潟大学および長岡中央綜合病院 にて裂孔原性網膜剥離に対して初回手術を施行した364例371眼のうち術後12か月以上経過観察ができた黄斑剥離を伴う症例81例82眼(男性48眼:女性34眼). 平均経過観察期間32.7カ月, 術式の内訳は強膜バックリング手術34眼,20G硝子体手術32眼,25G硝子体手術16眼であった.
術後成績は, 初回復位率が77/82眼(94%), 最終復位率は80/82眼(98%), 再発率は10眼(12%)であった. 術前平均小数視力0.08から最終0.57へと有意な改善を認め6カ月以降ほぼ安定し最終視力値に達した.術式によらず術後最終視力は同等の結果であった.
最終時視力良好群(1.0以上)35眼, 視力不良群(0.5以下)25眼の2群に分けて比較検討したところ, 術後視力予後に関連する因子は術前視力, 推定黄斑剥離期間, 剥離範囲, 手術回数, 再発の有無, 術後黄斑上膜の合併であった. 特に黄斑剥離期間が3日以内と極早期に手術を行った症例12眼は, 術後最終視力において8眼(67%)が1.0以上を維持していた. それに比較して黄斑剥離期間が2週間を超えた症例24眼のうち1.0以上は7眼(29%)にとどまり, 視力予後は黄斑剥離期間に依存する.また黄斑上膜を合併した9眼の術後平均小数視力は0.23で黄斑上膜を合併しなかった群の0.64に比較して有意に悪い結果であった.
以上より長期的に良好な視力を得るには, 早期に手術を行い再手術や黄斑上膜合併の回避が大切と思われる.
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これまでの済生会新潟第二病院 眼科カンファレンス
(第1回)眼科カンファレンス
日時:2012年10月2日(火)19:00~
会場:済生会新潟第二病院 眼科外来
講師:八百枝 潔 (眼科八百枝医院;新潟大学大学院医歯学総合研究科視覚病態学分野)
演題:「緑内障治療薬による眼循環への影響」
(第2回)眼科カンファレンス
日時:2012年11月20日(火)18:30~
会場:済生会新潟第二病院 眼科外来
講師:河嶋 洋一 (参天製薬:医薬事業部技術開発)
演題:「点眼薬の開発と眼内薬物動態」
(第3回)眼科カンファレンス
日時:2013年1月8日(火)18:00~
会場:済生会新潟第二病院 眼科外来
講師:長谷部 日 (新潟大学眼科)
演題:「硝子体手術との15年間、そしてこれから」
演題:「視覚障害者とスマートフォン」
講師:渡辺 哲也 (新潟大学 工学部 福祉人間工学科)
日時:平成25年3月13日(水)16:30 ~ 18:00
場所:済生会新潟第二病院 眼科外来
【抄録】
昨今、携帯電話の新機種は全てスマートフォンとなり、タブレット端末が様々なメーカーから販売され、事実上標準的な基本ソフトWindowsも新バージョンではタッチ操作が主体となる。この状況に危機感を覚えているのが全盲の携帯電話・PC利用者である。その衝撃は、パソコンのインタフェースが文字中心のCUIからグラフィカルなGUIへ移行した1990年代の「GUIショック」に酷似している。しかしスマートフォンは、以下のように、GUI OSと決定的に異なる点がある。
・全盲者向けに、画面の音声化機能を標準で装備している、または無料でプラグインを入手できる。有料のアプリも既に存在する。
・弱視者向けに、画面の拡大機能・反転表示を標準で装備している機種もある。
・触覚的なポインティングが可能(マウス操作では目と手の協調動作が必要とされたが、タッチ操作の場合、指だけと音声で操作対象を直接指示できる)。
このように、GUIショック時のような全く使えなくなるというおそれはないが、さりとて触覚的手がかりのない画面上で正確に操作できるかについては不安が残る。そこで、タッチパネルを見ないでどの程度の正確性と速度をもって操作できるかを実験的に調べることとした。現在、実験が進行中であり、3月の発表時にはその結果を紹介したい。
【略歴】
平成 3年 3月 北海道大学 工学部 電気工学科 卒業
平成 5年 3月 北海道大学 工学研究科 生体工学専攻 修了
平成 5年 4月 農林水産省 水産庁 水産工学研究所 研究員
平成 6年 5月 日本障害者雇用促進協会 障害者職業総合センター 研究員
平成13年4月 国立特殊教育総合研究所 研究員
平成21年4月 新潟大学 工学部 福祉人間工学科 准教授
情報通信技術(ICT)を用いた視覚障害者支援に従事。これまでの開発成果は、スクリーンリーダ”95Reader”、電子レーズライタ”Mimizu”、漢字の詳細読み”田町読み”(iPad・iPhoneに搭載)、触地図作成システム”tmacs”など。
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興味があって参加可能な方は、遠慮なくご参加下さい。どなたでも大歓迎です。(参加無料、事前登録なし、保険証不要)。ただし、お茶等のサービスもありません。悪しからず。
今回の勉強会の一部は、「新潟大学工学部渡辺研究室」と「新潟市障がい者ITサポートセンター」のご協力によりネット配信致します。以下のURLにアクセスして下さい。下記のいずれでも視聴できます。
http://www.ustream.tv/channel/niigata-saiseikai
http://nitsc.eng.niigata-u.ac.jp/saiseikai/
録画はしておりません。当日の視聴のみ可能です。
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『済生会新潟第二病院 眼科勉強会』
1996年(平成8年)6月から、毎月欠かさずに続けています。誰でも参加出来ます。話題は眼科のことに限らず、何でもありです。
参加者は毎回約20から30名くらいです。患者さん、市民の方、医者、看護師、病院スタッフ、学生、その他興味のある方が参加しています。
眼科の外来で行いますから、せいぜい5m四方の狭い部屋で、寺子屋的な雰囲気を持った勉強会です。ゲストの方に約一時間お話して頂き、その後30分の意見交換があります。
日時:毎月第2水曜日16:30~18:00(原則として)
場所:済生会新潟第二病院眼科外来
*勉強会のこれまでの報告は、下記でご覧頂けます。
1)ホームページ「すずらん」
新潟市西蒲区の視覚に障がいのある人とボランティアで構成している 音声パソコン教室ホームページ
http://www11.ocn.ne.jp/~suzuran/saisei.html
2)済生会新潟第二病院 ホームページ
http://www.ngt.saiseikai.or.jp/02/ganka/index5.html
3)安藤 伸朗 ホームページ
http://andonoburo.net/
【今後の済生会新潟第二病院眼科 勉強会 & 研究会】
平成25年4月10日(水)16:30 ~ 18:00
「私の目指す視覚リハビリテーションとは」
吉野 由美子 (視覚障害リハビリテーション協会会長)
平成25年5月8日(水)16:30~18:00
「インクルーシブ教育システム構築と視覚障害教育
~盲学校に求められるもの~」
小西 明 (新潟県立新潟盲学校:校長)
平成25年6月12日(水)16:30~18:00
「視覚障害グループセラピーの考察」
小島 紀代子 (NPOオアシス)