2015年8月16日

 済生会新潟第二病院眼科が、『治療とリハビリ』と題して企画した公開講座2015第2弾の第3回ご案内です。
 加齢性黄斑変性治療第一人者の五味 文先生(住友病院)、再生治療のトップリーダー高橋 政代先生(理化学研究所)、夫婦で高次脳機能障害から回復を果たした立神粧子先生(フェリス女学院大学教授)の3先生に特別講演して頂きます。
 その後、特別講演の3先生にも参加して頂くパネルディスカッションも企画しました。会場の皆さまにも参加して頂きたいと思っています。
 今回は、高橋先生の抄録と略歴をアップしました。ご期待下さい。 

特別講演2
  演題:iPS細胞による眼疾患治療の現状と未来
  講師:高橋 政代 (理化学研究所) 

【抄 録】
 加齢黄斑変性に対して2014年9月に世界で初めてのiPS細胞を用いた臨床が始まった。加齢黄班変性は網膜色素上皮細胞の老化によって網膜の中心(黄班部)が障害される疾患で、欧米では視覚障害の半分の原因を占める。 我が国でも高齢化に伴って増加しており、将来はさらに増加すると予測される。我々はこの疾患の障害された網膜色素上皮を患者自身のiPS細胞から作った正常で若返った網膜色素上皮細胞で置き換えてその上の神経網膜内の視細胞を保護する治療を目指している。
 
また、網膜色素変性に対しては視細胞移植を計画している。

 再生医療の問題の一つはその言葉からもたらされる過剰な期待である。今回の臨床研究では網膜感度上昇などの効果判定は副次項目であるが、過剰な期待は治癒が唯一の問題解決法であるという思い込みから来ることが多い。特に網膜の場合は成功してもまだまだ視機能は低く停まることが考えられ、再生医療はリハビリテーション(ロービジョンケア)とセットで完成すると言える。

 また、日本では薬事法が改訂され、再生医療を推進する新しい章が作られた。再生医虜に特化した法律は世界でも例をみないものである。この法律は省庁とアカデミアが協力して作られ、その成功も省庁とアカデミアの協力にかかっている。この講演では網膜再生医療の現状と将来、リハビリの重要性を考える。 

【略 歴】
 1986     京都大学医学部卒業
 1986-1987 京都大学医学部附属病院眼科 研修医
 1987-1988 関西電力病院眼科 研修医
 1992     京都大学大学院医学研究科博士課程(視覚病態学)修了
 1992-1994 京都大学医学部附属病院眼科 助手
 1995-1996 アメリカ・サンディエゴ ソーク研究所研究員
 1997-2001 京都大学医学部附属病院眼科 助手
 2001-2006 京都大学医学部附属病院探索医療センター開発部 助教授
 2006-2012 理化学研究所  発生・再生科学総合研究センター
       網膜再生医療研究チーム チームリーダー兼任(2006年10月〜専任)
 2012-2014 理化学研究所 発生・再生科学総合研究センター
       網膜再生医療研究開発プロジェクト プロジェクトリーダー(*)
 2014-現在 理化学研究所 多細胞システム形成研究センター
       網膜再生医療研究開発プロジェクト プロジェクトリーダー(*)
       (*)組織改正により変更 

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 済生会新潟第二病院 眼科公開講座2015パート2「治療とリハビリ」
  日時:2015年10月10日(土)
     開場:13時30分 研究会:14時~18時
  場所:済生会新潟第二病院10階会議室
  主催:済生会新潟第二病院眼科
  事前登録制 

13:55 はじめに 安藤 伸朗 (済生会新潟第二病院)
14:00~特別講演1
  「加齢黄斑変性治療の現状と課題」
    座長:長谷部 日(新潟大学)佐藤 弥生(新潟大学)
    演者:五味 文(住友病院)
  http://andonoburo.net/on/3829 

14:50~特別講演2
   「iPS細胞による眼疾患治療の現状と未来」
    座長:福地 健郎(新潟大学)安藤 伸朗(済生会新潟第二病院)
    演者:高橋 政代(理化学研究所)
  
http://andonoburo.net/on/3855


15:40~ コーヒーブレーク
 

16:00~特別講演3
  「高次脳機能障害と向き合う〜神経心理ピラミッドを用いたホリスティック・アプローチ〜」
    座長:仲泊 聡(国立障害者リハ)平形 明人(杏林大学)
    演者:立神 粧子(フェリス女学院大学教授) 

16:50~パネルディスカッション「治療とリハビリ」(1時間)
   コーディネーター:仲泊 聡(国立障害者リハビりテーションセンター)
            安藤 伸朗(済生会新潟第二病院)
   パネリスト:
    高橋 政代(理化学研究所)、五味 文(住友病院)
    立神 粧子(フェリス女学院大学教授)、平形 明人(杏林大学)
    福地 健郎・長谷部 日・佐藤 弥生(新潟大学) 

17:50 おわりに 仲泊 聡(国立障害者リハビりテーションセンター)
     会場片付け(アジャーン)
18:00 終了

2015年8月15日

2015年8月1日、16回目となる新潟ロービジョン研究会を行いました。今年の研究会は、全国14都府県から90名が集いました。満員となった済生会新潟第二病院10階の会議室では、どの演題にも熱い討論があり、気づきがあり、感動がありました。
今回、特別講演では、世界各国のロービジョンケアについて講演して頂きました。結論の一つに、無戦争が重要であることが述べられています。終戦の日である8月15日に、特別講演の講演要約をお届けします。 

 

特別講演:『世界各国と比べた日本のロービジョンケア』
講師:仲泊 聡(国立障害者リハビリテーションセンター;眼科医)

【講演要約】
1.目的
 世界各国におけるロービジョンケアあるいは視覚リハには、どのような方たちが関わり、そして、何が大切なのかを分析し、現在の我が国の特性と今後について検討する。 

2.方法
 日本、コロンビア、米国、カナダ、イギリス、オーストラリア、オーストリア、スウェーデン、大韓民国、中華人民共和国、モーリシャス、モンゴル、ジンバブエの視覚障害者福祉について調査した。調査は、筆者のJICA短期派遣専門家としてのコロンビア訪問の経験をもとに、私信およびインターネットによる検索を用いて行った。その際、西田朋美氏(国リハ病院)、永井春彦氏(勤医協札幌病院)、王鑫氏(筑波大学)、新井千賀子氏(杏林アイセンター)、河原佐和子氏・伊藤和之氏(国リハ自立支援局)から、各国視察経験に基づいた資料提供ならびにご助言をいただいた。それらの制度が生まれた背景を考えるには、各国における政治・経済・歴史・思想・習慣を知らなければならない。今回は、我が国が辿った道になぞらえて各国の現状を比較し、そして現在の我が国の特性と今後について検討する。

3.結果 
 1)治安と福祉
 医療も福祉も、その国が平和かどうかによって大きく異なる。筆者が関わったコロンビアでは、いまだに内戦が続いており、地雷、時限爆弾、誘拐が横行する。人々は明るく美しい国であるが、常に命の危険に晒されている。視覚リハに関しては、アメリカ式のリハ体制がスペイン経由で輸入され、国内数カ所に高いレベルのリハ施設が存在するものの、それを享受できる者はわずか1%にすぎない。戦時下における我が国では、障害者を「劣等国民」と差別した史実があり、国民全体が生命の危機に直面する状況において、社会的弱者の権利は脆弱なものとなることは明らかである。

 2)家族と福祉
 スウェーデンの近代史を見ると高福祉と家族の崩壊との関係を指摘するものが多い。子供は国の宝であり、親が守らずとも国が守る。高齢者や障害者も国が守る。しかし、それは同時に肉親が守らなくても大丈夫という発想を与え、家族の必要性を損なう。そのため、今や離婚率は50%を上回り、子連れ再婚による血縁のない兄弟関係が当たり前となった。一方で、途上国の多くは今も大家族であり、福祉が行き届かなくても家族が障害者を守る習慣がある。しかし、そこには家族間の格差があり悲劇も多い。ほとんどの国では、大家族は、経済発展に伴い核家族化する。核家族化すると弱者を社会が守る必要性が高まり、福祉制度が充実せざるをえない。そして、福祉制度がさらに充実すると夫婦という最小の家族単位すら不要となり、社会の基礎単位が個人となる。この核家族から個人への移行過程を先進諸国は歩いており、我が国もその例外ではない。 

 3)経済と福祉
 今回、経済指標として国民一人当たりの国内総生産(GDP)によって各国を比較した。我が国では約3.7万ドルであり、最も多かった米国が約5.3万ドル、最も少なかったジンバブエが約0.2万ドルである。韓国とイギリスは我が国と同程度で、他の西欧諸国は4万ドル台、他のアジア・アフリカ諸国は1万ドル台であった。これらを、我が国のGDPの年代的推移に当てはめると、ジンバブエは明治時代、アジア・アフリカ諸国は1970年代に相当する。 

 4)ロービジョンケアに携わる人たち
 ロービジョンケアに携わる人の職種は、各国さまざまであった。我が国では、眼科医が統括し、視能訓練士が視機能評価と光学的補助具の選定・訓練を行い、他の視覚リハ訓練と相談業務を歩行訓練士等が行うという体制にある。これに対し世界では、眼科医と視能訓練士の役割は少ない。その代わり、オプトメトリストと呼ばれる職種が存在し、彼らが主体的に我が国の眼科医・視能訓練士の役割に相当する部分を担っている。また、多くの国の視覚リハ訓練において作業療法士の関わりが大きい。これは、視覚リハが総合リハの一環として行われているためである。さらに、特筆すべきこととしては、カナダにおいて、専ら視覚障害のみを業務対象として活動が成り立っている看護師がいることであろう。また、多くの国では、心理的なサポートをその専門職が行っている。我が国にも臨床心理士が存在するが、視覚リハへの関与は残念ながら少ない。医療職が多く関与する国では、視覚リハが基本的に医療保険で行われている。その点、我が国では、福祉や教育のフィールドで視覚リハが行われてきた歴史的背景を反映し、歩行訓練士等による福祉施設における訓練が定着しているのが特徴と言える。

 5)ロービジョンケアを享受する人
 世界的にロービジョンケアあるいは視覚リハを享受するには、それ相応の対価を支払うことが求められる。医療保険でこれらを行っている国では、その契約対象にそれが含まれているかどうかで、受けられるかどうかがほぼ決まる。コロンビアのアンテオキア県の場合、受診時にその部分が検討され、実に75%がこの理由で視覚リハを受けることができない。米国においても保険契約上の問題で享受できない人がいるため、個人差の大きなサービスにならざるをえない。その点、中国や北欧などでは、国民に一律同等のサービスが与えられているが、その経済根拠はとなると他の部分での圧迫が生じることとなる。国によっては、視覚リハに携わる人が少ないため、そこにつながらない場合もある。視覚リハの需要とその内容は、その国の人口の年齢構成と、視覚障害の原因疾患によっても左右する。我が国では、高齢化による緑内障と加齢黄斑変性の増加に伴う需要がますます大きくなっている。それに応じて、医療と介護の役割が増大している。一方、視覚障害児の教育については、各国とも積極的に取り組んでいるが、世界的に統合教育の理念により視覚障害児が一般校に通学する傾向にある。それは、単に一般児童と生活をともにすればいいということではない。そこで生じた課題を解決できる体制と対で行われなければならない。北欧諸国では、その体制が十分に整っているためにうまく運んでいるものと思われる。ロービジョンケアの国際比較というとその技術やサービス内容に目がいきがちであるが、現代、情報はすぐに伝わるもので、調査したほとんどの国での知識や機材の質には大きな違いはなかった。むしろ、そのサービスにいかに繋がることができるかという点で異なっていた。 

 6)視覚障害者支援の強化因子
 1964年に世界盲人福祉協議会でなされた「盲人の人間宣言」以来、障害当事者が自分たちに関することを自分たちで決めるという理念に対するコンセンサスが広がっている。その中で、米国のAmerican foundation for the blind、カナダのCanadian national institute for the blind、イギリスのThe royal institute of the blind people、オーストラリアのThe Australian Blindness Forumというような、当事者自身が参画し、当事者団体としての性格を併せ持つ支援・活動団体の存在が目を引く。また、カナダのCNIBや今回の調査対象からは外れたが、スペインのONCEという視覚障害者支援団体は、宝くじの胴元となって潤沢な資金を集め、これを根拠として支援活動を行っている。我が国にも、日本盲人会連合、全日本視覚障害者協議会、弱視者問題研究会などの当事者団体が存在し、日本網膜色素変性症協会、全国盲老人福祉施設連絡協議会、日本盲人社会福祉施設協議会、全国盲導犬施設連合会、全国視覚障害者情報提供施設協会、全国盲学校長会、視覚障害リハビリテーション協会といった各種支援団体が数多く存在するが、いずれもその組織率は高いとは言えず、そして、それぞれの目的も微妙に異なる。

4.考察
 1)治安と福祉
 治安が不安定な中で、世界的に見た場合のセーフティネットとしての宗教の役割は大きい。我が国での無宗教の比率は7割と言われているので、現在の福祉水準の維持に無戦争の果たす役割は計り知れない。

 2)家族と福祉
 核家族から個人単位への転換は、高福祉が下支えする。家族崩壊を嘆く声も少なくないが、逆に真の意味での愛情と信頼で結ばれた家族関係が生まれ、それが本来の姿だという考えもある。北欧諸国のこれからを見据えるとともに、我が国における家族のあり方について、さらなる議論が必要である。

 3)経済と福祉
 各国の福祉状況をみると国民一人当たりのGDPとの相関をうかがい知ることができる。我が国のそれは、過去に世界第2位まで上り詰めたが、徐々に低下して、現在は19位に転落している。今後の我が国の福祉水準を維持するためには、適正な所得の再分配を前提とする経済的発展が不可欠と言えよう。 

 4)ロービジョンケアに携わる人たち
 我が国の特徴として、眼科医と視能訓練士が他国よりも深く関わっている。これは、その制度上の違いが生むものではあるが、その点を生かすことでより保有視機能に則し、治療の可能性を常に考えた支援が可能になるという点で、他国に優るロービジョンケアサービスシステムを構築できるのではないだろうか。その一方で、歩行訓練士等の福祉職として勤務する職種が、専門職としての資格が与えられず、医療施設で働きにくいという問題を解決していかなければならない。 

 5)ロービジョンケアを享受する人
 我が国でもロービジョンケアを行っている施設は十分とは言えないが、他国に比べればまだ多いほうである。問題は、うまくそこに繋がるかどうかである。現代のロービジョンケアの水準を示すスケールとして何をするかだけでなく、どう繋がるか、すなわちサービスへのアクセシビリティが重要になっている。最近では、眼科学会や眼科医会といった眼科医の組織が、ロービジョンケアの重要性を連呼し、眼科医療全般にその存在意義を啓発している。しかし、視覚リハにおいて何が行われるのかを熟知する眼科医や視能訓練士は依然として少なく、まだまだ啓発の余地が残されている。眼科ベースで視覚リハを行おうとしている世界的にはむしろ稀有なシステムを持つ我が国は、この特徴を生かし、ロービジョンケアを享受できる人の割合を増やし、さらには、必要と感じてからそれを受けることのできるまでの時間の短い優良なシステムを作り上げることができるのではないだろうか。

 6)視覚障害者支援の強化因子
 我が国に現在林立する視覚障害関連団体をまとめる組織が、障害当事者を核として成立することが、今後の我が国の視覚障害者支援においては重要ではないかと考える。それは、単にボランティア的な支援サービスの集合体ではなく、当事者の権利を守り、支援者の生活を下支えする、政治力と経済力を兼ね備えた組織でなければならない。

5.結論
 外国のシステムを学ぶことは、何であっても新しい視点と発想を与えてくれる。そして、自分の置かれている状況の問題点を見つけることができる。しかし、それと同時に今までに気づいていなかった我が国での良い点を再認識し、変えてはならない部分があることにも気づかされる。
 今回の検討から、1) 無戦争の維持、2) 家族についての検討、3) 経済的発展、4) 専門職の資格、5) サービスへのアクセシビリティの改善、6) 障害当事者を核とする支援組織の存在が、今後の我が国に必要であると提案する。

【略 歴】
 1989年 東京慈恵会医科大学卒業
 1995年 神奈川リハビリテーション病院
 2003年 東京慈恵会医科大学眼科学講座 講師
 2004年 Stanford大学 客員研究員
 2007年 東京慈恵会医科大学眼科学講座 准教授
 2008年 国立身体障害者リハビリ病院第三機能回復訓練部 部長
 2010年 国立障害者リハビリ病院第二診療部 部長 

 

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『新潟ロービジョン研究会2015』
 日時:平成27年8月1日(土)14時~18時
 会場:済生会新潟第二病院 10階会議室
 主催:済生会新潟第二病院眼科
 テーマ:「ロービジョンケアに携わる人達」 

【プログラム】
14時~はじめに 安藤 伸朗 (済生会新潟第二病院;眼科医)

14時05分~特別講演
  座長:加藤 聡(日本ロービジョン学会理事長 東大眼科准教授)
  『世界各国と比べた日本のロービジョンケア』
    仲泊 聡(国立障害者リハビリテーションセンター;眼科医)
  http://andonoburo.net/on/3843


15時~パネルディスカッション ~ 『ロービジョンケアに携わる人達』
  司会:安藤 伸朗 (済生会新潟第二病院;眼科医)
     仲泊 聡(国立障害者リハビリテーションセンター;眼科医)
  1)眼科医が行うロービジョンケア
    加藤 聡(日本ロービジョン学会理事長 東大眼科准教授)

 2)NPOオアシスでやってきたこと、行っていること
    山田 幸男 (新潟県保健衛生センター;信楽園病院 内科) 

 3)ロービジョンケアにおける視能訓練士の関わり
    西脇 友紀(国立障害者リハビリテーションセンター病院;視能訓練士)

 4)新潟盲学校が取り組む地域支援
     渡邉 信子 (新潟県立新潟盲学校;教諭) 

 5)盲導犬とローヴィジョン
    多和田 悟 (公益財団法人:日本盲導犬協会 訓練事業本部長 常勤理事)

 6)後悔から始まった看護師によるロービジョンケア
    橋本 伸子(石川県;看護師) 

 7)嬉しかったこと、役立ったこと (患者の立場から)
     大島 光芳 (上越市;視覚障がい者)

 済生会新潟第二病院眼科が、『治療とリハビリ』と題して公開講座2015第2弾を企画しました。

 加齢性黄斑変性治療第一人者の五味 文先生(住友病院)、再生治療のトップリーダー高橋 政代先生(理化学研究所)、夫婦で高次脳機能障害から回復を果たした立神粧子先生(フェリス女学院大学教授)の3先生に特別講演して頂きます。

 講演後は、五味先生、高橋先生、立神先生に加え、平形 明人先生(杏林大学眼科教授)、福地 健郎先生(新潟大学眼科教授)、長谷部 日先生(新潟大学眼科講師)、佐藤 弥生先生(新潟大学眼科)にも参加して頂き、パネルディスカッションを企画しました。

 今回は、五味文先生の抄録と略歴をアップしました。ご期待下さい。
 

特別講演1
 演題:加齢黄斑変性治療の現状と課題
 講師:五味 文 (住友病院眼科)
【抄 録】
 現在の加齢黄斑変性治療の第一選択は、抗VEGF療法である。抗VEGF療法によって、速やかに視力回復が得られる症例も多数ある。繰り返して治療をしないといけなかったり、薬剤が非常に高価であったりと問題点も少なくないが、その有効性を知ってしまった今、抗VEGF薬が使えなかった時代には戻れない。

 私は臨床医として多数の加齢黄斑変性患者を治療しながら、抗VEGF薬の有効性を個々の症例で最大限に発揮させるにはどうすればよいか考えてきた。その結果、病型や患者背景、投与のタイミング、併用治療の有無、通院間隔等々、いろいろな要素があることがわかってきた。

 口演では、加齢黄斑変性治療の現況についてお伝えするとともに、私がこれまで経験した代表症例をお示ししながら、抗VEGF療法の有用性と限界について考えてみたい。 

【略 歴】
 1989年 大阪大学医学部卒業
     大阪大学眼科入局
 1990年 大阪労災病院眼科
 1997年 大阪大学大学院入学
 2001年 同上終了、大阪大学眼科助手
 2006年 大阪大学眼科講師 
 2012年 住友病院眼科部長、大阪大学医学部招へい准教授
     現在に至る 

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済生会新潟第二病院 眼科公開講座2015パート2「治療とリハビリ」
 日時:2015年10月10日(土)
    開場:13時30分 研究会:14時~18時
 場所:済生会新潟第二病院10階会議室
 主催:済生会新潟第二病院眼科
 事前登録 

13:55 はじめに 安藤 伸朗 (済生会新潟第二病院)
14:00~特別講演1
 「加齢黄斑変性治療の現状と課題」
   座長:長谷部 日(新潟大学)佐藤 弥生(新潟大学)
   演者:五味 文(住友病院)
 
 http://andonoburo.net/on/3829

14:50~特別講演2
  「iPS細胞による眼疾患治療の現状と未来」
   座長:福地 健郎(新潟大学)安藤 伸朗(済生会新潟第二病院)
   演者:高橋 政代(理化学研究所) 

15:40~ コーヒーブレーク 

16:00~特別講演3
 「高次脳機能障害と向き合う〜神経心理ピラミッドを用いたホリスティック・アプローチ〜」
   座長:仲泊 聡(国立障害者リハ)平形 明人(杏林大学)
   演者:立神 粧子(フェリス女学院大学教授) 

16:50~ パネルディスカッション「治療とリハビリ」(1時間)
  コーディネーター:仲泊 聡(国立障害者リハビりテーションセンター
           
安藤 伸朗(済生会新潟第二病院)
  パネリスト:高橋 政代(理化学研究所)、五味 文(住友病院)
   立神 粧子(フェリス女学院大学教授)、平形 明人(杏林大学)
   福地 健郎・長谷部 日・佐藤 弥生(新潟大学) 

17:50 おわりに 仲泊 聡(国立障害者リハビりテーションセンター)
    会場片付け(アジャーン)
18:00 終了

2015年8月13日

済生会新潟第二病院眼科では、どなたでも参加できる公開講座を開催しています。
今回は、加齢性黄斑変性治療第一人者の五味 文先生(住友病院)、再生治療のトップリーダーの高橋 政代先生(理研)、高次脳機能障害からの回復訓練に夫婦で取り組んだ立神 粧子先生(フェリス女学院大学教授)をお呼びして、『治療とリハビリ』と題して行います。
今のうちにカレンダーへのチェックをお願い致します。

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済生会新潟第二病院 眼科公開講座2015(2)「治療とリハビリ」
 日時:2015年10月10日(土)
         開場:13時30分 研究会:14時~18時
 場所:済生会新潟第二病院10階会議室
 主催:済生会新潟第二病院眼科
 事前登録 

13:55 はじめに 安藤 伸朗 (済生会新潟第二病院)
14:00~特別講演
 「加齢性黄斑変性治療の現状」
   座長:長谷部 日(新潟大学)、佐藤 弥生(新潟大学)
   演者:五味 文(住友病院) 

14:50~特別講演
  「iPS細胞による眼疾患治療の現状と未来」
   座長:福地 健郎(新潟大学)、安藤 伸朗(済生会新潟第二病院)
   演者:高橋 政代(理研) 

15:40~ コーヒーブレーク 

16:00~特別講演
 「高次脳機能障害と向き合う
 
    〜神経心理ピラミッドを用いたホリスティック・アプローチ〜」
   座長:仲泊 聡(国立障害者リハビリテーションセンター)、平形 明人(杏林大学)
   演者:立神 粧子(フェリス女学院大学教授) 

16:50~ 座談会「治療とリハビリ」(1時間)
  座長:仲泊 聡(国立障害者リハビリテーションセンター)、安藤 伸朗(済生会新潟第二病院)
  パネリスト:五味 文(住友病院)高橋 政代(理研)、立神 粧子(フェリス女学院大学教授)
   
平形 明人(杏林大学)、福地 健郎・長谷部 日・佐藤 弥生(新潟大学) 

17:50 おわりに 仲泊 聡(国立障害者リハビリテーションセンター)
    会場片付け(アジャーン)

18:00 終了 
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これまでの済生会新潟第二病院 眼科公開講座
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平成27年(2015年)2月28日(土)
「済生会新潟第二病院眼科 公開講座2015」『細井順講演会』
 講師:細井順(ヴォーリズ記念病院ホスピス希望館長;近江八幡市)
 演題:生きるとは…「いのち」にであうこと ~死にゆく人から教わる「いのち」を語る~
 http://andonoburo.net/on/3515 

2012年(平成24年)9月19日(水)
「視覚障害児の目や見え方に関する講演会 2012」
 (第199回(12‐09月)済生会新潟第二病院 眼科勉強会)
  会場:新潟盲学校 会議室
  演題:「様々な障害を持つお子さんを通して考えてきたこと」
  講師:富田 香 (東京;平和眼科)
   主催:済生会新潟第二病院眼科
   共催;新潟県立新潟盲学校 

2009年11月21日(土)
「明日の眼科を考える 新潟フォーラム2009」 
 特別講演
 「網膜色素変性とiPS細胞」
     高橋 政代 (神戸理研)
 「人工の眼は可能か?」
     仲泊 聡 (国立障害者リハビリセンター病院) 
 http://andonoburo.net/on/2577 

平成20年(2008年)11月15日(土)
「視覚に障がいのある子どもの発達と支援を考える新潟フォーラム 2008」
  会場:新潟盲学校 会議室
  司会進行 新井 千賀子(杏林アイセンター)、安藤 伸朗(済生会新潟第二病院)
 「子どもの視覚の発達と眼疾患」
      三木 淳司(新潟大学眼科)
 「視覚障がい乳幼児の発達」
      香川 スミ子(浦和大学)
 「視覚障がい乳幼児の支援ー新潟盲学校の取り組み」
      田邊 聡子(新潟県立新潟盲学校)
 「視覚障がい乳幼児への早期支援をうけて」
      近山 智子(新潟盲学校 PTA)
 パネルディスカッション 
   基調講演 「スペシャル子育てを考える」
          新井 千賀子(杏林アイセンター)
   パネリスト 三木 淳司(新潟大学眼科)
          香川 スミ子(浦和大学)
          田邊 聡子(新潟県立新潟盲学校)
          近山 智子(新潟盲学校 PTA)
   主催:済生会新潟第二病院眼科
   共催;新潟県立新潟盲学校 

平成20年(2008年)2月23日(土)
「済生会新潟第二病院眼科 公開講座2008」『細井順 講演会』
(第144回(08‐2月)済生会新潟第二病院眼科勉強会)
 演題:「豊かな生き方、納得した終わり方」
 講師:細井順(財団法人近江兄弟社ヴォーリズ記念病院ホスピス長)
 http://andonoburo.net/on/2573 

平成19年(2007年)11月11日(日)
『済生会新潟第二病院眼科 市民公開講座2007』
 シンポジウム 「患者として思う、患者さんを想う」
  稲垣吉彦(患者;有限会社アットイーズ 取締役社長、千葉県)
  荒川和子(看護師;医療法人社団済安堂 井上眼科病院、東京)
  三輪まり枝(視能訓練士;国立身体障害者リハセンター病院)
 コメンテーター
  櫻井真彦(眼科医;埼玉医科大学総合医療センター教授)
 http://andonoburo.net/on/2556 

平成18年(2006年)11月11日(土)
『済生会新潟第二病院眼科 公開講座2006』
 
(第128回(06‐11)済生会新潟第二病院 眼科勉強会)
  「失明の体験と現在の私」 
    西田稔(NPO『眼炎症スタディーグループ』理事長)
  「シルクロード病(ベーチェット病)からの贈り物」 
    西田朋美(眼科医、聖隷横浜病院)
 http://andonoburo.net/on/2552 

平成17年(2005年)11月26日(土)
「済生会新潟第二病院眼科 公開講座 2005」
 演題:「ホスピスで生きる人たち」 
 講師:細井順 (財団法人近江兄弟社ヴォーリズ記念病院緩和ケア部長)
 http://andonoburo.net/on/2548

2015年8月11日

  日時:2016年1月23日 15時半開場 16時~19時
  会場:済生会新潟第二病院 10階会議室 予定
  講師 門之園 一明(横浜市立大学教授)
     出田 秀尚(出田眼科)
  主催:済生会新潟第二病院眼科 

 今の医療界は、さまざまな問題があり、若い先生が夢を持ちにくい閉塞感があります。こんな状況を打破してくれるのはリサーチマインドを持った若い方の力です。「学問のすすめ」講演会は、今後の医学界を背負う若い医師・研修医・学生たちが、患者のことを考えた真の臨床医に、そして世界に目を向けた真理を追究する医師に大きく育ってほしいという願いを込めた企画です。
 講演時間:一時間・質疑応答:30分。講演では、ご自身のこれまでを自叙伝的に振り返って頂き、現在行っていること、今後行いたいこと、若い方に期待することなどを述べて頂く予定です。
 
今回の講師は、世界に通用する眼科サージャンの先駆けである出田秀尚先生(出田眼科)と、いまや世界に羽ばたいている日本を代表する眼科サージャンの門之園 一明先生(横浜市立大学教授)です。
 どなたでも参加できます。今のうちにカレンダーへのチェックをお願い致します。

 

過去の「学問のすすめ」講演会プログラム
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「学問のすすめ」第9回講演会
   日時:2014年7月6日(日)  10時~13時 
   会場:済生会新潟第二病院 10階会議室 
 「学問はしたくはないけれど・・」
    加藤 聡 (東京大学眼科准教授)
 「摩訶まか緑内障」
    木内 良明 (広島大学眼科教授)
 http://andonoburo.net/on/2951
 

「学問のすすめ」 第8回講演会
   日時:2012年9月15日(土) 15時~18時
   会場:済生会新潟第二病院  10階会議室A
 「疫学を基礎とした眼科学の展開」
    山下 英俊 (山形大学眼科教授、医学部長)
 「2型糖尿病の成因と治療戦略」
    門脇 孝(東京大学内科教授、日本糖尿病学会理事長)
 http://andonoburo.net/on/2423
 

「学問のすすめ」 第7回講演会
   日時:2012年6月10日(日) 9時~12時
   会場:済生会新潟第二病院 10階会議室
 「遺伝性網膜変性疾患の分子遺伝学」
    中沢 満(弘前大学大学院医学研究科眼科学講座教授)
 「iPS細胞-基礎研究から臨床、産業へ」
    高橋 政代 (理化学研究所)
 http://andonoburo.net/on/2420
 

「学問のすすめ」 第6回講演会
   日時:2012年3月17日(土)15:00~18:00
   会場:済生会新潟第二病院 10階会議室
 「糖尿病網膜症と全身状態
     どの位のHbA1cが何年位続けば網膜症は発症するのか?」
     廣瀬 晶 (東京女子医大糖尿病センター眼科)
 「私の歩いた一筋の道
   糖尿病と妊娠の分野を開拓しながら学んだ事」
     大森安恵 (海老名総合病院 糖尿病センター長)
          (東京女子医科大学名誉教授;内科)
 http://andonoburo.net/on/2411
 

「学問のすすめ」 第5回講演会
   日時:2011年10月29日(土)16時30分~19時30分
   会場:済生会新潟第二病院 10階会議室
 「神経再生の最前線ー神経成長円錐の機能解明に向けてー」
    栂野 哲哉 (新潟大学)
 「私と緑内障」
    岩瀬 愛子 (たじみ岩瀬眼科)
 http://andonoburo.net/on/2407
 

「学問のすすめ」 第4回講演会
   日時:2011年6月12日(日) 9:00~12:00
   会場:済生会新潟第二病院 10階会議室
 「経角膜電気刺激治療について」
      畑瀬哲尚 (新潟大学)
 「臨床研究における『運・鈍・根』」
     三宅養三 (愛知医大理事長 名古屋大学名誉教授)
 http://andonoburo.net/on/2404
 

「学問のすすめ」 第3回講演会
   日時:2011年4月2日(土)15時~18時
   場所:済生会新潟第二病院 10階会議室
 「眼の恒常性の不思議 “Immune privilege” の謎を解く
  ―亡き恩師からのミッション」
    堀 純子 (日本医大眼科;准教授)
 「わがGlaucomatologyの歩みから」
    岩田 和雄 (新潟大学眼科;名誉教授)
 http://andonoburo.net/on/2397
 

「学問のすすめ」 第2回講演会
   日時:2010年10月9日(土)15時30分~18時30分
   場所:済生会新潟第二病院 10階会議室
 「拡散強調MRIによる視神経軸索障害の定量的評価」
    植木 智志 (新潟大学眼科)
 「強度近視の臨床研究を通してのメッセージ
   ~clinical scientistを目指して」
    大野 京子(東京医科歯科大学眼科 准教授)
 http://andonoburo.net/on/2393
 

「学問のすすめ」 第1回講演会
   日時:2010年2月6日(土) 14時~17時
   場所:済生会新潟第二病院 10階会議室
 「留学のススメ-留学を決めたワケと向こうでしてきたこと-
   (人工網膜、上脈絡膜腔刺激電極による網膜再構築、
   次世代の硝子体手術器機開発、
   マイクロバブルを使用した超音波治療などについて)」
    松岡 尚気 (新潟大学)
 「網膜・視神経疾患における神経保護治療のあり方は?
   -神経栄養因子とグルタミン酸毒性に注目して-」
    関 正明 (新潟大学)
  http://andonoburo.net/on/2391 

2015年8月8日

 「新潟盲学校弁論大会 イン 済生会」
  日時:平成27年7月8日(水)16:30~17:30
  場所:済生会新潟第二病院 眼科外来
(1)「僕の父」 中学部3年  
(2)「夢は地道にコツコツと」 高等部普通科3年 


(1)「僕の父」 新潟県立新潟盲学校 中学部3年  
 僕は、月曜日から木曜日まで寄宿舎に泊まります。中学部になってから、父と毎日会えません。だから少し淋しいです。

 僕の父はやさしいです。休みのときは父と一緒にお風呂に入ります。僕の身体をごしごし洗ってくれます。そんなときは、「お前、小さいときよく泣いてたな。お父ちゃんのくしゃみや鼻かむ音で泣いてたな」と僕の子供の頃の話をしてくれます。

 また、 「お出かけについて」話をします。お出かけに連れて行ってくれます。僕の好きな巫女爺や熱気球大会や花火大会を見に行ったり、いろいろな所に連れて行ってくれます。今年のゴールデンウィークは、毎日、柏崎や長岡に連れて行ってもらいました。行事のときは、家族みんなを学校まで送ってくれます。体育祭のときは「がんばれ、がんばれ」と応援してくれました。

 文化祭では作業で作ったフォトフレームをよくできた」と言ったり、有志のステージ発表で、僕たちがよさこいソーランを踊ったときは、「上手だったよ。」と、ほめてくれたりしました。

 僕とよく遊んでくれます。総合体育館に行って、僕の手を引いて走ります。そのとき父は飛ばします。速いので僕が手を離しそうになると、「おい、お前なにしてやんだ。」と言います。

 家ではウィーでゲームをしてくれます。座禅やスキーのジャンプのゲームを教えてくれます。父は、「飛べ!飛べ!前、前、前、前・・・」と、ジャンプのタイミングを指示してくれます。僕が上手に飛べると、「123メートルだって。いったねえ。」と、ほめてくれます。テレビで「お宝鑑定団」やニュースをよく見ています。 

 父は電気工事士をしています。仕事に出かけるとき僕に「よし、お父ちゃん仕事に行ってきますよ」と言って出かけます。そんな父はかっこいいと思います。

 僕は父が一番大好きです。これからも元気でいて下さい、お父さん。

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(2)「夢は地道にコツコツと」 新潟県立新潟盲学校 高等部普通科3年 
 今から話しをするのは、二年間話すことが出来なかった中学校の時の話です。

 私は、生まれつきの弱視ですが、勇気が出せず、本当に信用している友達にしか目が悪いことを打ち明けていませんでした。だから私は他の友達に気づかれないように学校生活を送っていました。高校受験も、盲学校進学ではなく、普通校進学を希望していました。なぜなら私は、盲学校は目が全く見えない人が通うところだと勘違いしており、盲学校に進学することで、目が悪いことがみんなに知られてしまうのを恐れたからです。 

 私は、普通校合格のために必死に勉強しました。入試当日、教室に書見台が用意され、拡大された答案用紙が配られました。他の受験生たちがじろじろと見ているのがとても恥ずかしかったし、視線を怖く感じました。それでも、入試を出来る限りがんばりました。休み時間には友達が面白い話や、「俺だめだった」みたいな話をして私を勇気づけてくれました。志望した高校には、友達が多く受験していたので、緊張せずに取り組めました。入試が終わったあと、『やることはやった!がんばった!』という達成感よりも、『無事に高校に入学できるか』という不安でいっぱいでした。

 志望校合格発表の日。自分の受験番号を一生懸命探しました。1、2、3、4……数が近づいてくるにつれ、私の心臓はバクバクしました。結果は不合格でした。私は、頭が真っ白になりました。理解できずに何度も何度も探しましたが、番号はありませんでした。

 私は、二次の新潟盲学校受験を頑張ろうと思い、再び努力しました。そして、新潟盲学校に合格しました。うれしいのですが、素直に喜べませんでした。目が見えない人がいく学校で、自分の目が悪いことを知られてしまうと思ったからです。友達に「どこ入学するの?」と聞かれて盲学校と答えるのが嫌でした。私の不安は無事に入学できるかというものから、盲学校ってどんなところなのかというものに変わっていき、入学式が近づくにつれてその不安がどんどん大きくなりました。ついには盲学校入学が決まっているのに、「普通校に行きたい」「普通校で勉強したい」とさえ思ってしまいました。

 しかし、その不安は入学式で生徒会長からのお祝いの言葉を聞いたときに全て吹き飛びました。しっかりハキハキと言っている姿を見て「本当に目が悪いのか?」と思いました。学校生活が始まり、グランドソフトボール部の先輩たちがアイマスクをしていても、普通に投げたり打ったり、走ったりしているのを見て「すごいなぁ」と思いました。さらに、寄宿舎でも私よりもよっぽど小さな子が一人暮らしをしていてすごいと思いました。

 盲学校に来たばかりで何も知らなかった私に気軽に話してくれる人ばかりでした。私のことを大好きと言ってくれる人もいました。私は、とてもうれしかったです。私は、『盲学校入学は、間違いじゃなかったんだ、もし私が普通校に合格していたら、こんなすてきな友達と出会えなかったし、私のことをわかってくれる先生方もいなかった!普通校に落ちたから今の私がある!』と思っています。

 三年生になり、たくさんの友達といつもわいわいしながら学校生活を送っています。そんな私には今、夢があります。それは、パン屋になるという夢です。私がパン屋を意識したのは、中三の時です。「焼きたてジャパン」というテレビアニメにハマり、家でパンを作り始めたのがきっかけです。目盛りやはかりの線が見えにくい私にとって、非常に難しい夢だと思います。しかし、その夢をあきらめたくはありません。なぜなら、私はパンが好きだからです。

 私は、二年生の時から「産業社会と人間」という授業を選択しています。その授業では、日頃のあいさつ、礼儀、作業など就職に関したことを学んでいます。慣れてくると現場実習があり、二週間の現場実習を行いました。金具組み立てや段ボール作りなどを一日六時間以上やるので、とてもくたくたになりましたが、この実習を通して仕事の大変さや辛さがしみじみとわかりました。今年も七月にまた実習があります。就職に向けて大変な実習もがんばっていきたいです。

 さて、みなさんは、連続テレビ小説「まれ」を知っていますか?夢が嫌いなまれが言った言葉に「人生は地道にコツコツ」という言葉があります。まれは夢が嫌いですが、私は夢が大好きです。夢がなかったら人生は楽しくないし、夢が無いと何事もがんばれないと思います。みなさんも夢に向かって地道にコツコツとがんばりましょう。たとえ大きな障害があり、それがどんなに暗闇に包まれたとしても、続けていれば必ず夢に近づいて行くはずです。私もパン屋という夢に向かって走り続けていきます。

 これで発表を終わります。ご清聴ありがとうございました。

【後 記】
 済生会新潟第二病院眼科勉強会の七月は、毎年新潟盲学校の生徒による弁論大会を行っています。盲学校生が胸に秘めた熱い思いを弁論は、毎回好評です。
 今回も二人の弁士は、一所懸命に時に身振りを交えて弁論してくれました。参加者からも多くの賛辞が寄せられ、感動の弁論大会でした。

@全国盲学校弁論大会弁論47話「生きるということ―鎖の輪が広がる―」
 http://www.kyoikushinsha.co.jp/book/0103/index.html
 平成20年度で77回目を迎えた全国盲学校弁論大会の発表作品は、“こころ”の課題を抱える現代の児童生徒、学生にインパクトとともに大きな勇気を与えている。学校、家庭での読み聞かせにお勧めの一冊。

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【今後の済生会新潟第二病院眼科 勉強会 & 研究会】
平成27年9月9日(水)16:30~18:00
 第235回(15-09)済生会新潟第二病院眼科勉強会
  演題:街歩きを通して考える社会の視覚障害者観と当事者の心理
  講師:清水美知子(フリーランスの歩行訓練士)

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平成27年10月10日(土)午後
 済生会新潟第二病院 眼科公開講座2015「治療とリハビリ」
 会場:済生会新潟第二病院10階会議室
 要:事前登録
 講演予定者
  五味文(住友病院)
  高橋政代(理研)
  立神粧子(フェリス女学院大学教授)
 http://andonoburo.net/on/3607
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平成27年10月14日(水)16:30~18:00
 【目の愛護デー記念講演会 2015】 
 (第236回(15-10)済生会新潟第二病院 眼科勉強会)
 「ー眼を見つめて50年ー
  素晴らしい眼科学の進歩と医療現場における問題を顧みる」
 藤井 青(ふじい眼科)

平成27年11月11日(水)16:30~18:00
 第237回(15-11)済生会新潟第二病院眼科勉強会
  「臨床からの学び・発展・創造・実現」
  郷家和子(帝京大学)

平成27年12月02日(水)16:30~18:00
 第238回(15-12)済生会新潟第二病院眼科勉強会
  演題未定
  田中正四 (胎内市)

平成28年1月13日(水)16:30~18:00
 第239回(16-01)済生会新潟第二病院眼科勉強会
  「パラドックス的人生」
  上林明(新潟市)

平成28年2月10日(水)16:30~18:00
 第240回(16-02)済生会新潟第二病院眼科勉強会
  演題未定
  若槻 裕子・岩崎 深雪 (新潟市)

2015年8月6日

 演題:「人生いろいろ、コーチングもいろいろ
    高次脳機能障害と向き合うこと、ピアノを教えること」
 講師:立神粧子(フェリス女学院大学教授)
  日時:平成27年8月5日(水)16:30~18:00
  場所:済生会新潟第二病院眼科外来

 後日、ご本人による講演要約を頂き報告する予定ではありますが、ここにメモをもとに速報版の報告を致します。

【講演要旨】
 ご夫婦で東京芸大出身の音楽家。立神先生はピアノ、ご主人はトランペット。ヤマハ楽器にお勤めだったご主人が「くも膜下出血」を発症。その克服にご夫婦で立ち向かい、ニューヨークで約一年の研修を受け、その後も地道な訓練をひたすらに続け、生活を取り戻した壮絶なお話。

 2001年秋、ご主人が仕事中に突然解離性くも膜下出血で倒れ、後遺症として高次脳機能障害が残った。2年ほど大きな改善は見られず悶々としていたなか、2004年立神先生はフェリス女学院大学からのサバティカルの1年を利用して、お二人でNewYork大学リハビリテーション医学Rusk研究所の通院プログラムに参加した。Y.Ben-Yishay博士が率いるRusk研究所は脳損傷通院プログラムの世界最高峰と言われていた。

 高次脳機能障害とは、交通事故や脳卒中などの後遺症による、器質性の機能障害。認知機能に問題が起こるのみでなく、本人に障害の自覚がない、記憶に問題があり自分では改善できない,といった問題がある。易疲労性で、抑制困難、発動生の欠如と行った症状が出てくる。これらが、顕著に表れたり、一見治ったかのように表れる。。。。さらに、家族が症状の本質を理解できないという、問題もある。

 脳損傷者の機能回復訓練において最も厄介なことは、人それぞれ歩んできた人生が違う、ということである。例えば臓器であれば、その機能は共通で発症後の経過を予測できるであろう。しかし脳の機能はその人固有の人生の学習の記憶によって成り立っている。神経回路のつながり方はAさんとBさんとでは全く異なるのである。

 Rusk研究所(NY大学医療センター)通院プログラム
 「認知機能の神経心理ピラミッド」 認知機能を9つの階層に分け、ピラミッドの下が症状の土台であり、その基本的な問題点が改善されていなければ、ピラミッドのそれより上の問題点の解決は効果的になされないとする考え方で、ピラミッドの下から訓練は行われる。
 9つの階層~下から以下のとおり 意欲>覚醒・警戒・心的エネルギー>抑制(過小・過多)>注意・集中>コミュニケーション・情報処理>記憶>論理的思考>受容>自己同一性。
 
 Ruskではこれらすべての階層の問題のひとつひとつに戦略(対処法)がある。月曜日から木曜日までの朝10時から午後3時まで、対人コミュニケーションや個別の認知訓練、カウンセリングまでをも含む構造化された時間割の中でシステマティックな訓練が行われる。

 Rusk研究所での夫の訓練が終わるとき、Ben-Yishay博士から「君たちが訓練に成功したのは、君たちが成熟した音楽家で、訓練ということの意味を理解していたからだ」と言われた。   

 認知の諸機能に問題が生じる脳損傷(高次脳機能障害)に対する訓練は、1日の流れを構造化した生活の中で地道に継続することが肝心である。短期記憶に問題が生じるので、新しいことを脳が学習することが難しくなる。認知機能不全によりできなくなったことができるようになるために、症状を分析、細分化し、環境を構造化し、ひとつひとつ達成感を感じながら練習→習得→習慣化の過程を経る必要がある。こうした過程は、楽器の習得などと共通点が多い。そして非常に重要な部分として、脳損傷者の機能の統合と再構築を助ける、専門家及び家族のコーチングの技術がある。支援することを構造化 そのためにはケアマネージャーさんやヘルパーさんとの連携が不可欠。

 こうした訓練と戦略のおかげで、絶望的だった夫との生活は奇跡的に改善され、希望が持てる人生を歩みだすことができた。神経心理ピラミッドは脳損傷にもピアノ教育にも有効なツールとなっている。


【略 歴】
 1981年 東京芸術大学音楽学部卒業
 1984年 国際ロータリー財団奨学生として渡米
 1988年 シカゴ大学大学院修了(芸術学修士号)
 1991年 南カリフォルニア大学大学院修了(音楽芸術学博士号)
 2004-05年 NY大学医療センターRusk研究所にて脳損傷者の通院プログラムに参加。治療体験記を『総合リハビリテーション』(医学書院)に連載(2006年)。
 2010年 『前頭葉機能不全その先の戦略』(医学書院)
 現在:フェリス女学院大学音楽学部音楽芸術学科教授、音楽学部長、日本ピアノ教育連盟評議員、米国Pi Kappa Lambda会員。

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『前頭葉機能不全/その先の戦略:Rusk通院プログラムと神経心理ピラミッド』
 2010年11月 医学書院より出版。
 医学書院のHPに以下のように紹介されている。
「高次脳機能障害の機能回復訓練プログラムであるニューヨーク大学の『Rusk研究所脳損傷通院プログラム』。全人的アプローチを旨とする本プログラムは世界的に著名だが、これまで訓練の詳細は不透明なままであった。本書はプログラムを実体験し、劇的に症状が改善した脳損傷者の家族による治療体験を余すことなく紹介。脳損傷リハビリテーション医療に携わる全関係者必読の書」
 http://www.igaku-shoin.co.jp/bookDetail.do?book=62912
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2015年8月2日

今年の新潟ロービジョン研究会は、全国14都府県から90名近くが集いました。満員となった済生会新潟第二病院10階の会議室では、どの演題にも熱い討論があり、気づきがあり、感動がありました。
後日、各演者には講演要約を提出して頂く予定ですが、速記メモを中心にここに速報版として報告致します。

『新潟ロービジョン研究会2015』  
 日時:平成27年8月1日(土)開場;13時30分 研究会14時~18時
 
会場:済生会新潟第二病院 10階会議室
 主催:済生会新潟第二病院眼科
 
テーマ:「ロービジョンケアに携わる人達」

特別講演
  座長:加藤 聡(日本ロービジョン学会理事長 東大眼科准教授)
 『世界各国と比べた日本のロービジョンケア』
  仲泊 聡(国立障害者リハビリテーションセンター;眼科医) 

 世界各国(コロンビア、米国、カナダ、イギリス、オーストラリア、スウェーデン、大韓民国、中華人民共和国、モーリシャス、モンゴル、ジンバブエ)のロービジョンケアの実態を調査した結果、下記のことが明らかとなった。
 医療も福祉も、その国が平和かどうかによって大きく異なる。そして、どこにその財源があるのかという点で、その国の経済状況とシステムが大きく影響する。また、社会の中の家族の役割によっても大きく影響を受けている(家族構成~大家族:弱者を家族が守る、核家族:弱者を社会が守る)。 つまり、そのお国柄でロービジョンケアの内容も、その対象となる人も、そしてそれを実践する人も異なる。 
 ロービジョンケアの土台~まずは「平和、道徳・宗教」、そして「経済情勢」、さらに「家族、疾患・年齢」、そのうえで「技術・制度」
 日本は、当事者団体・支援団体の統一・結集する必要がある。現在我が国の視覚障害リハビリ関わる団体は以下の通りである~日本盲人会連合、全日本視覚障害者協議会、弱視者問題研究会、日本網膜網膜色素変性症協会、日本失明者協会、視覚障害者支援総合センター、全国盲老人福祉施設連絡協議会、日本盲人社会福祉施設協議会、全国盲導犬施設連合会、全国視覚障害者情報提供施設協会、全国盲学校長会、視覚障害リハビリテーション協会
 一方欧米では、一国に一つの組織である。米国~AFB:American foundation for the blind、カナダ~CNIB:Canadian national institute for the blind、イギリス~RNIB:The royal institute for the blind people、オーストラリア~ABF:The Australian Blindness Forum
 外国のシステムを学ぶことは、何であっても新しい視点と発想を与えてくれる。そして、自分の置かれている状況の問題点を見つけることができる。しかし、それと同時に今までに気づいていなかった日本での良い点を再認識し、変えてはならない部分があることにも気づかされる。 

 ★討論:国際ロービジョン学会での主な話題は何か?
 

パネルディスカッション ~ 『ロービジョンケアに携わる人達』
  司会:安藤 伸朗 (済生会新潟第二病院;眼科医) 
     仲泊 聡(国立障害者リハビリテーションセンター;眼科医)

1)眼科医が行うロービジョンケア
  加藤 聡(日本ロービジョン学会理事長 東大眼科准教授)
 かかりつけ医と高度な医療機関(急性期病院)との分業である病診連携は必要不可欠である。それでは高度な医療を行う急性期病院では、どのように眼科医は患者さんと相対すればよいのであろうか?高度の診断や手術を含む治療を行う眼科医が「先発投手」ならば、最終的にロービジョンケアを行う眼科医は患者さんへの対応を医療として終了するという意味で「抑えの投手」ということになるという考え方もある。あるいは、中には最終的にロービジョンケアを行う眼科医は「敗戦処理投手」のように考えている残念な眼科医も一部にいることは確かである。しかし、私は、いずれの考えにも違和感を覚える。
 本来眼科医が行うロービジョンケアとは、正しい診断、適切な手術を含む治療を行い、その上での狭義のロービジョンケアを行うことが正しいあり方だと考える。すなわち、眼科医が行うロービジョンケアとは最後を締めくくることではなく、先発投手として完投することであり、そのように考えるならば、ロービジョンケアにより力を入れる眼科医も必然的に増えると期待している。 

 ★討論:眼科医が行うという観点からのお話だったが、患者が眼科医に期待できることは何だろう?多くの患者は、医師に裏切られた歴史を持っている。
  討論:先発・抑えの例えは如何なものか?むしろサッカーのオフェンス・ディフェンスが適当ではないか。サッカーでは、フォワードは攻めるばかりでなく、守備も求められる。最新医療に中にもケアの視点が必要ではないか?
 

2)NPOオアシスでやってきたこと、行っていること
  山田 幸男 (新潟県保健衛生センター;信楽園病院 内科)
 いまから31年前の視覚障害者の自殺が契機となって、私たちは目の不自由な人のリハビリテーションに取り組んだ。当時信楽園病院の眼科は、大学からパートできておられたので、眼科医が赴任されるのを待った。待つこと10年、ようやく眼科医の大石正夫先生が着任され、すぐにリハビリ外来を、さらに翌年にはパソコン教室を開設した。その後、さらに歩行指導(白杖、誘導)、調理・化粧指導など指導項目を増やしながら、視覚障害者の自立を援助している。
 障害者の心のケアも大切。お茶飲みや食事をしながら、話し合い、情報交換する機会を設けた。パソコンをやらないで、お茶飲みや友達を求めて集まる人も多くみられる。リハビリ外来やパソコン教室を開設して、丸20年が経ち、視覚障害者にも高齢化の波が押し寄せている。
 老老介護の人が多くなり、いつ介護者が介護できなくなるかわからない人が多くみられる。そこで、目の不自由な人たちに「もし介護者が介護できなくなったら、あなたは施設で過ごしますか、自宅で過ごしますか?」とたずねてみた。自宅で過ごしたいと答えた人が多く、男性障害者(24人)では54.2%、女性障害者(8人)は75%に達した。介護者がいなくなったときに、視覚障害者がとくに困ることは、歩行・移動、食事作り、買い物。
 歩行・移動に対しては、昨年8月から、「転倒予防・体力増進教室」を開始した(毎月1回)。ロコモ・サルコペニア・フレイル・骨粗鬆症などの講義と、ラジオ体操などの実技、看護師によるフットケア、栄養士による栄養指導などを行っている。
 調理教室は以前から月2回行ってきましたが、一人になると作れない人がほとんどだった。そこで確実に作れるようになるために、「習って、教える、リレー調理教室」を開設した。ご飯が炊けることが大切なので、まず指導者が視覚障害者とマンツーマンでご飯が炊けるようになるまで指導。その人ができるようになったら、次はその人が次の目の不自由な人に教える。このように、一人でできるようになった人は、次の人に教え、その人がマスターしたら、また次の人の指導にあたる、リレー方式。ご飯を炊くことができるようになったら、次はみそ汁つくり。同様に、次から次へと技術のバトンを渡している。この方法は、技術が確実に身につくと同時に、達成感も味わえるように思う。
  @サルコペニア(sarcopenia)~進行性および全身性の骨格筋量および骨格筋力の低下 を特徴とする症候群。 

 ★感想:「習って、教える、リレー調理教室」の発想は素晴らしい。単に技術を覚えるのみでなく、人に教えるという達成感も味わうことが出来る。
 

3)ロービジョンケアにおける視能訓練士の関わり
  西脇 友紀(国立障害者リハビリテーションセンター病院;視能訓練士)
 視能訓練士は、昭和46年に制定された「視能訓練士法」という法律に基づく国家資格をもった医療技術者。私たちのほとんどは、眼科で医師の指示のもと視力や視野などの眼科一般検査を行ったり、斜視・弱視の訓練治療に携わったりしている。現在では各地に養成校も増え、約12,700名の有資格者がいる。
 その中で、ロービジョンケアに携わっている視能訓練士はというと、ロービジョンケアを行っている眼科がまだ少ないこともあり少数派だが、ロービジョンケアの前提となるのが正確な視機能検査であることを考えると、私たち視能訓練士すべてが関わっているとも言える。
 現在、私が在籍している病院の眼科では、眼科医、視能訓練士、生活訓練専門職、ソーシャルワーカーがチームを組んでロービジョンケアにあたっている。 

 ★討論:ロービジョンケアの専門施設で行った経験と、開業医に務めた双方の経験から、我が国のロービジョンケアの問題点、あるいはロービジョンケアが拡大しない理由等について、どのようにお考えですか?
 

4)新潟盲学校が取り組む地域支援
  渡邉 信子 (新潟県立新潟盲学校;教諭)
 新潟盲学校では相談支援センターが中心となり、新潟県内全域の視覚に障害のあるすべての対象者及びその関係者に対し、教育的支援・情報等を提供している。主な活動には、「来校相談」「電話・メール相談」等を中心とする相談支援活動や、「各種研修会の開催」等の理解啓発活動があるが、その内容は多岐に渡る。
 相談内容は、「乳幼児期」「就学時期」「就学後」「中学・高校進学時期」「成人期」等、その年齢や状況によって様々。そういった相談に対し、「いかに希望のもてる教育相談ができるか」が、新潟盲学校にとって大きな役割と考えている。
 平成25年度・26年度に文部科学省「特別支援学校機能強化モデル(特別支援学校のセンター的機能充実事業)」の指定を受け、地域の抱える課題等に向き合いながら事業を進めてきた。また、新潟県視覚障害リハビリテーションネットワーク「ささだんごネット」が3年前に発足し、連携を取って活動を進めていくことで、「相談事業」や「理解啓発事業」に幅と深みが出てきた。
 様々な取組によって成果を認めるが、同時に課題も明らかになってきました。盲学校の生徒数減少し、教諭も減少している。こうした現状の中で、「新潟盲学校が取り組む地域支援を今後どのように進めていくのか」を再度考えなければならない時期にきている。

 ★感想:教師は7~8年で転勤するという宿命があり、なかなか専門性を確立できない。しかしマイナスなことばかりを数えていても何の解決にもならない。現場でこういう取り組みを実践していることが素晴らしい。
 

5)盲導犬とローヴィジョン
  多和田 悟 (公益財団法人:日本盲導犬協会 訓練事業本部長 常勤理事)
 1993年の第2回リハビリテーション協会の研究発表大会で盲導犬を利用した弱視者の歩行訓練について発表した。当時は(現在でも?)どこの盲導犬協会も盲導犬使用の対象者は全盲に限るとされていた。それはLVの歩行において困るのは全盲であって多少でも見えるLVは困っていない、LVの保有視覚が訓練された犬のパフォーマンスを邪魔するなどという考え方であった。それはよく訓練された犬を信じてついていけばあなたは安全に歩ける、安全に歩けないのは犬の言う事を聞かないからである、との盲導犬歩行観があった。LVの方々も「私はまだ見える」「盲導犬を使うほどではない」という考えの方がほとんどであった。
 LVの妻が全盲の夫の手を引いて盲導犬使用の申請に来られた。説明を聞く中で妻は「私も神経をすり減らすことなく楽しく歩きたい」と言われた。その結果、LVの盲導犬使用者と世界で初めて一頭の犬を二人で使う「タンデム」とが出来た。別のLVの方は歩行指導の終了後、夜に興奮して電話をかけてきて「コンサートに行ってきた」と報告してくれた。音楽家を目指していた彼女にとって夜のコンサートに行けたことは彼女自身のセルフエスティーム(自尊感情:self-esteem:自己肯定感)の回復に大いに役立ったことと思う。
  現在ではLVの方の盲導犬使用は指導方法の進歩に伴って多くなってきている。今後はより個別のアプローチが出来るように歩行指導が計画され実行されるために歩行指導員の技術向上の機会が与えられることが求められる。

 ★感想:リハビリの目標が技術の獲得のみでなく、セルフエスティーム(自尊感情:self-esteem:自己肯定感)の回復であると指摘して頂いた。
 

6)後悔から始まった看護師によるロービジョンケア
  橋本 伸子(石川県;看護師)
 なぜ、看護師がロービジョンケアを?とこれまで多くの方に、何度も聞かれてきた。それは、見えなくなったらどうしようと通院していた方が、見えなくなった途端に通院をやめてしまった事がきっかけである。不安への傾聴以外にもっとできることがあったのでは無いかと後悔したからである。我々、看護師は排泄のケアにも踏み込めるケアのプロである。でも、残念な事に、ロービジョンケアという言葉自体が看護職には浸透していないのが現状である。それは、ロービジョンケアや視覚リハビリテーションについての教育や啓発の多くが、眼科に特化した職業の人にだけ向けて行われているためである。
 もし、その教育や啓蒙がもっと看護師に向けて積極的に行われていったなら、どうであろう。地域にある社会資源の存在について知っているだけでも、どれほど多くの情報拡散ができるだろうか。職業人口自体が多く、多岐にわたる病棟や各科外来や、在宅ケアにまで分布しする私達の存在は、より多くの患者さんに、知識や情報を提供できるマンパワーとなる。そして、それは福祉難民を予防することにもなり、自立に向けた社会資源へ繋がる近道となる。最も期待すべきは、ケア自体の発展である。我々、看護師が多く関わり正しく学ぶ事で、これまで議論される事が少なかった視覚障害者の排泄や栄養、清潔の保持といった当たり前のテーマにも、多くのケアが出てくると確信している。
 そして、今日、私がこの場に立っているのは、ここにおられる全ての人に、看護師(学生も含む)に向けたロービジョンケアの啓発活動を積極的に行うことをお願いしたいからである。 

 ★感想:「患者にとって一番身近な存在である看護師が資源となることは重要」という視点は新鮮。新しい気付きが沢山あった講演でした。
 

7)嬉しかったこと、役立ったこと (患者の立場から)
  大島 光芳 (上越市;視覚障がい者)
 視覚障害に陥った当初、女房がいないと寂しいと思った。そこでヘルパーさんに家事援助(弁当買ってきてもらう)をお願いした。外出のためガイドヘルパーをお願いした。新潟や東京への出張も出来るようになった。社会資源を利用する側から考えてみると、誰が私達の意見を吸い上げてくれるか?ということがポイントだった。
 私は何をやるにもスピードが十分の一になったのだから、ゆっくりでいい。時間はたっぷりある。辛抱強く、少しのプライドを持って歩みたい。「お父さん、頑張っているね」となれば嬉しい。妻もきっとそう望むから。
 「診察」とは、見て察することことではないだろうか?

 ★感想:視覚障害者自身の心の中の声を披露して頂いた。多くの感動があった。

 

2015年7月28日

 日時:平成27年8月1日(土)
      開場;13時30分 研究会14時~18時
  会場:済生会新潟第二病院 10階会議室
 主催:済生会新潟第二病院眼科
  テーマ:「ロービジョンケアに携わる人達」
  会費無料・事前登録(受付は終了しました)

 済生会新潟第二病院眼科では、「新潟ロービジョン勉強会」を2001年4月に開始、2003年4月の第4回からは「新潟ロービジョン研究会」と改称し、これまで14年間で15回(2001年のみ2回開催)開催しています。
 第16回目となる「新潟ロービジョン研究会2015」の事前登録は、14都府県から80名を超す申し込みがあり、事前受付は終了致しました。

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 尚、当日は、、「新潟大学工学部渡辺研究室」と「新潟市障がい者ITサポートセンター」のご協力によりネット配信致します。以下のURLにアクセスして下さい。
  http://www.ustream.tv/channel/niigata-saiseikai
 当日の視聴のみ可能です。当方では録画はしておりません。録画することは禁じておりませんが、個人的な使用のみにお願いします。

 注:専門の職員はおりません。電話でのお問い合わせには応じることが出来ません。

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『新潟ロービジョン研究会2015』 プログラム
 http://andonoburo.net/on/3728

14時~はじめに
 安藤 伸朗 (済生会新潟第二病院;眼科医)

14時05分~特別講演
  座長:加藤 聡(日本ロービジョン学会理事長 東大眼科准教授)
  『世界各国と比べた日本のロービジョンケア』
    仲泊 聡(国立障害者リハビリテーションセンター;眼科医)
   http://andonoburo.net/on/3638

15時~パネルディスカッション ~ 『ロービジョンケアに携わる人達』
  司会:安藤 伸朗 (済生会新潟第二病院;眼科医)
     仲泊 聡(国立障害者リハビリテーションセンター;眼科医)
  1)眼科医が行うロービジョンケア
    加藤 聡(日本ロービジョン学会理事長 東大眼科准教授)
   http://andonoburo.net/on/3646

 2)NPOオアシスでやってきたこと、行っていること
    山田 幸男 (新潟県保健衛生センター;信楽園病院 内科)
   http://andonoburo.net/on/3657

 3)ロービジョンケアにおける視能訓練士の関わり
    西脇 友紀(国立障害者リハビリテーションセンター病院;視能訓練士)
   http://andonoburo.net/on/3661

 4)新潟盲学校が取り組む地域支援
     渡邉 信子 (新潟県立新潟盲学校;教諭)
   http://andonoburo.net/on/3669

 5)盲導犬とローヴィジョン
    多和田 悟 (公益財団法人:日本盲導犬協会 訓練事業本部長 常勤理事)
  http://andonoburo.net/on/3682

 6)後悔から始まった看護師によるロービジョンケア
    橋本 伸子(石川県;看護師)
   http://andonoburo.net/on/3696

 7)嬉しかったこと、役立ったこと (患者の立場から)
     大島 光芳 (上越市;視覚障がい者)
   http://andonoburo.net/on/3702

 
17時55分~おわりに
 仲泊聡(国立障害者リハビリセンター病院 眼科部長)

18時~アジャーン(全員で会場片付け・自由討論)

 

2015年7月22日

演題:「人生いろいろ、コーチングもいろいろ 
    高次脳機能障害と向き合うこと、ピアノを教えること」
講師:立神粧子 (フェリス女学院大学教授)
  日時:平成27年8月5日(水)16:30~18:00
  場所:済生会新潟第二病院眼科外来 

【講演抄録】
 Rusk研究所での夫の訓練が終わるとき、Ben-Yishay博士から「君たちが訓練に成功したのは、君たちが成熟した音楽家で、訓練ということの意味を理解していたからだ」と言われた。このことについて考えてみたい。

 脳損傷者の機能回復訓練において最も厄介なことは、人それぞれ歩んできた人生が違う、ということである。例えば臓器であれば、その機能は共通で発症後の経過を予測できるであろう。しかし脳の機能はその人固有の人生の学習の記憶によって成り立っている。神経回路のつながり方はAさんとBさんとでは全く異なるのである。

 認知の諸機能に問題が生じる脳損傷(高次脳機能障害)に対する訓練は、1日の流れを構造化した生活の中で地道に継続することが肝心である。短期記憶に問題が生じるので、新しいことを脳が学習することが難しくなる。認知機能不全によりできなくなったことができるようになるために、症状を分析、細分化し、環境を構造化し、ひとつひとつ達成感を感じながら練習→習得→習慣化の過程を経る必要がある。こうした過程は、楽器の習得などと共通点が多い。そして非常に重要な部分として、脳損傷者の機能の統合と再構築を助ける、専門家及び家族のコーチングの技術がある。

 コーチングは対象者の思考の過程を理解し、その人に合ったやり方、つまり目標を達成しやすい方法論を創造し、その人の能力を最適化することである。コーチは症状の理解とともに環境を整える手助けをする。そして、認知機能の働き方には順番があり、諸機能は連動し行き来する,という脳の作用を自覚することが大切である。神経心理ピラミッドは脳損傷にもピアノ教育にも有効なツールとなっている。 

【略 歴】
 1981年 東京芸術大学音楽学部卒業
 1984年 国際ロータリー財団奨学生として渡米
 1988年 シカゴ大学大学院修了(芸術学修士号)
 1991年 南カリフォルニア大学大学院修了(音楽芸術学博士号)
 2004-05年 NY大学医療センターRusk研究所にて脳損傷者の通院プログラムに参加。治療体験記を『総合リハビリテーション』(医学書院)に連載(2006年)。
 2010年 『前頭葉機能不全その先の戦略』(医学書院)
 現在:フェリス女学院大学音楽学部音楽芸術学科教授、音楽学部長、日本ピアノ教育連盟評議員、米国Pi Kappa Lambda会員。

 

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 今回の勉強会の一部は、「新潟大学工学部渡辺研究室」と「新潟市障がい者ITサポートセンター」のご協力によりネット配信致します。以下のURLにアクセスして下さい。
  http://www.ustream.tv/channel/niigata-saiseikai
 当日の視聴のみ可能です。当方では録画はしておりません。録画することは禁じておりませんが、個人的な使用のみにお願いします。
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『済生会新潟第二病院 眼科勉強会』
 1996年(平成8年)6月から、毎月欠かさずに続けています。誰でも参加出来ます。話題は眼科のことに限らず、何でもありです。参加者は毎回約20から30名くらいです。患者さん、市民の方、医者、看護師、病院スタッフ、学生、その他興味のある方が参加しています。眼科の外来で行いますから、せいぜい5m四方の狭い部屋で、寺子屋的な雰囲気を持った勉強会です。ゲストの方に約一時間お話して頂き、その後30分の意見交換があります。
 日時:毎月第2水曜日16:30~18:00(原則として)
 場所:済生会新潟第二病院眼科外来 

*勉強会のこれまでの報告は、下記でご覧頂けます。
 1)ホームページ「すずらん」
  新潟市西蒲区の視覚に障がいのある人とボランティアで構成している音声パソコン教室ホームページ
 http://occhie3.sakura.ne.jp/suzuran/ 

 2)済生会新潟第二病院 ホームページ
  http://www.ngt.saiseikai.or.jp/section/ophthalmology/study.html 

 3)安藤 伸朗 ホームページ
  http://andonoburo.net/ 

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【今後の済生会新潟第二病院眼科 勉強会 & 研究会】
平成27年9月9日(水)16:30~18:00
 第235回(15-09)済生会新潟第二病院眼科勉強会
  演題:街歩きを通して考える社会の視覚障害者観と当事者の心理
  講師:清水美知子(フリーランスの歩行訓練士) 

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平成27年10月10日(土)午後
 済生会新潟第二病院 眼科公開講座2015「治療とリハビリ」
 会場:済生会新潟第二病院10階会議室
 要:事前登録
 講演予定者
  五味文(住友病院)
  高橋政代(理研)
  立神粧子(フェリス女学院大学教授)
 http://andonoburo.net/on/3607
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平成27年10月14日(水)16:30~18:00
 【目の愛護デー記念講演会 2015】 
 (第236回(15-10)済生会新潟第二病院 眼科勉強会)
 「ー眼を見つめて50年ー素晴らしい眼科学の進歩と医療現場における問題を顧みる」
 藤井 青(ふじい眼科) 

平成27年11月11日(水)16:30~18:00
 第237回(15-11)済生会新潟第二病院眼科勉強会
  「臨床からの学び・発展・創造・実現」
  郷家和子(帝京大学) 

平成27年12月02日(水)16:30~18:00
 第238回(15-12)済生会新潟第二病院眼科勉強会
  演題未定
  田中正四 (胎内市) 

平成28年01月13日(水)16:30~18:00
 第239回(16-01)済生会新潟第二病院眼科勉強会
  演題未定
  上林明(新潟市)